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ミステリの祭典

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疑心
隠蔽捜査シリーズ

作家 今野敏
出版日2009年03月
平均点5.06点
書評数17人

No.17 5点 猫サーカス
(2021/10/13 18:45登録)
警察上層部の対立や人質事件の現場指揮といった模様が描かれていたこれまでの話とは大きく異なり、意外な題材が盛り込まれている。主人公は、かつて出会ったことのない「敵」に遭遇することになる。大森署署長の竜崎は、米国大統領訪日に際して、方面警備本部長をに抜擢された。厳戒な警備の準備に追われていた時、補佐役として配属されたのは、美貌の女性キャリア畠山美奈子。だが、堅物を絵に描いたような男である竜崎は、こともあろうに常に畠山の存在が気になるようになってしまった。そこへ米国からやってきたシークレットサービスのハックマンが強引とも思える要求を突き付けてきた。大掛かりな警備の遂行と米国大統領を狙うテロリストとの攻防よりむしろ、さまざまな内側の困難に対して竜崎がいかに職務をこなしていくのか、その行方から目が離せないストーリー。なにしろ、これまで徹底した合理主義者だった男が、理性の力ではどうしようもない自身の揺れる恋心に悩まされ続ける。家族や職場の問題も、いつもの流儀では対応が難しいことばかり。まさかこんな展開の警察サスペンスになるとは予想外だった。

No.16 6点 take5
(2019/06/20 23:23登録)
シリーズ第三弾、ついに大衆小説に成り下がってしまいました。主人公が信念を取り戻すくだりの何とスピーディーなこと!
文句ではありません。中年受けする読みやすさの極致。
文句ではありません。実際お風呂で一気読みできたので。

No.15 6点 haruka
(2016/01/09 20:09登録)
シリーズ3作目は竜崎の恋愛という変化球になっているが、前作までとは違う竜崎の一面が垣間見れて面白かった。

No.14 5点 E-BANKER
(2013/12/23 21:26登録)
日本推理作家協会賞受賞作「果断」に続く『隠蔽捜査』シリーズの長編第三弾。
警視庁が誇るキャリア竜崎伸也が新たな一面を見せる・・・。

~アメリカ大統領の訪日が決定。大森署署長・竜崎伸也警視長は、羽田空港を含む第二方面警備本部本部長に抜擢された。やがて日本人がテロを企図しているという情報が本部に入り、その双肩に更なる重責がのしかかる。米シークレットサービスとの摩擦、そして臨時に補佐を務める美しい女性キャリア・畠山美奈子へ抱いてしまった狂おしい恋心。竜崎はこの難局をいかにして乗り切るのか?~

竜崎伸也も普通の人間だった!
これが本作のテーマなのだろうか。
とにかく本作のポイントは、竜崎が畠山美奈子に対して狂おしいほどの恋心を抱いてしまうことに尽きる。
シリーズ第一作(「隠蔽捜査」)で、その強烈なキャラクターを披露した竜崎。
息子が引き起こした事件の責任を取り、所轄署長へ降格させられても、その理性的かつ効率的な思考に変化はなかったのだが・・・
いやぁー、やっぱり女って恐ろしい。
今回、美奈子側からの視点は全くなかったので、読者としては、まるで初恋に悩む竜崎の苦悩をひたすら読まされることになる。
(これが苦痛っていうか、“イタイ”と感じると本作に対する評価は下がるのかもね)

ただ、個人的にはそういう恋のゴタゴタは置いといても、肝心なテロ事件がちょっと陳腐に思えてしまった。
これは前作「果断」でも感じたことだが、警察小説として警察内部の丁々発止のやり取りがメインなのは分かるが、ミステリーとしての本筋がちょっとイタダけないというのはどうなのかな?
本作もかなりご都合主義的に描かれていて、これでは竜崎のキャラの価値も半減ということになりかねない。

ということで世間的な評価よりは厳しい評価になってしまうのだ。
作者の作品は映像向きなんだろうと思う。
(畠山美奈子を映像化するとどうなのかな? でも、職場にこういう女性がいたら、絶対気になるだろうなぁ・・・絶対!)

