皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
レッドキングさん |
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平均点: 5.27点 | 書評数: 888件 |
No.208 | 6点 | 恐怖の谷- アーサー・コナン・ドイル | 2019/05/18 23:37 |
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首(顔)の無い死体ミステリの初出って、これではないかと密かに思ってた。子供の頃、ホームズ長編で唯一馴染めなかったのがこれで、多分、唯一「本格」のニオイがしたんだろう。でもこれ1915年の小説で「ビッグボウ」はおろか「黄色い部屋」や「ブラウン神父」よりも後なのね。顔の無い死体=死体入代りネタの元祖ってどの小説なんだろう。
ところでホームズていうかドイル、「モリアーティ」にこだわり過ぎじゃないか? 昔、コカイン中毒からノイローゼになったホームズが、フロイト(!)の診療を受けた結果、「モリアーティ」ってホームズの母親の愛人の名前で、そこからくるホームズの被害妄想と判明する・・ってな映画があった。 2022/1/1 訂正・追記 ハッキリしないがどうやら「顔の無い死体」物の源流(ディケンズにそんなのあるとか・・乱歩は紀元前からあるとまで書いてる)としても良さそうなので、「仮特許権」として6点に加点変更。 |
No.207 | 6点 | バスカヴィル家の犬- アーサー・コナン・ドイル | 2019/05/18 16:10 |
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子供の頃に「呪いの魔犬」とかいうタイトルで読んだ。なぜか登場人物の一人 ステイプルトンが気に入ってしまった。田村正和(古畑任三郎演じる以前の)やルパン三世の石川五右衛門がイメージにあった。(ちなみに執事バリモアは銭形警部。) あらためて新潮社文庫で読み返したら「あごのとがった やせた小男」という描写で、ちょびっとイメージと違った。でもずっとあいつが贔屓だったので点数はオマケ付き。 |
No.206 | 4点 | 四つの署名- アーサー・コナン・ドイル | 2019/05/16 21:13 |
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「・・モルヒネかい?コカインかい?」「コカインさ。~%水溶液。君も一本どうだい?ワトスン君・・」じつに痺れる会話だ それにしても宝箱が空っぽで本当に良かったねえワトスン君。「僕はおかげで妻まで得るし・・・それで君はいったい何を得るんだい?」「僕か?僕にはコカインがあるさ」 |
No.205 | 5点 | 緋色の研究- アーサー・コナン・ドイル | 2019/05/16 17:00 |
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あらゆる小説の中で最もカッコいいタイトルの一つ。かつ記念碑的なホームズ処女作。この二点だけで5点献上。
でも手元にあるのは延原謙という訳者の昭和二十八年刊行版。「ふふふ、驚いてらあ」「おもしろいですな」「さんざ悩まされましたが、私はもうすっかり筋道がわかったです・・・」 シャーロック・ホームズに、こんな日本語セリフを吐かせてはいかんだろう、やっぱり新訳で読まんと。 |
No.204 | 7点 | 屍人荘の殺人- 今村昌弘 | 2019/05/12 19:06 |
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このサイトで知って読み、期待以上に面白かった。「二重の密室」の外壁を構成しているのがゾンビの群れって・・・少年漫画「進撃の巨人」を連想した。トリックとしては第一の不可能殺人が面白い。というよりこの部分だけをもっと徹底的に「密室=不可能」に作り込んでもらえたら、第二第三の不可能事件は別にいらないとさえ思った。
ところで、あの第一の殺人のエピソードで、子供の頃に見た円谷プロ「怪奇大作戦」の、吸血鬼になってしまった女とその恋人の男の切ないラストを思い出した。 |
No.203 | 5点 | 扼殺のロンド- 小島正樹 | 2019/05/12 18:48 |
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何で死体から腸が丸ごと抜き取られたのか。「猟奇的」「耽美的」「宗教的」・・・一言で言えば「非合理的」ホワイダニットへの連想から「合理的」意味付けへの解決。ここらあたり師匠島荘の「切り裂きジャック百年の・・」を思い出す。 |
No.202 | 5点 | 九尾の猫- エラリイ・クイーン | 2019/05/11 11:26 |
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ニューヨーク連続絞殺事件。関連性がなさそうな九人の被害者の「環」は何か、絞殺犯はだれか・・・。容疑者がパクられても残りの頁数がだいぶあって「真犯人」が分かってしまう。もう二捻りくらいほしい・・・。 |
No.201 | 5点 | 災厄の町- エラリイ・クイーン | 2019/05/04 12:31 |
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クイーン版「カラマーゾフの兄弟」(大げさ)かな。陪審員(わが国では裁判員)に選ばれてしまったら、誰しもが有罪を選ばざるを得ない様な、「AはBであり得て」「A以外はBではあり得ない」という「絶対的」な状況証拠の中での裁判。しかし、もし、「Bそれ自体」が「B」ではなく、「C」であったならば・・・
作者自ら(半分だけだが)も、クイーンの専門家も「最高作レベル」と評価したという作品・・その評価については「半分」だけ賛成。 |
No.200 | 7点 | 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 | 2019/04/29 08:41 |
