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ミステリの祭典

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十角館の殺人
館シリーズ

作家 綾辻行人
出版日1987年08月
平均点7.94点
書評数281人

No.261 10点 名探偵ジャパン
(2016/07/29 20:52登録)
まずはメルカトルさん、レビューで触れていただき恐縮です。
他のレビュアーの皆様も、今後ともよろしくお願いいたします。

誰が言ったか、「東の島荘、西の綾辻」(誰も言ってない?)
というわけで、レジェンドシリーズ第2弾は、これだ。

まず、久方ぶりに読み返してみたのですが、驚いたのはその読みやすさ。私が読んだものは講談社文庫の「新装改訂版」なので、デビュー当初のものとは違っているのでしょうが、それでもこの読みやすさったらありません。
「占星術」は、一章終わる度にコーヒータイム、と洒落込んでいたのですが、「十角館」はほぼ一気読みでした。

当時散々こき下ろされたという有名な、「人間が描けていない」という批判も、今となっては何と的外れなことでしょうか。
こちとら、凄いトリックを味わいに来ているのです。作者との知恵比べという戦い、もしくは、真相が明かされた瞬間の知的興奮を求めているのです。
高度な戦術の応酬の対戦格闘ゲームをやっている横で、「この、手からビームを出す空手家や手足が伸びるインド人は何だ。全然人間が描けていない」と言われても返答に窮するのです。

本作は「ミステリマニアの、ミステリマニアによる小説」ですが、「ミステリマニアのための」ものでは決してありません。実際、本作が本格ミステリ初体験、もしくは、本作によって「ファン」から「マニア」に昇華(?)した。という方も決して少なくないでしょう。ミステリに無縁の人たちにも本作の魅力が届いたからこそ、この衝撃を皮切りに「新本格ムーブメント」は立ち上がったのですから。

作者が本作に仕掛けた拘りは半端ではありません。例の「世界が反転する一行」が偶数ページの一行目、つまり、ページを開いて初めて目に触れる位置、に書かれていることなどその典型です。(先述の通り私が読んだのは改訂版ですが、改訂以前もそうなっていたのでしょうか?)

本作ほど、読んでいて作者の「情熱」を感じる作品というのをちょっと私は知りません。(「占星術」も、島田荘司の「大人の余裕」を感じ、ここまでガツガツ迫ってはきません)文章のあちこちから「若さのエネルギー」が迸(ほとばし)ってくるのです。
本作は綾辻二十六歳のときの作だそうです。発行年の1987年としても、二十六歳というのは(文壇においては特に)「若造」とレッテルを貼られてしかるべき年齢でしょう。
「二十代半ばの若造が、見たこともない尖った武器を持って躍り込んできた」
もしかしたら、自分たちの理解の範疇を超える作品に対し正当に批評する術を持たなかった当時の文壇の重鎮(と、一部のミステリファン)は、「十角館」を批判することで自己防衛を計ったのかもしれません。

講談社文庫の「新装改訂版」には、旧版の鮎川哲也による解説も収録されています。
ここで鮎川は、「十角館」と作者綾辻行人に対する謂われなきバッシングに苦言を呈しています。さすが、ミステリ界のレジェンドは、本作の持つ力と可能性を見抜いていたのです。果たして、「占星術」を皮切りに「十角館」をもって「本格ミステリ」は完全復活を遂げました。
歴史的マイルストーンとなるべき傑作。全ミステリファン、いえ、未来のミステリファンも含め必読の書といえます。

余談ですが、鮎川は解説にて、「評論は七割けなして三割褒めろ」と書いています。私も復活するに当たり自分の過去の書評を読み返してみたのですが……鮎川氏の言葉が胸に染みました。

No.260 8点 nukkam
(2016/07/04 08:58登録)
(ネタバレなしです) 綾辻行人(1960年生まれ)は時代遅れとされていた本格派推理小説を復活させた「新本格派」の代表的作家として日本ミステリーの歴史を語る時にその名を外すことは考えられないほどの存在です。綾辻以前にも島田荘司や笠井潔などが本格派の力作を書いていたことも事実ですが、ムーヴメントを起こしたと評価されるほど1987年発表のデビュー作である本書の歴史的意義は大きいです。謎解きの面白さを再認識してくれ、という作者の熱い思いがひしひしと伝わってくるのに本格派好きの私としては大いに共感でき、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」(1939年)を連想させるプロットも大歓迎です。惜しまれるのは存在感ある名探偵を描けなかったことで、おかげでこのシリーズは探偵の名前ではなく「館シリーズ」と呼ばれるようになってしまいました(笑)。

