皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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レッドキングさん |
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| 平均点: 5.29点 | 書評数: 999件 |
| No.299 | 6点 | 黒蜥蜴- 江戸川乱歩 | 2020/03/10 08:09 |
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| 乱歩に加え、三島由紀夫と美輪(当時は丸山)明宏に援護されちゃあ、この点数よりは下げられない。 | |||
| No.298 | 3点 | 人間豹- 江戸川乱歩 | 2020/03/10 08:03 |
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| 豹人間でなく人間豹てネーミングがよい。猫でも蛇でも蜘蛛でもなく豹てのがよい。 | |||
| No.297 | 4点 | 大誘拐- 天藤真 | 2020/03/09 19:17 |
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| 大誘拐-だい誘拐-おお誘拐-おおゆうかい-おおゆかい-OH!愉快・・・ | |||
| No.296 | 6点 | 点と線- 松本清張 | 2020/03/07 00:43 |
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| 人間関係トリックによる偽装心中殺人。不可能ロジックの結界を張り巡らせた「逆密室」に篭もる犯人。だが、あまりにも完璧な「逆密室」のロジック故に、探偵刑事の密室破壊衝動を煽る結果に・・・。
「ふふふふ、越後屋、そちも悪よのう」悪徳商人の社会派ネタと時刻表トラベルミステリの華麗な混合、さらに「操りのラスボス」登場のオマケまで付く。こういうところはポイント高いよ。 |
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| No.295 | 4点 | ダブル・ダブル- エラリイ・クイーン | 2020/03/05 17:10 |
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| ダブル・ダブル・・・二重・ウラオモテ・見せかけ・・。「悲劇の連鎖」に見せかけた「計画犯罪」、「数え歌連続殺人」に偽装した「合目的犯罪」、「探偵を操り連鎖を企図する犯人」と「連鎖自体に操り返される犯人」・・。
※手元のハヤカワ訳本、野生児という設定の娘に「ようござんすわ」「面白うござんしたわ」なんてセリフ言わせちゃってる。明治35年生の訳者の文体が実にアウトオブファッション。 |
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| No.294 | 6点 | 名探偵 木更津悠也- 麻耶雄嵩 | 2020/03/02 22:52 |
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| 「白幽霊」 麻耶十八番の左右と高さのロジックによる犯人特定。
「禁区」 入ることのみならず見る事さえ忌避する「方忌」からの犯人直感。 「交換殺人」 交換殺人ロジックと人間関係トリックの見事な結合。 「時間外返却」 死体とともに埋葬されなかった物から殺害場所を特定するロジック。 京都市北地区の高級住宅街に現れる「白い幽霊」にちなんだ短編集で、ここまでならばTVドラマ「相棒」に毛が生えた程度の5点。 5点だが、この作品、古今東西で最も愛するミステリの「翼ある闇」同様に、ワトスン役の香月実朝こそが真の主人公。彼、「翼ある闇」では、名探偵:木更津悠也、銘探偵:メルカトル鮎をも越えたスーパー探偵だったが、ここでも最後の最後に、メルカトルの〇〇〇〇に相応しいブラックさを醸し出してくれている。この外連味に点数1点オマケ。 |
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| No.293 | 5点 | されど修羅ゆく君は- 打海文三 | 2020/02/28 18:37 |
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| 作者第三作にして、「時には懺悔を」に続く「探偵物語」第二弾。登校拒否の13歳少女と元結婚詐欺師の銀髪長身の六十すぎ女。二人の女探偵が思いを寄せる男は探偵くずれで、同棲していたデザイナー殺しの容疑者でもあった。
「(いい女になりたかったら)修羅場をいくつかくぐりなさい」「修羅場って?」「人生の修羅場は一種類しかないの」「なあに?」「失恋。」 フェミニンハードボイルド、よいなあ、点数オマケ付けちゃう。 |
