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ミステリの祭典

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そして名探偵は生まれた

作家 歌野晶午
出版日2005年10月
平均点6.27点
書評数15人

No.15 8点 蟷螂の斧
(2023/09/18 10:09登録)
①そして名探偵は生まれた 8点 山荘のホールでの殺人事件。外は雪で足跡なし。本作の評価のポイントは「密室のトリック」の良し悪しではなく、如何に「名探偵が生まれたか」の経過と動機にあります。その点、ブラックでユーモアに満ち、言うことなし。お見事!
②生存者、一名 9点 単行本で書評済
③館という名の楽園で 8点 単行本で書評済

No.14 6点 take5
(2022/08/02 19:01登録)
そして名探偵は生まれた
→バカミスに近いユーモア作品
生存者、一名
→サバイバル物、なかなかよく練られています。
館という名の楽園で
→館の絵ですぐに分かるトリックですが、
最後は悲しい。

ハードカバーはこの3つしか収録されていません。

No.13 7点 虫暮部
(2022/04/13 12:41登録)
 表題作と「夏の雪、冬のサンバ」の密室トリックは、同じもののヴァリエーション。更にそれを作中作(映画)でも暗示している。
 つまりこれは『安達ヶ原の鬼密室』と同じ仕掛けで、但しあちらではそのことを明示したのに対して、こちらでは “どーだ、分散させたら気付かないだろ” と言いたげ。『安達ヶ原の鬼密室』で叩かれた意趣返し?

No.12 6点 ミステリ初心者
(2019/01/13 14:45登録)
 ネタバレをしています。
 "館という名の楽園で"は過去に書評した事があり、端折ります。

・そして名探偵が生まれた。
 密室物ですが、それ自体は面白くありませんでした(笑)。話として面白く、アンチミステリ?的なお約束を裏切った展開は、ある意味、麻耶作品みたいでした(あまり知りませんが)。
 影浦のキャラが面白く、殺されてしまったのが残念でした。師匠を継いだ助手が名探偵となる熱い展開だったのですが、やったのが助手なのはさらに残念;;

・生存者、一名
 孤島サバイバルのサスペンス要素のおかげで、一気に読み終えました。話としても面白かったです。
 しかし、"生存者が一人で、男性"であることが、途中で明かされる→しかし、島にはどこにもいない→胎児だった・・・という発想の作品は、他の作者の作品でも使われており、ある点でそのトリックに気づいてしまいました。その使い方は、他作品のほうが良いと思います。
 爆破テロをして罪悪感を感じないようなクズ共が悲惨な目にあうのは、後味が悪くならなくてよいのですが、永友の胎児が死んでしまうことだけ心が痛みますね。

・夏の雪、冬のサンバ
 キノシタがショーグンでないことは、なんとなく察しました(笑) 日本史のことはあまりよく知らない私なのですが、木下といえば藤吉郎ですよね。たしか、将軍になれなかったような気がします。
 百万が"円"でないのも、なんとなく察しました。
 後のことはわかりませんでした! まさか、卵が伏線だったのですね。

No.11 7点 名探偵ジャパン
(2016/08/19 20:47登録)
「そして名探偵は生まれた」
メタミステリというか、「リアル名探偵もの」です。ミステリ作家はやはり誰しも、こういったテーマには一度手を出してみたくなるものなのでしょうか。
リアルと虚構に折り合いはつくのか? 藤子不二雄の怪作「劇画オバQ」を思わせる作品。(…って、前にもこんなこと書いたな)


「生存者、一名」
「孤島もの」の宿命である、「閉じ込められた理由」と「外界と連絡を取れない(取らない)理由」に一石を投じた意欲作です。こういう設定の孤島ものは初めて読みました。
サスペンス的展開になっていった辺りから、「これは推理や予想しながら読むともったいない」と思い、文章を受け入れるがままに読んでいったためか、私はかなり楽しめました。


「館という名の楽園で」
「そして名探偵は生まれた」に続くメタミステリもの。
本作のポイントは、「館の見取り図がきちんと製図されたものでなく、作中の登場人物が描きなぐった(という設定の)ラフ画がそのまま使われている」というところです。この館の見取り図を綾辻作品のようなメタ視点からの「製図」にしてしまうと、アンフェアになってしまうための処置です。こういう心配りは、さすがだなと感じてしまうのです。


「夏の雪、冬のサンバ」
他の方の書評にもありましたが、さすがに傾きすぎ(笑)地盤沈下や事故でそうなったというよりも、わざとやってるレベル。
最後、探偵が一杯食わされるところなんかは好きです。


全4編。バラエティに富んだ力作揃いの一冊でした。

No.10 6点 haruka
(2015/04/12 23:09登録)
「生存者、一名」が面白かったので。

No.9 6点 いいちこ
(2012/03/20 16:48登録)
3つの中編と1つの短編による構成。
作品のデキに大きなバラツキがあるものの、上位2作は一読の価値あり。
書評は高評価順。