No.259 10点 リッキー
(2016/06/28 23:46登録)
推理小説でも読んでみようかと手に取ったのがこの本だった。
始めは名前のせいで頭に入ってこなかったが、どんどんのめり込んでしまい、気付いたら読破していたといった感じ。これがきっかけでミステリの魅力に引きこまれてしまった。
例の一行ですべてがつながったときの、してやられた感がたまらなかった。

No.258 10点 Mysterious
(2016/06/19 23:23登録)
初めて読んだミステリがこの「十角館の殺人」だったが、あの一行に相当な衝撃を与えられ、それからどっぷりと綾辻行人の小説および推理小説にハマっていった。
今思い返しても、あの一行を読んだ時の衝撃は忘れられない。
今一度、頭を空にしてこの作品を読みたい、と思わせるほどの名作。

No.257 8点 初老人
(2016/03/07 19:29登録)
今さら書評するのが躊躇われる程の超有名作。
ただ今振り返ってみて思うのはこの作品はミステリの法則に沿ったオーソドックスな作品というよりは、むしろ基本を踏まえた上で当時としては相当に捻りを効かせた異色の傑作という部類に属するのではないか、という事である。
まぁ何にせよ、このようなタイプの作品が広く世に知れ渡ったというのは大変喜ばしい事である。

No.256 9点 ミステリーオタク
(2016/02/17 17:01登録)
これは今でも及点
あの一言の急転でうちも休店

No.255 8点 パメル
(2016/02/17 12:01登録)
叙述トリックとミスリードの応酬で真実は
張り巡らされた伏線に隠れている
とにかく衝撃の一行
このただ一言で視界が開け明らかにされる真相は
強烈なインパクトがあった
ただ犯人の動機に深みがあればと思った

No.254 8点 青い車
(2016/01/23 15:54登録)
はじめて読んだ本格推理小説として思い出深い作品です。日常的に本を読む習慣があまりなかった僕をミステリーの世界に引き込んでくれた綾辻さんは、個人的に別格の存在と思っています。これを読んだことがポウやアガサやクイーンやダインやカーを読み始めるきっかけだったんだよなあ。そして「トリックってこんなタイプのものがあったのか!」と例の一行を読んで驚愕したものです。ただし、本来なら10点付けるのですがその他の更に好きな作品と差別化するために8点とします。

No.253 8点 風桜青紫
(2015/12/21 02:34登録)
本格ミステリに興味をもったきっかけ。ある程度読書を重ねていけば、バカバカしい舞台設定や、薄味のキャラクターたちが鼻について、高い評価はできなくなっちゃうんだけど、わかりやすくて興味をひきたてられるプロットや、切れ味抜群の真相は今でも十分輝いている。本格ミステリの面白さを伝えるという意味では最高クラスの作品。8点はかたい。

No.252 10点 ロマン
(2015/10/20 12:11登録)
大分県の東岸S半島J崎、ひなびた港を出発し沖合約5キロに浮かぶ角島に向かうK大ミステリー研究会のエラリイ、カー、ルルウ、ポウ、アガサ、オルツィそしてヴァン。そこには十角形の奇妙な館「十角館」がある。昨年この島では、凄惨な事件が起こっている・・角島青屋敷謎の四重殺人。屋敷は炎上、主の中村夫妻、使用人夫妻は惨殺。失踪した庭師の犯行が疑われたが未解決となっている。一週間の滞在を心待ちの学生達、しかし左手首を切断され絞殺死体となったオルティが発見されるがそれは始まりに過ぎなかった。連続殺人の謎、結末は衝撃・・ ・

No.251 10点 斎藤警部
(2015/05/21 15:57登録)
*いちばん最後にネタバレな事を書きますよ

騙されたんですよ、見事に。 こりゃ本当にびっくりだったなあ。
そのころ更新中だった「連続犯人当て記録」が本作で見事にぶった斬られましたよ。

嘘くさい設定、青くさい文章、余りに後付けくさい動機と好みじゃない要素ばかりなのに何故だか吸い込まれる様なハイスピードであれよあれよと読み進んでしまい、気が付きゃあこのザマですよ。

考えてみると、孤島だけではなく、本土というもう一つの舞台が順繰りに登場するという独特な形式が、もうそれだけで何とも言えないスリルとある種のフェロモンを放出していたのかなと思います。

アラはいくらでもあるけど、見えません。 嫌いな諸々も、四捨五入で9点まで落とせる程は差っ引けません。

ところでネタバレ風な冗談を言いますが、北アイルランド出身のヴァン・モリスンというソウルシンガーをご存知ですか?

