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ミステリの祭典

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ボーン・コレクター
リンカーン・ライムシリーズ

作家 ジェフリー・ディーヴァー
出版日1999年09月
平均点5.81点
書評数16人

No.16 8点 メルカトル
(2021/09/05 22:50登録)
骨の折れる音に耳を澄ますボーン・コレクター。すぐには殺さない。受けてたつは元刑事ライム、四肢麻痺―首から下は左手の薬指一本しかうごかない。だが、彼の研ぎ澄まされた洞察力がハヤブサのごとく、ニューヨークの街へはばたき、ボーン・コレクターを追いつめる。今世紀最高の“鳥肌本”ついに登場!ユニヴァーサル映画化!「リンカーン・ライム」シリーズ第一弾。
『BOOK』データベースより。

かなり長いですが、一分の隙も無いと言って良い程濃密な世界を構築していると思います。それでいて、よく言われるようにジェットコースターの様にうねりを伴って疾走します。テンポもよく後から考えれば、これだけの短い時間での出来事だったのだという思いと、1ミリも無駄のない実によく練られたミステリではないかという驚きに駆られます。やや都合良く行き過ぎな感は否めませんが、欠点らしきものはそれくらいでしょう。
個人的にはどちらかと言うと主役のライムより刑事ですらないサックス巡査の方に感情移入しました。しかし、ライムは40歳と言う年齢よりもずっと老練しているような印象を受けますね。むしろ老人の域に達している感覚で常に読んでいた気がします。

当初シリーズ化の予定はなかったらしいですが、これだけ連綿と続いているのに人気が落ちないのももっともだと思いますね。まあ今言えるのは、何故もっと早く読まなかったのかという事と、出来る限り本シリーズを読みたいとの思いを強くした事でしょうか。平均評価はあまり高くないですが、取り敢えず一読してみる価値はあると思います。
また、ちょっとしたロマンス要素もあり、本書に花を添えている辺りも憎いですね。

No.15 3点 ◇・・
(2020/05/09 17:24登録)
スピード感があり、どんでん返しが多いプロットで、ごまかされそうになるけど、ご都合主義の嵐。
読者を驚かせたいがために、無理に無理を重ねていて...。しかし、そんなに無理されても読んでるこちらの方が辛い。

No.14 7点 斎藤警部
(2019/12/01 20:30登録)
“障碍者スポーツには他人を相手にする種類のものが多い”

ラノベ力漲る、明るい重度身障サスペンス。 ハサミ男を彷彿とさせる自殺志願探偵。 自殺を軸に置いた泣ける論戦シーンもあった。 あまりに美しい、とある眠りに落ちるシーン。。 眩しい希望と厭わしい苦味が相次いで炸裂し、前者が僅差で勝つラストシークエンス(まさか、そこにどんでん返しが。。)は本当に最高。 甘えなあと思いつつ、かなり高水準の面白さは否めない。 犯人、アッチじゃなくて、そっちだったか。。アッチだったら暗闇謎感4倍増しだったろうに、でもこれは(グロシーン多いくせに)明るいラノベだからいいの。

ところでジェットコースター・サスペンスと言えばMDMAじゃなくてMDA(もう誰も愛さない)の再放送をさいきん観てるんですが、本作への影響はたぶん無い、、かな??

No.13 5点 レッドキング
(2018/09/21 11:12登録)
ライムシリーズ第一弾。探偵が追い求めた連続猟奇殺人犯は、その探偵を追い求めていた半殺人鬼だった。
たいへんに面白い小説だが再読にはチョット・・繰り返し楽しむ本ではない。ミステリに全然興味ない家族に、ストーリー概略を話し、文庫本の「登場人物一覧」を見せたところ、その「肩書」だけから犯人を一発で当てた。まあ、バレるよな、そりゃ。

No.12 5点 いいちこ
(2016/08/20 18:46登録)
犯行プロセスを丁寧に追っていくスタイルには好感が持てたのだが、それが十全に活かされた真相とは思えなかった。
サプライズを優先してやや無理をしたことで、チグハグした印象を与える惜しい作品

