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ミステリの祭典

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こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.589 6点 騙し絵の檻
ジル・マゴーン
(2012/02/22 23:28登録)
 15年前の冤罪殺人を扱ってますがE-BANKERさんと同じですが時間軸が移動してとにかく読みづらかった印象です。カットバック方式より15年前と現在を分けてくれた方が読みやすいなあと思いました。容疑者を集めて全員の容疑を一旦晴らしておいて改めて真犯人を指摘する下りなど昔懐かしい構成というだけで楽しめた覚えがあります。


No.588 5点 聖アンセルム923号室
コーネル・ウールリッチ
(2012/02/22 23:22登録)
独特のアイリッシュらしい雰囲気を味わえるストーリーで特に6話目の「・・・・・・・の夜」のその後が想像を掻き立てるのと最終話が1話目につながる所は味わいがありました。但し全体としてはミステリとは言えない作品でした。


No.587 5点 ライノクス殺人事件
フィリップ・マクドナルド
(2012/02/17 00:33登録)
 プロローグとエピローグを逆転させる趣向で長年名のみ聞く作品でしたが数年前の再販をきっかけに読むことができました。
 あまりこの趣向は効果を挙げているとは思えませんでした。ガイド本で「色々な趣向を思いつくアイデアマンだけど作品は地味」と評されたものを読んだことがありますがその評価ももっともかなと思います。展開は予想し易いものの短いですしさっと読めて楽しめた記憶があります。


No.586 6点 悪夢がしのびよる
マージョリー・ドーナー
(2012/02/17 00:24登録)
 折原一のガイド本の推薦を見て読んだ本です。幼女誘拐未遂事件の母親が主人公のサスペンスですが通常のこの手のサイコサスペンスと違い途中からの主人公の行動が予想外でした。ラストの締めもちょっと予想外ですがまあまあ楽しめた一冊でした。


No.585 6点 殺人詩篇
ウィル・ハリス
(2012/02/17 00:18登録)
 夜明けの睡魔の書評をみて10年ほど前に手に取った本です。時価30万ドルの実在する植民地時代の古書をテーマにした作品です。大学教授が主人公ですが教職者というより軽口の私立探偵風しかもベトナム戦争帰りのヒーローの様に描かれ、校正者のヒロインも若く自立した女性として描かれ明るい雰囲気で作品は進んでゆきます。書物に凝ったミステリとしては比較的古い作品といえると思います。冒険小説風で楽しい作品でした。
 好評だったのか続編がありますが積読になっています。


No.584 6点 ストライク・スリーで殺される
リチャード・ローゼン
(2012/02/17 00:00登録)
 スポーツミステリの佳作です。
 メジャーの架空球団のリリーフエースが殺され親友のレギュラーセンターが主人公で犯人を捜査してゆく、という変わったミステリでした。主人公は軽口の私立探偵風に描かれとてもシーズン中の野球選手には見えませんが探偵役はしっかり勤め上げてます。作品も大リーグらしい描写がうまくされていて野球に多少興味があれば楽しい本だと思います。殺人動機は優秀とは思いませんが作品にはマッチしているのでいいと思います。
 ただ野球に全く興味がないとつまらないと思います。


No.583 5点 セカンド・ラブ
乾くるみ
(2012/02/16 23:47登録)
(ネタバレになっているかも) 
個人的にはイニシエーションラブは全く推理せずに最終ページまで読み進めてしまいやられた読者だったので今度はどうくるか、と非常に期待していましたがちょっと期待外れでした。
 叙述に対し身構えすぎたので「これは違うな」という見当はついたんですが矛盾点をどういう風につじつまを合わせるんだろうと思いながら最終ページに達したのでラストを見た瞬間「こんな落ちかよ」とがっかりしてしまいました。
 ラストを読むとあんなセリフが伏線か、というのはわかりますがあまりやられた感じはしませんでした。
 あと同僚のエピソードが無関係なのにわざわざページを割いたのは無意味でしょう。


No.582 10点 太陽黒点
山田風太郎
(2012/02/12 22:33登録)
 5年以上積読になっていたんですが今年に入って読了しました。つくづく前情報なしで読めて良かったです。青春恋愛ストーリーが延々と語られどこで事件が起こるんだろうと思っていたら「死刑執行当日」のたたみかける展開は予想外でした。「ビスマルク」戦略の持つ意味は予想もしませんでした。
 読者には全く推理不能でありただ説明を受け納得するしかない内容ではありますが、こういう発想、ストーリーが50年前に描かれていたことに感動します。
 正直殺人動機や被害者には納得行きかねるところもありますがそれでも素晴らしかったです。例え絵空事でも非現実的でもこの作品を読めて大満足です。ただ読者によって評価は分かれそうな作品ではありますね。
 尚私は山田風太郎ミステリー傑作選「戦艦陸奥」で読んだんですがこの作品のみで評価したかったんでこちらに移しました。
 これから読む方は前情報なしで読んでほしい一冊ですね。


No.581 6点 消えた巨人軍
西村京太郎
(2012/02/12 22:18登録)
 左文字シリーズ第1作は巨人軍1軍選手の誘拐を扱っています。実名が出されているのは御愛嬌ですがやはりプロットの勝利で楽しめました。主人公左文字の推理も結局全て正解になるほど優れた推理とは思えませんがキャラクターも魅力的であり展開、最後の落ちも含め楽しめました。70年代に発表された全5作(その後続編がありますが面影は全くないです)は壮大な大風呂敷を広げた誘拐物としていずれも楽しめた記憶があります。


