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弾十六さん
平均点: 6.10点 書評数: 446件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.19 6点 Re-ClaM 第11号 ダブルデイ・クライムクラブとその歴史~History of "Doubleday Crime Club"- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2024/04/03 08:20
私は電子版を購入しました。元々は同人誌として2023年11月11日に発表されたもの。
次はコリンズ・クライムクラブを取り上げて欲しいなあ!(日本の創元クライム・クラブは「掲示板」にリストを載っけといたよ)

【特集】ダブルデイ・クライムクラブとその歴史~History of "Doubleday Crime Club"
[評論翻訳]エド・ハルス「クライムクラブの黄金時代、1928-1940」(三門 優祐 訳) ◆ とても面白い。なおThe Baffle Bookへの言及あり。やはり著者はジョン・T・コルターだった。(←誰?)
[訳者解題]クライムクラブの黄金時代 (三門 優祐) ◆クライムクラブ・セレクション(1928-1934)のリスト付き
[レビュー] John Stephen Strange "The Man Who Killed Fortescue"(1928) (三門 優祐)
【連載・寄稿】
・Queen's Quorum Quest(第46回)(林 克郎)#32 Lingo Dan(1903) by Percival Pollard
・A Letter from M.K.(第10回)(M.K.) 洋書ミステリ8冊の感想
①Franco Vailati "The Flying Boat Mystery"(1935)
② Arthur J. Rees "Tragedy at Twelvetrees"(1931)
③ Leonard Holton "The Devil to Play"(1974)
④ Eden Phillpotts "The Wife of Elias"(1935)
⑤ T. Arthur Plummer "Death Haunts the Repertoty"(1950)
⑥ Anne Nash "Cabbages and Crimes"(1945)
⑦ Esther Haven Fonseca "Death Below the Dam"(1936)
⑧ Cecil M. Wills "Then Came the Police"(1935)
・海外ミステリ最新事情(第12回)(小林 晋) CADS 90(2023-07)/復刊・新刊情報/クラシック・ミステリ原書新刊情報(2023/04-2023/9)
・こんな翻訳もあったのか(第2回)(黒田 明)◆ 主として戦前のマイナー雑誌に載った海外作家の短篇小説のリスト。アガサさんの『アクロイド』は『苦楽』1927-09〜10に分載、すごく早い!
・『アントニイ・バークリー書評集」第二期に向けての助走(三門 優祐)◆ 手始めに初期(1930年代のもの)のDaily Telegraph書評の掲載号一覧。そして書籍化の構想も。同人誌で出していただけるんなら電子版も出して欲しいなあ!
[レビュー]原書レビューコーナー(小林 晋)
・Michel Herbert & Eugène Wyl "Le crime derrière la porte"(1934)
・Noël Vindry "Un mort abusif"(1953)
・Billie Houston "Twice Round the Clock"(1935)
・Nap Lombard "Mother's a Swine"(1943)
・Herbert Adam "Exit the Skeleton"(1952)
・Patrick Laing "The Lady Is Dead"(1951)
・William Dale "The Terror of the Handless Corpse"(1939)
・K. D. Guiness "Fisherman's End"(1958)
・Thorp McClusky "Weird Tales Nobility"(2023) ◆短篇集

次号は2024年5月の文学フリマ東京38だそうです。地方在住者としては電子版を早く出していただけると助かります!

No.18 6点 ぷろふいる 昭和11年9月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2024/03/24 08:23
私は当該雑誌「ぷろふいる」を読んでないのですが、おっさんさまがフィーチャーしたRichard Connell作 "A Flash of Light"(初出Redbook Magazine 1931-06)が読みたくなって、悔しいので原文で読んでみました(おっさんさまに確認いただいたところ、これが「いなづまの閃き」で間違いないとのこと)。
以下は「掲示板」の再録ですが、今後のみなさまの参考に。

原文は、幸いWebサイトInternet Archiveに雑誌Redbook当該号の全ページが白黒コピーでアップされていたので無料で読めました。なお辿り着くにはやや難しいところがあるようなので、お馴染みのすごく便利なWebサイトFictionMags Indexから飛ぶのが便利です。
まずトップページwww.philsp.com/homeville/gfi/0start.htm#TOCにあるPrimary Indexes:直下の作者名リストby Nameから作者名を探して、アルファベット順の作品リストから当該作品(A Flash of LightはFのところ)を見つけてください。作品の掲載雑誌のリンク(Redbook Magazine June 1931)をクリックすると、雑誌のページが開きます。そこのFULL TEXT(緑色表示)を押すと、internet Archiveの該当ページに飛ぶはず。

短いし平明な英語なので、根気のない私でもすぐ読めました。

ゾクゾクする不可能状況、秘められたトライアングル、そして引用されるチェスタトン!まさにJDCな作品でした。解決も「うわあ!何それ!」でマニア受けしそう。
1931年なのでJDCの影響、というよりチェスタトンの影響大なんでしょうね。「ぷろふいる」の翻訳にはチェスタトンという固有名詞は翻訳されてたのかなあ…

翻訳したいなあ、と書いたら、本サイトの重鎮お二人から誠に光栄なご助言をいただいたのですが、「ぷろふいる」翻訳が1936年なので10年留保は使えません。(当時翻訳権をちゃんと取得してたのかはちょっと怪しい?)でも作者死亡が1949年なので戦時加算を含め保護期間は死後約81年、2030年には完全に著作権が消滅します。ここら辺、よく調べていませんが、旧規定(作者死後50年)が適用されるなら保護期間は約61年なので、もう既に著作権切れなのですが…

<追伸>
おっさんさま、「ぷろふいる」には伯父さんの名前が書いてありませんでしたか? 長篇Murder at Seaを調べていて愕然としたのですが、A Flash of Lightで見事な探偵ぶりをしめした伯父さんの名前はMatthew Keltonでした… これは長篇も読まなきゃ!

No.17 7点 Re-ClaM 第4号 F・W・クロフツの”Humdrum”な冒険- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2022/08/13 17:54
私は電子版を購入しました。元々は同人誌として2020年4月25日に発表されたもの。書籍版にはエドワード・D・ホックの短篇「ゴーストタウン」も掲載されていたらしいです。
最近、クロフツさんを徐々に読み進めていますので、嬉しい特集でした。淡々とした文体がクセになるんですよね。そして「当たり前のように真っ当な生活をしている市民たち」がクロフツさんの隠れテーマだと思います。

短篇小説は以下の三作が収録されてます。
(1) Dark Waters (初出: London Evening Standard 1953-9-21)「暗い川面」F・W・クロフツ、倉田 徹 訳◆ 創元『クロフツ短編集1』の収録作品のような小品。切れ味良し。
(2) The Fingerprints (初出: MacKill’s Mystery Magazine 1954-2)「指紋の罠」F・W・クロフツ、三門 優祐 訳◆ 同上。まあまあの作品。
(3) Lock Your Door「鍵をかけろ」アルジャナン・ブラックウッド、渦巻栗 訳 (初出はラジオ放送: BBC Home Service 1946-5-6)◆ ブラックウッドは、可愛い老嬢を活躍させるのが上手い。そしてブラックウッド自身が語るTV番組(1948年3月)がYouTubeで見られるとは!しかも綺麗な映像で!当時79歳で、発音がやや不明瞭なところもありますが、立派なモンです。

その他の記事は以下の通り。
【特集】F・W・クロフツの”Humdrum”な冒険
[レビュー]F・W・クロフツ全長編解題
[資料]F・W・クロフツ長編リスト◆今なら電子版についても触れるべきかも。
[特別寄稿]『樽』のミスを確認する(真田 啓介)◆鮎川の言う例のミスの解釈。1996年に発表された塚田よしと氏によるもの。私も同じこと思ってました!
[特別寄稿]短篇集『殺人者はへまをする』をじっくりと読む(小山 正)BBCラジオ・ドラマ ”Chief Inspector French’s Case”(1943-1945) 全リスト(18話)と”Here’s Wishing You Well Again”(1943-1944)のクロフツ担当部分の全リスト(5話)あり!
[論考]英米から見たF・W・クロフツ(三門 優祐)◆カーティス・エヴァンズ Masters of the “Hundrum” Mystery(2014)からクロフツについて紹介。
【連載&寄稿】
・Queen's Quorum Quest(第39回)(林 克郎)#65 Carrington’s Cases (1920) by J. Storer Clouston
・A Letter from M.K.(第3回)(M.K.)洋書ミステリ7冊の感想 ①Harry Carmichael “Put Out That Star”(1957)、②Inez Oellrichs “And Die She Did”(1945)、③Wallace Jackson “The Zadda Street Affair”(1934)、④A. Fielding “Scarecrow”(1937)、⑤Guy Morton “The Silver-Voiced Murder”(1933)、⑥Inez Haynes Irwin “The Poison Cross Mystery”(1936)、⑦Simon Stone “Murder Gone Mad”(1950)
・海外ミステリ最新事情(第5回)(小林 晋)フランスのミステリ研究誌/復刊・新刊情報/クラシック・ミステリ原書新刊情報(2019/10-2020/3)
・『ギャルトン事件』を読む(第1回 ロス・マクドナルドの比喩)(若島 正)
[レビュー]「原書レビューコーナー」(小林 晋)バンド・デシネJean Harambat “Le Detection Club”(2019)、Peter George “Cool Murder”(1958)、Van Siller “The Widower”(1958)、George Bellairs “The Four Unfaithful Servants”(1942)フランス語版による評価、George Bellairs “Calamity at Harwood”(1943)
[ニュース]真田啓介ミステリ論集 刊行に当たって(荒蝦夷 & 土方 正志)

