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ミステリの祭典

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ブラウン神父の童心
ブラウン神父シリーズ

作家 G・K・チェスタトン
出版日1959年01月
平均点7.79点
書評数42人

No.22 7点 蟷螂の斧
(2015/03/05 10:48登録)
(東西ベスト8位)『このミステリーを読め!「海外篇」』(郷原宏氏)で~「ブラウン神父の童心」を読まない読者はモグリ!~がずっと気になっていました(笑)。ある選者による「3大○○」。”奇抜トリック”は「ブラウン神父の童心」「黒猫亭事件」「乱れからくり」とあり、手にした次第です。ちなみに”叙述”は「アクロイド殺し」「殺人交叉点」「心ひき裂かれて」、”アンフェア?”は「アクロイド殺し」「死者はよみがえる」「夜歩く」、”カルト人気”は「赤い右手」「瓶詰の地獄」「太陽黒点」etc。選出視点が面白かったので、自分なりの三大「誘拐もの」「監禁もの」「絵画もの」「どんでん返しもの」等々記録してゆこうと思います。横道にそれてしまいましたが、やはり古典の評価は難しいですね。歴史的意義で高評価としたいのですが、内容では今一歩という点があります。特に「奇妙な足音」「見えない男」は心理トリックとして、当時の発想は素晴らしいと思いますが、中身としてはどうかな?といった感じです。ベストは「秘密の庭」、当時でこの手を使うか!でやられました。評判の「折れた剣」は長編向きで短編ではもったいない感じ。短編らしさとしてのお気に入りは「イズレイル・ガウの誉れ」のブラックな味わいでした。

No.21 8点 アイス・コーヒー
(2014/09/21 10:14登録)
チェスタトンの代表作にして、逆説的な推理と斬新なトリックが多用されるブラウン神父譚の伝説的な第一短編集。
冴えない神父が推理の分野で驚異的な才能をみせるという「意外な探偵役」の設定や、読者の固定観念を破壊していくトリック、文学的な情景描写など。全く新しい手法で探偵小説界に挑戦したという点で見事だ。
神父初登場の「青い十字架」は神父自身の狂人的な行動に論理的な説明をつける話。他の短編同様、これもその後何度も模倣された内容ではあるが、一見複雑で無秩序に思える神父の行動が単純な真相を指し示しているという発想が凄い。
密室殺人と首切り犯罪を描く「秘密の庭」も実に完成された作品。やはり現代の読者はすぐに見破ってしまうかもしれないが、不可能犯罪のハウダニットと首切りのハウダニット、更にはフーダニットに至るまでの気を抜けない構成には目を見張る。
狂ったミッシングリンクものとしての「イズレイル・ガウの誉れ」は舞台設定と真相のギャップ(というかリンク)が面白いし、「神の鉄槌」は伏線回収や意外な犯人が素晴らしい。さらにそのトリックを応用したうえで複雑化を図った「三つの兇器」もかなりよく出来ている。
他にも、十八番の「木の葉を隠すなら~」を使った「奇妙な足跡」「折れた剣」なども名作だ。トリックは使い古されて多少色あせするが、私的にはかなり楽しく読むことが出来た。
欠点をあげるならば、やはり訳文。和訳自体は問題ないのだが、濃厚な情景描写のうえに絶望的に改行が少なく、ひたすら読みづらい。特に各編冒頭の風景描写のシーンには中々苦労させられた。東京創元社にはそのあたりをどうにかしていただきたい。

No.20 7点 ボナンザ
(2014/04/08 17:52登録)
シリーズ一冊目にして最高傑作。
秘密の庭や奇妙な足音、折れた剣など名作には事欠かない。

No.19 7点 mini
(2012/12/10 10:01登録)
本日10日に、ちくま文庫からチェスタトン「ブラウン神父の無心」が刊行される
ちくま文庫では以前にも同じチェスタトンの「四人の申し分なき重罪人」が刊行されているが、ブラウン神父の新訳を続けるつもりなんだろうか、それとも「無心」だけか
創元文庫の神父シリーズが古い訳のまま放ったらかしなので、どうせ新訳でやるならちくま文庫には続けて欲しいが

