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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.707 4点 ウサギの天使が呼んでいる
青柳碧人
(2020/07/11 17:08登録)
こういった作風を好みの人には良いのかもしれませんが、私にはあまりあいませんでした。
 変人の名探偵は昔からいっぱいあるのですが、登場する人物は駒であり、心が全くない。殺人事件が起きても誰も何ともない。
 短編集なのでまあ何とか読めるが、これが長編となったらきっとうんざりしてしまうでしょう。
 


No.706 7点 退職刑事1
都筑道夫
(2020/07/04 07:04登録)
 日本の安楽椅子探偵のはしりとなった作品ということですが、私は初めて読みました。
 発表年代を見ると私が学生時代の頃。内容は結構古臭いなあ。私の若い頃ってこんなにタバコ吸ったり、戦前の話が話題になったりしたのかなあとも思ったのですが、よく考えると中学時代にバスの中でおじさんたちが「中尉殿」なんて呼びながら話していたのですから、こんなものかもしれません。
 お話の内容はかなり理論的で骨組みがしっかり考えられている。作者が余計なものは削り落としたというが、結構色っぽいところはあってそれはそれでよろしい。
 何冊も出ているようだからもう少し読んでみましょう。


No.705 5点 メゾン・ド・ポリス 退職刑事と迷宮入り事件
加藤実秋
(2020/06/28 07:29登録)
 このシリーズもそろそろマンネリ化してきたようです。
新しい未解決事件が提示され、それと伴って新しい事件が発生する。新しいほうは解決したが、未解決事件はもよもやのまま。たぶん次の作品へ持ち込むつもりなのでしょう。
 こういったシリーズものは登場人物のキャラクターで読ませるところが大きいのですが、さすがにキャラクターだけで続けていくことには限界があるようです。当然作者もそれを考えていると思いますが、今回は次へ繰り延べ感が強くあまり感心しなかった。


No.704 6点 ミステリなふたり
太田忠司
(2020/05/30 18:24登録)
このシリーズは読み過ごしていたため、初めの作品が手に入らず、はからずも発表された逆の順番で読むこととなりました。
 うーん、初めはこんな感じなんだ。
 どの作品もそれなりに工夫されていた。かなり良いなあと思っていたが最後の方に来て景子の態度があまりに悪く(普通の人にこんな態度でいたら誰でも気分が悪いでしょう)さらに最後の作品は後に出るアラカルトの最後の作品と類似ですよねえ。
 こちらが先に発表されたのだからこちらから読めば問題ないが、たまたま逆に読んだためちょっと興ざめしてしまった。発表順に読めば問題なかったのですがね。でもアラカルトで興ざめとなるか。


No.703 2点 困った死体は瞑らない
浅暮三文
(2020/05/27 17:41登録)
 異色の短編集です。
 はじめのお話が豆腐で頭蓋骨を割られたお話、つぎがプールの中で焼死したお話。
 当然ばかばかしいお話なのです。
 これだけでお付き合いするのは大変そうだが、異色の作品と思って読んでみました。
 登場人物が実にいやらしい。これだけでも読む気が失せてしまいます。
 解説にも波長が合う人は楽しめると書いてあったが、私は全然波長が合わず楽しくも何ともなかった。


No.702 6点 ミステリなふたり a la carte
太田忠司
(2020/05/27 17:32登録)
シリーズものとして読めば楽しめます。
 今回は短編のお話がお食事とセットになった形になっています。
 相変わらず読みやすく内容が殺人事件の割に軽い雰囲気ですが、作者の小説はどれもですが、嫌味な感じは全くありません。これが読者によっては漫画チックでちょっと物足りないかもしれません。
 一つずつが短いのでちょっとした時間でも読むことができます。それなりに面白いが、とても素晴らしいというほどではないかな。


No.701 6点 もっとミステリなふたり
太田忠司
(2020/05/25 19:18登録)
 このシリーズはかなり短いお話ばかりですが、内容はそれなりに充実していると思います。
 さらにその中に京堂夫妻のエピソードが加わって結構楽しめるのです。 
 お話の内容がそれなりに猟奇的だったり重かったりしているのに、さらっと解決してしまう。読みやすいといえば読みやすいが、ちょっと物足りないような気もします。
 奇抜に見えるお話でも、解決があまりにスムーズなため、お話としてはあれれ、といった感じもしてしまいます。
 一話ずつが短く嫌味な話ではないので、ちょっとした生き抜きとして読むならなかなかです。


