皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
sophiaさん |
|
---|---|
平均点: 6.94点 | 書評数: 370件 |
No.150 | 8点 | 夜よ鼠たちのために- 連城三紀彦 | 2017/03/15 23:28 |
---|---|---|---|
宝島社版の9編を読みました。最初の4編までは9点ないし10点の手応えを感じていたんですが、5編目の表題作であれ?という感じになりました。いわゆる叙述トリックものですが、人物誤認のさせ方が強引です。あんな書き方をしたらそれはみんな騙されるでしょう。「代役」もどんでん返しを狙いすぎて設定や展開に無理が生じています。あの男のどこにそんなにモテる要素があるのかが分かりませんでした。「ベイ・シティに死す」の恭子は何がしたいのか。この短編集で最も腹立たしい人物でした。ラストの「ひらかれた闇」は入れなくてよかったのでは。何か色々と痛々しかったです。
短編集全体の感想は、同じようなテイストの話が多いということです。ほぼ全ての話に「入れ替わり」が出てきます。中でも「奇妙な依頼」「二重生活」「代役」は着想がほぼ一緒のように感じました。ただでさえ複雑な話ばかりなのに、同じようなオチが続いて後半は段々と読むのがしんどくなっていきました。前半9点、後半7点でトータル8点といったところでしょうか。もう少し全体の緩急が欲しかったです。やはり「戻り川心中」には及ばないのではないでしょうか。 |
No.149 | 7点 | ジェゼベルの死- クリスチアナ・ブランド | 2017/02/20 18:21 |
---|---|---|---|
終盤に嘘を付く登場人物が続出して訳が分からなくなります。読み終わって思うのは、「あれ?赤騎士は結局誰だったの?」ということ。各人の証言のどこまでが本当でどこからが嘘かがはっきりしないから混乱します。ちょっと説明不足です。事件が起きたときの舞台上の人馬の動きもよく分からないんですよね。日本人には馴染みのない演劇だからでしょうか。あと、女流作家であれば男女の情愛をもっと深く描いてほしいと思いました。パーペチュアの故ジョニイへの思いがあまり感じ取れません。 |
No.148 | 6点 | パラレルワールド・ラブストーリー- 東野圭吾 | 2016/06/24 21:19 |
---|---|---|---|
タイトルの付け方絶対間違ってると思う。
内容は未来版の「こころ」と言ったところでしょうか。 |
No.147 | 7点 | ブラウン神父の童心- G・K・チェスタトン | 2016/06/15 23:00 |
---|---|---|---|
レギュラーになりそうだと思われた人物が最初の方で退場したのは衝撃的でした。
「飛ぶ星」は色々と説明不足で分かりにくかったです。 「神の鉄槌」は犯人が一歩も出ていないことをもっと強調した方がよかったように思います。 なお、創元推理文庫で読みましたが、表現がまどろっこしい上に訳も古臭いので大変読みにくかったです。 そろそろ新訳を出した方がいいのではないでしょうか。 |
No.146 | 7点 | 展望塔の殺人- 島田荘司 | 2016/06/05 01:54 |
---|---|---|---|
島田荘司の悪いところ(笑)を詰め込んだような短編集。正気で書いたのか疑いたくなるような話が多く、それ故に「面白い」です。「発狂する重役」なんて読んでるこっちが発狂しそうですよ(笑)ただ、初読み時の衝撃は大きいですが、久々に再読するとイマイチに感じてしまうのは各短編のクオリティ自体がそんなに高くないからなんでしょうかね。最近気付きましたが、表題作「展望塔の殺人」は実は「奇想、天を動かす」と同じ構図をしているんですね。
ちなみにこれ光文社文庫吉敷竹史シリーズに入れられてますが、6作中2作にしか登場しませんし、内1作は吉敷じゃなくても刑事なら誰でもいい感じですし、無理やりな分類ですね。 |
No.145 | 7点 | 人格転移の殺人- 西澤保彦 | 2016/06/04 15:53 |
---|---|---|---|
真相の性質は「七回死んだ男」と似通ったところがありますが、こちらはややアンフェアかもしれませんねえ。
逃げ込んだメンツや(=誰)の部分を客観的事実と捉えて読んじゃいましたから。 「七回死んだ男」を超えられないのはやはりその辺りでしょうか。 文庫本裏表紙のあらすじの「6人が逃げ込んだ先」もギリギリの表記ですね。 |
No.144 | 7点 | トキオ- 東野圭吾 | 2016/05/31 22:48 |
---|---|---|---|
最後の一行のための作品。
そこで感動できなければアウト。 文庫化に際して「時生」と改題して正解だと思います。 |
No.143 | 8点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 | 2016/05/31 22:40 |
---|---|---|---|
内容が凄いわけではないのですが、これは凄い。 |
No.142 | 9点 | 七回死んだ男- 西澤保彦 | 2016/05/31 19:38 |
---|---|---|---|
よく考えてありますね。
ちゃんちゃんこの伏線に感心しました。 SFミステリーという括りの作品では一番面白かったです。 |
No.141 | 5点 | 螢- 麻耶雄嵩 | 2016/05/28 19:20 |
---|---|---|---|