さて「童心」と言えば「ホームズの冒険」と並んでミステリーの歴史上最も重要な里程標の1つである
ホームズのライヴァルたちの中で最強のライヴァルはソーンダイク博士だと私は思うが、ソーンダイク博士ではどう頑張ってもホームズのライヴァルの範疇からは抜け出す事は出来ない、比較しての価値と言う意味でホームズ有ってのソーンダイク博士だ
しかしブラウン神父くらいになると最早ホームズと比較するような存在ではない、全く別の意味でホームズと肩を並べる存在である
ブラウン神父の持ち味は形而上的な謎解きを持ち込んだ事だろう
ホームズが現場に落ちている証拠品から帰納的推理を巡らすのに対して、言わば演繹的に概念としての謎解きを展開するのだ
例えば「神の鉄槌」なんて一般的なトリックという視点で捉えても意味が有るだろうか?、これなんて概念としての謎解きと捉えなければ意味を成さない、「折れた剣」なども然り
神父シリーズじゃないが『奇商クラブ』中にホームズ流分析について、”そりゃどんな証拠品でも何がしかの手掛りにはなる、しかしそれらは往々にして誤った結論を導いてしまう”、という主旨の文言が有る、まさにチェスタトンのミステリーに対する考え方が良く出ている
ところで集中のベストは?
割と他の方々の評価が低いので恐縮なんだけど、私の好みでは1話目の「青い十字架」ですねえ、事件が起こって推理してという定型を外してることろが好きなんだよなぁ
あとは定番だけど、ホームズ流推理の逆を突いた様な発想が光る「見えない男」かなぁ

No.18 10点 ミステリーオタク
(2012/09/11 00:46登録)
古典ミステリーとしては「シャーロック・ホームズの冒険」と双璧をなす短編集だろう

No.17 8点 HORNET
(2012/03/25 07:53登録)
 トリックがメインに据えられたミステリ通好みの短編集。書かれた時代もあって,科学的なものや変に込み入ったものはなく,純粋に人の裏をかくようなトリック主体でその点も好ましい。また,そうした時代を考慮に入れると,ミステリについては浅学な私でもこの作品の歴史的価値は十分に感じる。「見えない男」などは,その考え方は,後のミステリで手を変え品を変え用いられたものになるだろう。
 そうした「歴史的な価値」ということを抜きにしても,現代でも十分に楽しめ,改めて作品の質の高さを感じさせられる。文調も海外翻訳物としては,むしろ読みやすいと感じる。チェスタトンのミステリ界での名声に納得する一冊となった。

No.16 7点 ようじろう
(2012/02/15 19:52登録)
短編小説のお手本。
どれもこれもが優れていて、おもしろかった。

しかし後半、少々飽き飽きした印象も。

No.15 8点 isurrender
(2011/09/16 22:44登録)
100年前に書かれた作品。
短編集の古典としてミステリのオールタイムのランキングでは必ず上位に入るのもうなずけるどれも高水準の作品でした。
が、ネックなのは他の方も書かれているように読みにくい点。

No.14 5点 toyotama
(2011/02/03 17:51登録)
最初の一編がいちばん面白かったが、なんか尻すぼみと感じました。
トリックの創出は凄いのかもしれないけど、小説として考えると私には合わないかもしれません。

No.13 6点 あびびび
(2010/10/14 10:06登録)
ミステリ愛好者には避けて通れぬ一冊だと思う。
確かにブラウン神父の知恵と理路整然とした推理は
現代のミステリ全冊に通じるものである。

しかし、読みにくいし、物語としての評価は自分向きではなかった。

No.12 6点 メルカトル
(2010/09/17 23:32登録)
第二話までは何とか読めたが、それ以降は・・・。
情景は浮かばないは、内容は頭に入ってこないはで、非常に苦戦を強いられる事に。
原文も原文だろうが、翻訳の仕方ももう少し何とかならなかったものかと、正直思う。
一文、一文が異常に長いのも難点である。
この作品は、脳を活性化してから読まれることをお勧めする。
でないと、文章が右から左へ素通りする可能性が高い。

No.11 8点 こう
(2010/08/01 23:49登録)
 20年ほど前中学生の頃読んだ時は正直読みにくい、主人公にさほど魅力を感じない点が不満でした。
 トリックは後世の作品の原型が多く海外ミステリ好き必読の書だと思います。個人的には「折れた剣」が忘れ難いです。
ただ短期間に5冊読了したのですが残りはあまり覚えていません。