No.250 10点 CHABI
(2015/02/14 23:49登録)
まさに衝撃の一行
帯に偽りなし
警戒しながら読んだが繋がらなかった

No.249 4点 まっち
(2014/12/03 01:17登録)
頭の悪い私には例の一行の意味が一発で理解できなかったので衝撃が小さく、この点数です(汗。トリックは今まで見たことないもので、全く予想していませんでした。もう一度読んで伏線を確認したくなりました。

No.248 10点 sophia
(2014/06/05 21:55登録)
初読のときモーリス・ルブランを知らなかったのが残念でした。
「第四章 二日目・本土」の最後の二文が少々アンフェアかなあと思わなくもないですが・・・

No.247 10点 ボナンザ
(2014/04/07 01:25登録)
あまりにも衝撃的な例の一文でありました。
よく登場人物の台詞やあだ名に寒いものを感じると非難されることもありますが、最後まで読むとそれを気にさせないだけの勢いとパワーがあります。

No.246 5点 Julio
(2013/12/30 16:11登録)
犯人の動機は理解できましたが、その動機となる出来事自体の穴にまず疑問。犯人は、防げる行動を前もってなんらかの形でとれたのでは、と?
あと、周りの者の行動でも疑問が。
ミス研メンバーが、孤島で殺人が行われた後でも各自部屋で別々に夜を過ごしていることは、理解不能。
外との連絡手段が取れない場合、皆で同じ場所で始終、一緒にいることが一番の最善策なのは今までの推理小説を多少なり読んでいれば、明白だと思うんですが。
エラリイですら、頭が切れると言われながら、そこに至らなかったのを本物の殺人によってのただの頭の混乱で片付けるには、その後の数々の冴える推理を展開させているところからして、弱すぎるなと。

あと大きいのは、外の者は島に出向いて、みんなが無事かくらいの確認をなぜ思いもしなかったのか。過去の事件調べる前に、それが一番ですよね。殺人予告があったなら、島の者が狙われている可能性が一番、高いわけで、そして、島の者には外に行く手立てがなくとも、外の者には島に行く手立てがあったのですから。ただの、いたずらで片付けるには、弱かったです。現に外のものはそれにつられて、かなりの調査を開始したくらいに、気にしていました。

もちろん、私などはこんな推理小説を書けるわけもないので、綾辻さんの推理小説を書く能力を否定するわけではありません。むしろ、推理小説作家の創作力にはいつも感嘆しきりです。エラそうなこと書いてしまい、綾辻さんには申し訳ない。ただ、こんな小者の言うことを間に受けずに、これからも本格物を出してくれることを願っています。

No.245 6点 smk
(2013/10/07 23:28登録)
叙述ものとしてはフェアであり良作だけど、動機がなぁ。。
次々死んでるのに探偵役に危機感がないのも微妙。

No.244 8点 とあるミステリマニア
(2013/08/18 14:36登録)
私はネットでたくさんの人のオススメを見て購入しましたがオススメされるのも納得の作品だったと思います。 事件発生からのテンポも良く、ページを捲る手が止まりませんでした。ただみなさんの様に、あんな連続殺人をやり遂げた割に動機があまりに薄い気がしたので8点。

No.243 6点 mohicant
(2013/08/05 02:56登録)
 先駆者としての評価は理解できるけど、叙述トリックとしては平凡な印象を受けた。この作品を読む前に様々な叙述トリックものを読んでしまったため、ある程度の免疫ができてしまったんだと思います。

No.242 4点 りらっくま
(2013/07/02 23:59登録)
館シリーズでは時計館に次ぐ作品だと思いましたが、
みなさんの言われてるように、動機が弱い。トリック自体は
いいだけに残念。また、サークルの仲間が、お互いを推理作家
の名前で呼び合うのは寒過ぎる。

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