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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:862件

プロフィール| 書評

No.682 7点 濱地健三郎の霊なる事件簿
有栖川有栖
(2020/03/07 07:27登録)
霊的能力のお話は本格物とは対極のような気がしますが、有栖川氏の作品はそれを感じさせない、というよりこういったお話が大好きな方が書いていると思えてきます。
 作者の幽霊もの?はどれも全然怖くなく、その世界で見事に完結しているのでミステリーとして読んでも興味深いのでしょう。
 相手役のユリエさんもなかなか素敵です。


No.681 5点 アンデッドガール・マーダーファルス2
青崎有吾
(2020/03/04 21:18登録)
本格ミステリーの若手として作者には期待しているのですが、こういったお遊びのような作品もきっと書きたいのでしょうね。こちらのほうが肩に力が入らず好き勝手(失礼)に書けそうですから。
 こちらのほうは適当にして、是非本格物の長編をお願いしたいです。


No.680 6点 月長石
ウィルキー・コリンズ
(2020/02/28 19:55登録)
 推理小説の古典として昔から知っていたのですが、あまりの長さと古さのため今まで読むのをためらっていた作品です。ようやく読む勇気?が出たので今回頑張って読みました。
 色々な人が違った角度から一つの物語を述べていくという形をっとっています。立場によってこんなに受け取り方が違うんだということがよく分かりますし、とんでもないキリスト教狂信者(本人は敬虔なキリスト教徒と思っている。彼女から見れば私など野蛮な異教徒)のお話が長く続くところは正直うんざりしました。でも100年ぐらい前のイギリスではこんな人もいっぱいいたのでしょうね。当時のイギリスを知るといことではとても有用でした。
 はっきり言って無駄に長いところもあり、抄訳が発行されたこともあるというのもうなずけます。だからといってつまらないのではありません。古典的名作としてよいお話と思います。もっと短くすっきり書いてあれば私の評価も上がったのですが。


No.679 5点 メゾン・ド・ポリス4 殺人容疑の退職刑事
加藤実秋
(2020/02/02 15:10登録)
 このシリーズも現在出ている最終巻となり(この本の終わり方からすると続編が出るかもしれないが)登場人物の色々な過去がかなり明らかになってきました。
 今までこのお話は読んでいる分にはまあ面白かったのですが、4冊目ともなるとさすがにマンネリ化してきたようです。
 もともとこうやると受けそうだという作意が見え隠れするところがあるのですが、だんだんストーリのご都合主義が目立つようになり、それを日常の人情話的要素でカバーしているといった感じとなってきました。
 このお話はこのぐらいでおしまいとしたほうがよいのかも。


No.678 5点 メゾン・ド・ポリス3 退職刑事とテロリスト
加藤実秋
(2020/02/01 07:26登録)
 シリーズも第3作となり読む側も大分親しさが増しました。
 今回は初めての長編です。
 テロリストというけど勿論国家混乱を狙うような大したテロリストではなく、初めは愉快犯とも思われる偽装爆弾程度だが、最終的には多少の殺傷力を持つ爆薬も仕掛けられます。
 元刑事のおじさん方の活躍が主体で、それに新米女性刑事が絡むといった話は相変わらずですが、親しさが増してきたとともにちょっと飽きてきたのも否めません。
 読んでいる間はそれなりに面白いです。時間つぶし程度なら絶好でしょう。
 読んでしまえば多少ふんわかして気分がよく、決して悪いお話ではありませんが、読んでしばらくすると内容を忘れてしまいそうな感じです。そろそろぼけてきたせいもあるかもしれませんが。
 次の4作で終了のように思われますがこのあたりで打ち切りが妥当でしょう。