陳腐でしかも荒っぽい叙述トリック。読んでいて違和感を感じない人はいないでしょう。○○の主観描写だとすると明らかにおかしなところがいっぱいありますから。もう一つの叙述トリックに関しても、だからなに?という感じですし。これらの小細工は正直言って無い方がよかった。それよりもホラー部分をもっと掘り下げて欲しかったです。
もう一つ、○○が殺人鬼ジョージだったという事実がどうも受け入れられない。そういう裏表がありそうな人物には描かれていなかったので、唐突な感じがしました。 |
No.140 | 9点 | 乱れからくり- 泡坂妻夫 | 2016/05/27 18:08 |
---|---|---|---|
玩具の解説や玩具の歴史的な部分は飛ばし読みしていかないとなかなかきついことになります。しかし宇内さんは有能すぎです。警察は惜しい人材を失いましたね。 |
No.139 | 6点 | 暗黒館の殺人- 綾辻行人 | 2016/05/25 19:56 |
---|---|---|---|
伏線が山のように出て来るので、このあまりに長大な作品を読むに記憶力がとても追い付かず、メモを取りながら読んだことを覚えています。本格ミステリーを読む際にそのようなことをしたのは今のところこの作品だけです。宮部みゆきとかにも言えますが、もっと短くまとめていただきたいものです。 |
No.138 | 10点 | 生ける屍の死- 山口雅也 | 2016/05/20 00:16 |
---|---|---|---|
SFと本格ミステリーが融合した奇跡的な傑作。
全編に散りばめられたユーモアがまた心地よい。 この作者はこの一作を世に出しただけで天晴れだと思います。 ほったらかしにされた(と思われる)伏線があるのが少し気にはなりますが目を瞑ります。 |
No.137 | 6点 | ユダの窓- カーター・ディクスン | 2016/05/17 22:44 |
---|---|---|---|
去年出た創元推理文庫を読みました。訳が読み易くてよかったです。
内容については、「三つの棺」と同じく大きな瑕疵がありますね。間違えますかねえ・・・二人いること、同じところに住んでいることは分かっていたはずなのに。この作者の作品は偶然によって事態が複雑になることが多いですね。H・M卿の言葉を借りれば「この世の出来事のとんでもない行き違い」ですか。 密室に関しても取り立てることもない物理トリックでしたし、法廷闘争を楽しむ作品と考えた方がよさそうです。しかし評価高いんですね。 |
No.136 | 6点 | ポアロのクリスマス- アガサ・クリスティー | 2016/05/13 01:31 |
---|---|---|---|
この作品の犯人は絶対に忘れられないが、犯人以外何も思い出せない。 |
No.135 | 4点 | 青列車の秘密- アガサ・クリスティー | 2016/05/13 01:07 |
---|---|---|---|
複雑な割に面白くなかった記憶があります。
クリスティ初期ではだいぶ下の方なのでは。 |
No.134 | 7点 | 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー | 2016/05/11 01:26 |
---|---|---|---|
早川書房の新訳版を読みましたが、決して読み易くはなかったです。
この作品の最大の瑕疵はやはり時刻に関する部分ですよねえ。誰も気付かなかったというのは苦しい。ここを可とするか不可とするかが評価の分かれ目になりますかね。足跡を残さずに家に入った方法も読者には推理不可能でしょう。フェル博士が被害者の来歴を推理する箇所も論理が飛躍しすぎです。あとこの作家は錯覚のトリックに○を使うのが好きなんでしょうか。 最後に本筋とは関係ないですが、この作品にテッド・ランポールという人が存在する意味はあったんでしょうか。フェル博士やハドリー警視とずっと行動を共にしているようなのに、何かの伏線なのかと思うほど存在感が全くない。 |
No.133 | 9点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2016/05/04 03:54 |
---|---|---|---|
天才数学者が人の心は計算できなかったという悲劇を描いた作品。
警察の身元確認が杜撰なのはご愛嬌。 しかしこういう「芝居でした」的なギミックが好きですよねこの方は。 |
No.132 | 6点 | 黒いトランク- 鮎川哲也 | 2016/04/28 03:11 |
---|---|---|---|
個人的にはこういうちまちました作品はそんなに好みではないので読むのがしんどかったですし、真相もあまり驚けなかったです。その時点でそうだったんなら、そこから後の追跡調査は全部無駄じゃないかという徒労感の方を強く感じまして。「りら荘事件」もそうでしたが、動機がぶっ飛んでますね。こちらの作品はもう少し社会派色が強いものだと思っていたので意外に感じました。それにしても「中身を入れ替える時間はなかった」という最後の砦が崩せていないのになぜ犯人だと断定してしまったのか、そしてなぜ犯人も白旗を上げてしまったのか謎です。 |
No.131 | 5点 | びっくり館の殺人- 綾辻行人 | 2015/07/20 18:25 |
---|---|---|---|
暗黒館でげんなりして以来、約10年ぶりに館シリーズに手を付けました。
人形館のテイストに近いですね。 ミステリーランドレーベルだけあって読みやすさは抜群で、読者をしっかり引き付ける構成は良い。 あともうひとひねり何かあれば評価が上がったかもしれません。 今回の館の象徴になっている「びっくり箱」があまり関係なかったのが残念です。 奇面館に期待します。 |