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ミステリの祭典

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魍魎の匣
百鬼夜行シリーズ

作家 京極夏彦
出版日1995年01月
平均点7.92点
書評数148人

No.128 4点 CHABI
(2015/03/07 20:34登録)
この作品が高評価なのは理解出来た気がしましたが、
私には合いませんでした。
読後、眩暈がするほど気持ち悪くなりました。

No.127 7点 いいちこ
(2015/01/06 20:11登録)
「そう。動機とは世間を納得させるためにあるだけのものに過ぎない。犯罪など―こと殺人などは遍く痙攣的なもんなんだ。
真実しやかにありがちな動機を並べ立てて、したり顔で犯罪に解説を加えるような行為は愚かなことだ。
それがありがちであればある程犯罪は信憑性を増し、深刻であればある程世間は納得する。そんなものは幻想に過ぎない。」
真実はそうなのかもしれないが、動機の合理性を構成要素の一角として認めてきたミステリの歴史と読者に対する強烈なインパクトではないだろうか。
これが著者の持論なのか、主人公の想いなのか、
プロットの一環として淡々と描いたものか、麻耶雄嵩を彷彿とさせるようなミステリのあり様に対する痛烈な皮肉なのか。
この点は他の作品も追いながら確かめたい。
ただこの一節が本作の真相を示唆する秀逸な伏線となっているのは間違いない。
「姑獲鳥の夏」も同様で、「本筋に関係ない蘊蓄が長い」と批判されるが、著者の作品は一見して本筋に無関係と思える部分が、真相を導く伏線やプロットの前提条件となっており、量は多いが無駄ではないというのが公平な評価だと思う。
場面を転々とさせながら事件を断片的に語っていく前半部分も、確かに読み辛い構成ではあるものの、事件解明の効果を最大化するための構成の妙と解し評価。
ただ真相の衝撃度は高いものの、プロットの合理性・納得感、謎解きの論理性、トリックの実現可能性等の点で減点せざるを得ない。
著者がそこで勝負していない点は百も承知のうえで。
作品自体が難解であること、世評があまりにも高いこと等も含め、評価が非常に難しいが、一個の読み物としては評価したうえで本格ミステリとしてはこの評価に落ち着いた。
読み手の志向によって評価が分かれる作品

No.126 10点 あんこう
(2014/04/11 14:03登録)
ミステリとしても、読み物としても優れた傑作。

No.125 8点 ボナンザ
(2014/04/07 22:49登録)
おそらくこれがシリーズ最高傑作ではなかろうか。
実にうまくまとまっており、結末もうまい。

No.124 9点 とあるミステリマニア
(2014/02/27 20:08登録)
本の厚さは気にならないほど夢中になれました。
初の京極堂シリーズでしたがとても楽しめました。
ですが、グロテスクな描写が苦手なので9点。
全体的に満足がぴったりの言葉です!

No.123 9点 アイス・コーヒー
(2014/01/05 14:53登録)
京極堂・百鬼夜行シリーズ二作目にして日本推理作家協会賞受賞作。個人的には前作の「姑獲鳥」をそのままグレードアップさせた雰囲気を感じた。
前回のテーマが妊婦、子供などの具体的な内容だったのに対し、今回は魍魎、箱(匣)などの抽象的な概念として登場する。どこを見ても匣ばかりという匣尽くしの中で一体それは何を意味するのか?を探っていくストーリーだといえる。匣は中に物を入れるためにあるのだろうか?それ自体を満たすことに意味があるのだろうか?
一応本格ミステリに分類されてはいるが、推理部分は京極堂が作中で行っている通り「噴飯もの」、とはいかないまでもこれだけではもちろんお話にならない。しかし、ストーリーとの連係プレーともいえる解決シーンは見事で、例えば消失の真実なども純粋な驚きがある。
伏線の張り方など今後改善できる点は多々あるが、本作がミステリー界でも珍しい地位を得ていることは間違いない。また、ここまで安定して重厚感のある作品をかけるのはさすがだと思う一方で、やはり姑獲鳥と比べてそれほどすごいかといわれると…。