No.11 7点 蟷螂の斧
(2015/04/01 11:49登録)
(東西ベスト22位)安楽椅子探偵は、昔のTVドラマ「鬼警部アイアンサイド」(69~75)の見過ぎで食傷気味?(苦笑)だったので、あまり興味をひかれませんでした。著者との出会いは「魔術師」(2003年ライム・シリーズ5作目)であり、当時それほどの印象(評価5)を持ちませんでした。最近、「監禁」(2000年)(評価8)を読んでから、著者に興味を持ち出し、本シリーズを読もうかな?といったところです。シリーズ1作目ということで、主人公・ライムが障害にいたった経緯や、アメリア・サックス(女巡査)との出会いを理解することができました。ジェットコースター的展開ということで、途中だれることなく読むこともできました。科学捜査関係の取材力に敬意を表し+1としました。本作のジャンルの投票は「冒険/スリラー/スパイ小説」3、「サスペンス」2、「警察小説」1と分かれていて、ジャンル分けは難しいですね。

No.10 6点 アイス・コーヒー
(2014/01/28 19:33登録)
リンカーン・ライムのシリーズ第一作。ニューヨークを舞台に謎に包まれた猟奇殺人鬼を追う。しかし、証拠の分析を抜擢されたリンカーン・ライムは四肢麻痺で寝たきりの状態なのだった。
内容は殺人事件と鑑識捜査、ライムによる証拠検証の繰り返しといっていい。「ボーン・コレクター」との心理戦やサックス巡査のアクションがサスペンスとしての見どころだが、一方で見事に伏線を回収した結末も見事である。
証拠の分類は専門的な分野で、中々地味だがそこは意外にも飽きずに読むことが出来た。なかなか細部までこだわって描写されている。
欠点は、ところどころにイベントを発生させて読者を飽きさせないようにしているものの、上巻の中盤以降はマンネリ化している点。また、結末に大きな工夫がない点も残念である。従って、ストーリーの目新しさはさほどなかった。
他にもいくつか腑に落ちない点はあるが、全体としては面白かったので、満足している。本作以降の作品も読んでいきたい。

No.9 6点 E-BANKER
(2013/01/31 21:53登録)
大人気「リンカーン・ライム」シリーズの第一弾がコレ。
伝説の殺人鬼・ボーンコレクターが蘇る・・・NYを恐怖のドン底に陥れる連続殺人事件が発生する。

~ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指環が光っていた。NY市警は科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻痺でベッドから一歩も動けないのだが・・・

「さすが」と言えば「さすが」だが・・・
途中の展開は結構冗長かなぁと思えた。
とにかく、本作はリンカーン・ライムという人物の「人となり」を味わい尽くすことが肝要なのだろう。
殺人現場に残された「犯人の痕跡」の一つ一つに対し、己の経験や勘、そして数々の科学捜査を駆使して真犯人に肉薄する姿。
他の方の書評でもあったが、その姿はまるで『現代に蘇ったシャーロック・ホームズ』と言っていい。

そして、本作のもう一人の主役が、事件に巻き込まれ、ライムの片腕となったアメリア・サックス。
美しい外見とは裏腹に、心の中に暗闇を持つ彼女も、ライムの慧眼に心酔し、彼の目となり手となって事件の渦中に飛び込んでいく・・・

作者と言えば「終盤のどんでん返し」というイメージだが、本作はその辺りはそれ程でもない。
この手のミステリーの場合、どうしても真犯人に意外性が要求されるため、こういう感じになるのだろうが、ちょっと無理やり感はある。
サスペンス感こそが本来「肝」になるべきなのだろうが、最初に書いたように、それにしてはちょっと冗長すぎるのだ。

作品自体の質は相当高いと思えるので、そんな所が気になってしまった次第。
(これから本シリーズを順に読んでいくつもり)

No.8 6点 isurrender
(2011/08/27 12:10登録)
週末の9時から地上波で何度も放送しているハリウッド映画のよう
スリリングで安っぽい展開で最後にどんでん返し
最新の(10年前の作品なので今では最新でないかもしれないが)鑑識技術を駆使する推理小説っていうのは斬新で面白かった

No.7 7点 take5
(2011/08/11 09:20登録)
まるでテレビを見ているような気分になります。
自分で考えなくてもどんどん頭に入ってくるので、
数時間で一気によめます。
社会背景の記述やトリックの正当性などに疑問をもつのは、おそらく読み終わってからだと思います。
ライムシリーズは読んでいる最中は、何も考えずに浸っていればいいと思います。
人気のある理由だと思います。

No.6 8点 Tetchy
(2011/05/28 21:51登録)
知恵と知識を使っての連続殺人鬼ボーン・コレクターとの戦い。次から次へ手がかりを残しては殺人を犯すボーン・コレクターと四肢麻痺で厭世観に襲われながらも、かつてNY市警中央科学捜査部長の座まで登りつめ、ありとあらゆる場所を踏査しては知識として蓄えてきたリンカーン・ライムとの丁々発止のやり取りが実にスリリングで面白い。
いや面白すぎる!

