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ミステリの祭典

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こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.269 5点 風が吹いたら桶屋がもうかる
井上夢人
(2008/10/19 22:43登録)
 いわゆる安楽椅子探偵物のバリエーションとして楽しめました。おそらく名探偵の推理が必ずしも正しくないことへの皮肉もあるかと思いますが基本的に依頼者からの情報が少なく突飛な推理で補う形なのでどうせ間違うにしてももう少し情報があってもよいかなと思いました。
 いずれにしろ軽くさっと読める本だと思います。


No.268 7点 午後の死
シェリイ・スミス
(2008/10/19 02:44登録)
 不思議なお話です。千一夜風ミステリと帯にありますがそれがぴったりの作品でした。
 イランの砂漠で不時着したイギリス人がたまたまそこに居を構えるイギリスの老女に出会い、飛行機が修理されるまでの時間老女の話を聞く、という体裁です。
 老女の生い立ち、家族構成、彼女が18歳のとき父親が再婚し若い画家と結婚、そして彼女とその従弟と称する男が生活圏に入ってから話は急展開を、というストーリーです。
 正直ストーリーのサスペンスがうすく展開もさほど意外ではなかったですが老女の語り口と最後のエピローグが意味を持ってくる作品で全体としては楽しめました。作品構成自体も現代では当たり前なものですが50年以上前の作品であり不思議な雰囲気を持った作品として評価したいです。またポケミスですが現在復刊されている様ですので簡単に手に入りますので一読の価値はあるかと思います。 


No.267 6点 マダム・タッソーがお待ちかね
ピーター・ラヴゼイ
(2008/10/19 02:25登録)
 ヴィクトリア朝を舞台としたクリッブ部長刑事を探偵役としたシリーズの一作です。
 写真館の助手が毒殺され館主の妻が逮捕、死刑が宣告され処刑期日が迫っている時に内務大臣あてに妻の犯行を否定する写真が届き、クリッブ刑事が捜査を命じられ、という発端から始まるストーリーです。
 処刑前のタイムリミットものとしては幻の女はじめいくつもありますがラブゼイはまた違った作品に仕上げています。イギリスは現代では死刑廃止国ですのでこの時代だからこそ書ける作品でしょう。
 トリックも日本の作品を考えればかなり地味ですし手がかりが全て提出されてはいませんが作品自体は一応本格のテイストがあり、最後も一ひねりがあります。
 また容疑者たる館主の妻ミリアムのキャラクターが上手いと思います。他の処刑前のタイムリミットものと違いサスペンス色は強くなくのんびりした印象は減点ですし所謂大技はなく小振りですが水準作だと思います。


No.266 7点 富豪刑事
筒井康隆
(2008/10/19 02:09登録)
 読み物として面白かった覚えがあります。また思いのほかミステリの構成を保っていたのは好感もてました。ミステリとしての評価はともかく読んで楽しむタイプの作品でしょう。


No.265 5点 白光
連城三紀彦
(2008/10/17 03:14登録)
 戻り川心中のような文学性は薄いですが現在の連城作品の方向性を示しているのかもしれません。
 ありきたりの2組の夫婦(妻同士が姉妹)と一人ずつの娘がおり妹が娘を姉に預けて外出しているうちに預けた娘が殺害されて庭に埋められているのが発見される。発見当初は姉の認知症のある舅が犯人と思われたが、というストーリーです。
 そこからの話の展開はものすごく連城作品らしいですが推理して当てる作品ではなく次々に暴かれめまぐるしく変わる真相を楽しむ作品なのでしょう。本格色は強くなく非常に評価しづらい作品です。


No.264 4点 法の悲劇
シリル・ヘアー
(2008/10/17 03:00登録)
いわゆる海外の新本格世代(1940年代)の代表作品として期待して読んでみました。判事がピアニストを車で轢き多額の賠償金を要求され、そのころから脅迫状がまいこみ、いろいろなトラブルにまきこまれてゆくストーリーですが殺人が起こるのが本当に終盤近くでとにかく無駄に冗長で長いです。長くても伏線のための長さならとにかくそうでもなく読むのが苦痛でした。殺人場面もお粗末でした。作者が訴えたかったのは犯人の動機と法そのものだと思われますが判事の加害者としての認識も非常に甘く作品もスローでのんびりした雰囲気の中進み緊迫感に欠けますしキャラクターにも感情移入できません。
 ラストも一ひねりというか皮肉の利いた結末なのでしょうがいまいちでした。ラストまでの展開は現代では残念ながら予想通りで真相の驚きもありません。期待しただけに残念でした。


No.263 5点 影の告発
土屋隆夫
(2008/10/14 01:36登録)
 これも10年以上前に読んだときは良くできているし土屋作品の代表作と思いましたが現在では他作品以上に通用しない作品だと思いました。
 エレベーター内で注射器で殿部を刺され毒殺される殺人事件が起こり容疑者は初めから一人でその容疑者のアリバイを崩す作品です。
 正直「あの女がいた」という被害者のセリフも都合よくたまたまですし、そもそものエレベーターでの殺人、電話のトリック、本屋でのアリバイ工作、名刺でのアリバイ工作、いずれもたまたまうまくいった印象でアリバイ工作の成功率がそもそも低すぎると思います。
 アリバイトリック、アリバイ崩しがはやらない現代だからというよりトリックそのものがかなり脆弱で通用しないと思います。ストーリー構成は他作品同様うまいと思いますが現代の読者の共感は得られにくいかもしれません。