②「生存者、一名」
全般に平易すぎる印象なのは中編だけにやむを得ないところか?
語り尽くされた感のある絶海の孤島モノを秀逸な着想で切り抜けた点は高く評価。
③「館という名の楽園で」
実現可能性にはやや疑問符がつくもののオリジナリティのあるメイントリックを評価。
イングランドの昔話2編と有機的に連携させたプロットも見事。
④「夏の雪、冬のサンバ」
細かなミスディレクションに上手さは感じるが、メイントリックが雑で無理がある印象。
①「そして名探偵は生まれた」
ミステリとしては評価すべき点がなく、本格ミステリに対するパロディとして書いた作品と見るべきだろう。
それにしても不徹底で中途半端な印象が拭えず、作者の意図を掴みかねる。

No.8 6点 frontsan
(2011/05/20 15:15登録)
そして名探偵は生まれた・・・6点
生存者、一名・・・7点
館という名の楽園で・・・7点
夏の雪、冬のサンバ・・・5点
ということで、平均するとだいたい6点かな。

No.7 6点 HORNET
(2011/01/16 09:29登録)
 表題作については賛否両論で,むしろ「否」のほうが勝っていますが,確かにミステリとしては△ですが私は好きでした。探偵が事件の謎を解く,純然たるフーダニットだと思っていたら,途中からの急展開により裏切られ,それが面白かったです。ミステリとしてはやはり,「生存者,一名」でしょう。

No.6 5点 まさむね
(2010/03/01 23:07登録)
4つの中短編。作品ごとに差がありすぎ(?)と感じたため,採点は控えめになりました。
よかった順に書評を。(一部ネタバレあり)
①「生存者、一名」
 スリルもあり,「なるほど」と思わせる箇所もあり,超良作。中編でここまで表現できるのは素晴らしいのヒトコト。読後の余韻の中,「題名」について考えざるを得ないあたり,さすが歌野さん。
②「館という名の楽園で」
 結構前段階で「館」トリックが概ね分かってしまう方が多いのでは… 中編で「館モノ」にアタックした意気込みと,ラストの仕掛け(?)は買います。
③「夏の雪、冬のサンバ」
 トリックにかなり無理があると思いますが(傾きすぎ!),国際色豊かな点は悪くないかな?(まあミスリードの一部ですが)
④「そして名探偵は生まれた」
 作者の「ねらい」はどこにあったのか、ややつかみかねますね。中途半端な印象が…。

No.5 5点 kowai
(2010/02/14 15:08登録)
表題作は、「動く家~」の作中劇みたいなただのコメディー。「生存者~」はサスペンスちっくで展開も面白かった。冒頭の騙しは相変わらずですが。。ん~。1冊の総評としては、可も無しってところで。。

No.4 6点 simo10
(2010/02/11 12:43登録)
3つの中編+1つの短編で構成されています。

①「そして名探偵は生まれた」:コメディタッチで描かれた雪の山荘モノ。実際に名探偵が存在した場合のなれの果てのようなものが描かれており、ちょっと切ない。トリックはヒントと言えるヒントもなく明かされてしまい、何がメインなのかよく分からない。
②「生存者、一名」:400円文庫版側の書評の通りです。
③「館という名の楽園で」:400円文庫版側の書評の通りです。
④「夏の雪、冬のサンバ」:「鬼密室」の直観探偵が登場します。色々とミスリードっぽい要素が提示されていたけど、結局それらがどう機能していたのかが良く分からない。タイトルがメイントリックに絡むような単純な話でなくて良かった。しかし3°は傾きすぎでしょう。

②③は400円文庫にて既刊されており、読んだことある方は注意が必要です。個人的には①④だけだとかなり損だと思います。(①④が採点の足を引っ張っていると言えるぐらいの出来)
逆に②③を読んでいなければ、この一冊でかなり楽しめると思います。

No.3 7点 測量ボ-イ
(2009/11/12 19:47登録)
(少しネタばれ)
3編からなる中編集。

「そして名探偵は生まれた」
表題作ですが、残念ながら3編の中で一番出来が劣りそう
です。メイン・トリックは氏の代表作である「○○○の殺人」
を彷彿とさせますが、それを推理する伏線が不足している
と思います。採点は5~6点レベル。

「生存者、一名」
これは良作です。生存者が○○だったというオチですが、作
者が仕掛けたもう一ひねりが渋いです。採点は7~8点レ
ベル。

「館という名の楽園で」
怪しげな館の中で起こる事件(?)・・・これは僕にとっ
てワクワクする構成です。メイントリックも僕好みで、満
足いく出来栄え。「生存者」と甲乙つけ難いので、採点は
7~8点レベル。

評価はこの3作の総合評価で決定しました。


No.2 6点 E-BANKER
(2009/09/05 23:23登録)
一番面白かったのは「生存者一名」ですかねえ。最後のどんでん返しというか、オチは効いていると思います。
「館という名の楽園で」も水準級の作品です。「館」好きなら読んでみてもよいのではないでしょうか。
あとは、正直覚えていない・・・

No.1 7点 なの
(2008/04/23 19:27登録)
400円文庫の再収録+新作書き下ろし1本です。
400円文庫の感想はそちらを見ていただくとして、
新作「そして名探偵は生まれた」はなかなか面白かったですよ。
なんともシニカルなオチがGOOD。
しかし名探偵の境遇は悲惨ですな、事件を発表したら即訴訟!

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