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ミステリの祭典

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捩れ屋敷の利鈍
Vシリーズ

作家 森博嗣
出版日2002年01月
平均点5.65点
書評数26人

No.26 4点 ボナンザ
(2022/12/20 16:54登録)
堂々と前シリーズキャラ登場な一作。これ自体のトリックや真相はそれほどでもない。

No.25 6点 メルカトル
(2020/11/05 23:04登録)
エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣が眠る“メビウスの帯”構造の巨大なオブジェの捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第二の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平と西之園萌絵が、事件の真相に至る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリィ。
『BOOK』データベースより。

『密室本』の一つですかね。
あれこれ考えると森ミステリの全てを読んでいないとダメみたいになるので、何も考えずに頭を空っぽにして楽しめば良いと思います。解説にあるようにマジンガーZ対デビルマンみたいな感じで。もっと言えばルパン対ホームズのように。
色々詰め込まれている割に短いので、すんなり終わってしまいその意味では物足りなさを感じないでもありません。ただ、意味深なエピローグは気になりますねえ。イマイチメビウスの輪を準えた巨大な捩じれ屋敷の意味が解りませんでした、密室にそれほど寄与しているとも思えないですし。

メインの密室のほうは力技というか、バカミス的トリックで笑わせてくれます。まあ森ファンにそんな事を言う人はいないでしょうけどね。Vシリーズも一作目から読んでいないし、S&Mシリーズも半端にしか読んでいない私でもそれなりに楽しめたので、森博嗣を読み込んでいる人には願ってもない一粒で二度美味しい作品なのではないかと想像します。

No.24 6点 E-BANKER
(2019/01/24 22:55登録)
Vシリーズも回が進んで八作目となる本作。
本作最大の売りは何といってもS&Mシリーズの主役・西之園萌絵の登場。
森ミステリーファンにとってはまさに堪えられないシチュエーション(!)、ということで2002年の発表。

~「エンジェル・マヌーヴァ」と呼ばれる宝剣が眠る“メビウスの帯”構造の巨大なオブジェ様の捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第二の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平と西之園萌絵が、事件の真相に至る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリ~

作者のミステリーというと、やっぱり「密室」というキーワードは切っても切れない。
ただし、密室に対して正面から挑んでいた感のあるS&Mシリーズとは異なり、Vシリーズ突入後は「密室」に対するアプローチも徐々に変革的というか、トリックは二の次というプロットが目立つようになってきた。
本作も、「捩れ屋敷」という妙ちきりんな建物とコンクリートで隙間が塞がれた最大級に堅牢な建物が保呂草と萌絵の前に立ち塞がる。
これはもう・・・普通なら歓喜すべきシチュエーションのはず。
どんな密室トリックなんだ?・・・って。

ただ、示された解法は正直言って、決して満足のいくものではない。
「拍子抜け」と表現される方も多いだろう。
エンジェル・マヌーヴァの消失トリックについても同様に「そんなこと?」というようなものだ。

ただ、本作の「狙い」はどうもそんなところにないようだ。
「密室」は単なる疑似餌。真の狙いはシリーズ全体を貫くもっと大掛かりなもの・・・
保呂草と萌絵のハイセンス(?)な会話からもそんな空気がヒシヒシと伝わってきた。
他の方々も触れているとおり、次作以降、作者の狙いも明らかになってくるようで、まぁ旨いよね・・・
私はたっぷり前菜をを食わされたということなんだろうか・・・
じゃぁー次の料理、そして是が非でもメインディッシュを食べねば、という気分になるじゃないか。
瀬在丸紅子の言葉も気になるよねぇ・・・

No.23 7点 Tetchy
(2018/01/25 22:52登録)
Vシリーズもいよいよ終盤に差し掛かり、とうとうS&Mシリーズの西之園萌絵と国枝桃子が登場する、2つのシリーズが一堂に会することになった。その記念的作品が第8作の本書。そしてこのVシリーズに仕掛けられた大きな謎について仄めかされる、森氏としても大いに踏み込んだ作品だ。

本書で最も目を惹くのはなんといってもメビウスの輪を巨大なコンクリート構造物として作った棙れ屋敷だろう。36の4メートルの部屋で区切られた全長150メートルにも及ぶ棙れ屋敷。しかもそれぞれ部屋は傾いて作られ、折り返し地点の部屋は床が左の壁となる90度傾いた構造となっている。更にそれらはドアで繋がっており、入ってきたドアが施錠されると他方のドアが解錠される仕組み、つまり必ず1つのドアが各々の部屋で施錠されている状態になる。そんなパズルめいた趣向を凝らした屋敷で事件が起こらぬはずがない。
そしてもう1つは何の変哲もないログハウスでの密室殺人。しかもそこで殺された熊野御堂譲氏は「この謎を解いてみろ」と発見者に挑戦状を叩きつけているくらいだ。

