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ミステリの祭典

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作家 麻耶雄嵩
出版日2004年08月
平均点7.06点
書評数49人

No.29 7点 メルカトル
(2013/02/12 21:56登録)
再読です。
ネタバレしています。(初読の際の記憶は全くありませんので、再読とは言え、初読のようなものです)

麻耶作品にしては地味と言うか、大人しめなんだよね。
氏にはもっとこう突き抜けた、破天荒なものを書いてほしいと、私は思うんだけど。
しかしながら、決してつまらない訳ではなく、むしろ力作だと感じる。ジャンル的には典型的な嵐の山荘ものである。
三人称だか一人称だか判然としない文章は、いかにも怪しげで叙述トリックの匂いがプンプンする。これはどう考えても一人称の部分を記述している人物が真犯人だと確信するものの、作者の策略にまんまと嵌まり、見事に騙された。
まあ良い線はいっていたと思うけれど、ミスリードにやられました。
又もうひとつの叙述トリックは、読者には分かりきっている事実を、登場人物は知らなかったという、誠に珍しい仕掛けとなっている。
が、ちょっとした驚きはあるものの、あまり感心しないトリックだと思う。別に事件そのものに関わってくるわけでもないしね。
まあしかし、なんだかんだ言っても楽しめたのは間違いないので、ギリギリこの点数に落ち着いた。

No.28 7点 mozart
(2012/12/27 12:06登録)
自分の様な(注意力のない)読者でも、ある人物を疑いながら読んでいましたが、今ひとつ確信につながらなかった状況に、まさか「○○○」を使っていたとは!見事に騙されました。
もう一つのトリックについては、その斬新な意図は分かるのだけれど、取って付けた感があって、それほど感服できませんでした。あと、やっぱりラストについてはちょっとアレでした。

No.27 7点 Q-1
(2012/11/24 14:31登録)
盗聴器のトリックは物凄い違和感を覚えつつも分かりませんでした。
目線的なものは叙述トリックを読み慣れていれば容易い感じです。
共犯者が共犯者になった理由は、
元々そういう人間で恋人を愛してなどいなかったということを
真犯人の人物像の中にメタ的に表しているのではないでしょうか?
かなりレベルの高い作品だと感じましたが、
一番驚いたのは平戸さんが驚いたことでしたw

No.26 7点 STAR
(2012/10/12 14:15登録)
初めてこの方の作品を読みました。
「外部との連絡が遮断された館」という今まで何度も書かれてきた設定で、よくこうもどきどきさせるような展開にできたな~と驚きです。
(以下ネタバレあり!)
2つの叙述トリックですが、1つは最近ではよくあるものなので、分かってしまいます。あきらかにある人物の記載が少ないですし。
でも盗聴器を利用した叙述は工夫がされていて、よかったです。盗聴器の話しは前もって出ていたので、十分フェアですし。
もう1つは気が付きませんでした。登場人物が驚いているのに驚くといった感じでしょうか。最初に出ていた館の図や登場人物の説明にもちゃんと意味があったのですね。この部分が最後犯人の特定につながっていくのですが、なんとなく無理やりつなげた感はあるような?
殺人鬼の共犯者はなぜ共犯者になったのでしょう?そのあたりは全く書かれていません。謎を解くのに関係ない人の気持ちとかには特に興味がないというのが、この作者だったりして!?
エピローグはどうしてわざわざあるのかわかりません。何か意味があるのかなと思い、誰が生存者なのか考えてみました。登場人物が地名なので、それも考えてみました。結局のところ、特定はできません。

No.25 7点 ミステリ初心者
(2012/07/28 11:47登録)
ネタバレあります。


 ものすごく、いろいろな要素が入っていて、間違いなく良い作品。

 二つの、大きな叙述トリックがあると思います。これまでは読者にだけ伏せられているタイプのトリックが多かったですが、登場人物にだけ伏せられたトリックなんて斬新! 
ただ、もうひとつ叙述トリックのほうが重いと思います。いつの間にかに叙述がすり替わっているのは、自分では一生当てられないです。無口だな~と思うぐらいでした。盗聴を使うところが非常にうまいなと思います。