No.13 4点 simo10
(2013/06/11 23:11登録)
隠蔽捜査シリーズ第三弾。
もはやこの作品に対してはミステリは期待しておらず、主人公竜崎のキャラクターを楽しむのが目的となっています。
しかし今作の竜崎は非常にらしくない。その「らしくなさ」も他の方の書評からも窺えますが、多くの読者にとってガッカリな方向に作用しています。当然私もガッカリです。しかもそのガッカリな展開が長い。こんなのは短編だけにしてくれやという感じです。
この後の作品でも畠山女史が登場しそうで嫌だなあ。

No.12 6点
(2013/06/05 18:10登録)
隠蔽捜査シリーズ第3作。
アメリカ大統領の訪日に際し、第二方面警備本部本部長を任された大森署署長・竜崎伸也。そんな彼の前に立ちはだかるのは、彼を蹴落とそうとするライバルたちではなかった・・・。

このシリーズを楽しむための要素は、竜崎の原理原則を貫く姿勢と、何かに思い悩む心理とが乖離していること、そして最終的にはそれらのバランスがとれて解決にいたること、ではないかと思います。今回は悩みの対象が、米国シークレットサービスとの摩擦と、若き女性キャリア・畠山への恋心。それらをどう捌いていくか、そこが見ものです。
畠山への恋愛感情描写も良し、前作で活躍した戸高刑事の神懸り的な勘による捜査も良し、彼と竜崎との微妙な関係も良し。いままでのシリーズ作品とは違った面で楽しめました。恋の病の解決の仕方があれでいいのかとは思いましたが、まあ変人・竜崎らしくもあり、これも良しとしましょう。

いつもながらの竜崎の心境描写は読書スピードをアップさせてくれます。今回は内容もシンプルなので、さらに猛烈に加速します。今野敏氏の奥義炸裂です。
あっという間に読める点は評価できますが、反面、ストーリーの安直さ(ご都合主義、予定調和、ミステリーとして深みに欠ける点など)の証明でもあり、そこがマイナス点です。

No.11 5点 いけお
(2012/08/25 02:55登録)
悪い意味で裏切られた。
主人公の恋愛要素は不要、ここまでのシリーズの長所を短所に変えてしまったように思える。
最終的に恋愛が成就したり形になったりしなかったのは救い。
それ以上に、最初の交通事故交通事故から、テロの警戒、アメリカのSPとの意見相違、解決までがやりすぎなほどご都合主義で興醒め。

No.10 3点 こう
(2011/07/09 00:29登録)
 隠蔽捜査が面白かったのでシリーズを読み進めたのですが個人的には竜崎が有能でかつ変人なところが好きなので陳腐な恋愛話は不要でした。意外性を狙ったのかもしれませんが主人公の魅力を削ぐ作品だったと思います。「人間臭い」竜崎なんて読みたいと思いません。次の「4」には彼女は登場するのでしょうか、かなり不安です。

No.9 4点 3880403
(2011/04/08 18:24登録)
途中の恋愛話が退屈で長い。
最後のほうに書かれている解決の部分をもっと細かく書いて欲しかった。

No.8 2点 ある
(2011/02/16 00:28登録)
「隠蔽捜査」シリーズを重ねる事につまらなくなっていくのが残念。
お笑いなんだか真面目なんだか‥作者の他の作品を知らないことが原因なのかもしれませんが,もういいかなと。

No.7 4点 HORNET
(2011/01/10 20:34登録)
 ここまでの皆さんの書評を読ませていただき,「だろうなぁ」です。原理原則を貫く揺るぎない竜崎の生き方,これこそが本シリーズの人気を支えている要素だっただけに,恋慕の情に揺れる竜崎には「人間らしさが見られてよかった」の是,「こんな竜崎は見たくなかった」の非にまっぷたつに分かれるでしょう。
 私は後者です。こんな竜崎は見たくなかった。ミステリに関して全く触れない書評ですみません。

No.6 6点
(2010/12/03 00:00登録)
竜崎の恋に悩んでいるところは、途中から飛ばして読もうかと思いました。
普段の竜崎の戻ってからは、スピーディーなストーリー展開でよかったですね。

No.5 8点 VOLKS
(2010/11/12 02:58登録)
いいなぁ、竜崎氏。
親しみが持てた。
俗っぽい自分には、竜崎氏のような解決策ではどうにもスッキリ出来ない気がするあたり納得は出来なかったが(笑)ラスト、いつもの竜崎氏に戻ってくれてホッとした。
本当に良かったよ(笑)

