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ミステリの祭典

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双頭の悪魔
学生アリス&江神シリーズ

作家 有栖川有栖
出版日1992年02月
平均点7.98点
書評数113人

No.93 10点 パメル
(2016/01/29 14:16登録)
マリアとアリスが視点人物となり交互に語られていく
読者への挑戦が二つの村それぞれの謎解き
全体の構図の解明と計三回挿入される
具体的なものから推理が広がっていく謎解き部分
クローズドサークルという舞台設定など
シリーズの特徴が突き詰められた上に複雑に組み合わされている
まさに傑作

No.92 8点 風桜青紫
(2016/01/14 02:45登録)
ちょっとした矛盾から推理のパーツが見つかり、それを積み上げていくことで真相が浮き彫りになる。これが本格ミステリの面白さだとするのなら、『双頭の悪魔』ほどそれを執拗にやってのける作品も稀だろう。読者への挑戦状三つで「おおっ」というカタルシスがどんどん生み出されていく。犯人との対決についても後の有栖川作品じゃなんだか拍子抜けするのに、本作では盛り上がりっぱなし。江神さん……感服しました。有栖川有栖の最高傑作というだけでなく、新本格のクイーン・鮎川系で文句なしにトップの完成度だろう。有栖川有栖の本領はレディ向けのホモ臭さじゃなくてやっぱこれなのだ。

No.91 10点 ロマン
(2015/10/20 23:02登録)
学生アリス第三弾。大傑作。今回は二つの村に分断されたマリアとアリスが語り手となり、それぞれが出会う事件が綴られる。途中の時点で贅沢なほどロジカルな推理が披露されるが、やはり特筆すべきは後半。二つの語り手が見届けてきたはずの事件が突然出会う展開、そして放たれる江神の論理の一撃は計り知れない衝撃。江神二郎VS犯人の論理対決には思わず震えた。そこに至るまでに築き上げられた丹念な推理と議論は、あらゆるフーダニットの技巧と工夫が込められ、ミステリの上限を押し上げたとさえ感じる。エピローグも印象的。

No.90 8点 ∠渉
(2015/07/07 23:29登録)
良かった。とにかく良かった。
「動機が弱い」票が多いけど「動機が弱い」という概念がよくわからん。ここにきてミステリィが一個増えました。

No.89 8点 CHABI
(2015/06/05 22:54登録)
秀逸。
まさに評価が高いのも納得です。

No.88 9点 アイス・コーヒー
(2013/10/08 19:19登録)
四国の山奥にある芸術家たちの村・木更村は隣の夏森村と川を隔てて橋一本でつながっているだけで、外部との交流はほとんどない。家出して木更村に行ったマリアを追うため夏森村まで来たアリス達は木更村に侵入を試み、江神がマリアとの接触に成功する。しかし、アリスたちが戻ってきた夏森村と、江神とマリア達がいる木更村で時を同じくして殺人事件が起こる。学生アリスシリーズ三作目。
ある有名なトリックをうまい具合に消化して考えられた作品で、相変わらずロジック中心。手がかりや背景はクイーンの初期作品を思わせ、中でも三回の「読者への挑戦」は有栖川氏の自信を感じる。解決に至るまでの数々の推理とトリックは、粒ぞろいでそれなりに楽しめた。もう少し非合理的な結末も予想していたため、納得のいく結末で安心した。動機が少し弱い気もするが…「双頭の悪魔」とはよく考えられている。
家出したマリアが、芸術家たちの異色の「ディズニーランド」を目の当たりにし、最終的に現実に戻ってくるところは物語として面白かった。けど結局、人がいっぱい死んでるから自分だったら耐えられないな…

No.87 7点 mohicant
(2013/08/05 01:38登録)
 意外性もあり、大胆で衝撃度も高いトリックだった。やっぱりミステリーはこうでなくてはと思います。

No.86 4点 バックスクリーン三連発
(2013/04/08 10:15登録)
ネタばれあります

そもそも交換殺人は動機としてどうしてもなじめない
理解が出来ない。
憎悪は対象に直接ぶつけることによって解消される
のであってそれを他人に実施してもらい
変わりに他人の憎悪を排除することに
何を心に満たされることが出来るのか
理解に苦しむ なので採点もイマイチ4点

No.85 8点 メルカトル
(2013/02/24 22:33登録)
再読です。
川の氾濫により橋が崩壊し、陸の孤島と化した芸術家が集う小さな村で起きた奇妙な殺人事件。
そしてその川を隔てた隣村で起こる殺人、果たして二つの事件には関連性があるのか。更に起こる第三の殺人、しかもいずれの事件にも一々「読者への挑戦状」が挿入されているという徹底ぶり。
これは作家有栖川有栖畢生の大作であり、間違いなく代表作に挙げられる作品であろう。
トリックよりロジックに重きを置いた、クイーンの継承者としての肩書を背負って臨む、江神シリーズ第三弾の本格的な推理小説である。
こうした論理的に推理していけば、確実に犯人にたどり着けるという、フーダニット物を愛するミステリファンにとっては堪らないだろうと容易に想像できる。
しかし、私はどちらかというと派手なトリックやどんでん返しが好きなほうなので、この手の作品はあまり好みではない。
が、やはり高得点は付けざるを得ないであろう。
ただし、一点だけ第一の殺人で説明されていない部分があったように思われるのが、やや残念ではある。