No.677 6点 メゾン・ド・ポリス2 退職刑事とエリート警視
加藤実秋
(2020/01/29 18:40登録)
 第1作が面白かったので次作も読みました。これも連作シリーズです。
 2作目は読むほうも登場人物のキャラクターがわかっているのでスムースに読んでいけます。相変わらずの展開なのですが、主人公のひよりの身体的特徴が浮かんでこない。普通若い女性が主人公なら必ずといってよいほど身体的特徴がのべられるのに変だなと思って調べてみたら、作者は女性なのですね。
 それがわかれば人物描写で化粧や髪型がやたら詳しく、私には理解不能な服の名前などが出てくるのに,ひよりが胸が大きいとかおしりがどうだとかが全く述べられていない(端役のナナちゃんは胸が大きくスタイルがよいように描かれていますが)のだと納得してしまいました。
 現在4作まで出ているので次も読んでみましょう。


No.676 6点 メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス
加藤実秋
(2020/01/22 21:47登録)
 加藤実秋氏の作品は初めて読みました。
 新人女性刑事とおじさん退職刑事軍団が活躍するというお話です。
 やる気満々の新米女性刑事が退職した刑事たちがシャアしているハウスの人たちと難解な?問題に立ち向かう。いくいかにもといったシチュエーションです。
 はじめのうちはくさい芝居のようで期待できないと思って読んでいましたが、話が進むにつれて次第に面白くなってきて、最後は謎を残したまま終了します。
 これでは消化不良と思ったがよく見ると続編がすでに4巻まで出ていました。
 このお話がどうなっていくかかなり気になるので次も読んでいきます。


No.675 7点 探偵さえいなければ
東川篤哉
(2020/01/18 07:37登録)
このシリーズはどれをとっても楽しく読めるので、発売されると必ず買ってしまいます。
 今回もなかなか面白い。ギャグはいつもより面白く、読んでいてクスっと笑ってしまったことが何度もありました。
 本格推理小説並みのすごい謎が提示され、またとんでもない解決が最後に来るといったお決まりのコースを踏んでいますが、これを本格推理でやるとちょっとないでしょうということとなるのが、ユーモアミステリーではなるほどとなるのが不思議です。
 次作も期待しています。


No.674 5点 幽霊人命救助隊
高野和明
(2020/01/12 09:03登録)
帯には泣ける、ラストでボロ泣きなどと書いてありましたがそれほどのものではありませんでした。
 まじめに読んだらばかばかしい限りと思う方もおられると思いますが、こんなユーモアもありとするなら楽しめると思います。
 このサイトでの評価も結構高いのは、こういったユーモアを解するスマートな方が多いからなのでしょうね。
 読んで不快なお話ではないのですが、この手の話としてはちょっと長すぎて中だるみがする感じが否めませんでした。


No.673 7点 ミステリー・アリーナ
深水黎一郎
(2020/01/05 21:29登録)
 推理小説を読んでいると時々真犯人と違う人が犯人であっても一向にかまわないと感じることがあります。実際映画化などされたときに犯人が変わっているなんてこともあったりもします。
 名探偵が指摘する方が正しい犯人ということとなるのですが、作家さんはきっと違う犯人でも成り立つ話であることは百も承知で書いておられるのでしょう。
 本作品は犯人も解決方法もきちんとした方法で次々と指摘されるが、それが次々と否定され最終局面を迎えます。並々ならぬ才能の持ち主である作者はこうなりゃ考え付く限りの解決方法とその否定を一つのお話にいっぺんに詰め込んでしまえとばかりに書いたのでしょうか。
 ある意味ですごいお話です。
 でも読者によってはバカミスのように思えてしまうかもしれない。
 評価が分かれる作品なのでしょう。私はかなり楽しめました。


No.672 4点 屋上の道化たち
島田荘司
(2020/01/01 09:55登録)
高評価の方もおられるようですが、私はいまいちでしたね。
 謎はすごい。こんなお話にどうやって合理的な結論を付けられるかと思うほど。結構長いお話を読んでいくと読者に挑戦のようなところがあるが、私にはさっぱりわからない。
 御手洗が出てきてあっという間に真相を見破る。
 その結果がよければ誠にすごいお話なのですが。なんとこれは、バカミスにもならないぐらいあほらしい真相でした。
 これって「風が吹けば桶屋が儲かるより」さらにありそうもないでしょ。
 物理的に絶対無理なだけでなく、ばかばかしいほどの偶然の積み重ね。
 こんなトリックしか思いつかないのかねえ。大がかりなら何でもよいというものでもないと思うのです。
 私は島田氏が江戸川乱歩賞に応募していたころから読んでいます。「占星術」(これは乱歩賞取れなかった)や「斜め屋敷」などを書いたころは斬新な発想と感心したのですが、歳をとるとこんなもんなのかなあ。同年代としてそして作者が登場した時からの読者として期待しているのですが。