このライムの推理の過程や独自の経験に裏付けられた鑑識道具の数々や手法を読むと、私はどうしても世界一有名な探偵を思い浮かべてしまう。
そう、シャーロック・ホームズだ。四肢麻痺というハンデはあるものの、ライムは現代に甦ったシャーロック・ホームズなのだ。

最後にディーヴァー作品をこよなく愛した故児玉清氏に合掌。

No.5 6点 touko
(2011/04/08 20:40登録)
事故で四肢麻痺状態になった元天才科学捜査官が主人公の安楽椅子探偵ものであり、時間制限のある中、挑戦的な連続殺人犯との知恵比べをするというサスペンスものでもあります。

取材をきっちりやるタイプの作者らしく、最新の科学的捜査のノウハウやアメリカの警察機構、マンハッタンの地理・歴史など情報量が多くて楽しめます。
安楽椅子探偵ものといっても、以上のような知識は読者は持っていないわけですから、犯人と主人公の知恵比べを受身で楽しむ作品です。

展開が早く、世界のショッキングな犯罪とかカーチェイスや犯人逮捕場面とかを矢継ぎ早に見せるバラエティ番組を見ているような気分に。
飽きずに楽しめるのはいいんですが、やりすぎのあまり安っぽくなっている気も。
特に恋愛部分は、ハーレクインロマンス並みの超展開で、ついていけませんでした。。

ハリウッド映画のようだとよく言われているし、映画化もされたそうですが、映画だと面白さを支えている膨大な情報は漏れてしまうだろうから面白くなさそう。

No.4 4点 HORNET
(2011/01/10 16:50登録)
 他のリンカーンライム・シリーズを読んでから遡る形でこれを読みました。後発作品では,人格者とまではいきませんが,落ち着いて物事を分析する物腰が印象的なライムが,このデビュー作では非常に人間的に未熟な面を露呈していて意外でした。また,彼の科学的分析が非常に専門的(なのかどうかもわかりませんが)すぎて,「すごいな」とは思いますがついていけませんでした。はっきり言えば「分かりにくい」ということです。そう考えると,作品を重ねるうちに多少は読みやすくなったのかなとも思います。

No.3 5点 江守森江
(2009/12/02 13:59登録)
現実世界でのプロファイリング捜査と違い、その手法を本格ミステリのメインにすると表裏一体な欠陥を露呈する。
主要登場人物外(作品上の一般人)をプロファイリングで犯人特定してもカタルシスを齎さない(倉知淳「壷中の天国」など)
それ故に主要登場人物内に犯人設定すると、どんなに筆力があっても察せてしまう。
概ね映画より原作の方が高評価だが上記の思いが拭えなかった。
映画は本格ミステリとして観た訳ではないので上記の欠陥を感じなかった。
原作を読むより一般的感覚で映画を観る方が楽しめる気がする。

No.2 2点 mini
(2008/11/12 11:08登録)
明らかに本格派作家ではないのに、妙に本格偏愛読者に人気がある現代作家がディーヴァーだ
現在最も人気のある作家の一人だが、私には相性の悪い作家
人気の理由は確信がいって、要するに次々に事件が起こってラストにどんでん返しがあるからだろうと思う
今の読者は尋問シーンがちょっと続くだけで、すぐに退屈だとか中弛みとか言うからなあ
次々に事件が起こらないと間が持てないようだが、いったいいつからこんな風潮になってしまったんだろう
尋問シーンなんてミステリーには常套な場面だろうに

そもそもリンカーン・ライムって単に天才的な人間科学鑑識マシーンであって、つまりライムにしか判断出来ないわけで読者側はただ呆然と眺めているより他ない
他の作家ならば日頃から読者が推理に参加できないとか難癖をつけるくせに、ディーヴァーだと手放しに褒める書評がよくあるが、そういう人はライムシリーズを同じ理由で批判しないのだろうか?まさにダブル・スタンダードである
結局ディーヴァーが人気があるのは、次々に事件が起こって、さらにあざとくてもどんでん返しがありさえすれば面白く感じてしまうからなんだろうなあ

No.1 8点 斜め屋
(2008/10/24 00:57登録)
 洋物は苦手だけど、これは面白かったです。
 内容も良し、訳も読みやすいし、驚きもありで。
 映画版は、あれですが・・・。
 CSIとか、好きなら気に入ると思います。
 最後のライムの出陣には、グッときました!。

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