No.84 8点 mozart
(2012/08/01 13:56登録)
孤島パズルに続き、ン十年ぶりに文庫本を買い直して再読。年のせいか、内容をすっかり忘れていたこともあって、大変楽しめた(ボケて記憶力が低下していくのも悪くないかも・・・)。とにかく、正統的(伝統的)本格ミステリに徹する作者の真摯な姿勢には、ただただ敬服するのみです。最後の方で、真犯人が江神部長による詰めに対して反論を続けるのは、それまでの真犯人のキャラクターとしてやや違和感があるものの、私のような(凡庸な)読者の疑問を代弁してくれていると思えば、それほど問題はないかと。

No.83 9点 ミステリ初心者
(2012/06/20 11:36登録)
ネタバレあります


 孤島パズルに続いて、時間をかけて考えて、犯人を絞る作業をするに値する作品です。

 3つの事件がそれぞれに挑戦状がついており、それぞれ犯人を当てることができる。職人魂を感じます。
 個人的には、3つ目が一番好きです。

 この人の作品は、どんでん返しや意外な犯人はないが、完全なフェアで絶対に犯人を一人に断定できると認識してますが、この作品にはどんでん返しがあります。

 叙述ミステリがないと駄目、犯人は誰でもできたが意外だからこいつが犯人…という作品が多い気がしますが、それは少し本格から外れていると思います。その点この作品は本格のど真ん中をいっていると思います。

 悪い点を書くならば、マリアのキャラが自分には合わないこと。アリスも微妙でした。

No.82 9点 スパイラルライフ
(2012/02/06 14:11登録)
氏の真骨頂。物理的に遮断された二ヶ所それぞれに張り巡らされた伏線が一つの結論、解決に収束する様に大変満足させられました。
氏の作品では一番好きです。

感情移入するとさらに楽しめるので、
過去二作、孤島と月光を読んでから手にすることを推奨します。

No.81 8点 いいちこ
(2012/01/12 20:13登録)
毎度のことながらトリックの意外性・衝撃度はない。
しかしフェアに散りばめられた多数の小さな伏線から組み上げられたロジックの精巧さ、緻密さには美しささえ覚える。
両岸で同時発生する事件を並行して叙述するスタイルと、試行錯誤を重ねながら展開される推理でストーリーに引き込んでいく。
瑕疵を指摘するとしたら、第三の殺人で犯人が犯した致命的なミステイクと強引過ぎる江神の推理だが、裏を返せばそれだけか。
本格ミステリの王道を行く傑作と評価

No.80 8点 蟷螂の斧
(2011/09/26 20:19登録)
大変楽しめました。古典的正統派作品というのでしょうか?「月光ゲーム」「孤島パズル」より数段良かったと思います。採点基準が数年経っても内容(大胆なトリック等)を覚えているかどうかで判断していますので、残念ながらこの評価となりました。

No.79 9点 Q-1
(2011/07/14 19:26登録)
このシリーズは段々面白さが増しています。
交通手段を断たれた別々の村で起こる2件の殺人事件、、、
その因果関係、犯人の動機、交錯する人間模様、どれも無理なく進んで素晴らしい出来だと感じました。
本格好きの方なら一読の価値アリです。

No.78 9点 好兵衛
(2011/04/23 22:12登録)
有栖川氏は本当に親切ですね!
ロジックに対する愛を感じます。

探偵と同等に読者にも挑戦するフェアさは
なかなか他の小説にはみられません。
この作者、本格で勝負してるなと思いますね。

フェアの中では満点。純粋な推理小説という感じです。
地味に見えますが、そこがロジックのよさでもあります。
トリックもおもしろく 双頭の悪魔は評価が高いです。

ゆっくり論理の穴を探しながら
読める本格は実は少ないです。
特に感謝!は挑戦状の数ですね。
こういう形の小説でどれだけペテンがあるか。
見習って欲しいです。

しかし、タイトルが双頭デーモンじゃなくて本当によかったです

No.77 9点 smile66
(2011/02/27 23:34登録)
3回提示される読者への挑戦状に裏付けされるように、まさに特盛といった出来栄えです。素敵です。
両サイドでの活躍がうれしい作品です。

No.76 9点 シレン
(2011/02/18 23:12登録)
評判通りの緻密でいて大胆な作品でした。
この作者ならではの理詰めな展開なので、ちょこちょこ読むより、一気に通して読みきったほうが楽しめると思います。

No.75 6点 ムラ
(2011/02/09 05:54登録)
(微弱だがネタバレあり)
パズルのように進む物語。読者からの挑戦は結局わからずしまいだったけれど、紐が解けていく様を見るのは楽しかった。
二つの孤立した世界が錯綜した瞬間がとても面白い、けれどそれ以上に面白かったのは泥んこ試合だったかもしれない。
トリックや道筋にはなんら不満はないけど、Xの動機だけがイマイチ弱すぎる気がするなぁ。(まぁ、一番動機の強くて相互に殺害理由が明確な●●が犯人だ! って予想が見事に外れた負け惜しみかもしれんが)
あともう少しすっきり書けたのでは無いかということだけ。キャラが個性的なので冗長には感じなかったけど。

No.74 6点
(2011/01/16 22:28登録)
トリックと論理的推理はよいのですが、犯人の殺人動機が弱いのではと思いました。

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