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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.16点 書評数:910件

プロフィール| 書評

No.730 6点 犬神館の殺人
月原渉
(2021/01/19 21:06登録)
首なし館の殺人でもうこのシリーズはないかと思っていましたが、嬉しいことに続編が出ました。さらにそのまた次も出ているようですので、とても楽しみです。
ところでこの作品について。
前作と大分感じが異なってかなりシュールな雰囲気です。
本格は同じトリックが許されないため突き詰めていくとネタ切れとなり、無理に新しいトリックを作ろうとすると、現実とはかけ離れたお話となってしまうのは避けられないのかもしれません。
事実本格推理小説が一時衰退したのはこういった状況が打開できなかったからなのでしょう。
 作者は本格推理小説にこだわった作品を新しく読ませてくださる作家さんとして期待しておりますが、この作品ではあまりに密室にこだわりすぎて、登場人物がまるで将棋の駒のような印象を受けてしまいます。とんでもない建物ととんでもない発想の人物が登場して、人の命など密室の理論が成立するためにはどんどん切って構わないといった印象を受けてしまいます。
 本作では読んでいてそのあたりが気になりました。


No.729 7点 ビッグ・ボウの殺人
イズレイル・ザングウィル
(2021/01/17 09:03登録)
 中編というべき比較的短いお話の中のほとんどが、密室の推理にあてられているといってよいでしょう。
 100年以上前にこんな密室を考え出したことは誠にすごいことです。十分に楽しめました。
 そして私の常ですが、密室のからくりは見破れず、犯人も全く分からずでした。
 
以下ややネタバレ

密室の回答は二つ示されます。二つ目が正解で、これが錯覚を利用した密室の最初とされるものなのだそうです。
私には初めに示された回答のほうが穴がなくてすっきりしましたね。これも錯覚を利用したといえばそうなのですが、ありうる方法なのではないでしょうか。
最終回答は実は医学的には成り立たなさそうに思えてしまいます。
いくら即死でも出血がほとんどないのはあり得ない。首を切って死に至らせるには動脈を記っての失血死か首の骨の中にある神経ごときっての即死かのいずれかと思いますが、神経ごと切るには剃刀では難しそうだし、剃刀の達人だったとしても相当に勢いよくやらないと無理であろうから、このシチュエーションでは必ずきずかれてしまいそうです。またどんなにやっても心臓が少しの間は動いているのでやっぱり大量に手が飛び散るものと思いますので、やっぱり気付かれるのでは。

ああ。こんなこと言っていないで、古典的作品に敬意を表すべきなのでしょう。


No.728 7点 サーチライトと誘蛾灯
櫻田智也
(2021/01/10 09:47登録)
 私は小説を読む際に登場人物の性格や周囲の雰囲気を感じながら読む傾向にあるので、短編の推理小説はあまり得意ではないのですが、この作品はなかなか楽しめました。
 はじめはちょっと変わった虫好きの男が変な推理をするなあといった感じでしたが、読んでいるうちにひょうひょうとした感じがだんだん好ましく思えるようになり、結構楽しめました。
 こういった連作型の短編だと主たる登場人物が同一であるため、お話に入りやすくなってくるからなのでしょうか。
 


No.727 6点 その裁きは死
アンソニー・ホロヴィッツ
(2020/12/27 16:32登録)
 本格推理小説としてはまずまず良かったのですが、登場人物が感じ悪い。
 むちゃくちゃな女警部と部下(イギリスではこんな警官がまかり通っているのでしょうか。日本でこんな事したら絶対告訴になるぞ)、傲慢でヒステリックな日本人作家のアキラアンノ、そして探偵のホーソーンも感じ悪い。
 それとともに筋ジストロフィーに関してはきちんと書かれているのに、エーラスダンロス症候群は作者がなにか勘違いしているのでしょうか、通常の病態とはかなり違うように思えます。違う病気としたほうがよかった。
 こういったところが私にはとても気になりました。
 これを気にしないならホーソーンのシャーロックホームスを思わせるような発言なんかはとても興味深いし、何となくYの悲劇のような感じもうかがわれて、本格推理として楽しめると思います。
 ただ「カササギ」よりはちょっとおちるかな。


No.726 5点 殺人者の顔
ヘニング・マンケル
(2020/12/14 19:06登録)
 スウェーデンのミステリーは初めて読みました。主人公はかなりいい加減なところがある警察官。日本だったら絶対懲戒免職ですが、スウェーデンではこれでよいということでしょうか。
 世界的に売れたところからみて世界基準ではこんなもんなのかなあ。
 ちょうどこの小説が書かれたころにスウェーデンにしばらく行ったのですが、こんな感じは受けなかった。まあ私が外国人であったからかもしれませんが。
 いずれにせよ本格推理の枠に入るものではなく、警察小説で主人公のキャラクターで読ませるといったところでしょうか。
 