No.16 5点 ミステリマガジン1984年5月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/30 01:02
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1984年5月号 <337>
短篇特集は「サスペンスフルな夜」と題して4篇。他に「クライム組曲」(意図不明)と題して7篇を収録。234ページ。定価580円。
表紙イラストは岡本 信治郎、表紙・扉・目次構成は島津 義晴と野々村 晴男。表紙にはMECHANICALの文字とゼンマイのネジ、今号のメインは男女が乗った手漕ぎボート、渦に飲み込まれ中。裏表紙の広告は大塚製薬 カロリーメイトとポカリスエット。
ダイアン・ジョンスンの『ハメット伝』は連載4回目、長篇時代(1927〜1928)が載ってる。やっとオプもの全てのBlack Maskヴァージョンを収録(長篇2作の雑誌掲載版を含む)した原書が届いたので、そのネタを絡めて下でコメントするつもり。青山『ハメットダッシュ』は低調。今回の目玉、都筑『出来るまで』に重大事件が記載されており、しばらく色々資料を漁ってみて、やっと謎が解けた。結構興味深いと思うので今回は問題篇として下に書き、次の6月号で解答篇を発表します。他、瀬戸川『睡魔/名作篇』はやはり見逃せない。リレー小説はセイヤーズが前号のお返しにシェリンガムで登場。
雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は14篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ Wild Mustard by Marcia Muller (初出HMM1984-5書き下ろし)「野生のからし菜」マーシャ・ミュラー 竹本 祐子 訳(挿絵 天野 嘉孝)
海外作家書き下ろしシリーズ第11回。シャロン・マコーンもの。
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⑵ Simple question d'humanite par Catherine Arley (初出Ellery Queen Mystère magazine 1974-12)「心優しい女」 カトリーヌ・アルレー 長島 良三 訳(挿絵 じょあな・じょい)
アルレーの短篇は非常に珍しい、とのコメント付き。仏Wikiには全部で11作がリストアップされている。ebayで見つけた仏EQMMの掲載号(no322)表紙はジェーン ・バーキンか? 同号にはCécile Lacrique, Michel Grisolia, Catherine Arley, Robert Twohy, Alfred Haïk, William Bankier, Vivran, Edward D. Hochの小説が載ってるようだ。残念ながらフランス小説のFictionMags Index風データベースをまだ見つけていない。
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⑶ Waltz by Cornell Woolrich (初出Double Detective 1937-11)「ワルツ」 コーネル・ウールリッチ 田口 俊樹 訳(挿絵 山野辺 進)
掲載誌がなぜDoubleなのか、と言うと長篇一冊分+雑誌一号分の小説が載ってるから、らしい。雑誌表紙にウールリッチの名前無し。
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⑷ The Fantastic Horror of the Cat in the Bag by Dorothy L. Sayers (初出The 20-Story Magazine 1925-5 as “The Adventure of the Cat in the Bag”)「鞄の中の猫」 ドロシイ・L・セイヤーズ 関 桂子 訳(挿絵 畑農 照雄)
20篇の小説が載ってるので20-Story誌。
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⑸ Lonely Place by Jack Webb (初出AHMM 1960-2, as by Douglas Farr)「桃の収穫の季節」 ジャック・ウェッブ 山本 俊子 訳(挿絵 金森 達)
AHMMのクレジットDouglas FarrはC. B. Gilfordのペンネームらしい。つまり俳優ジャック・ウェッブの名義貸しなのだろう。
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⑹ 「黒いレストラン 第2話 RはろくでなしのR」東 理夫 (挿絵 河原まり子)
連載ショートショート。今月の料理(レシピ付き)は生ガキ。
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⑺ Bon Voyage by Dan J. Marlowe (初出AHMM 1969-3, as by Jaime Sandaval)「よい旅を!」ダン・J・マーロウ 望月 和彦 訳(挿絵 つのだ さとし)
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⑻ Aftermath of Death by Talmage Powell (初出AHMM 1963-7)「死後の影響」タルメージ・パウエル 沢川 進 訳(挿絵 細田 雅亮)
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⑼ Here Lies Another Blackmailer by Bill Pronzini (初出AHMM 1974-6)「脅迫者がもう一人」ビル・プロンジーニ 山本 やよい 訳(挿絵 山野辺 進)
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⑽ Children at Play by Angus Greenlaw (初出AHMM 1966-7)「子供たちが遊んでいる」アンガス・グリーンロー 松下 祥子 訳(挿絵 畑農 照雄)
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(11) Object All Sublime by Helen W. Kasson (初出AHMM 1964-12)「崇高な目的」 ヘレン・カッスン 延原 泰子 訳(挿絵 楢 喜八)
本誌に英語タイトルの記載が無いが、FictionMags Indexでそれらしいのは上記だけ。
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(12) Intruder in the Maze by Joan Richter (初出EQMM 1967-7)「トウモロコシ畑の侵入者」ジョーン・リクター 秋津 知子 訳(挿絵 佐治 嘉隆)
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(13) Death of the Kelly Blue by Henry Slesar (初出AHMM 1968-11)「愛犬の死」 ヘンリー・スレッサー 橘 雅子 訳(挿絵 金森 達)
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(14) Ask a Policeman (単行本1933) リレー小説『警察官に聞け』連載第4回 「解答篇4 シュリンガム氏の結論」ドロシイ・L・セイヤーズ(Dorothy L. Sayers) 宇野 利泰 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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アームチェア・ディテクティヴ特約の評論
エッセイ・オン・ハードボイルド「伝統は死なず」マイクル・サイドマン 竹本 祐子 訳
モーリス・A・ネヴィルのジョナサン・ラティマー追悼文とともに。近年のハードボイルドについての小文。
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HMM OPENING FORUMとして
『春はかなしいのだ(乾 信一郎)』バードウォッチングの話。
『表情のある機械たち(日暮 修一)』古いカメラと模型の車の話。
『サラリーマンの乱調読書戦術(結城 信孝)』新聞社勤務のミステリ読書の一日の記録。
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Dashiell Hammett: A Life by Dian Johnson (1983)「ダシール・ハメット伝: ある人生」ダイアン・ジョンスン 小鷹 信光 訳 連載第4回「四つの長篇小説(1927〜1928)」以下の日本円換算は当時の米国消費者物価指数を2020年と比較して算出したもの。
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読み物は
『続・桜井一のミステリマップ: スペンサーのボストン』もーちょっと書き込めそうだが… まー全然読んだことないし、興味も無い。
『共犯関係(青木 雨彦)2 銀行員について』ご存知ディック・フランシス『名門』についていつもの雨彦節。
『フットノート・メロディ(馬場 啓一)17 ミステリに於ける食事について』
『ハメットにダッシュ!(青山 南)5 ヴァイタリティ』年代別作品数(1923-1926)の分析。コディ編集長との関係を理解しておらず、見当違いなことを書いている。1925年の作品は「なんか、どこか違う」という感じを受けてるのはスルドいのだが。
『推理作家の出来るまで(都筑 道夫)97 むずかしい仕事』ポケミスのセレクションも任されていた都筑は古い感覚の翻訳者に、注をつけて良いから飛ばさないで完訳して欲しいと依頼するのだが、その翻訳者は「全部ホン訳するとかえってわからなくなる」とうそぶいて全然反省せず、細かいところを抜いた翻訳を続ける。そのため3、4冊は福島正実が初校にびっしり赤入れをして本にした。次の仕事を依頼されなくなったその翻訳者は乱歩に泣きついたが、都筑が赤入りだらけのゲラを見せると流石に乱歩も了解した。さて、問題です。その古い感覚の翻訳者とは誰か? ヒント。新青年時代から翻訳している。乱歩や横溝と親しい。都筑編集時代の前に、ある作家の翻訳を依頼されていたらしく、次はこの作品、などと次々と言ってきた。(都筑は、その作品は既に別の人に依頼していまして…とことごとく断っていたようだ。)
『連載対談 田村隆一のクリスティー・サロン5 オリエント急行の魅力(小池 滋)』
『ペイパーバックの旅(小鷹 信光)17 クラーク・ハワードのThe Arm』
『アメリカン・スラング(木村 二郎)5 ヒット・パレイド』
『フィルム・レビュー(河原 畑寧)ヒッチコック・リヴァイヴァル』
『新・夜明けの睡魔/名作巡礼(瀬戸川 猛資)5』『赤毛のレドメイン』について。前半中盤は色あせていたが、最後のモノローグが素晴らしいという。前回の『僧正』でも似たようなことを言っている。強烈な犯人像がお好きらしい。
『名探偵登場(二上 洋一)17 探偵小説のからくり仕掛人:亜 愛一郎』
『愛さずにはいられない(関口 苑生)5 “性”少女は尊いか?』
『ミステリ漫画(梅田 英俊) 通行人『内面はわからんもんだなあ…』』
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Crime Fileとして海外ミステリ情報を
『Crime Column(オットー・ペンズラー)29 マイク・ハマー、TVに登場』『Mystery Mine(木村 二郎)名無しの作品ファイル』『Key Suspects(西村 月一)デクスターの新作に触るゾ』『ペイパーバック散歩(宮脇 孝雄)ロス・トーマスの「モーディダの男」』『製作中・上映中(竜 弓人)』
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HMM Book Review(書評コーナー)
『最近愉しんだ本(小泉 喜美子) 栄耀の餅の皮』『新刊評(芳野 昌之/香山 二三郎)』『みすてり長屋(都筑 道夫/瀬戸川 猛資/関口 苑生)』『ノンフィクション(高田 正純)』『日本ミステリ(新保 博久)』『チェックリスト&レビュー(山下 泰彦)』
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最後に
『響きと怒り』『編集後記(S/N/K)』