No.262 6点 犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題
法月綸太郎
(2008/10/14 01:17登録)
 あとがきにも書いてありますが、十二星座とギリシャ神話をテーマにというコンセプトありきで「功績」までの出来と比べると落ちるかなと思います。テーマに縛られない作品集の方が数段面白いと思われ残念です。六人の女王の問題はそもそもミステリなのかどうか。個人的には「ゼウスの息子たち」、「ヒュドラ第十の首」は単純なつくりに一ひねりがあってよかったと思います。全体としては及第点だとは思いますが法月氏の短編集としてはまあまあといった所でしょうか。


No.261 6点 宿命
東野圭吾
(2008/10/14 00:59登録)
 ミステリ度は薄くてもサイドストーリーに引き込まれる作品でした。「宿命」そのものは現代ではさほど衝撃ではないと思いますがタイトルとしてはこれ以外ないくらいぴったりな作品だと思います。読後感も悪くなかったです。


No.260 3点 殺人現場は雲の上
東野圭吾
(2008/10/14 00:54登録)
 これは個人的には東野作品で面白くなかった作品です。呼称も良くないですしストーリーに引き込まれなかったです。他作品ではミステリ度がうすくてもストーリーテリングの力を感じる作品が非常に多いのに残念です。


No.259 5点 殺人喜劇の13人
芦辺拓
(2008/10/13 01:24登録)
 アパートでの連続殺人というテーマでトリックも一生懸命詰め込まれ、個人的には好きな内容のはずなのですがあまりひきこまれなかった、というのが正直な感想です。作品自体は悪くないと思うのですがあまり楽しめませんでした。本来はもう少し評価が高くてもいいのかもしれません。


No.258 2点 名探偵の呪縛
東野圭吾
(2008/10/13 01:16登録)
 「天下一」を主人公にした長編を書くとこうなってしまった、ということでしょうが前作が気に入っていただけに残念でした。三作目を書く予定がある様ですが一読者としてはシリーズものよりはただの本格作品が読みたいです。


No.257 8点 名探偵の掟
東野圭吾
(2008/10/13 01:13登録)
 ミステリとしては評価できないというかミステリではないのでしょうが個人的には非常に好きです。作者の作品もおそらくそういう本格や読者に対する冷ややかな視線の下書かれているのだろうな、と思いました。ただこの作品で扱った分野のこてこての本格作品は最近ほとんど書かれていないのでもっと書いてほしいです。


No.256 6点 死と空と
アンドリュウ・ガーヴ
(2008/10/13 01:02登録)
 身に覚えのない妻殺しの容疑で死刑の判決を下された夫とその献身的な愛人が主人公のサスペンスです。
 ガーブお得意の巻き込まれ型のストーリーで、ガーブ好きの自分としてはまあまあ楽しめましたがサスペンスとしては相変わらず甘い内容です。起承転結はしっかりしているのは他作品と同様ですし最後の部分も悪くないと思いますが同じテーマのアイリッシュの幻の女と比べるとミステリ的要素の薄さが目につき(特に犯人が不在である点)現代読者には物足りない作品かもしれません。良くも悪くもガーブらしい作品でした。


No.255 5点 予知夢
東野圭吾
(2008/10/13 00:52登録)
 前作と同様推理の余地がない作品ですがまあまあ楽しめました。ただせっかくサスペンス主体でない作品を書くなら普通の作品のほうが個人的には好きです。今後もガリレオシリーズは続くのかもしれませんが個人的にはもういいかな、とも思います。


No.254 6点 探偵ガリレオ
東野圭吾
(2008/10/13 00:37登録)
 先に皆さんが書かれている通りでやはり読者の推理が及ぶ作品ではないと思いますがこういう物理トリックを使ったらこうなった、という話にまあまあ納得できたのでまあいいかな、と思います。個人的にはそのトリックで殺す作品ばかりではなく偶然なった、あるいは見えたという作品が多く自然らしさを出そうとしている所は好感がもてました。


No.253 5点 眠れぬ夜の報復
岡嶋二人
(2008/10/13 00:25登録)
 前作同様あまり頭を使わずさっと読める作品だと思います。個人的には一作目の方が発想がばかばかしくて楽しめましたがこれもまあまあでした。


No.252 6点 眠れぬ夜の殺人
岡嶋二人
(2008/10/13 00:23登録)
 昔テレビでやっていたスパイ大作戦(ミッションインポッシブルのオリジナル)を思い浮かべましたがエッセイによるとそれを狙って書かれたシリーズのようです。ミステリというよりは娯楽作品ですがリラックスして読める作品だと思います。あまり他作品との比較にはできませんが読んでいる間は楽しめました。


No.251 7点 どんなに上手に隠れても
岡嶋二人
(2008/10/13 00:14登録)
 作者得意の誘拐もので気に入っています。何故アイドル歌手を誘拐したのか、という謎の答えも考えられていると思います。ただ警察への通報の必然性はよくわかりませんでした。  最後真相がわかる手がかりの部分はそれだけが動機でもいいと個人的には思うくらいで、皮肉な結果を生んで面白いです。あした天気にしておくれのトリックとも一部重なっていると思いますがうまいなと思いました。


No.250 5点 タイトルマッチ
岡嶋二人
(2008/10/13 00:02登録)
ミステリとしては犯人の行動が解せない点が多すぎるのが目につきました。犯行の動機、結末を見る限り、殺人は必要ない気がしました。
 ただつくづくミステリの中でスポーツを扱い、話に溶け込ませるのは難しいのだろうなと思いました。ミステリとしての出来はともかく、サスペンスの盛り上げにもなって割と成功していると思います。同じ作者のダブルダウンよりは気に入っています。

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