No.725 6点 心霊探偵八雲2/魂をつなぐもの
神永学
(2020/12/11 18:45登録)
このシリーズは不思議な魅力があるのかもしれません。そうでなければ10巻以上も続編が次々と発行されることはないでしょうから。
 かくいう私も1巻目はさほどの印象がなかったのですが、2巻目の「魂をつなぐもの」ははるかに楽しく読みました。登場人物のキャラクターがわかりオカルト的要素を受け入れると、かなり読みやすくなってきた。
 ことにヒロインの春香はなかなかかわいいねえ。
 もうちょっと読み込んでいきます。


No.724 6点 アルファベット・パズラーズ
大山誠一郎
(2020/11/29 16:36登録)
 この作品に関しては好き嫌いで、かなり評価が分かれるのでしょう。
 本格物が好きなら、こんなに凝ったお話で意外性もあり素晴らしいということとなりそうですが、現実性を重視したり、物語に文学性や情緒などを求めようとするとひどい評価となるのだと思います。
 このサイトはミステリーのサイトですので、評価が高い方が多いのでしょう。
 私は本格物の凝った内容や練り上げたお話が好きなので、結構面白かったです。
 ただ評価が高いYの誘拐はちょっと悲惨すぎて私には読みにくい。卑劣な誘拐のお話は基本的に好きではない。


No.723 5点 ライオンの棲む街
東川篤哉
(2020/11/29 08:41登録)
 東川氏の作品はいつもサービス精神にあふれ、楽しませてもらっているのですが、このお話はユーモアも内容も今一つといった感じでした。
 トリックはそこそこ、それをユーモアで補うといった作品なのでユーモア度が下がると作品の価値も下がってしまいます。
 何より探偵のエルザがあまりにも言葉使いが悪すぎる。勿論そういったキャラクターなのでしょうが、ちょっとやりすぎなのでは。本当は上品な家庭で育って、時々すごく丁寧な言葉でしょべるようなキャラクターのほうがよかったかも。


No.722 7点 致死量未満の殺人
三沢陽一
(2020/11/01 08:47登録)
非常に綿密に考えられた本格推理小説です。
 こういったお話には登場人物がいかにも非人間的で嫌いといった評価がよくありますが、このお話では初めのうちは多少の違和感がありますが、まあ許容範囲でしょう。殺された弥生がいかにも嫌なやつなのはお話の性格上やむを得ない。
 話の内容は実にこみいっており、まず初めに犯人が自白してしまう。当然これで終わるわけはないのですが、その後精緻な検証が登場人物たちによって行われます。これがなかなか微に入り際にわたっているので、まさに数学の問題を解いているような感じにもなります。
 本格推理が好きな方には実に興味深く、そうでない人には何ともめんどくさいということとなりそう。
 私は本格物が好きなので、こういった小説に久しぶりに出会えたといった感じで興味深く読みました。


No.721 5点 心霊探偵八雲1/赤い瞳は知っている
神永学
(2020/10/31 07:26登録)
 推理小説よりもオカルトの方に振れているお話です。
 作者が書いているように、初めは全然評判にならなかったのに、なぜか当たりだして現在は10作を超えるシリーズとなっています。
 そんなに面白いかというと私の好みとしてはそこまではと思うのですが、読んでいくと大変読みやすく(最初は決して読みやすくはないのです)最後まですらすら読めてしまいました。
 不思議な小説ではあります。
 このシリーズにのめり込むことはないように思いますが、次のお話も読んでみたいといった気になりました。


No.720 6点 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます
東川篤哉
(2020/10/31 07:19登録)
 東川氏のユーモアミステリーは最近キャラクターをどんどん増やしているようです。
 探偵少女アリサもその一人。
 氏は純粋推理としては問題があるが、そこをユーモア小説だからこんなもんで許してね、といったお話なのでかえって大胆なトリックが出てきたりして毎回楽しませてくれます。
 今回もその系統のお話ですが、ちょっとユーモア度が足りないかな。
 この子を主人公とすればまだ何作も書けそう。次回を期待しましょう。


No.719 5点 田舎の刑事の好敵手
滝田務雄
(2020/10/31 07:12登録)
 このシリーズは初めて読みました。
 脱力系ミステリーとのことです。
 初めのほうはまさに脱力が行き届き、ばかばかしくてこんなことで大丈夫かと心配になるほどでしたが、読んでいくにしたがって登場人物のバカらしさにも慣れてきて次第に普通に読めてくるから不思議です。
 途中からは普通のミステリーとなり、黒川鈴木巡査部長の鮮やかな?推理が展開されます。
 ちょっと読むには良いかもしれません。
 お話になれたので、違う作品も読んでみようかな。


No.718 6点 閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室
木元哉多
(2020/10/11 13:05登録)
 このシリーズ初めて読みました。どれが第1作かわからなかったので、適当に買ったらシリーズ2番目でした。
 どこから読んでもよいとのことです。実際一話完結の話のようなので一作目を読んでいなくても問題ありませんでした。
 なかなか奇抜な設定。
 でもとても読みやすく、漫画チックでもあるが、結構本格でもある。
 作者はかなり才能がありそうな感じがしました。
 私も作者のがちがち本格も読んでみたい。