しかし色々と惑わせてくれる森氏である。この保呂草潤平が今回偽る名前は1作目に保呂草潤平と称して登場した殺人犯の名前である。そして近くの刑務所から殺人犯が脱走したことがニュースで報じられている。冒頭の保呂草による独白めいたプロローグが無ければ今回の保呂草はいつもの保呂草なのかそれとも1作目の保呂草、秋野秀和なのか、惑わされてしまう。これもシリーズに隠されたある謎を知らなければ素直に保呂草の茶目っ気と受け止めるのだが、知っていることが逆に不穏さを誘うのだ。特に今回の保呂草の行動が案外いかがわしく、そして危険な香りを漂わせているだけに。

しかしこうやって読み終わってみると森氏にとって密室トリックや犯人やらは本当に些末なことであることが解る。エンジェル・マヌーヴァ掠奪の顛末は実にスリリングだが、柱に埋め込まれた美術品の持ち出し方法は案外拍子抜けするほどの内容だ。
つまり本書で語りたかった、もしくは読者に仕掛けたかった、もしくは明かしたかった謎は別のところにあるのだ。

たった250ページ強のシリーズ中最も短い長編である本書を最後まで読んだ時、森氏がこのシリーズに仕掛けられた大きな謎について大いに踏み込んだことが解る。
実は私は既読者によってネタバレされているのでその驚愕を味わえない不幸な人間なのだが―頼むから森博嗣ファンの方々、そういうネタバレは止めましょうね―、逆にそれを知っていることで本書が実に注意深く書かれていることに思わずほくそ笑んでしまった。
まずこの棙れ屋敷が愛知県警管轄外の岐阜県にあること。
今回なぜ小鳥遊練無と香具山紫子たちは出ずに保呂草と瀬在丸紅子だけなのか?
そしてなぜ瀬在丸紅子は西之園萌絵を知っているのか、いや西之園家を知っているのか?
それはあと残り2作となったシリーズ作で明らかにされることだろう。保呂草によって綴られたエピローグに書かれた驚愕の事実。それが解るのももうすぐである―だからネタバレは止めようね、森博嗣ファンの方々―。

No.22 6点 虫暮部
(2016/09/14 10:09登録)
 再読したら全編に亘って叙述トリックが施されていることに気付いて仰天した(刊行順に読んで行くと初読時には判りようがない)。こっちのトリックが本命だったのでは。“密室本”という押し付けられたコンセプトを利用して、捨てても良いストーリーをシリーズ間の隙間を埋めるのに使った、という感じ。その発想は面白い。

 本書だけ読むと、西之園萌絵と国枝桃子がガールズラブみたい。

No.21 9点 ∠渉
(2015/03/02 22:41登録)
スリムになってよりシャープになった、森作品の可能性を感じる記念すべき一作、と勝手に自分は思っている。
ミステリィの面白さ、サスペンスの緊張感、保呂草のハードボイルドも損なわれず、全てが抜群に機能しているのが素晴らしい。
作品がスリムになってより鋭さを増した森ミステリィと、捩れ屋敷それ自体が殺人のトリックに利用されていないという切れ味の悪さ。タイトルに偽りなし、まさに「利鈍」である。
しかしながら、これこそミステリに必要な「リアリティ」であると思う。特殊な屋敷がそこにあるからそれを利用しよう、だなんてねぇ。登場人物が読者とお友達だったらありえるのかもしれないけど笑。でもだからこそ、森博嗣のミステリィには、「人間の確かな意志」が宿っていると思う。
そんな感じでミステリィの世界で起きるトリックの幻想を指摘しながらも、新たなトリックを仕掛ける著者はプロフェッショナルだなと思う。犯人当てのアイデアはびっくりしたけど、これがミステリィだと、自信をもっていえると思う。いい作品でした。

でもってもう一つの方のトリックはファンのみなさんで楽しみましょうか。できればいろんな人に痺れてほしいけど。

No.20 5点 まさむね
(2014/07/11 23:08登録)
 密室トリック自体は,まぁ,そんなところか…といった印象。「保呂草VS萌絵」の部分の方が楽しめたかな。
 なお,この作品最大の(と私は思う)謎がエピローグで登場しますが,この答は,「四季・秋」を読まねば正式には分からないようです。四季シリーズが未読であるのに,気になってネタバレサイトを覗いてしまった私は,損をしたのか,実を得たのか…。