No.15 5点 ミステリマガジン1984年4月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/27 20:03
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1984年4月号 <336>
小特集は「女たちの殺人物語」と題して3篇。234ページ。定価580円。
表紙イラストは岡本 信次郎、表紙・扉・目次構成は島津 義晴と野々村 晴男。表紙にはMECHANICALの文字とゼンマイのネジが毎号描かれているようだ。今号のメインはベルリン風キャバレー・ダンサー。裏表紙の広告は大塚製薬 カロリーメイトとポカリスエット。
ダイアン・ジョンスンの『ハメット伝』は連載3回目、作家修行時代(1921〜1926)が載ってる。稿料について下で結構いろいろ書きました。他は都筑『出来るまで』と瀬戸川『睡魔/名作篇』はやはり見逃せない。リレー小説はバークリーがウィムジイ卿を引っさげて登場。
雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は10篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ “Murder by Dog” by Christianna Brand (初出HMM 1984-4書き下ろし)「人間の最良の友」 クリスチアナ・ブランド 中村 凪子 訳(挿絵 山野辺 進)
英語タイトルの記載がない。上記はWebサイト“ミステリー・推理小説データベース Aga-Search”にあったものを採用。
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⑵ Mary Postgate by Rudyard Kipling (初出Nash’s and Pall Mall Magazine 1915-9 挿絵Fortunino Matania; 米初出The Century Magazine 1915-9) 「メアリ・ポストゲイト」ラドヤード・キプリング 山本 俊子 訳(挿絵 佐治 義隆): 評価7点
コンパニオンについての話だと解説にあったが、そーなのか? こーゆー話を書くキプリングは只者ではないなあ。途中で泣きそうになりました。実にハードボイルドな文体。翻訳は不安定なのが残念。(最後のほう、ニュアンスを掴みかねてる匂いがする… しかしながら原文を読んでも私の英語力ではよくわからない…) Mataniaの素晴らしいイラストはWebで見つかるので是非。
p40 建物のすぐ裏手で銃声—と二人には聞こえた(a gun, they fancied, was fired immediately behind the house): このgunは大砲だろう。数行あとで「爆弾(A bomb)」と言っている。爆発音が、大砲を発射したようだった、ということ。
p42 鼻先が平になった弾丸(たま)をつめた大きな自動拳銃だった。この種のものは戦争のきまりで敵国の市民に対して使ってはならないことになっている…(a huge revolver with flat-nosed bullets, which latter, ... were forbidden by the rules of war to be used against civilised enemies): 試訳「大きなリボルバーと先端が平らな弾丸—それは…文明国の敵兵士に対して使用を禁じられているものだ…」ハーグ陸戦協定(1899)で定められた弾丸先端は固く尖っていなければならないルール、先端がフラットな弾丸は体内で潰れて拡がり、内部の損傷を悪化させ兵士を不必要に苦しめるためお互いにやめましょう、という国際協定。(野蛮人には適用されない。) この翻訳では意味が取りにくいし、「市民」ではなく「兵士」に対する規定だし(むしろ警察のほうが後ろの市民に2次被害を起こすのを避けるため体内を貫通しにくいフラットノーズ弾を使う)、リボルバーを自動拳銃と間違えている。
(2020-4-26記載)
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⑶ The Woman Who Loved a Moter-Car by Julian Symons (初出The Argosy(UK) 1968-10 挿絵David Knight)「モイラ — 車を愛した女」ジュリアン・シモンズ 水野谷 とおる 訳(挿絵 天野 嘉孝)
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⑷ The Belvedere by Jean Stubbs (初出”Winter's Crimes 3” 1971, ed. George Hardinge)「ファニー — 望楼」ジーン・スタッブス 山本 やよい 訳(挿絵 新井 苑子)
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⑸ Whip Hand by E. S. Gardner (初出Argosy 1932-1-23 as “The Whip Hand”) 「先手を打て」E・S・ガードナー 大井 良純 訳(挿絵 門坂 流)
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⑹ Captain Leopold's Gamble by Edward D. Hoch (初出AHMM 1980-11-19) 「レオポルド警部の賭け」 エドワード・D・ホック 木村 二郎 訳(挿絵 畑農 照雄)
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⑺ 「黒いレストラン 第1話 理想的な夫」東 理夫 (挿絵 河原まり子)
連載ショートショート。今月の料理(レシピ付き)はスプリング・ラム・レッグ・ロースト。
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⑻ A Piece of Cake by Ron Montana (初出AHMM 1981-3-4) 「ケーキの分け方」 ロン・モンタナ 竹本 祐子(挿絵 細田 雅亮)
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⑼ Passport in Order by Lawrence Block (初出AHMM 1966-2) 「逃げるが勝ち?」ローレンス・ブロック 和泉 晶子 訳(挿絵 楢 喜八)
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⑽ Ask a Policeman (単行本1933) リレー小説『警察官に聞け』連載第4回 「解答篇3 ウィムジイ卿の個人的助言」アンソニイ・バークリイ(Anthony Berkeley) 宇野 利泰 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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HMM OPENING FORUMとして
『連想ゲーム(岡嶋 二人)』二人三脚の作家の秘密を公開。
『世界のミステリ作家を撮る(南川 三治郎)』文藝春秋のグラビアになった作家たち。撮影の苦労話。実家で文藝春秋を毎号とってたので懐かしいなあ。掲載号は捨てちゃったかな?
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Dashiell Hammett: A Life by Dian Johnson (1983)「ダシール・ハメット伝: ある人生」ダイアン・ジョンスン 小鷹 信光 訳 連載第3回「修行時代—サンフランシスコ(1921〜1926)」以下の日本円換算は当時の米国消費者物価指数を2020年と比較して算出したもの。1921年末のピンカートンからの日給は6ドル(=9504円、フル稼働で月額約24万円)。『マルタの鷹』のプロットはヘンリー・ジェイムズの『鳩の翼』(1902)がヒントだ、という。しかもハメットがジェイムズ・サーバーにそう言ったらしい。『鷹』の前にぜひ読まなくては。しかし内面描写溢れるヘンリー・Jの文章がハメットに(逆の)影響を与えた、というところがとても興味深い。復員局補償金はタコマ時代の最悪期(1919か1920か)に月額80ドル(=13万円、1919年基準)、回復期病院転院時に40ドルになり、退院後(1921年5月頃)は20ドル(=31680円)に下げられた。1922年に遡及適応される追加補償金月額2ドル50セント(=4208円)を勝ち取り(合計額16ドル21セント…何の合計?)、1924年4月末に遡及適応される月額51ドル68セント(=81034円)を得る。しかし5月で打ち切り。Black Mask1924年8月に掲載されたハメットの詫び状、ずいぶん気弱な感じ。(小鷹さんは「ハメット唯一の見苦しい文章」と評している。) 体調がよっぽど悪かったのか。ボブ・ティール殺し(突っ返されたThe Question’s One Answerのことだと思う。結局、別の雑誌に載った)、そんなに酷い作品かなあ? 1926年7月、結核で血を吐いて倒れた時、復員局補償金月額90ドル(=14万円)を得た。パルプ雑誌での稿料は1語2セント。
※ パルプの稿料について、Richard Laymanの”Corkscrew and Other Stories”序文(2016)によると、Black Maskは渋かったらしく(記録が残っていないが)ハメットは1語1セントだったようだ。(他のパルプ雑誌のスター作家は20年代中盤に1語2セント、後半には3セントになったという) ハメットが1語2セントに昇格したとすればショー編集長時代か? (1926年コディ編集長は稿料の値上げを拒否しハメットはBlack Maskを去る。この時、ガードナーが自分の稿料を削ってハメットに上乗せしろ!と提案したのは有名な話。ガードナーにここまで言わせるコディって結構なヤツだったのでは?) ハメット短篇の語数はサットン編集長時代は2篇を除き6000語以下、コディ時代は14000語。1語1セント、14000語として140ドル(=22万円、1926年基準)。比較の対象にはあまりならないが、新人作家フィッツジェラルドがSaturday Evening Post初短篇(1920)で400ドル(=64万円)。気前の良いポスト誌の稿料とは言え、新人作家と約3倍の差。ハメットが自作を「屑」と卑下する気持ちもわかりますよね…
ところで上述の序文を読んで初めて気づいたのだが(←何のために年代順に読んでたんだろうねえ)、サットン時代のオプものには派手な銃撃戦などは全然ない(例外はBodies Piled Up)。死体とアクションが山盛りになるのはコディ時代。よく考えると、コディが掲載拒否した2作のいずれにもそーゆー場面が登場しない。お馬鹿なコディ&副編ノースには作品の品質より血みどろさがウケるということしか理解出来なかったのだろう。(ハメット詫び状の妙なへりくだりぶりは、お前ら、そんなに文章が読めないのかよ?という皮肉だったのか、と腑に落ちました。)
(この項目、2020-4-28大幅に追記)
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読み物は
『続・桜井一のミステリマップ: ワインは死の香り』地図が大雑把すぎる…
『共犯関係(青木 雨彦)1 女神について』映画『ディーバ』についていつもの雨彦節。
『連載対談 田村隆一のクリスティー・サロン4 ジェーン ・オースティンの伝統(小池 滋)』
『ペイパーバックの旅(小鷹 信光)16 M・E・チェンバーのMilo Marchシリーズ』
『アメリカン・スラング(木村 二郎)4 ダウンタウン物語』『フィルム・レビュー(河原 畑寧)「ジョーズ3」の立体度は?』この頃、また3Dがちょっと流行ってたらしい。
『ロジャー・L・サイモンの東京日記(木村 二郎)』『名探偵登場(二上 洋一)16 おしどり探偵—シンとマユコ』『フットノート・メロディ(馬場 啓一)16 ミステリに於ける船旅について』
『ハメットにダッシュ!(青山 南)4 銀色の目の女』『血の収穫』はつまらないがオプものの中短篇は無類に面白い、という感想。
『推理作家の出来るまで(都筑 道夫)96 馬小屋図書館』今回は特許すべき事なし。
『愛さずにはいられない(関口 苑生)4 少年よ試練の壁に耐えてタテ!』
『新・夜明けの睡魔/名作巡礼(瀬戸川 猛資)4』ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』ほとんどSF的にクレイジー、と評している。
『ミステリ漫画(梅田 英俊) 没頭…ってことでしょうかね』
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Crime Fileとして海外ミステリ情報を
『Crime Column(オットー・ペンズラー)28 伝統的“ハードボイルド”の図式』『Mystery Mine(木村 二郎)世界まるごとジョン・D・マクドナルド』『Study in Mystery(山口 勉)カセットで聴くミステリ案内』カセットの時代か。懐かしい…『外国の出版社めぐり9 モロー社』『ペイパーバック散歩(宮脇 孝雄)W・マーシャルの「骸骨詐欺事件」』『製作中・上映中(竜 弓人)』
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HMM Book Review(書評コーナー)
『最近愉しんだ本(紀田 順一郎)劇画的ホラ話の傑作』『新刊評(芳野 昌之/香山 二三郎)』『みすてり長屋(都筑 道夫/瀬戸川 猛資/関口 苑生)』『ノンフィクション(高田 正純)』『日本ミステリ(新保 博久)』『チェックリスト&レビュー(山下 泰彦)』
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最後に
『響きと怒り』『編集後記(S/N/K)』

No.14 5点 ミステリマガジン1984年3月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/26 09:44
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1984年3月号 <335>
1983年翻訳ミステリ回顧。特集は「罠をしかけろ!」と題して騙し小説を4篇。234ページ。定価580円。
表紙イラストは岡本 信次郎、表紙・扉・目次構成は島津 義晴と野々村 晴男。表紙にはMECHANICALの文字とゼンマイのネジが毎号描かれているようだ。今号のメインは女流飛行士、飛行機の後部が見えている。裏表紙の広告は大塚製薬 カロリーメイトとポカリスエット。
ダイアン・ジョンスンの『ハメット伝』は連載2回目だが、私が一番興味がある作家以前を書いた第2〜3章(ほぼ全文らしい)が載ってるので、下の方でトリビアも含め詳しく検討。他は都筑『出来るまで』と瀬戸川『睡魔/名作篇』が見逃せない感じ。田村隆一対談にはカンシンシロー先生(乾 信一郎、昔「信四郎」というペンネームも使ってたことから)登場、新青年時代の興味深い話。(詳細は下で)
雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は11篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ Last Year's Murder by Edward D. Hoch (初出HMM 1984-3書き下ろし)「去年の殺人」エドワード・D・ホック 木村 二郎 訳(挿絵 深井 国)
国さんのイラストが素晴らしい。短篇の価値五割増し。
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⑵ Hurry, Hurry, Hurry! by Paul Gallico (初出Everywoman’s Magazine 1957-1 as “The Faker”)「急げや急げ」ポール・ギャリコ 松下 祥子 訳(挿絵 天野 喜孝)
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⑶ Emergency Exit by Michael Gilbert (初出Argosy(UK) 1968-9 as “Mr. Calder Acquires a Dog” 挿絵David Nockels)「非常出口」 マイケル・ギルバート 汀 一弘 訳(挿絵 野中 昇)
コールダー&ベーレンズ(Daniel John Calder & Samuel Behrens)もの。なお初出のArgosyは同名の米国雑誌とは関係ないらしい。ヘンリー・ウッド夫人のThe Argosy誌(1865-1901)とも繋がりはない。
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⑷ One Down by Carroll Mayers (初出AHMM 1981-4-1)「ワン・ラウンド終了」キャロル・メイヤーズ 嵯峨 静枝 訳(挿絵 細田 雅亮)
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⑸ A Deal in Overcoats by Gerald Kersh (初出Playboy 1960-12 as “Oalámaóa”)「厚塗りの名画」 ジェラルド・カーシュ 山本 やよい 訳(挿絵 楢 喜八)
詐欺師カーミジン(Karmesin)もの。
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⑹ The Iron Collar by Frank Sisk (初出AHMM 1965-6)「鉄のカラー」フランク・シスク 秋津 知子 訳(挿絵 佐治 嘉隆)
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⑺ Hérédité chargée par Frédéric Dard (初出Ellery Queen Mystère Magazine[仏EQMM]1958-2)「悪い遺伝」 フレデリック・ダール 長島 良三 訳(挿絵 じょあな・じょい)
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⑻ La main heureuse par Louis C. Thomas (初出不明)「つき」ルイ・C・トーマ 長島 良三 訳(挿絵 細田 雅亮)
Louis C. Thomas(1921-2003)の長篇デビューは1953年のJour des morts(Thomas Cervion名義)。
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⑼ Dream of a Murder by C. B. Gilford (初出AHMM 1965-5)「殺人の夢」 C・B・ギルフォード 坂口 玲子 訳(挿絵 畑農 照雄)
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⑽ A Burning Issue by Susan Dunlap (初出AHMM 1981-4-1)「後のまつり」 スーザン・ダンラップ 栗山 康子 訳(挿絵 天野 嘉孝)
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(11) Ask a Policeman (単行本1933) リレー小説『警察官に聞け』連載第3回 「解答篇2 サー・ジョン、きっかけをつかむ」グラディス・ミッチェル(Gladys Mitchell) 宇野 利泰 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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HMM OPENING FORUMとして
『インスタント・ママ、奮戦す(深町 眞理子)』高校生の甥を預かることになった独身翻訳家。1990年から翻訳者冥利に尽きる大仕事、と予告。ホームズ全集のことでしょうね。『小説『1984年』のミステリー(新庄 哲夫)』オーウェルは探偵小説の愛読者だったか?『下町のお正月(日影 丈吉)』深川の昔の正月風景から。
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Dashiell Hammett: A Life by Dian Johnson (1983)「ダシール・ハメット伝: ある人生」ダイアン・ジョンスン 小鷹 信光 訳 連載第2回「少年—青年時代(1894〜1921)」
私の興味はいつも「その人が完成する前」にある。功成り名遂げてしまった後の話は「あとは皆さんご存知の通りで…」で十分。そんな大事な部分がこの程度(雑誌で14ページ足らず)しか書かれていないのは残念。資料が少なく関係者の証言などは拾えなかったのか。以下の日本円換算は当時の米国消費者物価指数を2020年と比較して算出したもの。
ハメットはボルティモア育ち。当時の人口は508,957(1900年全米6位, Webページ “Population of the 20 Largest U.S. Cities, 1900–2012”による) 14歳(1908)で経済的窮乏で学校を辞めた。1915年頃にはピンカートンの事務員からオプに昇格、週給21ドル(=58968円、月額25万6千円)。西部に派遣されるようになり、一泊50¢か$1(=2808円)の宿で出張をこなした。1918年6月頃、陸軍に志願し、救護自動車小隊(Motor Ambulance Corps)に配属。1918年10月にスペイン風邪に感染。1919年5月、兵役不適格者に認定され、月額40ドル(=65560円)の恩給付きで除隊。ピンカートンに戻るも体調不良で[1919年?]秋にタコマで就労不能の宣告を受ける。銃を発砲し人を傷つけた経験はピンカートン社時代の警備任務時のたった1度だけらしい。
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読み物は
『続・桜井一のミステリマップ: 隅の老人のロンドン』全然、ひねこびて無いので肖像はペケ。ポリーの髪型も当時の英国女性風ではないと思う。
『連載対談 田村隆一のクリスティー・サロン3 新青年のクリスティー(乾 信一郎)』当時タイトルは訳者が勝手につけ、原文も訳者持ち込みだった、という。英国赴任の官僚には探偵小説の読書が義務付けられている、という噂があった。(当たり障りのない会話ネタとして当時使われていたらしい) 途中、田村隆一が、割り箸のせいで森林が破壊されてる!と関係ない話題で一人盛り上がっている。当時の日本の普通の新進作家は初版300部。
『ペイパーバックの旅(小鷹 信光)15 ハント・コリンズの処女作Cut Me In(The Proposition)』エヴァン・ハンターの筆名。
『アメリカン・スラング(木村 二郎)3 ミッキー・マウスがうようよ』『フィルム・レビュー(河原 畑寧)古典的な図式をまもる『銀河伝説クルール』』『名探偵登場(二上 洋一)15 カニさんウマさん名コンビ—蟹沢警部補と相馬刑事』
『新・夜明けの睡魔/名作巡礼(瀬戸川 猛資)3』ミルン『赤い館の秘密』瀬戸川さんもネタバレ嫌い派のようなのでチャンドラーに全面的に同意、と書いて詳しく検討してない。本格ものとして評価しないが好き、という立場。ううむ。瀬戸川さんには父との確執があったのかな?
『ハメットにダッシュ!(青山 南)3 インタルード—ハメット円環』個人的連想ゲームが上手く繋がると嬉しいよね、という青山 南らしいネタ。
『推理作家の出来るまで(都筑 道夫)95 鬼たちの反発』本国から怒られたクリスティー特集は1956年12月号〈6〉。海外版掲載権は作品別に指定されているのか… 当時の翻訳の稿料が明記されている。超トップで四百字250円、ひとりかふたり。200円が何人か。150円が普通だった。新人は120円くらい。社内の場合は100円。当時の挑発的な日本ミステリ界への提言は意図的に、刺激的に書いていた、という。(まーそれは読めばわかる)
『愛さずにはいられない(関口 苑生)3 少年、おい、安っぽくなるなよ』『フットノート・メロディ(馬場 啓一)15 ミステリに於けるドラッグについて』『ミステリ漫画(梅田 英俊) 縄縛』
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1983年翻訳ミステリ回顧、として
『アンケート 私のベスト3』作家・評論家・翻訳家38人の回答。
『リレー対談「本格は当り年、冒険はやや不作」(吉野 昌之VS瀬戸川 猛資/北上 次郎VS香山 二三郎)』
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HMM Book Review(書評コーナー)
『最近愉しんだ本(森 詠)燃えさかる火のそばで』『新刊評(芳野 昌之/香山 二三郎)』『みすてり長屋(都筑 道夫/瀬戸川 猛資/関口 苑生)』『ノンフィクション(高田 正純)』『日本ミステリ(新保 博久)』『チェックリスト&レビュー(山下 泰彦)』
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Crime Fileとして海外ミステリ情報を
『Crime Column(オットー・ペンズラー)27 ‘83年秋の注目作紹介』『Mystery Mine(木村 二郎)栄光のパルプたち』『Study in Mystery(山口 勉)新作ミステリ予告篇』『外国の出版社めぐり8 ハッチンソン社』『ペイパーバック散歩(宮脇 孝雄)スティーヴン・キング「異なれる四季」』『製作中・上映中(竜 弓人)』
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最後に
『響きと怒り』『編集後記(S/N/K)』