No.4 5点 ZAto
(2010/10/17 22:42登録)
「本当に、俺はどうしてしまったのだろう。こんな自分は認めたくなかった。これまでの人生で大切にしてきたものが何なのか、もう一度考え直すべきだ。」
こんな自問自答を延々と繰り返す。
そして330ページの小説で200ページもこんな状態が続く。長い、あまりにも長すぎた。

No.3 4点 touko
(2010/03/06 20:48登録)
これは男性と女性では評価がわかれそうですねえ。
前回、奥さんが倒れているだけに、なんだかなあ、とどうしても感じてしまうのにくわえて、主人公の片思い心理、どうしてここまでエキセントリックな書き方をするんだろう? と首をひねってしまいました。

不倫や年齢差は置いておくにしても、好意が即、無差別嫉妬や異常な独占欲に結びつくのが、何より不気味でたまらなかったんですが、真面目すぎる男性の成就の可能性のない老いらくの恋ってこんなものなのかなあ……主人公のネガティブな面が悪い方に出すぎ。
最初に主人公がバカにしていた巷に溢れる通俗恋愛ソングには、たとえ成就の可能性はない片思いでも、相手の幸せを願い、影ながら君を見守り続ける……みたいな口当たりのいい美化されたパターンが多いというのに、引き合いに出されるのが恋愛絡みの犯罪者ばかりでは、いつものひっくり返しにもならないだろうし。
実際、相手をもっと知りたい等の好奇心や対象への賛美や理想化も性的な妄想の描写もまったくないのに、ひたすら病的な嫉妬と独占欲の描写が延々と続くので、どうも恋ではなく、性愛ですらなく、ナルチシズムの延長のストーカー的な異常心理に思えるので、サイコサスペンス的なハラハラ感までありました。
家族に支えられ、十分愛されているだけに、失楽園的な心情では説得力ないなあと思っていたら落としどころも禅の結論だと、実際の行為は何もなくても、心情的には能天気な「不倫は文化」と変わらないような!?
これじゃ実際、不倫してしまって、背徳感に悩むという方がまだ人間らしいかも。
あまりにも能天気なので、いっそ「アメリカンビューティ」のように、若い女の子に悶々と片思いをしていた、仕事にも家庭にも人生そのものにも煮詰まっている中年男性が、自らのあずかり知らぬところで隠れゲイの男性に熱烈な片思いされていて、八つ当たりで殺されてしまう……系のブラックな結末だったら面白いのに、なーんて思っちゃったくらいですよ。

ミステリというかサスペンスとしては先が読めすぎで、人物描写も、シリーズが進むにつれて、簡略化というか戯画化されすぎで、ノリがあえばいいんだろうけど、ちょっとしらけてしまいました。

No.2 6点 kanamori
(2010/03/01 20:45登録)
警察キャリア官僚から大森署長に異動させられた竜崎という人物のキャラクター小説、シリーズ第3弾。
一種の企業小説、家族小説で、さらに警察小説としても読めないこともないというお得な作品。今回はさらに中年の恋という要素も加わった。
懸案の事件に対する戸高刑事(安積班シリーズの須田刑事に相当する役割)のあり得ないほどの働きとご都合主義や、禅の極意を短期間で会得するなど突っ込みどころが満載で非常に楽しめた。書類のハンコ押しの繰り返しギャグも見事に決まった。
なによりサクサク読める点がこの作者の持ち味だから、時間を無駄にしたと思わせないところが一番よかった。

No.1 7点 江守森江
(2009/06/27 03:09登録)
キャリアの警察官僚である主人公・竜崎の魅力を描いた大河ロマンとして一般小説部門で採点するならシリーズ全作満点でも良いと思っている。
今作は、ブレない信念の持ち主である竜崎が"恋"で揺らぎ、そして超越する。
竜崎を取り巻く人々のキャラ立ちも素晴らしさを増した。
小説新潮に掲載された外伝も今話の前振りな為、読んでおきたい。(雑誌のバックナンバーが揃う図書館がお勧め)
但し、ミステリ的には見え見えなテロ警備ストーリーなので、このサイトでの採点は控え目にした。
※追記
‘一穴主義’(←これって差別用語?)な竜崎が‘多穴主義’に転向し、不倫を迫ったらどんな展開だったのか読んでみたかった(でも、それじゃシリーズ終了だよな)
人間としての揺るぎない信念も時として本能(無意識な性欲)に勝てないのは身をもって知っているから・・・・・。

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