No.717 7点 ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ扉子と空白の時
三上延
(2020/09/20 07:57登録)
 ビブリア古書堂の事件手帖シリーズも扉子が生まれて新しいシリーズとなったとされていますが、このお話には扉子はほとんど関係ないただのスパイス程度の扱いです。
 珍しく3つの中編が一つのお話となっており、内容は栞子と結婚した夫が中心で、以前のシリーズと変わりがありません。単に主人公が年を重ねた時のお話です。
 今回は私もよく知っている横溝正史にちなんだお話なので、より親密な感じがしました。
 話としてよくできており、面白かった。
 ビブリア古書堂の事件手帖シリーズが今でも人気があるので、もう一度書いてみましたというより、書き残したテーマがあったのでしっかり書きましたといった感じです。
 


No.716 5点 准教授・高槻彰良の推察3 呪いと祝いの語りごと
澤村御影
(2020/09/12 07:43登録)
 第2弾と一緒に買ったのでそのまま読み続けました。
 お話としては2つの中編とおまけとして主人公の子供の頃のお話があります。
 表紙が漫画チックなのに加えて、本な内にも登場人物のイラストがあり、これがさらに本シリーズの少女趣味とお遊びをあおっているように感じます。小説として発表するよりアニメにした方がよさそうになってきました。
 おじさんの趣味では、主人公の設定が良いので、もうちょっとシリアスにしたほうが面白そうなのですが。
 まあこのお話もこれぐらいでお付き合いは終了としようか。


No.715 6点 准教授・高槻彰良の推察2 魁夷は狭間に宿る
澤村御影
(2020/09/12 07:31登録)
 「学校には何かいる」、「スタジオの幽霊」、「奇跡の子供」の3編が収録されています。
 かなり題名から見りうよりかなりおふざけ要素が強いが、多少の推理の要素もあります。
 少しずつ主人公の謎が解明はされていきます。シリーズ化第2弾としてはこんなもんでしょうか。
 軽くて暇つぶし程度なら読んで悪くないが、心に残るといったものではないようです。


No.714 6点 准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき
澤村御影
(2020/09/05 07:32登録)
 表題からすると本格推理モノのように見えますが、本の装丁はいかにも怪しげです。民俗学者の推察となっており、確かに民俗学的要素はありますが、推理の内容は助手として働く大学生のウソを見抜く能力といったオカルト的なものにかなり寄りかかっており、本格推理とは言えない内容ではあります。
 でもまあ推理が主体の小説ではありますので、それなりの謎が出てきます。
 さらに私でも探偵より先に大体の謎がわかるといった快感?も味わえました。要するに多少本格物を読んだことがある人には簡単に謎がわかってしまうといった内容なのです。本格推理小説でほとんど犯人がわかったことがないわたしでもわかるのです。すごいでしょ。
 内容は読みやすく嫌味な感じもないため軽い暇つぶし型の読書には最適です。
 結構売れているのか続編が何作か出ています。
 続編も読んでみようかな。


No.713 5点 雪の香り
塩田武士
(2020/08/25 21:49登録)
純愛ミステリーの傑作と後ろ表紙に銘打ってあります。
 まあ相手の女性には何か謎があり主人公はその女性が好きでたまらないのですから、そのように表現してもよいのでしょうが、ミステリーとしてはちょっと弱い。
 謎の解決も最後にどっとわかるようになってはいるのですが、本格推理のように読者が読んでいって推理するといったものではありません。
 読んで不快なことはないのです。ただ主人公の女性が個人的に全然好みでなく、よくこんな奴と付き合えるなあといった性格なので。
 これが素敵な女性だったら大分感じも違うのですが、こんなトンデモ女では。私にとってこれがかなりのマイナスでした。
 こんなちゃらんぽらんな女性に魅力を感じる方だったらかなり評価は上がるかもしれません。


No.712 6点 光秀の定理
垣根涼介
(2020/08/23 13:04登録)
 ちょうどNHKの大河ドラマで麒麟が来るをやっている(今はコロナで休憩中です)が、この作品は光秀の生涯を描いたものではありません。
 信長につかえ始めるまでと、なぜ光秀が本能寺の変を起こしたかについての考察のような内容となっています。それ以外のところはすっぽりと抜けている。だから光秀の生涯を知りたいといった方には肩透かしを食うこと請け合いです。
 確かに新しい考え方ではありますが、歴史小説としてはちょっと弱く、推理としてはそれほどでもないかな。
 悪くはありません。歴史小説が好きなら読んでダメということはないと思います。


No.711 7点 秘仏探偵の鑑定紀行
深津十一
(2020/08/14 21:20登録)
 仏像に触ると作成時の様子がわかるという特殊能力を持っている新米仏師の織田君と、ちょっと変わった歴史学者の八代准教授の二人で仏像の謎に挑むという推理小説とSFを混ぜ合わしたような設定です。
 仏像の謎に関して仏教的推察がちりばめられており私の好みのお話でした。
 SF的な解決ではなく、むしろ作成過程がわかるからこそ謎ができるといった設定はなかなか面白い。
 作者のほかの作品も読んでみよう。


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