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| No.292 | 6点 | 眠れるスフィンクス- ジョン・ディクスン・カー | 2020/02/27 16:21 |
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| 愛してやまない女が狂女なのか、信頼してやまない旧友が殺人者なのか・・。二者択一に揺れる男の夢幻的なサスペンスティックミステリ。納骨堂「密室事件」のオマケも付く。物語の雰囲気はカー王道で、密室トリックもなかなか。残念なことにメインテーマと密室の関連性がイマイチ。「皇帝のかぎ煙草入れ」とは同格だが、「曲った蝶番」「火刑法廷」には一歩、「三つの棺」「囁く影」にはニ、三歩及ばないかなと。 | |||
| No.291 | 3点 | 12番目のカード- ジェフリー・ディーヴァー | 2020/02/26 11:37 |
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| ライムシリーズ第六弾。黒人女高生ヒロインに歴史ミステリを絡めたサスペンス。いつも以上にハッピーエンディングのいい話。「善玉=黒人少女」vs「悪玉=ブラック大企業」てな、いかにもな米国リベラル派風味がちとウザいが。 | |||
| No.290 | 4点 | 魔術師- ジェフリー・ディーヴァー | 2020/02/25 16:30 |
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| ライムシリーズ第五弾。原題は「The Vanished Man=消えた男」。右手でヒラヒラ誤導し左手でネタ仕掛ける手品師のウラをかく探偵と、さらにそのウラをかく手品師の虚々実々の駆け引き。読んでて楽しいが、悪役、せいぜい「手品師」で終わっちゃって、とても「魔術師」には見えない。話自体も「エンプティチェア」「ウォッチメイカー」みたいな舞台どんでん返し大技も無く物足りなく。 | |||
| No.289 | 4点 | 石の猿- ジェフリー・ディーヴァー | 2020/02/24 17:06 |
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| ライムシリーズ第四弾。蛇頭殺し屋、中国不法移民、中国刑事そしていつもの探偵チームの手に汗握る攻防を、倒叙・カットバック見事に効かせて描いたミステリックサスペンス。唯一のミステリ要素のフーダニットはフーんてな感じで、面白さも「毒猿」に毛が生えた程度かな。 そっか、石の猿って孫悟空か! | |||
| No.288 | 6点 | 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー | 2020/02/23 17:53 |
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| 下層階級に生まれつき、小器用に仕事とガールフレンドを渡り歩いてきた、飄々とした青年が出会った「運命の女」は、大資産家の娘だった・・・。
アガサ・クリスティー十八番の遺産相続プロットと人間関係トリックに、まさかの「あの」一発大ネタ再現、その上、操りネタまで付き、まさしく魅惑の集大成。ポアロは出てこないけど。 ※あのネタはともかく、この作品、第一人称叙述が成功の勝因。第三人称だったら「どんな女でも魅かれる美青年」とか描写されてしまい効果薄れてた。 |
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| No.287 | 7点 | 孔雀の羽根- カーター・ディクスン | 2020/02/22 00:23 |
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| 秘教結社オカルトを匂わせた不可能殺人が二つ。一つ目の死体には、至近距離からでしかあり得ない銃痕が二つ。だが部屋は完全な監視下にあり、被害者以外の出入りは不可能だった。二人目は背中にナイフを突き立てられて殺されたが、やはり犯人出入りは不可能で、その上、死体が消失していた。ナイフトリックの方は、後年、ポール・アルテが、同じアイデアをもっと切れあじよく再現した。嬉しいことに「人間椅子」サービスも付いてる。 | |||
| No.286 | 6点 | 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 | 2020/02/20 19:11 |
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| 「空中ブランコ」「ジェットコースター」級の大技トリックより、これ位の中技の方が、品格と含蓄があって良い。
夏目漱石に対しても、彼の「異常性」を描きながら、「リスペクト」を失っていないところが素晴らしい。 |
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| No.285 | 4点 | 異邦の騎士- 島田荘司 | 2020/02/20 18:53 |