No.700 6点 影の斜塔
麻見和史
(2020/05/24 08:26登録)
 警視庁に文書捜査官なるものが果たしてあるのかいささか疑問ではありますが、本作品はその部署のシリーズもののようでした(シリーズはじめを読まず途中から読んだこととなりました)。
 絶対無理そうな捜査を申し付けられ、そこから直観のみ(のような)操作方法で、不思議と肝となるところを見つけ出してしまう。
 本当にこんな部署がありこんなミッションがまかり通っていたらむちゃくちゃのような気もしますが、お話を読んでいる分にはことに矛盾した感じは受けませんでした。
 それにしても警察内部ってこんな悪いやつばかりが出世しているのかなあ。
 まあお話として読むなら警察小説としては読みやすく悪くはないです。
 このシリーズは何冊か発行されているようです。ものすごく読みたいわけではないが、もうひとつふたつは読んでみようかなといった気にはなりました。


No.699 6点 やっぱりミステリなふたり
太田忠司
(2020/05/21 18:02登録)
 ミステリなふたりの3作目。
 太田氏の作品はかなり読んでいるつもりですが、このシリーズは初めて読みました。
 本格物の短編集です。不可解な殺人が出てきて愛知県捜査一課の氷のように鋭い女性警部補が担当するが、もう一つ解決できず、夫の優しい新太郎に相談する。
 夫はたちまちに事件を解決してしまうというワンパターンの短編ばかりですが、その中にちょっとしたスパイスが混ぜてありそれがなかなか面白い。
 事件そのものは結構猟奇的なものも含まれてはいますが、スラスラと読めてしまいます。
 作者の最近の長編はSF様のパロディーがかったものが多くちょっと寂しい。
 こんな長編がたくさん書けるのですから、もうちょっと温めて本格長編をお願いしたい。


No.698 8点 マツリカ・マトリョシカ
相沢沙呼
(2020/05/18 18:08登録)
このシリーズ1作、2作(ことに2作目)は主人公の柴犬君があまりにうじうじしすぎで、しょうもない話だなあといったところでしたが、3作目はがらりと様相が変わって、精緻な推理小説であり青春小説となっていたことにまず驚きました。
 シリーズ初の長編なのですが、マツリカさんの出番はかなり少なくなっています。従ってエロっぽい話は少なく青春を生きる若者たちの推理が主体です。かれらが次第に成長しつつ友情が芽生えてくるのも、なかなか良い。
 お話は過去と現在の密室が複雑に絡み合っており、それを試行錯誤しながら少しずつ解明していく過程は大変精緻で、エラリークイーンのようでもあります。
 このシリーズで飛びぬけて素晴らしい内容と思いました。
 続編が出るとよいなあ。


No.697 6点 マツリカ・マハリタ
相沢沙呼
(2020/05/15 21:00登録)
 このシリーズは現在3作出ています。本屋で3冊とも買ったので1作目があまり好みではなかったが2冊目も読みました。ゴールデンウイークがコロナでどこも出かけられなかったので読書するしかなかった。
 最初はあーどうしようもないなあといった感じ。
 こんなうっとうしい男には全くイライラさせられます。マゾとエロしかないではないか。暇でなかったら絶対読むのをやめていた。読んで損した、と思っていましたが、マツリカさんのぞが解明されていくにしたがって興味しんしんとなり、最後は一気読みとなりました。
 初めのところは評価3ぐらいでしたが最終的にはこんな評価となりました。


No.696 6点 彼女の色に届くまで
似鳥鶏
(2020/05/15 20:51登録)
 作者はちょっとおふざけな感じの軽いお話を書いているものと思っていましたが、これはだいぶん違っていました。
 十分に美術ミステリーといってよい内容なのです。内容だけなら結構深刻で本格の美術ミステリーで十分通ると思います。
 作者はかなりの美術愛好家のようで、その方面に詳しい方が作った本格物なのです。
 ただ作者が入れた訳注が結構あり、これを見るとやっぱりおふざけを加えないとおれないようです。さらに無駄に長いあとがき。
 せっかく魅力的な女性探偵と個性的な若者を登場させたのですから、このお話の中ではおふざけはできるだけおさえてほしかった。
 こんなお話は好きなんです。できればシリーズ化してほしいぐらい。


No.695 5点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2020/05/09 19:59登録)
 かなりへんてこりんなお話でした。
 主人公のマツリカさんは極めて傲慢、それに従う柴犬君は何とも優柔不断。読んでいてイライラさせられます。
 一応推理小説となっていますが、マジョリカさんの推理がうまく述べられていないのか、私にはわかりにくいお話もありました。
 もともとあり得ない設定なのですからこんなもんでよいのかもしれません。一番良かったのはマツリカさんのセクシーシーン 


No.694 7点 海に消えた神々
今野敏
(2020/05/08 21:33登録)
 前作の「神々の遺品」はUFOやピラミッドといった超有名だがかなりいかがわしいものも多い謎を取り上げていたので、推理小説としてはもう一つとの印象でしたが、本作品は謎のいかがわしさが少ないせいか、愉しく読めました。
 これなら次作が出てもまた読んでみたいといった内容です。
 お話もひねりが効いており、どんでん返しというほどではないが、意外な結論になっています。ただ謎を解く道筋がかなりご都合主義的なところもあるので、そこがちょっと減点かな。
 