No.13 5点 ミステリマガジン1984年1月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/25 22:27
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1984年1月号 <333>
女流作家特集。234ページ。定価580円。
表紙イラストは岡本 信治郎、表紙・扉・目次構成は島津 義晴と野々村 晴夫。表紙はMECHANICALの文字、銃を発射する探偵(自動人形?)とゼンマイのネジ。裏表紙の広告は大塚製薬 カロリーメイトとポカリスエット。
フィリップ・ロスの翻訳などでお馴染み(じゃないかなあ)青山 南の「ハメットにダッシュ!」の連載があったのを思い出し、単行本化されてないようなので、掲載年のHMMを大人買い。新たな発見があったけど、昔好きだった青山 南の筆風が今の好みからかなり外れていることに気付いてちょっとショック… 特集の女流作家ではセイヤーズの現行本が『ピーター卿の事件簿』しかないのは残念!いつか全貌を…と張り切ってる浅羽姉さん、これもその後の展開を知るものにとっては感慨深い…
雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は12篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ A Machine to Say Hello by Henry Slesar (初出 HMM 1984-1書き下ろし)「ハローという機械」ヘンリイ・スレッサー 朝倉 隆男 訳(挿絵 細田 雅亮)
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⑵ Means of Evil by Ruth Rendell (単行本1979)「悪の手段」ルース・レンデル 深町 眞理子 訳(挿絵 山野辺 進)
ウェクスフォード主任警部もの。
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⑶ Akin to Love by Christianna Brand (初出Rogue 1963-4)「愛に似て…」クリスチアナ・ブランド 吉野 美恵子 訳(挿絵 中村 銀子)
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⑷ Silence Burning by Helen McCloy (単行本“The Singing Diamonds” 1965)「八月の黄昏に」 ヘレン・マクロイ 嵯峨 静枝 訳(挿絵 佐佐木 豊)
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⑸ Cardula and the Locked Room by Jack Ritchie (初出AHMM 1982-3-31)「カーデュラと鍵のかかった部屋」 ジャック・リッチー 島田 三蔵 訳(挿絵 畑農 照雄)
ジャック・リッチー(1922-1983)追悼。
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⑹ The Vindictive Story of the Footsteps That Ran by Dorothy L. Sayers (初出 単行本“Lord Peter Views the Body” Gollancz 1928)「逃げる足音」 ドロシイ・L・セイヤーズ 浅羽 莢子 訳(挿絵 佐藤 喜一): 評価5点
ピーター卿もの。仲良くバンターを連れて友人宅へ。二階の足音が気になるピーター卿。謎に魅力が無く平凡作。
p118 誘われても主人と食卓を共にしないバンター: 執事道を追究する男。
p118 一九二一年の平和な夏の日曜の午後(a Sunday afternoon in that halcyon summer of 1921): 本作冒頭のピーター卿の言動からWhose Body事件(私の推定では素直に読めば1920年だが他の情報から考えると1921年か1922年の「11月」)の後っぽい。ピーター卿最初の事件アッテンベリー事件は公式発表によると1921年(季節不明)なので、その後に遭遇した事件だとすれば、一応、年代記に収まるものの、繋がりが悪い。作者の念頭にはWhose Bodyの当初の設定年である1920年があったのだろう。
(2030-4-25記載; 2020-4-26修正)
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⑺ The Golden Girl by Ellis Peters (初出This Week 1964-8-16)「黄金の娘」 エリス・ピーターズ 山本 俊子 訳(挿絵 天野 喜孝)
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⑻ The Listening by Celia Dale (初出AHMM 1981-6-22)「聞こえる」 シリア・デイル 大村 美根子 訳(挿絵 佐佐木 豊)
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⑼ The New Broom by Donald Olson (初出AHMM 1981-10-14)「新米掃除婦」 ドナルド・オルスン 山本 やよい 訳(挿絵 細田 雅亮)
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⑽ Inspector Gothe and the Miracle Baby by H. R. F. Keating (初出Catholic Herald 1970-12-4 as “Inspector Ghote and the Dangerous Baby”)「ゴーテ警部と奇跡の赤ん坊」H・R・F・キーティング 望月 和彦 訳(挿絵 畑農 照雄)
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(11) My Christmas Carol by Budd Schulberg (初出不明)「わたしのクリスマス・キャロル」バッド・シュールバーグ 沢川 進 訳(挿絵 中村 銀子)
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(12) Ask a Policeman (単行本1933) リレー小説『警察官に聞け』連載第1回 問題篇 ジョン・ロード(John Rhode)
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HMM OPENING FORUMとして
『カトリーヌ・アルレー会見記(長島 良三)』来日した機会にインタビュー。アルレーはアイリッシュとハドリー・チェイスから影響を受けた、と言っている。『海原翔ける淑女たち(高橋 泰邦)』大阪帆船祭りの記事。8カ国10隻が集ったイベント。
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読み物は
『第14回バウチャーコン(E・D・ホック/早川 浩)』ニューヨーク開催のレポート。『続・桜井一のミステリマップ: ゴーリキー・パーク』人気企画の連載再開!『メグレのパリ(長島 良三)最終回 パリの女』街娼のインタビュー。『新・夜明けの睡魔/名作巡礼(瀬戸川 猛資)1』あらためて古典を振り返る試み。第1回目は総論。『フットノート・メロディ(馬場 啓一)13 ミステリに於けるブランデーについて』
『ハメットにダッシュ!(青山 南)1 ハンプティ・ダンプティ』オプがチビで小太りだというのに気付いてびっくりしている。
『推理作家の出来るまで(都筑 道夫)93 また多町がよい』EQMM日本語版、刊行前夜のドタバタ。表紙の抽象画採用はポケミスの成功体験から。翻訳者名は田村隆一案では小説の終わりにカッコで記す予定だったが乱歩に反対され撤回となった。誤訳やデタラメ訳が多かった従前の慣習を引きずらなくて良かった、と都筑は感じている。準備の途中で田中 潤司がいなくなった事情はうやむや。
『ジャック・リッチーを悼む(木村 二郎/丸本 聰明)』『連載対談 田村隆一のクリスティー・サロン1 ディクタフォンの秘密(数藤 康雄)』ファンクラブ結成のきっかけを語る。『ペイパーバックの旅(小鷹 信光)13 ジム・トンプスンのThe Killer Inside Me』この時点でポップ1280未読だったとは。『アメリカン・スラング(木村 二郎)1 私立探偵が多すぎる』『フィルム・レビュー(河原 畑寧)二重底の仕かけ』『ミステリがボクを育ててくれた(東 理夫)24 一年一度、一念発起』『愛さずにはいられない(関口 苑生)1 子供の顔は請求書』『名探偵登場(二上 洋一)13 白晢美貌の天才探偵 神津 恭介①』
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Crime Fileとして海外ミステリ情報を
『Crime Column(オットー・ペンズラー)25 探偵はルネッサンス型からスペシャリスト型へ』『Mystery Mine(木村 二郎)尋問自供パート2』『A J H Review(アレン・J・ヒュービン)‘82年下半期の評判作』『ペイパーバック散歩(宮脇 孝雄)P・ディキンスンの「ツルク」』『製作中・上映中(竜 弓人)』
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HMM Book Review(書評コーナー)
『最近愉しんだ本(石川 喬司)裸の特異点』『新刊評(芳野 昌之/香山 二三郎)』『みすてり長屋(都筑 道夫/瀬戸川 猛資/関口 苑生)』『ノンフィクション(高田 正純)』『日本ミステリ(新保 博久)』『チェックリスト&レビュー(山下 泰彦)』
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最後に『響きと怒り』『編集後記(S/N/K)』