No.122 8点 HORNET
(2013/03/24 17:04登録)
 百鬼夜行シリーズ長編第2弾。作品世界・雰囲気の魅力が強かった第1作に比べて、本作はミステリとしても申し分ない魅力が加算され、さらに一段上がった傑作となっている。
 女子高生のホーム転落事件、首都圏に起こる少女連続バラバラ殺人、「魍魎を祓う」といっては私財を巻き上げる新興宗教・・・各複線でおなじみの四人がそれぞれ個性を発揮し、最後には見事なまでに一つに収斂されていく。多少の行き過ぎた偶然、ご都合主義はあるかもしれないが、そこは目を瞑り、それぞれのピースが順に全体像に嵌っていく圧巻の過程を楽しみたい。氏の卓越したプロット、構成力が真に発揮された作品といえるのではないかと思う。

<余談>映画のほうも観たが、小説を読んでいない人が果たして内容を理解できるのだろうか・・・?と思うような追いつけない、忙しい展開だった。設定や内容もガラリと変えてあるし(榎木津のキャラとか、小説では結構重要な場面がごっそりカットとか)。1000p超の内容を2時間そこそこの映像にまとめるのにはやはり無理がある?どちらかというと、ホラーテイストを描くことに目的があるような感じで、小説との根本的な趣旨の違いを感じた・・・・

No.121 8点 蟷螂の斧
(2012/12/27 14:31登録)
前半500ページまでは、遅々としてページが進みませんでしたが、それ以降はスピード感があり一気読みできました。「姑獲鳥の夏」のラストがイマイチだったので、著者の作品は敬遠気味でしたが、本作は楽しめました。それは、本格ものをあまり期待しないで読んだ性もあるかもしれません。幻想、ホラー、SFをミックスしたミステリーといえるのでしょうか・・・。最初の事件で、動機の有無について「犯罪は、社会条件と環境条件と、そして通り物みたいな狂おしい瞬間の心の振幅で成立する」という詭弁?で片づけられてしまいました。これはどうなんでしょう?(笑)

No.120 9点 TON2
(2012/11/26 20:59登録)
講談社NOVELS
京極堂シリーズ第2作。
匣、箱、函、笥。「はこ」に思いを込め、中味のない「はこ」自身にも意味と存在理由がある。
京極堂が語る、超能力者、霊能者、占い、宗教者の区別は、圧巻でです。作者は、常日頃からこういうことを考えながら生きているのだとすれば、普通じゃない。
映画も見ましたが、中国でのロケのため、どうしても日本国内に見えなくてがっかりしました。

No.119 10点 mohicant
(2012/10/24 21:54登録)
シリーズ中最高傑作だと思う。メイントリックはたいしたことないが、その世界観、描写は眩暈を覚えるほど強烈で秀逸。読後は放心状態になった。

No.118 6点 nukkam
(2012/08/30 10:21登録)
(ネタバレなしです) 1995年発表の百鬼夜行シリーズ第2作で、講談社文庫版で1000ページを超える分量に圧倒されました。それでも前作の「姑獲鳥の夏」(1994年)より読みやすく感じたのは関口が真っ当な(?)ワトソン役になっていることに拠ると思います。前半は回りくどいストーリー展開に悩まされるし、レキュラーキャラクター以外の登場人物(つまり容疑者たち)が意外と直接描写されていないのも本格派推理小説のプロットとしてはどうかなと思わないでもありません。真相の衝撃は相当なもので、本書がシリーズ屈指の傑作と評価されるのも納得できますが、謎解きの意外性よりは事件の異様性を強調したものとなっているので好き嫌いは分かれるかと思います。

No.117 6点 itokin
(2012/04/03 18:08登録)
氏の作品は好き嫌いが激しい、この作品は後者だ。氏の力量は否定しないが私にとってグロすぎて生理的についていけない、そして長すぎる疲れた。

No.116 3点 misty2
(2012/03/17 13:24登録)
1048頁あり、弁当箱の様。
持ち運びに不便で、読破に日を要した。
800頁辺りから、ようやく展開にスピードが出る感じ。
厚みは相当だが、文が難解ではなく気軽に読め、
一瞬、島田荘司の「占星術作人事件」が頭を過った。