No.580 5点 死の競歩
ピーター・ラヴゼイ
(2012/02/12 22:07登録)
 ラヴゼイのデビュー作は読む前に都筑道夫氏の「黄色い部屋~」と瀬戸川氏の「夜明けの睡魔」にそれぞれ書評があり同じ作品でこんなに違うのかと感じていました。
 個人的には殺人事件、刑事の尋問など全てが競歩の進行中に行われ、レース終了とともに解決するという展開に面白みはありますが地味だなあと思わされました。


No.579 6点 サムスン島の謎
アンドリュウ・ガーヴ
(2012/02/12 02:16登録)
 歴史学者が滞在先で一流記者の妻に会ったことで巻き込まれるスリラーです。
 彼女の夫が死んでいるのか、生きているのかというところと彼女がそれに関わっているのかというところが一応の読みどころでしょう。斧が果たす役割もニヤリとさせられました。
 ラストはこの展開ならいくらなんでも甘すぎると思える展開ですがまあガーヴらしい締めです。


No.578 5点 新聞社殺人事件
アンドリュウ・ガーヴ
(2012/02/12 02:04登録)
 新聞社内で起こる連続殺人を扱った作品ですが犯人は初めから明らかでその狂人ぶりを味わうストーリーとなっています。
 殺人事件そのものは杜撰ですが作者が新聞記者出身だけあって殺人事件以外のサイドストーリーにはそれなりの説得力を感じました。
 他作品と違って視点となる主人公が不在であり巻き込まれサスペンスが特徴のガーヴ作品としては異色作に入ると思います。


No.577 7点 写楽殺人事件
高橋克彦
(2012/02/12 01:43登録)
 作者のデビュー作であるだけでなく最高傑作だと思います。
現実の殺人事件は面白みがありませんでしたが写楽の謎に迫るストーリーは楽しめました。若いカップルに捜索させ会話仕立てにしているのも素人である読者にわかりやすく読ませる助けになっていると思います。写楽の正体の検討の所で過去の仮説の中で「石沢英太郎」が学者に混じって挙げられているのは少し驚きました。「北斎~」以降も読みましたがこの作品が最も楽しめました。
 この作品では伺えませんがシリーズが進行する中でこの作品の主人公たちのその後の扱いは読んでいて当時非常に不満だった覚えがあります。


No.576 7点 奇術探偵 曾我佳城全集
泡坂妻夫
(2012/02/10 00:17登録)
 10年以上かけて完結させた作者の労作に敬意を表したいです。ラストは個人的には不満もありますが。1作1作は軽いものが多いですが一気読みする必要のない本だと思いますので個人的には気になりませんでした。この作品も泡坂妻夫にしか書けない作品だと思います。もう新作が読めないのが残念です。


No.575 4点 真夜中の探偵
有栖川有栖
(2012/02/10 00:03登録)
 前作は青春ミステリ的な楽しみもありましたが今作はストーリーはどんよりしていますし主人公がかわいげなく描かれているため共感しづらいです。トリックも感心するほどのものではありませんでした。伏線の回収のためストーリーは続いて行くんでしょうけど次回作を読むかは検討中です。もう少し明るいストーリーが希望です。


No.574 5点 疑惑の場
パトリック・クェンティン
(2012/02/09 23:57登録)
 ホイーラー単独になって第3作目です。ハリウッドを舞台にしたサスペンスで往年の名女優の一人息子が主人公で彼の1人称で語られるストーリーです。
 安易な殺人が目立つのと主人公を含めた登場人物の誰にも共感できないため他の力作のようなストーリーの深みがない印象です。一見意外な犯人を据えているようにも見えますがストーリーが単調なため誰が犯人でもいいような読後感で残念でした。


No.573 6点 日本で別れた女
リチャード・ニーリィ
(2012/02/09 23:49登録)
まず描かれている日本がB級映画みたいな日本ではなく普通の日本らしく描かれているのが好感もてます。
 終盤の展開は確かにニーリィというより折原一が描くようなプロットを思わせますが個人的にはこの作品のようなラスト(事件の解決)はありえないだろう、という思いもあり少々不満ではあります。個人的には他作品同様楽しめた記憶があります。


No.572 7点 鑑定主文
岡江多紀
(2012/02/06 01:10登録)
 以前ガイド本で折原一の推薦があり手にとってみました。
刑法39条「心身喪失」「心身耗弱」を扱った重厚なミステリでした。
 統合失調症(本文では精神分裂症)の殺人者の責任能力、精神鑑定がテーマでとにかく重厚です。
 複数の殺人事件が扱われ多視点のストーリーですがとにかく視点がすぐに飛び大概の登場人物が名前(姓が省略)で語られるので誰のことなのかわかりにくいのが難点でした。文庫化されてないので登場人物表がないのが残念です。
 複数のストーリーが最終的にまとまるわけではなくストーリーのまとめはかなり不満は残るんですがリーダビリティの高い1冊でした。


No.571 7点 女郎ぐも
パトリック・クェンティン
(2012/02/06 00:55登録)
 ダルース夫妻物第8作でシリーズ最終作は以前「わが子は殺人者」での法月氏の解説で是非読みたいと思っていた作品でした。
 被害者の人となりが徐々に露わになる所は相変わらず上手いですしラストの部分の展開もホイーラー単独作の力作サスペンスをほうふつとさせます。犯人あてとしては物足りなくてもサスペンスとしては十分楽しめました。
 訳が古臭く特にアイリスのセリフが読んでられないのは少し残念な点です。
 Qパトリック名義でもジョナサンスタッジ名義でもホイーラー単独でもいいので未訳作品が訳出されることを期待したいです。


No.570 3点 女王様と私
歌野晶午
(2012/02/05 00:50登録)
 この手の小説は読後感によると思います。叙述トリック云々より読み心地が悪かったので作者の試みは評価したいのですが私の肌には合いませんでした。

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