No.12 5点 EQMM日本語版 1957年4月号 <10>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/25 21:07
表紙は勝呂 忠。広告は裏表紙1ページ色刷り「住友海上火災」、裏表紙の内側1ページ白黒「江戸川 乱歩 海外探偵小説作家と作品」予約注文すると乱歩署名本が手に入るという。
定価100円(地方103円)、132ページ。
カットは吉田 政次。
古い作品が多くて嬉しい号。編集後記で都筑さんが「オールドファンに楽しんでいただく号」と言っています。
EQMM日本語版に載った小実昌さんの翻訳を追いかける企画です。
まだ途中ですが、暫定評価5点として、読んだら追記してゆきます。
以下、初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ Crime Without Passion by Ben Hecht (初出The Grand Magazine 1933-9)「情熱なき犯罪」ベン・ヘクト 三樹 青生 訳
同名の映画の原作。
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⑵ The Dusty Drawer by Harry Muheim (初出Collier’s 1952-5-3 挿絵C. C. Beall)「埃だらけの抽斗」ハリイ・ミューヘイム 森 郁夫 訳
EQの解説(EQMM 1956-3)付き。
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⑶ I Killed John Harrington by Thomas Walsh (初出Collier’s 1937-6-12 as “Light in Darkness”)「俺が殺ったんだ」 トマス・ウォルシュ 中田 耕治 訳
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⑷ Pastorale by James M. Cain (初出The American Mercury 1928-3)「牧歌」 ジェイムズ・M・ケイン 田中 小実昌 訳: 評価6点
いかにもなハードボイルド風味の語り口。ただし私立探偵ものではない。田舎の犯罪の話。(だから「田園」というタイトルなのか) 小実昌さんの訳は快調。
p61 二十三ドル: 米国消費者物価指数基準1928/2020(15.09倍)で$1=1658円。23ドルは38134円。
p61 一セント銅貨…五セント貨…十セント貨(pennies... nickels... dimes): 当時のPenny銅貨は3.11g、Nickel貨は5.00g、Dime銀貨は2.27g、ということは$23なら全部Penny貨にすれば一番重くて7153gになる(一番軽くて522g)。7.153キロが全部Dime銀貨なら315ドル相当(=52万円)になるのだが…
(2020-4-25記載)
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⑸ £5000 for a Confession by L. J. Beeston (英初出1929年以前?、米初出EQMM1955-12)「自供書売ります」 L・J・ビーストン 田中 融二 訳: 評価6点
古めかしい意匠だが、野次馬根性を暴き立てられてるみたいで居心地が悪い… 手に汗握る、良い仕事。(2020-4-26追記: 博文館 世界探偵小説全集19 ビーストン集(1929)にこの作品の翻訳が収められているようだ。本作はこの作家としては珍しくない構成らしい。まあ大ネタは手癖としても周りを巻き込むシチュエーションが素晴らしいと思う)
p69 五千ポンド: これがいつの話だからわからないが、訳注では「約500万円」としている。(単純に当時のポンド円レート£1=約1000円を当てはめたもの。ただし日本物価指数基準1955/2015(6.07倍)なので当時の500万円は今の3000万円相当) 初出は1920年代と思われるので英国消費者物価指数基準1925/2020(61.20倍)で£1=8683円、5000ポンドは4342万円。ちなみにEQMMリプリント時の1955年英国基準(26.41倍)なら£1=3747円で、5000ポンドは1874万円となる。(英国物価と日本物価の推移が異なるので、このような結果となった。実感は英国物価で考えた方が適切だと思う。話の中身を考えると億単位が欲しいところだが…)
p70 イングランド銀行発行の100ポンド紙幣: お馴染みWhite Noteのこと。スーシェ版ポワロにもちょくちょく出てきます。100ポンド紙幣はサイズ211x133mm。文字だけのシンプルなデザイン、裏は白紙です。
(2020-4-25記載)
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⑹ The Ministering Angel by E. C. Bentley (初出The Strand Magazine 1938-11 as “Trent and the Ministering Angel” 挿絵R. M. Chandler)「優しき天使」 E・C・ベントリイ 深井 淳 訳
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⑺ Dime a Dance by Cornell Woolrich (初出Black Mask 1938-2)「死の舞踏」コーネル・ウールリッチ 高橋 豊 訳
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⑻ Ransom by Pearl S. Buck (初出Cosmopolitan 1938-10)「身代金」 パール・S・バック 大門 一男 訳
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読み物は
『ぺいぱあ・ないふ: フレドリック・ブラウン 火星人ゴー・ホーム』『海外ニュースCriminals at Large』『みすてり・がいど 第2講 探偵小説とはなにか』
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最後に
『編集ノート(都筑 道夫/福島 正実/田村 隆一/小泉 太郎)』豪華なメンツの編集部ですね…

No.11 5点 EQMM日本語版 1962年8月号 <74>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/19 19:12
表紙は勝呂 忠。色づかいはグレー・黒・赤。裏表紙の広告はシキボウ カラーシーツ。
特大号なので定価180円、218ページ。
カットは北園 克衛。7周年記念特大号として、表紙には珍しくロス・マクドナルドとエド・マクベインの名前と作品名を表示。
まだ途中ですが、全体の暫定評価は5点として、短篇小説を読んだら追記してゆきます。
収録された小説は8篇。初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ Only by Running by E. S. Gardner (初出This Week 1952-5-11 (+1)二回連載 as “Flight Into Disaster”)「逃げる女」 E・S・ガードナー 田中 融二 訳
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⑵ Ambitious Cop by William Fay (初出Black Mask 1949?; EQMM 1955-3)「野心家刑事」 ウィリアム・フェイ 田中 小実昌 訳: 評価6点
ブルックリンの安アパート、5月の朝。刑事が目をさます。たった一日で街の嫌われ者になったのだ…
なかなか良い話。作中に1947年10月という日付が出て来る。EQMM再録時にブラック・マスクから、としているようだが、Black Mask1948-6から1949-12までを探したが該当作らしきものが見当たらない。小実昌さんの訳は快調。
p24 七ドル: 米国消費者物価指数基準1948/2020(10.73倍)で$1=1179円、$7は8251円。手持ちの金。
p24 三八口径の拳銃: ポリス・スペシャルだと言う。手がかりは全く無いがコルトっぽい。
p26 二二口径: ライフルらしい。
p28 十五セント玉ぐらいの穴: 米国硬貨に15セント玉は存在しない。10セント(Dime, 17.91mm)か25セント(Quarter, 26.26mm)の誤植。どっちかなあ。
p29 イタリア製ベレッタ拳銃: ヨーロッパ戦線からもってかえったもの。デザインがカッコ良いM1934だろう。
(2020-4-19記載)
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⑶ The Master Stroke by Harold R. Daniels (初出EQMM 1960-10)「最高の演技」 ハロルド・R・ダニエルズ 宇野 輝雄 訳
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⑷ Origin of the Detective Business by Newton Newkirk (初出Wood-Morgan Detective Agency 1931?; EQMM 1951-10)「探偵商買ことはじめ」 ニュートン・ニューカーク 稲葉 由紀 訳: 評価5点
小説というより戯文だが… まあ起源なら基本的にその時代からか。
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⑸ Eeny Meeny Murder Mo by Rex Staut (初出EQMM 1962-3)「ど・れ・が・殺・し・た?」 レックス・スタウト 佐倉 潤吾 訳
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⑹ 「かなしい二人」 結城 昌治(絵 東 君平)
<おとなのえほん>ショート・ショート絵物語と題して連載。登場する作者と絵師は毎号異なるようだ。
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⑺ Storm by Ed McBain (初出Argosy 1961-12 as “Murder on Ice” 挿絵Lou Feck)「雪山の殺人」 エド・マクベイン 井上 一夫 訳
87分署シリーズ。
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⑻ Trouble Follows Me by Ross Macdonald (単行本Dodd Mead & Co. 1946, as by Kenneth Millar)「トラブルはわが影法師 第一部 オワフ島」 ロス・マクドナルド 小笠原 豊樹 訳(長篇分載1)
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「自分を語る3」レイモンド・チャンドラー 清水 俊二 訳
書簡集の抄訳
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読み物は
『マイ・スィン(丸谷 才一)11 チャンドラー プレイバック』『隣の椅子(有馬 頼義)45』『Mystery on the wave(刺片子)テレビの優等生』『ミステリ・ニュー・ウェイヴ(sin)エドガーズ決定』『紙上殺人現場(大井 広介)その32』『あんたにそっくり(美術評論家 湯川 尚文)』『狂乱の20年代 めりけん残酷物語(大原 寿人)電気椅子にすわった女』(挿絵 金森 達)『第四回EQMM短篇コンテスト最終審査報告』『審査員選後評(佐藤 春夫、福永 武彦、大井 広介、都筑 道夫)』『東京三面鏡(青木 雨彦)28』『探偵小説風物詩(中内 正利)』

