あびびびさんの登録情報 | |
---|---|
平均点:6.33点 | 書評数:669件 |
No.269 | 7点 | 無実はさいなむ アガサ・クリスティー |
(2012/03/16 15:21登録) 冤罪がテーマの物語だが、殺された資産家に対する養子5人の複雑な心理状態。一旦収まったかに見えた事件が、2年後に冤罪証明者が現れて各人のスタンスが明らかになる。 トリックなどなくて、行き当たりばったりの犯罪だったのだが、それをうまく進行させたクリスティの手腕に興味津々だった。 |
No.268 | 8点 | 警官嫌い エド・マクベイン |
(2012/03/09 01:24登録) (ある意味ネタばれ) 毎日がうだるような暑さの中、45口径の拳銃で刑事が日を変え、三人殺された。麻薬患者、暴力団と過去に逮捕され、刑事に恨みを持ついろいろな人間を取り調べたが、真の犯人は「警官嫌い」だった。 たが、実行犯は「警官好き」だった。 |
No.267 | 6点 | 針の眼 ケン・フォレット |
(2012/03/05 19:39登録) ドイツが占領したフランスに援軍がくる。果たして連合軍はどこへ上陸するのか?それで第二次世界大戦の運命が決まる。 コードネーム「針」がその命運を握っている。ドイツのスパイとしてイギリスに潜伏し、貴重な情報を取得したその男が、スコットランド沖で待っているUボートまで辿り着けるかどうか?なにしろ、ヒットラーがその情報を首を長くして待っているのだ。 文章を読みながら、まるで映画を見ているような感覚に陥った。スパイものは幸運に恵まれるかどうか、その緊張感が素晴らしい。 |
No.266 | 8点 | シャドー81 ルシアン・ネイハム |
(2012/02/23 12:30登録) 復刊されたのは当然で、ハイジャックものの大傑作。大胆不敵にして繊細、緻密な計画。この作家が一発屋だとはとても思えない。 まさにハリウッド向きなのに、これが映画化されず、それどころかアメリカではあまり話題にならなかったというのも不思議な話である。 |
No.265 | 8点 | 火曜クラブ アガサ・クリスティー |
(2012/02/14 15:11登録) この短編連載からマーブルが登場。クリスティはポアロよりマーブルの方が気に入っていたらしいが(ポアロ物は構成に手が掛かり、長編になる?)、この一冊にクリスティの魅力が凝縮されているような気がする。 特に後半は短編にするのが惜しいほど。 |
No.264 | 7点 | 七つの時計 アガサ・クリスティー |
(2012/02/13 18:07登録) クリスティ初期の作品らしいが、そんな香りが漂ってくる。セブン・ダイヤルという秘密の組織があって、その会議の秘密を暴こうと、怖いもの知らずの若き女性が戸棚の中に隠れて様子をうかがうシーンは苦笑するしかない。 しかし、最後はいつものどんでん返し。何も考えず、ノンストップで読んでしまうので、いつも作者の策略にはまってしまう。それがまた楽しく、次の作品が待ち遠しい。それにしてもなかなか犯人が当たらない。最近5冊読んで分かったのは1作だけだった。 |
No.263 | 4点 | 赤い収穫 ダシール・ハメット |
(2012/02/06 15:37登録) (ネタばらし気味)ハードボイルドの原型に近い物語とでも言うのか?中盤過ぎには15.6名の人が殺され(主要人物ではないが)、ギャングと反目していた警察署長まで大量の弾をぶち込まれて銃殺される。 これはサンフランシスコから来た主人公の私(探偵)による街の浄化作戦なのだが、それにしても初めて街に来て、それらを作戦、指揮するこの探偵はスーパーマンと言わざるを得ない。次々と浮かぶ謎はすぐに判明するので、ミステリというより「バイオレンス」とつぶやいてしまった…。 |
No.262 | 5点 | 地中の男 ロス・マクドナルド |
(2012/02/04 14:52登録) リュウ・アーチャーは礼儀正しく、静かな男であるが、あらゆる疑問に立ち向かう。今回も登場人物のほとんどが邪悪な人間関係、それをひとつひとつ解きほぐして、最後に真犯人にたどり着いたときは、ため息しか出ない。 洗練された文章に、一種独特な人間描写。どの物語を読んでも外れがない。どんでん返しの驚愕差?だけである。 |
No.261 | 6点 | 死人の鏡 アガサ・クリスティー |
(2012/01/30 16:34登録) 短編4作になるシリーズ。表題の「死人の鏡」が特に優れているわけではないが、どれも味のある佳作だと思う。 個人的には、「厩舎街の殺人」が読後、波紋のように広がりを見せて印象的だった。いくつもの伏線が解明される様は、自分自身の無能ぶりを改めて思い知るような感じだった。しかし、頭の回転のいい読者はすぐに察知できたと思う。 最後の「砂に書かれた三角形」もクリスティの術中にはまってしまった?これまた自分の視点の甘さを突かれたようなラストだった。 |
No.260 | 5点 | 殺意 フランシス・アイルズ |
(2012/01/23 15:14登録) ビクリー博士という医者が、自分の女性関係を隠蔽、もしくは継続させるために行う殺人を綴った物語。それも医者という立場を利用して薬、細菌を利用する。 小柄で劣等感をパワーにする心理的葛藤部分が全体を占めているが、少しくどい気もした。ただ、完璧に見えた殺人計画も、最後は偶然に起こった事故で終結。悪は栄えず…か? |
No.259 | 8点 | 杉の柩 アガサ・クリスティー |