No.671 6点 ラプラスの魔女
東野圭吾
(2019/12/27 21:49登録)
これはSFというべき内容なのだが、作者の巧みな語り口で読んでいて現実に起こってしまうような感覚になってしまいました。そのあたりはさすがに東野氏の小説のうまさだと思います。
 ただ読みやすく誰もがある程度楽しめると思いますが、特有の冷たい感覚があることは否めません。
 多彩な作者は多くの作品を次々と発表し、ほとんどがベストセラーとなっています。確かにどの作品もまとまってはいますが、円熟というより悪い言い方をすれば薄利多売なに感じます。
 初期の作品からファンでずっと読んできたものにとっては、じっくり時間をかけて中身の濃い長編を書いてほしいなあ。


No.670 7点 不穏な眠り
若竹七海
(2019/12/20 21:14登録)
 葉村晶シリーズの最新版。今回は連作短編集ですが、なかなか楽しめる内容でした。
 一般にシリーズものは読者が主人公たちに慣れてくると読めばそれなりには楽しめるのですが、3作4作と重ねていくとどうしてもマンネリとなりがちです。ところが葉村シリーズは主人公が年を重ねるにつれだんだん円熟味を増してきて、今回の出来は初期の作品よりはるかに良いものとなっているようです。
 短編なのに、きちんと話ができています。一発トリックではなく複雑な話がコンパクトにまとめられており、その中に葉村シリーズ特有の雰囲気も味わえます。
 ただ表題の不穏な眠りは話が複雑でもう一つ分かりにくかったなあ。
 


No.669 5点 QED 憂曇華の時
高田崇史
(2019/11/20 20:10登録)
 QEDシリーズは再開したようで、新作が出ました。今回は長野の安曇野中心のお話。
 おなじみのタタル、ナナちゃん、そして小松崎君が勢ぞろいで、まさに本来のQEDシリーズです。
 お話は例によって殺人事件とタタルの薀蓄が交差することとなるのですが、今回はタタルの話がことに長くてくどい。
 私は日本史の薀蓄が好きなのですが(だからこのシリーズは欠かさず読んでいるのです)それでも今回はタタルの話はやたら長くて、はっきり言って事件との関連がとても考えられないものを強引に結び付けており、凡長である印象が免れません。作者を弁護すればより精緻な歴史考証がのべられているということとなりそうですが。
 今回は特にタタルがあまりに名探偵過ぎるようで、なんだか初めからすべての真相をお見通しな感じがあって、出来栄えはもう一つといった感じです。


No.668 4点 シューマンの指
奥泉光
(2019/11/18 18:40登録)
 私はクラシック音楽が大好きです。それでもこの作品を読むのは大変でした。
 ドイツ語の地名がたくさん出てくる。日本語で書いた方が断然読みやすいが、原語が作者の好みなのでしょうね。
 こんな小難しいシューマン論を延々とされて、しかも音楽は演奏しなくてもそのままでよいなどと言われても、おおいに感動というわけにいかないのでは?
 だいたいダヴィット同盟や謝肉祭などはかなりのクラシックファンでなければあまり聞いたことがないのではないでしょうか。
 奥の方にしまってあるダヴィット同盟のピアノを引っ張り出して聞きながらこの本を読んでみたのですが、やっぱり私の趣味には合わないようです。
 最後は推理小説となってはいるのですが、途中で大体内容が推察できてしまい、まあこんなもんだなあといった感想でした。