No.19 4点 TON2
(2013/01/03 21:05登録)
講談社NOVELS
 瀬在丸紅子と西之園萌絵がコラボします。
 密室殺人というのは、実は密室でないという状況をいかにうまく設定するかということですが、この作品のトリックは感心できません。特に捩れ屋敷の鍵の構造については、複雑で理解できませんでした。

No.18 4点 ムラ
(2011/09/21 17:02登録)
面白い建物を舞台にしたと思うけど、いまいちトリックで使いこなせていなかった気がする。
特にエンジェルが取り外された理由も結局それなのという感想。
しかしS&Mから見た者としては楽しめた。紫子さんや小鳥遊さんが出なかったのが残念だが。
ちなみにこの話、後の『四季 秋』につながるストーリーでもある。あっちを先に見てしまった所為で紅子の言う秘密のネタバレを先に見てしまったのがお得感でもあり残念でもある。
森博嗣の作品によくある事だが、単品では楽しめない小説のひとつ。

No.17 5点 元FLUGELSファン
(2009/12/31 21:49登録)
捩れ屋敷という舞台を用意しただけでも、一応の5点は付けたい。
ただ他の方のコメントにもあるとおり、やはりその捩れ屋敷ゆえのトリックが無い事には・・・この辺は
http://www.d3.dion.ne.jp/~yasko/suiri/suirimoririddle.htm
のホームページに書いておきました。
楽しめる事は楽しめるんじゃないでしょうか。

No.16 5点 yoneppi
(2009/11/17 22:58登録)
実際薄いが中身も薄い。お楽しみは保呂草VS西之園萌絵だけ。
でもこの本だけ読むひとはいないだろうし、両シリーズのファンなら満足するのだろう。
自分としては4点と迷っての5点。

No.15 6点 vivi
(2008/01/17 02:36登録)
いつものVシリーズのメンバーは出ずに、
替わりにS&Mシリーズのメンバーが出るという、変わった作品。

捩れ屋敷とログハウスのトリックは、
森ミステリの範疇に入るとは言え、
わざわざS&Mシリーズの登場人物を出す必要性も認められず。

このキャストに意味があるとすれば、
シリーズ全体に関わるようなものしか考えられないのですが・・・

No.14 6点 ばやし
(2005/04/03 16:11登録)
久しぶりに国枝先生が出て来たのには相当嬉しかったです^^犀川先生まで出て来て幸せでしたね(大袈裟?)萌絵は相変わらずって感じでしたね〜保呂草さんも。。

No.13 6点 Dax
(2005/03/18 06:49登録)
国枝先生も言ってましたが捩れ「屋敷」ではないだろう。中には入ってみたいけど。

No.12 5点 馨子
(2005/03/16 17:15登録)
確かに薄いよ・・・。
英題(The Riddle in Torsuinal Nest)が、リドルストーリーにひっかっけてあるのに気づいてちょっと気分が直ったけど、読了直後は、「なんだったんだーーっ」みたいな感想だった。
建物は面白い。キャラの会話はやっぱり上手いと思った。でも、いいミステリを読んだときの満足感は、全く味わえません。

No.11 7点 yamato
(2004/07/30 17:31登録)
捩れ屋敷という建造物がおもしろい!映画「CUBE」に通じるものを感じました・・・ただそれだけに今回の演出が残念。もっともっと上手につかえたのでは??と思います。

No.10 9点 なりね
(2004/07/12 16:49登録)
前言撤回です。森先生にやられました。(見抜けない自分が駄目なのですが)
でもミステリ部分は貧弱。
前回と合わせて平均5点と言うことで。

No.9 3点 モトキング
(2004/01/06 15:48登録)
薄い。頁数も中身も。密室イベント絡みのファン感謝祭…でしょうかね。
メビウスの輪型の屋敷はいい発想でしたが、それだけ。その形状の特性を生かした某かが欲しかった。
相変わらず、保呂草というキャラから無理矢理ほじくり出すストーリー展開。
最早、保呂草の魅力だけですね。感じなければ切ないくらい凡作、かな。

No.8 1点 なりね
(2003/12/28 21:56登録)
なに、これ。
西之園さんと国枝先生を出してファンを喜ばせているだけ?
少し酷い。
好きな小説家からだからこそこういうことはやめて欲しい。

No.7 4点 四季
(2003/12/16 20:00登録)
薄い、薄いなぁ……。
良かったのは西之園さんや国枝センセが出てきたことくらい。
面白くもつまらなくもない、つまり読んだ後に何も残らなかったのはこの本がはじめてです。

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