No.10 5点 ミステリマガジン1994年7月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/15 20:57
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1994年7月号 <459>
特集:ダシール・ハメット生誕100年記念。234ページ。定価780円。
表紙・扉・目次構成は島津 義晴、表紙は砂浜と海を上空から撮った遠景か。裏表紙の広告はAsahi スーパードライ。
ハメットは忘れられた古典作家で読まず嫌いの若者に紹介する、という趣旨らしい。1994年、私はミステリ界(というか小説界)から全く離れており、毎月購入もしばらく前から辞めていて、書店で手に取ることすら無かったころ。今回、ハメット・マイブームに乗って1年分を一気に某オクで購入しました。エッセイ陣には全然思い入れが無く、読む気が全く起きません…
ハメット作品を(なるべく)初出順に読む試みの一環です。雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は8篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ The Green Elephant by Dashiell Hammett (初出The Smart Set 1923-10)「緑色の悪夢」ダシール・ハメット 稲葉 明雄 訳(挿絵 山野辺 進): 評価5点
ハメット第13番目の短篇小説。意図はわかるけど、あまり工夫のない話。翻訳は削除の多いダネイ版ではなく、初出雑誌のテキストによるもののようだ。(Don Herron主宰のWebサイト “Up and Down These Mean Streets”のHammett: “The Green Elephant”参照)
p20 五十ドル: 米国消費者物価指数基準1923/2020(15.13倍)、$1=1662円で換算して83100円。
p21 小口径の拳銃(a small-caliber pistol): 何となくオートマチックのような感じ(ただの個人的な印象で根拠なし)。小口径はこの場面なら32口径。25口径では小さすぎる。
p22 千ドル札のほか、色々な紙幣が登場するが、当時の紙幣サイズは額面にかかわらず187×79mm。なおFederal Reserve Noteの場合、裏面は全券種で緑色だった。(Gold Certificateはオレンジ)
p23 全請求書を前払いできる(all bills are payable in advance): 「できる」ではなくて、「先払いする決まりの」ではないかと思う。そーゆー仕組みの風来坊向けの安宿で、その日に出立するつもりで支払いを済ませていた、と解釈すれば、前後がつながる。
(2020-4-15記載)
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⑵ Zigzags of Treachery by Dashiell Hammett (初出The Black Mask 1924-3-1) 「裏切りの迷路」 ダシール・ハメット 小鷹 信光 訳(挿絵 佐伯 嘉隆): 評価7点
オプもの第8作、ハメット第25番目の短篇小説。書評は『チューリップ』参照。傑作。(訳文は『チューリップ』収録のものが、この時点よりさらにブラッシュアップされてるので、単行本で読むのがお薦め)。
(2020-4-15記載)
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⑶ Any Small Measure of Justice by Terry Courtney (初出AHMM 1991-8)「ささやかな正義」 テリイ・コートニー 西田 佳子 訳(挿絵 畑農 照雄)
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⑷ About Time by Linda Evans (初出AHMM 1990Mid-December号)「サマータイム殺人事件」リンダ・エヴァンズ 山内 三枝子 訳(挿絵 楢 喜八)
ヒッチコック・マガジンは1990年12月は2冊発売。普通の160ページの12月号が発売された他、34th Anniversary Special Double Issueとして288ページの増刊号がMid-December号として刊行された。
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⑸ Checking Out by Nick O'Donohoe (初出AHMM 1990-9)「チェックが肝心」ニック・オドナヒュー 夏来 健次 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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⑹ Accounts Payable by D. H. Reddall (初出AHMM 1991-6)「支払勘定」 D・H・レドール 小西 恵里 訳(挿絵 桜井 一)
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⑺ The Maggody Files: Spiced Rhubarb by Joan Hess (初出AHMM 1991-6)「ルバーブ・ジャム事件」ジョーン・ヘス 近藤 麻里子 訳(挿絵 大鹿 智子)
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⑻「恵美子の手袋」 山崎 秀雄(挿絵 成田 一徹)
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特集の読み物は
『ダシール・ハメットの生涯(編集部 編)』年表と写真。ダイアン・ジョンスンの伝記から再構成。
『映画『赤い収穫』架空キャスティング(野崎 六助)』なんかズレてる。ほとんど知らないメンツだし…
『映像で観るハメット作品(筈見 有弘)』写真が良い。
ハメットへのオマージュとして短文がいくつか
『廉潔の人(稲葉 明雄)』本号掲載の「緑色の悪夢」を陳腐とばっさり。『冒険者としてのハメット(逢坂 剛)』『一度だけ読んだハメット(片岡 義男)』相変わらずのズルい手口が心地良い。『マイルズ・アーチャーが死んだ場所(田中 小実昌)』『ワールド・ジャンク(楢山 芙二夫)』『ポイズンヴィル発…(船戸 与一)』
漫画『彼ら(いしかわじゅん)』スペード、ニック、オプが登場する四コマx3作。本質を突いている。
作品論『註解『マルタの鷹』(小鷹 信光)』写真が良い。『赤い暴力の現代小説(野崎 六助)』『三人称一視点という錯誤(池上 冬樹)』『シン・マン症候群(木村 仁良)』ディックとドラの掛け合い。
『ダシール・ハメット長篇小説解題』あらすじと短評。
『ダシール・ハメット長短篇作品リスト』単行本『チューリップ』(2015)所載の小鷹リストの元。
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その他の読み物は
『ミステリ漫画(梅田 英俊)』『ミステリアス・プレス ニュース(O)』『海外ミステリ風土記(直井 明)13 ルーマニアIII』『チャイナ・ファンタジー(南 伸坊)16 窓から手』『木村 二郎インタヴュー』二郎さんの顔、見たのは多分初めて…かな?『眺めたり触ったり。(青山 南)28』『読ホリデイ(都筑 道夫)65 伊賀とイタリア』『20世紀を冒険小説で読む(井家上 隆幸)35 核の<聖戦>』『サイコドラマ・サイコパシー(野崎 六助)19 人造のサイコII』『殺しの時間(若島 正)42 本を殺す』『カメレオン日記(香山 二三郎)19 勝負服の研究』『ビデオの冒険者(柳生 すみまろ)65 新ポリス・ストーリー』『午後3時半のウェイブ(吉村 浩二)4』『ミルクが先よ(浅羽 莢子)4 穿鑿は権利?』英国では遺言も公の文書なんだ…『読者登場(浅沼 幾美さん)』『響きと怒り』『編集後記(T、K)』
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クライム・ファイルと銘打って各種情報コーナー
『クライム・コラム(オットー・ペンズラー)144』『書評(北丸 旭、穂井田 直美、岩田 清美)』『洋書入荷情報(丸善、洋書ビブロス)』『音楽情報(百日 紅一郎)』『映画情報(河原畑 寧、竜 弓人)』
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『今月の書評(芳野 昌之、関口 苑生、池上 冬樹、三橋 曉、長谷部 史親、西夜 朗、結城 信孝)』『チェックリスト&レビュー(芝 隆之)』

No.9 5点 EQMM日本語版 1959年10月号 <40>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/11 22:59
表紙はクロード・岡本の抽象画、目玉焼きがセンターにある何かの食べ物風? 裏表紙の広告は早川書房 グレアム・グリーン選集の第1回発売。(どこにも早川書房以外の広告無し… 営業苦戦中か?)
秋の特大号。定価150円(地方155円)、208ページ。
カットは金子 三蔵と真鍋 博。ロバート・ブロック特集で3篇収録。
他にもレックス・スタウトやH・C・ベイリーの中篇を収録、ビッグ・ネームばかりの巻。
書庫にあるハメット作品を初出順に読む試みの一環です。
まだ途中ですが、全体の暫定評価は5点として、短篇小説を読んだら追記してゆきます。
収録された小説は13篇。初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ Object Lesson by Ellery Queen (初出This Week 1955-9-11 as “The Blackboard Gangster”)「実地教育」エラリイ・クイーン 青田 勝 訳
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⑵ Itchy the Debonair by Dashiell Hammett (初出Brief Stories Magazine 1924-1 as “Itchy”) 「紳士強盗イッチイ」ダシェル・ハメット 森 郁夫 訳: 評価5点
ハメット第18作目の短篇小説。ノン・シリーズ。作者がオプものをどう考えていたか、という楽屋裏なのだろうか。
p15 二千五百ドル: 米国消費者物価指数基準1923/2020(15.13倍)、$1=1662円で換算して416万円。
p20 紳士強盗: 原語はgentleman crook。有名なのはRaffles(1898)やLupin(1905)と言ったところか。
(2020-4-11記載)
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⑶ To Be Found and Read by Miriam Allen de Ford (初出EQMM 1958-12)「探しだされ読まれるために」M・A・ディフォード 小笠原 豊樹 訳
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⑷ Second Honeymoon by Brett Halliday (初出EQMM 1959-7)「二度目の蜜月」ブレット・ハリデイ 田中 小実昌 訳
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⑸ The Unpunishable Murder by Hugh Pentecost (初出EQMM 1959-7)「罰せない殺人」ヒュー・ペンティコースト 稲葉 由紀 訳
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⑹ Fool’s Mate by Stanley Ellin (初出EQMM 1951-11)「好敵手」スタンリイ・エリン 田中 融二 訳
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⑺ Over My Dead Body by Anthony Gilbert (初出The Evening Standard 1951-6-19)「屍を越えて」アントニイ・ギルバート 高橋 泰邦 訳
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⑻ Cry Silence by Fredric Brown (初出Black Mask 1948-11)「静寂は叫ぶ」フレドリック・ブラウン 福島 正美 訳
ブラック・マスク誌のこの号は広告を含め全ページ無料公開、本作には挿絵1枚あり(画家名は記載なし)。
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⑼ Too Many Detective by Rex Stout (初出Collier’s 1956-9-14)「探偵が多すぎる」レックス・スタウト 井上 一夫 訳
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⑽ The Affair of the Zodiacs by H. C. Bailey (初出Flynn’s Weekly Detective Fiction 1927-11-19 as “Zodiacs”)「ゾディアックス鉱山株事件」H・C・ベイリー 宇野 利泰 訳
創元文庫『フォーチュン氏の事件簿』収録作品。なのでそちらでまとめて読む予定。
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(11) Enoch by Robert Bloch (初出Weird Tales 1946-9)「頭上の侏儒」ロバート・ブロック 都筑 道夫 訳
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(12) One Way to Mars by Robert Bloch (初出Weird Tales 1945-7)「片道切符」ロバート・ブロック 豊原 実 訳: 評価4点
ジャズ小説。主人公はトランペッター。ジャズメンなんて皆こーゆー感じ、という描写が陳腐。展開もつまらない。
p182 二ドル八八セント: 米国消費者物価指数基準1945/2020(14.37倍)で$2.88=3914円。切符の値段。随分お得。
(2020-4-11記載)
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(13) The Mannikin by Robert Bloch (初出Weird Tales 1937-4)「瘤」ロバート・ブロック 久慈 波之介 訳
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読み物は『反対尋問(日本探偵小説の匿名時評)』『探偵小説不作法講座 第四講』『黒いノート(松本 清張)12』『深夜の散歩14(福永 武彦) スイート・ホーム殺人事件』『隣の椅子(有馬 頼義)12』『ふたりで犯罪を(映画の話)』『探偵小説風物詩(中内 正利)』

No.8 5点 EQMM日本語版 1960年4月号 <46>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/11 03:11
表紙はクロード・岡本の抽象画。裏表紙の広告はクラボウ ミステリー 影、日本教育テレビ・毎日放送テレビ 毎週金曜夜9.15〜9.45「多才な人間関係の交錯… 迫真のサスペンス…」とある。宣伝写真は米国私立探偵みたいな扮装の男、煙草の煙で表情は隠れている。どんな番組だったのか、ちょっと気になります。
特大号なので定価150円(地方155円)、208ページ。(2、4、7、10は特大号、他は定価100円と最終ページに書いてある)
カットは真鍋 博。ハードボイルド特集。ハメット&マスタースンの中篇がメイン。
書庫にあるハメット作品を初出順に読む試みの一環です。
まだ途中ですが、全体の暫定評価は5点として、短篇小説を読んだら追記してゆきます。
収録された小説は13篇。初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ When Luck’s Running Good by Dashiell Hammett (初出Action Stories 1923-11 as “Laughing Masks” by Peter Collinson)「ついている時には」ダシェル・ハメット 田中 融二 訳: 評価5点
ハメット第16番目の短篇。ノン・シリーズ。『チューリップ』所載の小鷹リストではコリンスン名義の記載漏れ(これが最後のコリンスン)。EQMM1959-12再録時にタイトルを変更。ダネイが語句をちょっといじってる可能性もあり。
最初のほうの主人公は中年だと受け取っていました。若々しい感じがしなかった… 敵の食えないキャラが印象的。
p6 四百ドル: 米国消費者物価指数基準1923/2020(15.13倍)、$1=1662円で換算して66万円。かなりの金額。
p8 順風而呼、声非加疾也、而聞者彰: いきなり漢文が出てきてビックリ。荀子、勸學篇第一の引用のようだ。オリジナルはラテン語なのか?原文発注中。
(2020-4-11記載)
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⑵ By His Own Act by Emily Jackson (初出EQMM 1954-8)「誤算」エミリイ・ジャクスン 高橋 泰邦 訳
米国EQMM「最初の短篇」コーナーの紹介作品。
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⑶ Louisville Blues by Albert Johnston (初出EQMM 1954-5)「ルイズヴィル・ブルース」アルバート・ジョンストン 三田村 裕 訳
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⑷ Two-Bit Gangster by Thomas Millstead (1954 初出EQMM 1954-12)「感傷的な殺人」トマス・ミルステッド 森 郁夫 訳
米国EQMM「最初の短篇」コーナーの紹介作品。
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⑸ And the Desert Shall Blossom by Loren Good (初出EQMM 1958-3)「かくて砂漠に花咲かん」ローレン・グッド 稲葉 由紀 訳
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⑹ Hard Guy by Thomas Walsh (Ten Detective Aces 1935-1 as “Framed in Fire”)「しぶとい男」トマス・ウォルシュ 井上 一夫 訳
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⑺ The Marriage Counselor’s Marriage by C. B. Gilford (初出EQMM 1958-6)「結びの神の結婚生活」C・B・ギルフォード 青田 勝 訳
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⑻ Anniversary Gift by John Collier (初出1958?, 米初出はEQMM 1959-4か)「記念日の贈物」ジョン・コリア 大門 一男 訳
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⑼ A Case of Cainapping by A. H. Z. Carr (初出EQMM 1954-7)「猫探し」A・H・Z・カー 高橋 豊 訳
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⑽ Hernand Cortez, Detective by Theodore Mathieson (初出EQMM 1959-7)「名探偵エルナンド・コルテス」シオドー・マシスン 吉田 誠一 訳
歴史名探偵シリーズ第4作。
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(11) The Invisible Loot by Michael Gilbert (Argosy[UK]1959-3 as “Bonny for Value” 挿絵Isn Garrard)「見えざる掠奪者」マイケル・ギルバート 森本 忠 訳
Patrick Petrellaもの。
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(12) The Living Bracelet by Robert Bloch (Bestseller Mystery Magazine 1958-11 as “The Ungallant Hunter”)「生きている腕輪」ロバート・ブロック 都筑 道夫 訳
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(13) The Women in His Life by Whit Masterson (初出EQMM 1958-6)「ギルモア・ガールズ」ウィット・マスタースン 田中 小実昌 訳
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読み物は『悪霊の誕生(開高 健)』『隣の椅子(有馬 頼義)18』『みすてり・らうんじ(扇屋 正造)続・ソフィスティケーテッドということ』『紙上殺人現場(大井 広介)その4』『EQMM翻訳紳士録<1>田中 融二』『新聞記者と探偵—カゴのトリには探偵はできない—(古波蔵 保好)』『ミステリ・ニュー・ウェイヴ』『探偵小説風物詩(中内 正利)』