No.667 7点 叫びと祈り
梓崎優
(2019/11/10 08:08登録)
第1作の「砂漠を走る船の道」は久しぶりに「やられた」といった感じを受けた短編でした。
 これが抜群に良い出来と思います。本格物が好きならきっと楽しめます。好みが異なれば単にばかばかしいだけかもしれないので、推理ゲームを楽しむという方限定なのかもしれません。
 連作集ですがどの作品も主人公が同じというだけであって、お話自体はつながりがほとんどありません。最後の祈りだけが多少つながりを感じさせる程度なのである意味どこから読んでもよいといえそうです。
 いずれ劣らぬ変わったシチュエーションでの出来事で、そこでしか成立しえないお話です。よくこんなこと考えたなあ。作者の才能を感じます。
 ただ最後の「祈り」はちょっと落ちるような気がします。あまりに幻想的過ぎる印象でした。


No.666 6点 遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠
桑原水菜
(2019/11/03 09:27登録)
 桑原水菜氏の作品は初めて読みました。コミックなども書いておられるようですが、作家さんとしても活躍中とのこと。
 この作品は歴史ミステリーの範疇に入ると思いますが、多分にファンタジーの要素が強く、ひと昔前の伝奇小説(古いな)といったくくりに入りそうです。
 こういった作品は個人的には好みなので、興味深く読みました。読みやすく誰でもさらっと読めそうです。
 作者は史学部卒業とのことで基本歴史的なベースを外してはいませんが、純粋な歴史推理として読めば拍子抜けするかもしれません。
 ただ主人公の無量の言葉が、「--っす」を連発し、関東人でない小生などにはいかにも薄っぺらな感じがしました。またヒロインの萌絵が突然少林寺拳法の使い手だったことになったのはいかにも漫画風で、作品の雰囲気がいっぺんに変わってしまっことは否めません。
 まあこういった雰囲気を飲み込んで読めば楽しめる小説だと思います。
 続編も出ているようだから読んでみましょう。 


No.665 7点 メインテーマは殺人
アンソニー・ホロヴィッツ
(2019/10/31 07:57登録)
カササギ殺人事件ではちょっとびっくりする展開にすっかり騙されてしまったのですが、本作品はそこまでではなかった。もちろん犯人当てなどは全く無理でしたけどね。
 話の途中でいろいろな映画や舞台の有名人が出てきたり、お話の雰囲気がいかにもシャーロックホームズ風だったり(作者はシャーロックホームズの新作シリーズを書いているから当然かもしれません。)、興味が尽きないところですが、いかんせん探偵のホーソーンが感じが悪い。変人や発達障害風の空気が読めない探偵は本格物でよくあるのですが、感じの悪い(わざと感じ悪くしている)探偵はあまり多くはない。
 どうしてこんな感じ悪くしなければいけないのかなあ。多少でもよいからもう少し感じよくしてくれたらよかったのに。
 全体的には読みやすくしっかりとした作品で十分楽しめましたが、探偵の魅力の点で多少減点です。


No.664 4点 恋のゴンドラ
東野圭吾
(2019/10/20 09:18登録)
私が歳をとったのか作者が無理して若い世代を描いたのか、とにかくいまいちでした。
 こんな薄利多売のような小説を書いているとそのうちいけなくなりそうな気がするのですが、意外にこのサイトの評価は高いのですね。
 多分私の感覚がずれているのでしょう。
 作者は名手なので読むのはすらすらと読めましたが、全然心に響いてこないなあ。


No.663 6点 カナダ金貨の謎
有栖川有栖
(2019/10/19 07:27登録)
有栖川氏の短編はトリック一本勝負といったところがあり、その出来不出来で印象が大きく異なるように思っています。
 今回のカナダ金貨はそれなりの水準がそろっているようで、まあ面白く読めました。
 私は氏の長編が大好きで、巻末の著作を見るとすべての長編を読んでいるようですが、短編は未読のものが結構ありました。これははずれだなあと思ったものが時折あったためなのですが、今回の作品はその中ではまずまずといった印象でした。

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