 6点にしたのは、大きいトリックが犯人当てとそんなに関わってないような気がしたのと、結末が嫌いだからです。
※あとから書評を見返したのですが、6は低いかと思い加点しました(笑)

No.24 7点 スパイラルライフ
(2012/02/08 01:38登録)
騙された。
○○であることを多くの登場人物が知らなかったとは。
気持ちよく騙されたがゆえに、もっと真相と密接につながるネタとして使って欲しかった。
叙述モノとしてのレベルも高く楽しめました。
最後のオチは個人的には不要だと思いますが、それも氏らしい。

No.23 6点 simo10
(2012/01/17 22:28登録)
--ネタばれ含みます--

ミステリ要素のみを挙げれば綾辻氏の館シリーズに似た印象を受けました。あのトリックに関しては勘の良い読者ならわかるレベルでフェアと言えると思います。別のあのトリックに関してはは巧いし斬新だと思うけど、別にそれが明かされたからと言って読者が構築してきた世界観を破壊する訳でもなく「ふ~ん」と思う程度でした。ラストは相変わらずの「何じゃそりゃ」。
麻耶作品にしてはオーソドックスな作風(登場人物の名前まで普通!)なため、その分他の作家に比べての文章力の足りなさが目立ってしまうかな。やはりこの作家には破天荒な世界とアンフェアであろうが破天荒なトリックがマッチしていると思います。
厳しめの書評でしたが、それでも面白いし、「早く次の作品を読ませてくれ!」と言わせてくれる作家ですね。

No.22 7点 好兵衛
(2011/11/15 02:24登録)
麻耶氏の頭の中が見てみたい。
と思う作品。

彼にしては本格よりで、
本格としても完成度が高い。
トリックは大きく2つあるが、
こうだ!!と言える道筋や記述がないかな。
フワッとしている。
これではこのトリック分かった!とは、言い切れない。

まぁ、そこを突っ込んだら無粋か。
でも、読者を欺く斬新な方向からのトリックは
流石麻耶氏。

終わり方も、麻耶氏。

No.21 7点 まさむね
(2011/10/07 20:59登録)
(未読の方は注意)
 「登場人物の驚きに驚かされる」手法が斬新。考え方によっては叙述とは言えないような気もしますが,「知らなかった」ことを誤認させているのだから,やっぱり叙述モノか。いやはや,完全にしてやられました。
 一方,「視点」に関しては,序盤から匂いがプンプン漂っていて身構えざるを得ませんでしたので,十分に想定可能でしたね。こちらに意識を集中させておいて,前述の叙述を炸裂・・・って意図なのだとすれば,もう完全に脱帽。
 もう少し高得点でもいいのですが,極めて精密な面がある一方で,ほったらかしにされてる点がいくつかあるなぁ・・・という印象も受けましたので,少しだけ減点を。

No.20 7点 E-BANKER
(2011/09/28 21:35登録)
今や本格ミステリーの雄とも言える作者の第7長編。
考え抜かれた技巧の数々が込められた秀作(?)
~オカルトスポット探検サークルの学生6人は京都山間部の黒いレンガ屋敷「ファイヤフライ館」に肝試しに来た。ここは10年前、作曲家の加賀蛍司が演奏家6人を殺した場所。そして半年前、1人の女性メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での4日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第1の殺人はすぐに起こった~

これは、「長所」と「短所」が入り混じった作品。
他の方の書評どおり、叙述トリックについてはかなり「レベルが高い」(分かりにくいとも言える・・・)
特にいわゆる「○別誤認」については、正直面食らった!
(なんで、そんなことに平戸が驚くのかって)
まさか、読者には最初から明かしていて、作中の人物には分かっていないとはねぇ。
「視点」の件は最初から違和感がかなりあったので、誰もが「何かある」と気付いたはず。
いずれにしても、結構作者の技巧は高レベルで、読み手の力量を問われる作品なのでしょう。