No.693 5点 神々の遺品
今野敏
(2020/05/06 11:46登録)
 古代文明の謎に迫る推理小説と宣伝されています。
 こういった話は好きなのです。巻末にある参考文献らしきものも結構読んだことがあります。ただし私はそういった話を信じているのではなく、たんに興味がある程度なのですが。
 作者はベテランで語り口もうまいので、かなり期待して読みました。
 読んだ感想はもう一つ。
 超古代文明とそれにかかわる謎の巨大組織が強い力を持っているというお話となると、どうしても推理小説というよりは昔でいう伝奇小説のほうが向いていそうです。
 伝奇として書いたなら結構面白そうなのですが、ずいぶん昔に否定されたことなどもごちゃまぜにしてあると、推理小説としてはちょっと興味をそがれます。


No.692 7点 素敵な日本人
東野圭吾
(2020/05/03 08:32登録)
 短編編集ですが、それぞれのお話が全く別のもので何のつながりもありません。
 本格物から、SFまであります。
 こういった内容ですと多くは出来不出来が気になることが多いのですが、さすが作者は語り口がうまくどの作品もスラスラと読めます。
 逆に言えば、凄い、といったものもあまりないのですが、平均点高く粒ぞろいとも言えます。


No.691 4点 アリバイ崩し承ります
大山誠一郎
(2020/05/01 18:03登録)
ほかの方も書いておられるようにクイズの出題と答えといった感じを強く受けるお話でした。
 登場人物が全然現実感がなく機械のような感じがします。作者ならもっと膨らませて魅力的な女性に描けそうに思うのです。わざとこんな風にしたのでしょうか。
 作者の新しいトリックを追及するという姿勢は大いに買っているのですが、こんな風にしてしまうと面白くも何ともありません。

以下ちょっとネタバレ
 第1話は絶対成立しません。事件があった時間をずらす画期的方法のようにみえますが、人間の生理機能を無視した話です。つまり成り立たない。さらに末期すい臓がんなら解剖を行って見逃すなんてことはあり得ませんね。
 第2話もパクリとのことですが、これもちょっと無理がありすぎます。
 それ以後の話は無理やりのところはありますが、まあ全体成り立たないというわけではないので許せる範囲ではあります。


No.690 7点 天上の葦
太田愛
(2020/04/27 20:08登録)
社会派推理小説が好きなら、ぜひ読んでみてください。
 力作です。
 かなり長いが、物語は二転三転してなかなか本筋が見えてこない。
 読者は都会の中から忘れられたような島へ、そしていつのまにか戦争の時代へとめまぐるしく変化するお話に翻弄される。これでもう終わりかと思ったら起死回生の一撃で立ち直り、でも相手もなかなか降参せず新たな手を打ってくる。
 このようなお話なので、さぞやハラハラドキドキとなりそうなのですが、思ったほどドキドキとはなりません。
 これはシリーズものなので主人公たちが死んでしまったりはしないということがはっきりしているのと、お話の中での「良いもの」と「悪いもの」がはっきり分かれているため、読んでいて安心感があるのですが、どんなピンチになっても最後は正義が勝つことが約束されていることが感じられるせいなのでしょう。
 


No.689 6点 赤い博物館
大山誠一郎
(2020/04/19 12:55登録)
 最初の2作(パンの身代金と復讐日記)は比較的無理がなく、内容もひねりが効いていて面白かった。
 最後の「死に至る問い」は賛否が分かれているようですが、私にはこれはいくらなんでもちょっと無理やりすぎると思いました。
 しかしこれだけしっかり内容を盛り込んだ作品を並べて見せてくれたのはすばらしい。
 こういった短編集だとどうしても出来不出来が気になってしまうけど、次作に期待が持てますね。


No.688 5点 暗幕のゲルニカ
原田マハ
(2020/04/12 08:26登録)
 私も楽園のカンヴァスが良かったのでこの本も読んでみたのですが、やはりこちらのほうがちょっと落ちるように思います。
 作者のピカソに対する思い入れは十分にわかるのですが、私のような絵画の門外漢にとってはゲルニカがそこまでの力があるかどうかは不明です。ちなみにスペインでゲルニカのホンモノをみましたし、ゲルニカへ行って町の記念碑のようになっているコンクリートでできたゲルニカも見てきましたが(その程度の関心はあるのです)、迫力を感じつつもアートが一番の力か否かはよくわかりませんでした。
 私にとって価値観の根本的なところで多少のずれがあるため、お話の内容への共感が十分ではありませんでした。勿論作者のこういった姿勢に反対するものではなくむしろ賛成に回りたいのですが、そこまでの情熱が出ないということなのでしょう。
 したがって評価もちょっと下がります。

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