No.10 10点 ポセイドン
(2010/08/01 17:07登録)
これぞ短編ミステリーの伝説の宝石箱。

No.9 10点 阿多緑
(2010/07/23 14:24登録)
ホームズより断然おもしろい。
泡坂妻夫みたい。(たとえが逆かな)

No.8 9点 kanamori
(2010/07/18 21:54登録)
本格ミステリの短編集として、その中で使われたアイデアが後のミステリ作家に与えた影響はホームズ譚を凌ぐでしょう。
なにせ、「Xの悲劇」や「ABC殺人事件」もある意味では、本書収録作の追随作品でしかないのですから。
作者は、他の作品でも”逆説=意外性”という命題を徹底して追求していますが、ブラウン神父シリーズが一番ストレートで理解しやすいと思います。
この第1作品集では、「見えない男」や「折れた剣」という有名作品や、「イズレイル・ガウの誉れ」が好みです。

No.7 8点 E-BANKER
(2010/06/06 14:41登録)
ほぼ全編にわたってブラウン神父とフラウボウが絡む超有名短編集。(宿敵だったはずが、途中から唯一無二の友人になるのが面白い)
①「青い十字架」: なんのことはない話なのですが・・・
②「秘密の庭」: 2作目で超意外な真犯人が登場
③「奇妙な足音」: 謎自体が面白い
④「見えない男」: 有名作。ブラウン神父の示すロジックがいい。(今読むと真相はすぐ分かりますけど・・・)
⑤「サラディン公の罪」: 意外なラスト。そうきたか!
⑥「折れた剣」: 有名作。「木は森に隠すが、森がないときはどうする?」「○○は××に隠すが、××がないときは」・・・
他6編。
非常に読みにくく理解するのに時間を要する表現もありますが、短編とはこう書くのだ・・・というまさにお手本のような作品でしょう。

No.6 9点
(2009/02/17 22:20登録)
クリスティー、クイーン、カーみんな長編でこのヴァリエーションを使ったことがあると言えば、有名な『見えない男』。これについては、いくらなんでもあり得ないところが一箇所ありますが、トリックの基本は注意をはらわないということよりむしろ、聞き方によっては答が違うということ(ブラウン神父もその例を出しています)でしょう。
他に、首切断パターンで犯人も意外な(第2作でこう来るとは!)『秘密の庭』、短編の中で偽解決を立て続けに出して見せた上、さらに意外な真相を明らかにする全然犯罪ではない『イズレイル・ガウの誉れ』、A・C・クラークのSFにまでつながる『神の鉄槌』等、文章によって嘘っぱちな奇想を可能に思わせるそのスタイルは、やはり今なお新鮮です。

No.5 7点 teddhiri
(2009/02/10 15:19登録)
非常に読みづらいものの話自体が基本的に短いので挫折することはない。アイデアももはやテンプレートになっているものが多く、それでも感心させられる。「見えない男」と「折れた剣」はその際たるものだと思う。

No.4 9点 堀木正雄
(2009/01/18 14:56登録)
私も本格ミステリでしたらドイルよりもチェスタトンの方が好きです。
童心ではやはり「折れた剣」がなによりでしょう。

No.3 10点 Tetchy
(2008/09/19 21:24登録)
私は『シャーロック・ホームズの冒険』よりもこちらを断然推す。
ミステリとして今なお燦然と煌めく至高の短編集。
どれも大胆な発想と奇想、そして知的な逆説に満ちたミステリとなっている。

その中でも特に「奇妙な足音」、「見えない男」、「折れた剣」は有名かつ大傑作であり、その影響は今なおミステリシーンに君臨している。
「神の鉄槌」、「アポロの眼」は今読むとプロパビリティや技術の発達で苦笑を禁じえない結末だが、それもご愛嬌。
一番チェスタトンらしさが醸し出されているのは「イズレイル・ガウの誉れ」に見る狂気にも似た真相だろう。

最初に手に取る人は「青い十字架」の読みにくさと子供だましのような真相に戸惑いを覚え、本を再び手に取るのを躊躇うかもしれない。
しかし続く「秘密の庭」で驚かされ、その次の「奇妙な足音」でチェスタトン・マジックにまんまと嵌るだろう。
そこからはもう止められないこと請合おう。

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