いわゆる典型的なクローズド・サークルもので、これぞ「新本格」とでもいうべき雰囲気。
埋め込まれた技巧や伏線はそれなりに見事なのですが、何となく、詰め込みすぎて消化し切れてないという気がするのも事実。
この辺は好みの問題かもしれません。
(「人物が描けてない」なんて無粋なことはいいませんが、どうしても上すべり感があるんですよねぇ・・・)

No.19 8点 isurrender
(2011/08/20 00:31登録)
読み手に、またあのトリックなんだろ?って思わせて、その上からぶちかましてくるのがさすが
ホラーなテイストも夏に読むのにちょうど良かった

No.18 8点 3880403
(2011/04/11 19:04登録)
やられたし、ラストも個人的には嫌いではない。
しかしこういう(すっきりしないタイプの)ものは嫌いな人は嫌いかもしれない。

No.17 6点 seiryuu
(2010/08/23 14:12登録)
凝っていると思うんだけど不完全なところが気になりました。
登場人物がもう少し多いほうがよかったな。
館の雰囲気はよくわかりました。

No.16 8点 測量ボ-イ
(2010/07/25 18:15登録)
これは新味のあるトリックですね。
叙述トリックと判っていても、してやられた感じです。
嵐の山荘というベタな設定も、僕のようにこういうのが好きな
人間にとってはポイント高くなってしまいます。

従い、高評価になりました。

No.15 8点 ロビン
(2009/11/01 20:48登録)
一言でいえば、逆叙述トリック。
世の中に蔓延する、「またか……」とウンザリするありふれた叙述トリックをあざ笑うかのような一撃。

事件の真相自体は非常に地味なことと、彼が共犯者になり下がった理由が明かされていないなど不満は残るが、この奇想は一読の価値あり。特に新本格作品しか読んだことない人は。

麻耶雄嵩、恐るべしです。

No.14 7点 あびびび
(2009/10/01 23:01登録)
自分にとって意外なことはなにひとつなかったが、こういう本格物は読んでいてわくわくする。

ネタばれ…しかし〇〇が女性だったなんて…。自分は最初から女性と思っていたが、それがトリックのひとつなのかな?

二日酔いで読み切ったのが悪かったのかも。

No.13 5点 ymn
(2009/07/26 16:24登録)
初の麻耶作品
思ったよりもまともな本格ミステリだったので少し残念。
仕掛けは面白かったけど、あまり真相と密着していないような気がした。

No.12 9点 dei
(2009/02/18 21:06登録)
万人受けするであろう作品。
これを読み逃す手はありませんよ。

No.11 8点 マニア
(2008/12/14 00:52登録)
今のところ、麻耶作品のマイベスト!

最初から不自然な記述が目について、叙述トリックが用いられていることには早い段階で察しがついた。それだけで終わればよくある叙述ミステリなのだが、さらに驚きの二つめの仕掛けが仕組まれてる!しかも、その「読者ではなく登場人物達にだけ仕掛けられていて、登場人物たちの驚愕が読者に更なる驚愕を与える。」という発想には見事に嵌められた。
特に、綾辻行人の『館シリーズ』が好きな人にはお勧めかも。

しかし、ジョージの共犯者が共犯関係に至った過程が語られていなかったり雑な印象も受ける(個人的に結構気になったもので・・・)。エピローグも少々やり過ぎちゃったかな・・・。

No.10 7点 touko
(2008/09/17 12:51登録)
ただでさえ悪文に定評のある(?)作家なのに、誰の視点かわからない文章の読みにくさにイライラしていたのですが、案の定トリックが。
でもこう来るかー、という仕掛けがさらに施されているので、驚けるのがお得感あります。

共謀者の動機が解明されないままなどの掻痒感は残るものの、嵐に閉ざされた洋館、猟奇殺人、意外な人物の血縁関係、隠し通路、鍾乳洞etc……とコテコテの設定&トリックてんこ盛りで、脂ギトギトだけど正統派のラーメンに、色々なトッピングも工夫も凝らしましたって感じ。ご馳走様でした。

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