No.115 4点 スパイラルライフ
(2012/02/20 14:39登録)
映画化、アニメ化に触発されて姑獲鳥で後悔したにも拘わらず手にした一冊。
やはりミステリはオマケ程度。世界観やキャラ設定は極めて秀逸ながらも、あのボリュームをペイするだこのミステリではなかった。
怪奇モノの名作。

No.114 9点 NAP
(2012/02/13 22:33登録)
京極堂シリーズ、これが初めてでした!最初はなんとなくコワイ感じでスローペースだったけど、途中から一気に読めました。
京極堂さんに洗脳されそう笑

No.113 5点 大泉耕作
(2012/01/29 21:31登録)
匣の様に分厚い。
紙で作られた匣だ、こりゃ・・・

 この作品の持ち味を一貫させるとどうしても、あのような動機やロジックなどにならざるを得ないことは前作『姑獲鳥の夏』でも予め証明されているし、真相をどうのこうの言っていたら埒が明かない。ただ、探偵小説的に些か不安定なところがあることに変わりはないし、前作のように事件中の人間の一貫性があり納得の行くような個人の解明が成されていないこと(これは独断でありますが)が要因となってあんまり腑に落ちなかった。
しかし、小説としては大いに評価されるべき点は多いように思います。文章力とか世界観など。
 前作と変わらず演出の巧みに驚かされます。特に今回は伏線や京極堂の薀蓄、事件の背景も兼ねてその空気は始終一貫したまま千ページに及ぶ文章によって保ち続ける筆力には脱帽します。
この作品で幾らか体力消耗しましたが、また機会があれば是非とも触れてみたいシリーズです。

No.112 10点 clast
(2011/08/22 01:42登録)
もう生涯でこれ以上衝撃を受ける小説には出会えない気がしています。
人物消失トリックに関しては想像の範囲内でしたが、もともとトリックがどうのこうのという小説ではないでしょう。
京極堂の語りと、作中を覆うドス黒い狂気の連鎖にひたすら圧倒されていればいいのです。
”凄み”という点において京極堂シリーズの一つの頂点だと思います。
ちなみにもう一つの頂点は絡新婦の理です。

No.111 9点 ぷにぷに
(2011/06/07 18:50登録)
奇妙なリアリティがある。

犯人の意外性、動機の説得力は、自分には皆無だったし、並行する連続バラバラ殺人事件、宗教に対するうん蓄などは、興味をそそられなかった。
それを割り引いても、素晴らしいものがある。 シュチェーションを変えれば別物になりそう。

No.110 6点 好兵衛
(2011/04/24 02:03登録)
他の京極作品と同じく雰囲気と薀蓄
語り口調がよい。京極氏の作品は中毒症状が出る。
一回読んだら、はまってしまう魅力がある。

だが、魍魎だけ評価がとても高いことがよくわからない。
私としては他の京極作品とあまりかわらない。

トリックとしても他の本格作品と比べてしまうと
そんなに目新しいものものないし、
めぼしがつくものばかりだと思う。
他の京極作品のトリックがありえなさすぎるから?だろうか。
魍魎はつじつまが合っている、だけのことだと思う。

ただ、一点凄く好きな所がある。あの、動機だと思う。


以下評価参考
10~7 妖怪、ぺダントリー好き 京極氏のキャラクター
     話しの語り口、雰囲気が好き。
     京極氏ファン(もうやみつき)。

6~4  おどろおどろしい雰囲気を味わいつつ
     謎、殺人もおまけ程度に欲しい人。

3~1  筋の通ったトリック、オチ。論理的な解釈結末
     をこの作品にもとめてみる方。
     本格を読むつもりで見る方。

最近は京極作品が厚ければ厚いほど嬉しくなってくる。

No.109 10点 brit
(2011/04/23 02:11登録)
長いからという理由で評価を下げるべき作品では決してない。
個人的に再読しても楽しめる数少ない作品の1つである。
トリックはともかく、それ以外で唸らせられる要素が多く、
最後まで楽しむことができた。
京極堂の薀蓄が特に面白い。もっともそれがこのシリーズの最大の魅力なのかもしれないが。

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