No.7 5点 EQMM日本語版 1959年11月号 <41>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/08 20:10
表紙はクロード・岡本の貼り絵、モチーフは黒人の横顔。裏表紙の広告は早川書房 グレアム・グリーン選集の第1回発売。(どこにも早川書房以外の広告無し… 営業苦戦中か?)
カットは市田 喜一。異色2篇(アームストロングとフラナガン)がメイン。
具象の表紙絵だったのでびっくり。勝呂さん体調が悪かった?
書庫にあるハメット作品を初出順に読む試みの一環です。
まだ途中ですが、全体の暫定評価は5点として、短篇小説を読んだら追記してゆきます。
収録された小説は13篇。初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ Broker’s Special by Stanley Ellin (初出EQMM 1956-1)「専用列車」スタンリイ・エリン 田中 融二 訳
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⑵ Three Men in the Garden by Lord Dunsany (初出EQMM 1959-8)「庭園の三人」ロード・ダンセイニ 井上 一夫 訳
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⑶ Child Missing! by Ellery Queen (初出This Week 1951-7-8 as “Kidnaped!”)「消えた子供」エラリイ・クイーン 青田 勝 訳
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⑷ What Would You Have Done by Charlotte Armstrong (初出EQMM 1955-7)「あなたならどうしますか」シャーロット・アームストロング 小笠原 豊樹 訳
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⑸ Won’t Somebody Help Me? by Helen Nielsen (初出EQMM 1959-1)「だれか助けて」ヘレン・ニールセン 福島 正美 訳
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⑹ Ten Per Cent of Murder by Henry Slesar (初出EQMM 1958-9)「10パーセントの殺人」ヘンリイ・スレッサー 森 郁夫 訳
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⑺ The Long Black Shadow by Rosemary Gibbons (初出EQMM 1959-2)「長い黒い影」ローズマリー・ギボンズ 田口 実 訳
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⑻ Ghost Town by Jack Schaefer (初出不明 1953?)「ゴースト・タウン」ジャック・シェーファー 水沢 伸六 訳: 評価6点
『シェーン』の作者による短篇。寂れた西部の町の話。なかなか気が利いている。実際にありそうな結末。
p82 八百ドル: 米国消費者物価指数基準1953/2020(9.69倍)で$1=1064円。$800は85万円。
p82 五十セント: 532円。
(2020-4-8記載)
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⑼ Doors in the Mind by Alan E. Nourse (初出EQMM 1958-4)「心の扉」アラン・E・ナース林 克己 訳
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(10) In the Morgue by Dashiell Hammett (初出Saucy Stories 1923-10-15 as “The Dimple”)「死体置場」ダシェル・ハメット 田中 小実昌 訳: 評価6点
ハメット第10番目の短篇。『チューリップ』所載の小鷹リストにはオプものだという記号#がついているが誤り。探偵ものではなく、妻を探す焦燥感に満ちたスケッチ。EQMM掲載時の題より、もとの題の方がずっと良い。翻訳も良いなあ。
(2020-4-8記載)
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(11) Suppose You Were on the Jury by Thomas Flanagan (初出EQMM 1958-3)「もし君が陪審員なら」トマス・フラナガン 宇野 利泰 訳
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(12) Leonardo Da Vinci, Detective by Theodore Mathieson (初出EQMM 1959-1)「名探偵レオナルド・ダ・ヴィンチ」シオドー・マシスン 吉田 誠一 訳
シリーズ2作目。
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(13) Show Biz by Robert Bloch (初出EQMM 1959-5)「ショウ・ビジネス」ロバート・ブロック 常盤 新平 訳
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読み物は『反対尋問(日本探偵小説の匿名時評)』『隣の椅子(有馬 頼義)13』『深夜の散歩15(福永 武彦)大はずれ殺人事件』『ふたりで犯罪を(映画の話・本の話)』『探偵小説不作法講座 第五講』『探偵小説風物詩(中内 正利)』

No.6 6点 ミステリマガジン1976年8月号- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2020/04/05 17:50
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1976年8月号 <244>
20周年記念増大号。298ページ。定価700円。
表紙は真鍋博、ハートのジャックと数字の20がモチーフ。裏表紙の広告はマルゼン ポータブル タイプライター。
まだ途中ですが、暫定評価7点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
リストを作ってて思ったんですが、挿絵の記憶が随分と残ってるもんですね… 内容はほとんど覚えていないのに…
書庫にあるハメット作品を初出順に読む試みの一環です。
以下、初出はFictionMags Index調べ。
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エッセイが豪華。巻頭は旧ポケミスやEQMM日本語版最初期の表紙と言えば…の勝呂忠による早川書房とのなれそめ話。次が真鍋博のHMM表紙の話(太田博[各務三郎]との電話会談形式。10周年記念号の表紙が最初だと言う)。これ、早川書房を追ん出されたらしい太田をさりげなく登場させる演出だったのでは?、と初めて気づきました。(私は太田編集長時代の変なHMMが一番好きなんです…)
続いて中島河太郎、植草甚一、扇谷正造、福永武彦、清水俊二、高橋泰邦、丸谷才一と言う重鎮の記念エッセイ。
田村隆一と都筑道夫の記念対談。創刊の頃の話がとても興味深い。
特別企画は「思い出の短篇ベスト3」識者、読者から思い出の三作を推薦してもらう試み。集計結果のベスト5は①魔の家の森JDC②おとなしい凶器Rダール③女か虎かFRストックトン④百万にひとつの偶然Rヴィカーズ⑤ジェミニイ・クリケット事件Cブランド
続いて記念エッセイは田中 西二郎、中田 雅久、結城 昌治、石川 喬司、田中 小実昌、稲葉 明雄(この編集長列伝が楽しい)の諸氏。
連載は『課外授業(青木 雨彦)32』『ミステリ時評What Is Your Poison(芳野 昌之)28』『ミステリ漫画(梅田 英俊)』『ニューヨーク便り(木村 二郎)最終回』『冒険者たち(鎌田 三平)5』『街角のあなた(雨)』『続パパイラスの舟(小鷹 信光)13』『ティー・タイム(宮脇 孝雄)5』
特別企画の座談会「翻訳は“女には向かない職業”か?」は青木 雨彦司会、小尾 芙佐、小泉 喜美子、深町 真理子という三傑の翻訳裏話。
短篇小説は16作品を収録。記念号だけあってビッグ・ネーム揃いです。
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⑴ The Blood Bargain by Eric Ambler (“Winter’s Crimes 2” 1970, ed. George Hardinge)「血の協定」エリック・アンブラー 菊池 光 訳(挿絵 金森 達)
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⑵ Hard Sell by Craig Rice [ghost written by Lawrence Block](初出Ed McBain’s Mystery Book 1960 #1)「セールスメンの死」クレイグ・ライス 浅倉 久志 訳(挿絵 畑農 照雄)
代作情報はFictionMags Indexより。ちょっとショック。
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⑶The Indivible Life, The Release by Cornell Woolrich (1967, 1970)「負け犬: 第1章 割りきれない人生、最終章 釈放」コーネル・ウールリッチ 永井 淳 訳(挿絵 山野辺 進)
解説は小鷹 信光。未完の長篇の第1章と最終章?
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⑷What Happened to Annie Barnes by Evan Hunter (初出EQMM 1976-6)「何がアニーに起ったか」エヴァン・ハンター 井上 一夫 訳(挿絵 中村 銀子)
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⑸「ハンバーガーの土曜日」片岡 義男(挿絵 佐治 嘉隆)
私立探偵アーロン・マッケルウェイもの。初登場と書いてある。
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⑹The Kidnapping by Henry Slesar (初出EQMM 1975-1)「誘拐」ヘンリイ・スレッサー 高橋 泰邦 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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⑺Eight Minutes to Kill by Julien Symons (初出The Evening Standard 1957)「殺人への八分間」ジュリアン・シモンズ 風見 潤 訳(挿絵 佐治 嘉隆)
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⑻The Honest Swindler by Ellery Queen 初出The Saturday Evening Post 1971夏号 挿絵Albert Michini)「正直な詐欺師」エラリイ・クイーン 青田 勝 訳(挿絵 真鍋 博)
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⑼The Fall of a Coin by Ruth Rendell (初出EQMM 1975-6)「コインの落ちる時」ルス・レンデル 後藤 安彦 訳(挿絵 山野辺 進)
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⑽Old Friend by Dorothy Salisbury Davis (初出EQMM 1975-9)「二人の女」D・S・デイヴィス 深町 真理子 訳(挿絵 中村 銀子)
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(11)The Pasty by Robert L. Fish (初出EQMM 1976-6)「地下室の死体」ロバート・L・フィッシュ 宮脇 孝雄 訳(挿絵 畑農 照雄)
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(12)The Pond by Patricia Highsmith (初出EQMM 1976-3)「池」パトリシア・ハイスミス 小倉 多加志 訳(挿絵 村上 遊)
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(13)「しごき屋のしごきが鈍くなる時」日影 丈吉
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(14)The Man Who Stood in the Way by Dashiell Hammett (初出The Black Mask 1923-6-15 as “The Vicious Circle”、Peter Collinson名義)「厄介な男」ダシール・ハメット 丸本 聡明 訳(挿絵 金森 達): 評価4点
ハメット短篇第5番。穴が沢山開いてそうな残念な話。文章も締まらない。
(2020-4-5記載)
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(15)The Living End by Robert Bloch (初出The Saint Mystery Magazine 1963-5)「生きどまり」ロバート・ブロック 仁賀 克雄 訳(挿絵 楢 喜八)
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(16)The Affair of the Reluctant Witness by E. S. Gardner (初出Argosy 1949-4 挿絵George Salkin)「気乗りしない証人」E・S・ガードナー 尾坂 力 訳(桜井 一 訳): 評価7点
Jerry Baneもの。シリーズ第1作目のようだ(FictionMags Indexによると全2作)。レスター・リース風の楽しい話。ガードナーは読者の鼻面を引き回すのが上手い。
現在価値は米国消費者物価指数基準1949/2020(10.87倍)、$1=1194円で換算。
p282 三百八十七ドル引き出し超過: 46万円。銀行が気づく前に小切手を振り出せば、こうなるのかな?
p293 二十五セント: 299円。缶切り1つの値段。
(2020-4-5記載)
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他、評論が一本。
「主人公(ヒーロー)としての探偵と作家」ロス・マクドナルド 小鷹 信光 訳 (The Writer as Detective Hero (1964) by Ross Macdonald from “On Crime Writing” 1973)

