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ミステリの祭典

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昏い部屋

作家 ミネット・ウォルターズ
出版日1999年09月
平均点4.33点
書評数3人

No.3 5点 ROM大臣
(2023/11/30 13:32登録)
ヒロインのジンクスは、車が激突する寸前に車外に投げ出され、奇跡的に一命を取り留める。過去数日間の記憶を失い、彼女が病室で目を覚ましたところから物語は始まる。
ジンクスは誇り高く聡明で自分自身を頼みにし、人生に強い愛着を持っているが孤独だ。義理の母親たちと弟たちに対するもつれた感情、友人たちの間に横たわる溝、父親たちとの緊張感をはらんだ関係。裏切られ、傷つけられ、再び痛手を受けることを恐れている。それでもジンクスは彼女の独特のやり方で、周囲の人々に愛を注ぎ続けているのがよく分かる。
閉ざされた記憶、疑惑の渦、窺い知れない人間の心、つまりは「昏い部屋」の中に一筋輝くものが見える。

No.2 4点 nukkam
(2016/08/11 12:35登録)
(ネタバレなしです) 1995年発表のミステリー第4作です。自動車事故で負傷したジンクスは記憶の一部が失われています。物語は彼女と医者や見舞い客とのやり取りを中心に進みますがそこに重苦しいまでのドラマが展開され、登場人物の個性が浮かび上がります。ジンクスも弱々しい患者ではなく、むしろ時には冷徹すぎるぐらいに描かれていますので読者が共感するのは難しいかもしれません。人間ドラマとしては秀逸なんですが本格派推理小説としてはじれったいぐらいスローペースです。終盤になると推理場面もあってようやく流れが良くなりますがそれまでが冗長過ぎるように感じました。

No.1 4点 あびびび
(2011/12/06 19:31登録)
この作家の本はこれで4冊目だが、いずれも女性が主人公で、「あなたはなんて傲慢な人なの!」と言いながら、本人の方が2倍そうであるような女性ばかりだ…。

それはともかく、今回の女性(ジェイン)も父親が大富豪で勝気な性格。廃屋のコンクリート柱に酔っ払って車ごと激突し、奇跡的に助かったものの、数日間の記憶をなくす。

それは大親友の女性に恋人を横取りされ、自暴自棄になっての行動と周囲は見ていたが、そのふたりはフランスに行く前に殺されていた。そこからパターン的に物語は進行、病院長の協力で徐々にジェインの記憶がよみがえり、続々と新事実が出てくる…。

しかし、ラストはいただけない。すべてを仕組んだ犯人が浮かび上がるが、担当刑事は「100%そうとは言い切れない」との言葉を残す。もやもやが残ったままだが、こんな構成がこの作家の特徴かも知れない。

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