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ミステリの祭典

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五十万年の死角

作家 伴野朗
出版日1976年01月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 6点 ◇・・
(2024/04/02 21:51登録)
太平洋戦争の開戦直後、日本軍は北京原人の化石骨を摂取すべく米国系医科大学の研究所を急襲したが、すでに持ち出されたあとだった。軍医部長の特命を受けて骨の探索に乗り出した主人公は、日本の特務機関、国民党の謀略組織、中国共産党の三つ巴の争奪戦に巻き込まれていく。
当時の大陸情勢を背景に、主人公の瑞々しい探究心と、ヒューマニズムを謳い上げた戦記サスペンスで、この種の謀略ものには珍しく読後感が爽やか。

No.4 4点 TON2
(2012/12/11 21:07登録)
講談社文庫「江戸川乱歩賞全集10」
 太平洋戦争開戦前夜に中国から消えた北京原人の化石の行方を追う男。中国共産党、国民党、日本軍などの秘密機関が暗闘する。
 男が謎を追って動くたびに都合のよい情報が手に入って、ご都合主義じゃないかと感じました。

No.3 6点 kanamori
(2010/08/02 20:14登録)
当時の乱歩賞作品では珍しい冒険・謀略もののサスペンス小説。
太平洋戦争下の北京を舞台に、消えた北京原人の化石を巡って、日本軍属通訳の主人公を始め、国民党、共産党、日本の特務機関などがスリリングな活劇を繰り広げる。
結末に大きなサプライズはないが、発表当時の国内ミステリにあまりない作風で楽しめた覚えがあります。

No.2 6点
(2009/05/18 17:35登録)
北京原人の化石骨の消失と、それに絡む殺人と、重要人物失踪の謎を、上官の命令で軍事通訳の戸田が追う。舞台は大平洋戦争開始時の中国。
物語は、これらの謎を国民党結社・藍衣社、日本軍・松村機関、中国共産党が同時に追うスリリングな展開(戸田自身も命を狙われスリル満点)であり、しかも謎が絡み合い、1つの謎が解けてもまた新たな謎が生まれるという複雑な内容で、上級サスペンスミステリと言える。しかも歴史的事実にもとづいているから歴史ミステリでもある。
また、伏線もていねいに張られており、解明するつど説明してくれるから、わかりやすい。ただ、どんでん返しはなく、ある程度予想された結末なので、その点は少し不満である。

本作は、文庫化と同時に購入したが、中国読みルビの多さで1、2ページで断念。その後、積ん読状態がつづいたが引越しを重ねるうちに紛失してしまう。当初はハードボイルド、中国物ということもあって読みづらさだけを感じた作品だったが、今回、図書館で借り念願かなって読んでみると、文章自体は意外に平易であった。しかも今では興味の持てる内容であり、30年ぶりにやっと読破できた。この作家はミステリ作家としてスタートし、中国歴史物に移行した人で、陳舜臣と似ている。なんだか興味がわいてきたなぁ。本作以外は絶版のようなので、図書館通いかな。

No.1 7点 makomako
(2009/02/07 21:28登録)
江戸川乱歩賞をとった伴野朗の出世作で、得意の中国ものミステリー。初めて読んだときはハードボイルドの要素が強いと感じたが、30年ぶりに再読した今回はほとんど違和感なくよく出来たミステリーとして楽しめた。ただ長く中国にいた作者としては地名人名は中国読みでないといった考えからか、漢字に中国読みのかなが振ってある。日本読みになじんだ者としてはちょっとうっとうしい。伴野朗の作品はどれも読みやすく面白いものが揃っているのだが、なぜかこのサイトには名前が無かったので追加しました。中国物が好きな人には十分に楽しめると思います。

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