No.5 5点 EQMM日本語版 1957年2月号 <8>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2019/08/13 23:32
広告は裏表紙1ページ色刷り「住友海上火災保険」、裏表紙の内側1ページ白黒「三共ルル」、表紙裏1ページ白黒「元々社 最新科学小説全集」
カットは表紙と同じく勝呂 忠。特集は5つの中篇傑作。
まだ途中ですが、暫定評価5点として、読んだら追記してゆきます。
以下、初出はFictionMags Index調べ。

⑴The Wrong Problem by John Dickson Carr (The Evening Standard 1936-8-14) 喜多 孝義 訳: 評価なし
EQの解説なし。翻訳がこなれてなくて残念。元々わかりにくい話なのにさらにダメになってます。内容の詳細はカー『パリから来た紳士』の書評参照。
⑵A Dog in the Daytime by Rex Stout (The American Magazine 1954-12 タイトルThe Body in the Hall) 森 郁夫 訳:
ウルフもの。
⑶No Cry of Murder by Mignon G. Eberhart (This Week 1952-6-25) 福島 正実 訳:
⑷A Matter of Justice by Hugh Pentecost (Collier’s 1953-5-2〜5-9 二回分載 タイトルThe Case of the Killer Dogs) 青田 勝 訳:
⑸The Mathematics of Murder by Cornell Woolrich (Dime Detective Magazine 1944-3 タイトルWhat the Well-Dressed Corpse Will Wear) 村上 啓夫 訳:

No.4 5点 EQMM日本語版 1957年1月号 <7>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2019/08/13 23:26
広告は裏表紙1ページ色刷り「三共ヨゥモトニック」のみ。カットは表紙と同じく勝呂 忠。
まだ途中ですが、暫定評価5点として、読んだら追記してゆきます。
以下、初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ If the Dead Could Talk by Cornell Woolrich (初出Black Mask 1943-2 掲載二番目)「死者もし語るを得ば」 コーネル・ウールリッチ 高橋 豊 訳:
⑵ Sing a Song of Sixpence by Agatha Christie (初出不明 単行本1934) 「六ペンスの歌」 アガサ・クリスティー 妹尾 韶夫 訳:
⑶ Mom Makes a Wish by James Yaffe (初出EQMM 1955-6 二番目) 「ママは祈る」 ジェイムズ・ヤッフェ 西田 政治 訳:
⑷ A Woman of Plinciple by Roy Vickers (初出EQMM 1956-2 最終話) 「主義の女」 ロイ・ヴィカーズ 文村 潤 訳:
⑸ The Assassins’ Club by Nicholas Blake (初出?John Rhode編 “Detection Medley” 1939 タイトルA Slice of Bad Luck) 「暗殺者クラブ」 ニコラス・ブレイク 村崎 敏郎 訳:
⑹ Two Sharp Knives by Dashiell Hammett (初出Collier’s 1934-1-13) 「二本のするどいナイフ」 ダシェル・ハメット 中田 耕治 訳:
⑺ The Man Who Explained Miracles by Carter Dickson (初出The Housewife 1956-1(+2)) 「奇蹟を解く男」 カーター・ディクスン 宇野 利泰 訳:
H.M.卿もの。初出は三回分載。詳細はカー『パリから来た紳士』の書評参照。

No.3 5点 EQMM日本語版 1956年12月号 <6>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2019/08/12 11:21
広告は裏表紙1ページ色刷り「三共ヨゥモトニック」、表紙裏1ページ白黒「元々社 最新科学小説全集」(なんかワクワクします…) カットは表紙と同じく勝呂 忠。
まだ途中ですが、暫定評価5点として、読んだら追記してゆきます。
以下、初出はFictionMags Index調べ。
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第6号は「特集: アガサ クリスティー」(スタウト、イネスにEQの解説なし。クリスマスだからクリスティーなんですが、ポアロ特集ですね。都筑さんが本国から怒られた特集ってこれだっけ?)
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⑴ Chinoiserie by Helen McCloy (EQMM 1946-7 巻頭話) 「燕京畸譚」 ヘレン・マクロイ 田中 西二郎 訳:
⑵ Santa Claus Beat by Rex Stout (What’s New 1953-12 タイトルTough Cop’s Gift) 「サンタクロースの受持区域」 レックス・スタウト 森 郁夫 訳:
⑶ The Ghost of a Ghost by Michael Innes (EQMM 1955-12 巻頭話) 「影の影」 マイケル・イネス 深井 淳 訳:
アプルビーもの。
⑷ The Blind Spot by Barry Perowne (EQMM 1945-11 掲載六番目) 「穴のあいた記憶」 バリイ・ペロウン 稲井 嘉正 訳:
⑸ Murder on the Waterfront by Bud Schulberg (Collier’s 1954-10-1 三番目) 「波止場の殺人」 バッド・シュールバーグ 清水 俊二 訳:
⑹ The Black Ledger by Ellery Queen (This Week 1952-1-26 タイトルThe Mysterious Black Ledger) 「黒い台帳」 エラリイ・クイーン 青田 勝 訳:
⑺ The Six China Figures by Agatha Christie (The Sketch 1923-3-7 タイトルThe Grey Cells of M. Poirot I. The Affair at the Victory Ball) 「六つの陶器人形」 アガサ・クリスティー 村上 啓夫 訳:
ポアロもの。
⑻ Shadow in the Night by Agatha Christie (The Sketch 1923-11-7 タイトルThe Grey Cells of M. Poirot, Series II VII. The Submarine Plans) 「消えた設計図」 アガサ・クリスティー 妹尾 韶夫 訳:
ポアロもの。
⑼ The Girl in Electric Blue by Agatha Christie (The Sketch 1923-4-4 タイトルThe Grey Cells of M. Poirot V. The Mystery of the Plymouth Express) 「プリマス急行」 アガサ・クリスティー 中田 耕治 訳:
ポアロもの。
(10) Beware the King of Clubs by Agatha Christie (The Sketch 1923-3-21 タイトルThe Grey Cells of M. Poirot III. The Adventure of the King of Clubs) 「クラブのキングに気をつけろ」 アガサ・クリスティー 福島 正実 訳:
ポアロもの。

No.2 6点 EQMM日本語版 1956年11月号 <5>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2019/08/12 11:17
やっとクイーン・マガジン(愛読者ハガキに書かれてた雑誌名)に他社広告が。裏表紙に「日本勧業銀行」と「野村証券」が各々半ページ色刷り、裏表紙の内側に「三共ミネビタール」が1ページ白黒。
カットは表紙と同じく勝呂 忠。J.M. ケインは小実昌さんの翻訳デビューだったんじゃないかな。
まだ途中ですが、暫定評価6点として、読んだら追記してゆきます。
以下、初出はFictionMags Index調べ。

第5号(1956年11月号)の内容は
⑴ The Perfect Plan by James Hilton (Britannia and Eve 1933-9 掲載四番目) 「100パーセント・プラン」ジェームズ・ヒルトン 大門 一男 訳:
⑵ The Black Kitten by A.H.Z. Carr (EQMM 1956-4 巻頭話) 「黒い小猫」 A・H・Z・カー 田中 融二 訳:
⑶ Taste by Roald Dahl (The New Yorker 1951-12-8) 「味」 ロアルド・ダール 田村 隆一 訳:
⑷ Once Is Once Too Much by Anthony Gilbert (EQMM 1955-12 最終話) 「一度でたくさん」アンソニー・ギルバート 深井 淳 訳:
EQの解説なし。
⑸ Cold Money by Ellery Queen (This Week 1952-3-20) 「匿された金」 エラリイ・クイーン 青田 勝 訳:
⑹ By a Single Hair by Nick Carter (New York Weekly 1894-10-13) 「髪ひとすじ」 ニコラス・カーター 阿部 主計 訳:
ニック カーターもの。 ニューマン・レヴィ(Newman Levy)作の詩「ニック・カーターをたたえる」付き。
⑺ The Baby in the Ice Box by James M. Cain (The American Mercury 1933-1) 「冷蔵庫の中の赤ん坊」 ジェイムズ・M・ケイン 田中 小実昌 訳:
EQの解説なし。
⑻ The Earring by William Irish (Flynn’s Detective Fiction 1943-2 二番目, Cornell Woolrich名義 タイトルThe Death Stone) 「耳飾り」 ウィリアム・アイリッシュ 中村 能三 訳:

No.1 7点 EQMM日本語版 1956年10月号 <4>- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2019/08/11 16:44
正確な雑誌名は「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」なんだけど、長いし、本国版と紛らわしいので「EQMM日本語版」で登録しました。(早川書房公式は「日本語版」の表記らしいので…)
この号は古書店で20年くらい前に350円で入手。特約期間が終わり他社広告解禁号のハズですが、残念ながら早川書房の広告しか見当たりません…
さて目次は「特集: 本格中篇探偵小説」となっています。カットは表紙と同じく勝呂 忠。
まだ途中ですが、豪華なメンツなので暫定評価7点として、読んだら追記してゆきます。
以下、初出はFictionMags Index調べ。
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⑴ A Study in White by Nicholas Blake (The Strand 1949-2 タイトルThe Snow Line, 挿絵L.G. Illingworth 巻頭話) 「白の研究」 ニコラス・ブレイク 峯岸 久 訳: 評価6点
読者への挑戦付き(ストランド誌及びEQMMも同様)。挿絵のIllingworthの作風はWebで見るとコミカルなタッチです。列車のコンパートメントに6名が乗車、外は大雪。典型的なクローズドサークル。謎解きは明確な手がかりの提示があり、挑戦にふさわしいものでした。「半クラウンをカウンターに放るような調子で投げやりに」(=2シリング6ペンス)英国消費者物価指数基準(1949/2019)で35.04倍、現在価値563円。ジョージ6世の半クラウンは1947年以降、材質が.500 SilverからCupro-Nickelに変わり安っぽくなったのでこういう表現なんでしょう。(直径32mm、重さ14.1g) 2万5千ポンドは現在価値1億1千万円。
(2019-8-11記載)
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⑵ Off the Face of the Earth by Crayton Rawson (EQMM 1949-9 掲載二番目) 「天外消失」 クレイトン・ロースン 阿部 主計 訳:
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⑶ Lesson in Anatomy by Michael Innes (EQMM 1946-11 巻頭話) 「解剖学教程」 マイケル・イネス 野村 一郎 訳:
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⑷ I Can Find My Way Out by Ngaio Marsh (EQMM 1946-8 巻頭話) 「出口はわかっている」 ナイオ・マーシュ 村崎 敏郎 訳:
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⑸ Double Your Money by Ellery Queen (This Week 1951-9-30 タイトルThe Vanishing Wizard) 「あなたのお金を倍に」 エラリイ・クイーン 青田 勝 訳:
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⑹ The Moment of Decision by Stanley Ellin (EQMM 1955-3 巻頭話) 「決断の時」 スタンリイ・エリン 中田 耕治 訳:
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⑺ Wild Goose Chase by John Ross Macdonald (EQMM 1954-7 最終話) 「骨折り損のくたびれもうけ」 ロス・マクドナルド 砧 一郎 訳:

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弾十六さん
ひとこと
気になるトリヴィア中心です。ネタバレ大嫌いなので粗筋すらなるべく書かないようにしています。
採点基準は「趣好が似てる人に薦めるとしたら」で
10 殿堂入り(好きすぎて採点不能)
9 読まずに死ぬ...
好きな作家
ディクスン カー(カーター ディクスン)、E.S. ガードナー、アンソニー バーク...
採点傾向
平均点: 6.10点   採点数: 446件
採点の多い作家(TOP10)
E・S・ガードナー(95)
A・A・フェア(29)
ジョン・ディクスン・カー(27)
雑誌、年間ベスト、定期刊行物(19)
カーター・ディクスン(18)
アガサ・クリスティー(18)
アントニイ・バークリー(13)
G・K・チェスタトン(12)
F・W・クロフツ(11)
ダシール・ハメット(11)