(2012/01/20 05:52登録) 「そして誰もいなくなった」や「オリエント急行の殺人」のような大胆さや閃きはなく、地味な作品だと思うが、これは良作。 誰がどう見てもその女性が犯人と言われる毒殺事件を中盤から登場したポアロが、関係者の嘘を一枚ずつ剥いで行く。その心理的描写の素晴らしさ!そしてエンディングも爽やかだ。 超有名な作品でなくても楽しませてくれるクリスティ。これはその典型的な作品だと思う。 |
No.258 | 5点 | おしどり探偵 アガサ・クリスティー |
(2012/01/18 14:57登録) アガサクリスティーはいつも読みやすいと言う印象があるが、これはさらに軽くなった短編集。本を読んでいるというより、テレビの30分番組を見ているといった感じ。 寝付かれない時のために、枕の横に置いていたが、最後まで読まなくてもいいので重宝した。 |
No.257 | 7点 | 炎に絵を 陳舜臣 |
(2012/01/18 09:53登録) 火曜サスペンスそのままの進行かなと思ったが、後半は衝撃の嵐?最終的な犯人には背筋が凍った。 途中、そんなにうまく計画にはまるのかな?と思ったが、ある程度のご都合主義には目を瞑りたい。作者が華僑だからというわけでもないだろうが、異色的な雰囲気があった。 |
No.256 | 7点 | 鏡は横にひび割れて アガサ・クリスティー |
(2012/01/06 11:42登録) 地味な事件だが、これだけの題材をミステリに仕上げるクリスティーの手腕はさすがと言える。 これは映画化されていて「クリスタル殺人事件」という題名。出演者が凄く、エリザべステーラーにロックハドソン、キムノバック、トニーカーチスと、この手の映画としては凄いメンバーだが、あまりヒットはしなかった。 というのも華やかなハリウッドスターが競演するような内容ではなく、小説でしみじみ人間の心理的葛藤をなぞる物語だと思う。 |
No.255 | 5点 | クリスマスのフロスト R・D・ウィングフィールド |
(2012/01/05 19:13登録) 読んでいて楽しい。しかし、フロスト警部が自分の上司、あるいは部下だったらとても楽しめたものではない。いや、最悪である。 確かに構成はしっかりしており、事件の行方も興味深かったが、どんでん返しがある訳ではなく、終わりよければすべてよし。今、手元に次の「フロスト日和」という本を手にしているが、これが文庫で700ページ。 いや、次は別な本にして、また暇なとき、読む本がない時にしよう…と思った次第である。 |
No.254 | 8点 | 明日があるなら シドニー・シェルダン |
(2011/12/22 14:22登録) 自分がまったく読書をしない時期に世間を騒がせたようで、シドニー・シェルダンという名前は知っていたが、本はまったく読まなかった。 これで3冊目だが、とにかくテンポが良く、ページをめくる手が止まらない。ミステリーではないと思うが、旅行の移動中とか、暇つぶしには絶好の本である。 |
No.253 | 4点 | 酔いどれの誇り ジェイムズ・クラムリー |
(2011/12/13 14:34登録) 極上のハードボイルドという評価が多いが、全ページから酒の匂いが漂ってくる。何をするにしても一杯、二杯飲んでからという進行は切れ味に欠ける。 ただ、探偵に不可欠な?粘りとしつこさはあきれるほどで、血だらけになりながら事件を解決する様はもう笑うしかない。特に依頼人の女性に対する口説きぶりは恥ずかしくて見ていられない? |
No.252 | 7点 | 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 麻耶雄嵩 |
(2011/12/10 12:30登録) 読み終わって、「なんだこりゃ!」と思ったが、弱冠21歳デビューと言うことでさらに驚いた。文の読みづらさとか、そんなことはまったく関係なし、薀蓄の容量はやはりただものではないと。 しかし、エピローグで明かされた真相(まだ次がありそうだが?)は無理があると思った。さらにメルカトルと言う探偵、副題になっているのになんと存在感のないこと! |
No.251 | 4点 | 昏い部屋 ミネット・ウォルターズ |
(2011/12/06 19:31登録) この作家の本はこれで4冊目だが、いずれも女性が主人公で、「あなたはなんて傲慢な人なの!」と言いながら、本人の方が2倍そうであるような女性ばかりだ…。 それはともかく、今回の女性(ジェイン)も父親が大富豪で勝気な性格。廃屋のコンクリート柱に酔っ払って車ごと激突し、奇跡的に助かったものの、数日間の記憶をなくす。 それは大親友の女性に恋人を横取りされ、自暴自棄になっての行動と周囲は見ていたが、そのふたりはフランスに行く前に殺されていた。そこからパターン的に物語は進行、病院長の協力で徐々にジェインの記憶がよみがえり、続々と新事実が出てくる…。 しかし、ラストはいただけない。すべてを仕組んだ犯人が浮かび上がるが、担当刑事は「100%そうとは言い切れない」との言葉を残す。もやもやが残ったままだが、こんな構成がこの作家の特徴かも知れない。 |
No.250 | 6点 | 正当なる狂気 ジェイムズ・クラムリー |
(2011/11/30 19:51登録) いわゆるハードボイルドだが、主人公はベトナムで地獄を見ており、薬物をやるし、アルコールもがんがん飲む。「あいつはくそだ!」と、やたらに「くそ」を連発させる。 そんな狂気の中で展開されるハードボイルドは一種独特で、登場人物が多く、難解であり、馴染みにくい。しかし、どこかリアルであり、ついつい物語りに引き込まれてしまった。 |