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| 島田荘司では「眩暈」と並んで好きな小説だ。個人経歴の改竄と記憶操りトリックが実にミステリアス。
ただ、メインのオチ「僕ってだれ?」種明かしが、御手洗潔シリーズ読んでないとインパクトない。残念! |
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| No.284 | 6点 | 女には向かない職業- P・D・ジェイムズ | 2020/02/19 08:27 |
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| ドロシー・セイヤーズは、ほぼ食わず嫌いだが、ドロシー・ジェイムズは好きだ。
「母は、私が生まれて一時間しか、この世にいなかった・・」 「父は旅暮らしの詩人、アマチュア革命家・・」 「(探偵は)女には向かない職業でしょうに・・」・・母親とは女には向かない職業である・・ あのダンディな警視探偵でなく、この若き女探偵こそシリーズ探偵にしてほしかったな。 |
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| No.283 | 5点 | 時には懺悔を- 打海文三 | 2020/02/18 15:42 |
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| 「ハードボイルド」分類が妥当なのだろうが、本当は「探偵小説」としたい。これこそまさに探偵物語。「本格」ミステリの仮想空間のみに存在する名探偵という架空種族でもなければ、トレンチコート中折れ帽の仏頂面「ハードボイルド」探偵でもなく、凡庸で薄汚れていて豚の様に這いつくばって地を嗅ぎまわる、現実的で等身大の探偵たちの物語。
同業者を殺した犯人を追いながら、謎の水頭症児の秘密に行き当たってしまう男女の探偵ペア。誰もの頭にもよぎるダミーストーリー展開に引っ張っておいて、想定できる範囲の意外な真相で終わる。少しは驚かせてくれるが。 メインテーマの障害児ネタは「社会派」の押しつけがましい説教やイデオロギーの臭みはなく、しみじみとした良い読後感を残してくれる。 |
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| No.282 | 7点 | 緋色の記憶- トマス・H・クック | 2020/02/16 21:04 |
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| 敬虔な寒村社会の少年の前に現れた浪漫的な男女の「英雄」。かつて「遥かな国遠い世界」を夢見た少年が、老いさらばえて追想する残酷な事件の顛末。
日本語タイトル「いまを生きる」という、厳格な男子校に現れた型破りな教師と彼に憧れた少年達を描いた映画があったが、その原題は「Dead Poets Society(死せる詩人の会)」だった。この小説で少年が心惹かれたのもまた「詩の仲間たち」・・放浪の女画家とラテン語教師、身寄りのない少女・・ だが結局、少年の偶像達も、たんに情事の苦い結末を噛みしめる不倫男女に過ぎなかった。三島由紀夫「午後の曳航」と同じテーマ・・色褪せたかつての輝かしき英雄への少年の失意。 あらためて読み返すと、厳格な学校校長でもある少年の父親もまた、女教師に内心心惹かれ、彼女も最後に父親の浪漫に気付いていたことが分かる。 そして何より、生涯に三回・・親と夫と少年と・・三回にわたり捨てられた、あの奥さんの死の前の絶望感があまりにも痛ましい。それ故にこの少年には死ぬまで魂の安らぎは許されない。 |
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| No.281 | 3点 | 幽霊塔- 江戸川乱歩 | 2020/02/16 17:43 |
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| おおおお懐かしい! こんなのあったなあ「幽霊塔」。子供の頃、ラジオドラマでもやってた。痺れた。 | |||
| No.280 | 6点 | 灰姫 鏡の国のスパイ- 打海文三 | 2020/02/13 18:19 |
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| 普段はスパイ物なんてまず読まないが、この作者のデビュー作にして「第十三回横溝正史賞優秀作」なので読んでみたら面白かった。外務省くずれの諜報売買企業社員達を中心に、北朝鮮地下組織、その反体制組織、米国CIA等が複雑に入り組んだ暗躍を行う国際スパイミステリであると同時に、組織内闘争のミステリであり、謎の北朝鮮工作員「灰姫」をめぐる歴史ロマンミステリでもある。
が、この作品、何と言っても「灰姫」とは誰なのかのフーダニットミステリであった。「『反体制組織』に偽装した『体制地下組織』」に偽装した「反体制組織」・・合わせ鏡のように無限に反転する正体、結構ミステリしてた。 |
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