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ミステリの祭典

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酔いどれの誇り
ミロ

作家 ジェイムズ・クラムリー
出版日1984年09月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 6点
(2013/12/22 23:49登録)
巻頭に短い引用を置く小説は多いですが、本作は、リュウ・アーチャーの言葉を載せています。しかし、ロス・マクと同じハードボイルドといってもタイプはずいぶん違います。
ストーリーの骨格そのものは非常にシンプルですが、主人公のミロが自分の過去を語る部分が多く、そこが読みどころでもあると同時に、複雑な構成を期待するミステリ・ファンには物足らないところでもあるのでしょう。実際、真相はあまりに地味すぎて、ダミー解決ではないかと疑ってしまったほどでした。
また、本作はクラムリー最初のミステリということで、後の作品に比べるとクラムリー節が未だ確立されきっていないと感じました。まず各シーンの印象が、後年ほど強烈ではないのです。ミロを始めとする酔いどれぶりにも今ひとつ説得力が感じられません。登場人物たちは魅力的ですし、ラストの意外性もチャンドラーには及ばないものの、衝撃力はあると思うのですが。

No.2 4点 あびびび
(2011/12/13 14:34登録)
極上のハードボイルドという評価が多いが、全ページから酒の匂いが漂ってくる。何をするにしても一杯、二杯飲んでからという進行は切れ味に欠ける。

ただ、探偵に不可欠な?粘りとしつこさはあきれるほどで、血だらけになりながら事件を解決する様はもう笑うしかない。特に依頼人の女性に対する口説きぶりは恥ずかしくて見ていられない?

No.1 4点 mini
(2008/12/11 12:28登録)
今秋に惜しくも逝去したクラムリーの1作目
私はハードボイルドには偏見を持っていないつもりだが、体質的に酒が駄目なのでこういう酔っ払いの心情など解りようがなく感情移入できなかった
肝心のストーリーだが、これも酔いどれキャラ前提で、キャラの魅力に大半を負っている
私は事件よりキャラ中心の話に偏見を持っていないつもりだが、それはキャラに興味が持てる場合であって、酔っ払いの話は苦手だからローレンス・ブロックのマット・スカダーものにも手が出せずにいる
全体に主人公の口調といい、明らかにチャンドラーの影響ありありで、御大チャンドラーには及ばないというのが正直な感想
最後にあるどんでん返しがあり、その意外性で物語全体の世界観がひっくり返るんだけど、残念ながら後期チャンドラーほどの寂寥感に乏しいので、大きく効果をあげていない感じがする

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