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ミステリの祭典

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酔いどれの誇り
ミロ

作家 ジェイムズ・クラムリー
出版日1984年09月
平均点4.75点
書評数4人

No.4 5点 クリスティ再読
(2024/12/27 16:19登録)
主人公ミロはモンタナ州の田舎町メリウェザーの没落した名家の出身。

おれのおやじは飲んだくれだった。おふくろも飲んだくれで、あげくのはてに自殺した。おれの人生は、あまりバラ色だったとはいえない。おれには人格もないし、宗教心もないし、人生に目標もない。

と共同経営する「マホニイ」という酒場で飲んだくれる日々。地元名家出身だからか小銭にピーピーしているわりに資産はあるようだ。まあだからまぎれもなくジモティで、スモールタウン物といえばそういうことにもなるか。
そんな田舎町だが、ヒッピーが流入して地元民とトラブルを起こしていることが背景にある。そんなヒッピーの中でも強面のオカマ、リースの腰ぎんちゃくだった男がオーバードーズによって酒場のトイレで突然死。その姉から弟の死の真相究明をミロは依頼される...

おれの名前は、ミルトン・チェスター・ミロドラゴヴィッチ三世。職業は酔っぱらい。神様も公認さ

と御大層な名前のわりにスラブ系で、西部植民の末期に無法者を退治した曾祖父から司法官の家柄として続いた不肖の末裔....だが、その曾祖父の手柄がこの事件にも少しばかり影響していたりする。西部のどん詰まり、夢破れた姿というべきか。

まあそんな小説だから、ミロ自身正当防衛で2人ほど作中で殺したりして、西部劇風の荒々しい背景が見えたりする。それにもかかわらず、ハードボイルドか、というとかなり疑問。不幸自慢してしまうような主人公じゃ、ハードボイルドにはならないよ。ハードボイルドの「非情さ」には都市住民の「心を見せない」クールさが不可欠なんだと思うんだ。ジモティにはハードボイルドである条件を満たすのは難しいや....
読んでいて連想したのは「ディア・ハンター」。あれもスラブ系の狭いコミュニティ出身者たちの湿度の高い話。

No.3 6点
(2013/12/22 23:49登録)
巻頭に短い引用を置く小説は多いですが、本作は、リュウ・アーチャーの言葉を載せています。しかし、ロス・マクと同じハードボイルドといってもタイプはずいぶん違います。
ストーリーの骨格そのものは非常にシンプルですが、主人公のミロが自分の過去を語る部分が多く、そこが読みどころでもあると同時に、複雑な構成を期待するミステリ・ファンには物足らないところでもあるのでしょう。実際、真相はあまりに地味すぎて、ダミー解決ではないかと疑ってしまったほどでした。
また、本作はクラムリー最初のミステリということで、後の作品に比べるとクラムリー節が未だ確立されきっていないと感じました。まず各シーンの印象が、後年ほど強烈ではないのです。ミロを始めとする酔いどれぶりにも今ひとつ説得力が感じられません。登場人物たちは魅力的ですし、ラストの意外性もチャンドラーには及ばないものの、衝撃力はあると思うのですが。

No.2 4点 あびびび
(2011/12/13 14:34登録)
極上のハードボイルドという評価が多いが、全ページから酒の匂いが漂ってくる。何をするにしても一杯、二杯飲んでからという進行は切れ味に欠ける。

ただ、探偵に不可欠な?粘りとしつこさはあきれるほどで、血だらけになりながら事件を解決する様はもう笑うしかない。特に依頼人の女性に対する口説きぶりは恥ずかしくて見ていられない?

No.1 4点 mini
(2008/12/11 12:28登録)
今秋に惜しくも逝去したクラムリーの1作目
私はハードボイルドには偏見を持っていないつもりだが、体質的に酒が駄目なのでこういう酔っ払いの心情など解りようがなく感情移入できなかった
肝心のストーリーだが、これも酔いどれキャラ前提で、キャラの魅力に大半を負っている
私は事件よりキャラ中心の話に偏見を持っていないつもりだが、それはキャラに興味が持てる場合であって、酔っ払いの話は苦手だからローレンス・ブロックのマット・スカダーものにも手が出せずにいる
全体に主人公の口調といい、明らかにチャンドラーの影響ありありで、御大チャンドラーには及ばないというのが正直な感想
最後にあるどんでん返しがあり、その意外性で物語全体の世界観がひっくり返るんだけど、残念ながら後期チャンドラーほどの寂寥感に乏しいので、大きく効果をあげていない感じがする

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