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東野圭吾版「黄金虫」かな。でも、きちんと「密室」も作り込まれてて、「いかにも『意外』な真犯人」「露骨にダミー」「多分ダミー」ってな容疑者もタップリ揃ってて、メインディッシュの事件解決の後に、デザートみたいな「人物設定トリック」、さらに前菜に「叙述トリック」まで用意してあって、実によくできてる。東野や道尾秀介ってこのレベルをいくらでも維持できるんだろうな。すげえな。ただ、小説として「面白い」かっていえば、そんなに面白くないし魅力がない。 |
No.199 | 6点 | 女王国の城- 有栖川有栖 | 2019/04/28 16:27 |
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個々の「ロジック」よりも、過去の「密室トリック」解明に感心してしまった。 |
No.198 | 5点 | 双頭の悪魔- 有栖川有栖 | 2019/04/28 16:24 |
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ヒロインが山道を歩いて行く冒頭の場面が実に素晴らしい。ひょっとして「湖底のまつり」の冒頭場面や、「匣の中の失楽」の雨の夜道描写のオマージュなんかな。 |
No.197 | 6点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2019/04/25 21:47 |
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こんな言葉が許されるのならば「蛇頭龍尾」。十代の頃の初読では「アクロイド」より衝撃的だった。これ読んで初めて「Y」のラストが理解できた。 |
No.196 | 4点 | Zの悲劇- エラリイ・クイーン | 2019/04/22 18:46 |
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「竜頭蛇尾」その一言。それも「龍」でなく「竜」。 |
No.195 | 7点 | ホワイト・ジャズ- ジェイムズ・エルロイ | 2019/04/21 13:08 |
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ジェフリー・ディーヴァーとジェイムズ・エルロイ。「明朗」「軽快」なディーヴァーと「暗鬱」「シニカル」なエルロイ、「民主党 能天気派」みたいなディーヴァーと「共和党 無頼派」の様なエルロイ、ミステリの伝統的な諸要素を材料に、アクロバティックに「ミステリ遊園地」を構築するディーヴァーと、物語の最重低音部に、吐き気を催すまでの暗く濁った「ミステリの真相」の汚水を澱ませるエルロイ・・・。
「ブラック・ダリア」の二視点叙述から「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」の三視点叙述を経て、この最終作は一人称視点で物語が語られ、その分、描写の「狂気」も一際荒れ狂っている。 「ホワイト・ジャズ」・・「白人」の「まがいもの」のジャズ。こんなカッケータイトル見たことないから、それだけで1~2点のオマケ。 |
No.194 | 5点 | LAコンフィデンシャル- ジェイムズ・エルロイ | 2019/04/12 15:08 |
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「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」に続く「暗黒のLA四部作」第三弾。3人の警官による3視点叙述で進行するのは前作同様だが、内容は前二作よりグッと「派手に」「面白く」「軽く」なっている。主役の「悪徳」三警官に加えて、ウォルト・ディズニーやアル・カポネのパロディのようなキャラ、悪徳どころか「極悪」としか言えない警察ボスも登場し、さらにワケあり女や魅力的な娼婦等も揃っていて、登場人物と話を簡潔に整理すれば、実に面白いハリウッド映画プロットになる・・・実際になったし。
ただ、我が横溝正史のような「残酷な連続殺人にまつわる暗い出生の秘密」ってな本格ミステリ妙味もキチンと入ってるんだよな。 |
No.193 | 6点 | ビッグ・ノーウェア- ジェイムズ・エルロイ | 2019/04/05 16:18 |
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一見ハードボイルド風に三人の刑事の三視点で話が進むが、主題は「同性愛」。「同性愛」に異常な「コンプレクス=こだわり」を持ってしまった二人の主役・・・刑事と殺人鬼・・・の物語。「若手イケメン刑事」の情念に憑りついてしまった「ホモ残虐殺人事件」。彼が追い求めた「殺人鬼」もまた、己の「血の狂気」から自分を追う刑事に執着していた・・・。
「同性愛」が「文化」として成立し、近代においてもせいぜい「笑いもの」になるレベルだった我が国とは異なり、米国のような所では、おそらく壮絶な暗黒歴史があったんだろな「同性愛」。「黒人」であることの残酷な運命と同じような歴史があったんだろう。にしても「眼球を抉り取られた眼窩にペニスをぶち込んで射精」って・・・。 「ビッグ・ノーウェア」=「大いなる・虚無」とでも訳すのかな、でも「眼球無き虚ろな眼窩」だ。 |
No.192 | 5点 | 時計館の殺人- 綾辻行人 | 2019/04/04 08:51 |
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他人が「リアリティがない、人間が描かれてない」云々と本格ミステリを批判するの見ると、「お前には向いてないんだからミステリ読まなくていいよ」って毒づきたくなるのだが、綾辻行人を読むと、逆に「リアリズム」=「生活の臭い」ってのが懐かしくなる。
こんな仰々しい大邸宅ではなく、砂時計サラサラみたいなラストシーンで飾ってくれていたら、もっと好きになれてたかもしれない。 |
No.191 | 4点 | 迷路館の殺人- 綾辻行人 | 2019/04/04 08:35 |
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作中作の入れ子構造って、ミステリでなくてもミステリアスな雰囲気を醸し出してしまうから、ミステリ小説で大上段に構えて使われると、どうしても期待値ハードルが上がってしまい評価値が下がってしまう。 |
No.190 | 7点 | 匣の中の失楽- 竹本健治 | 2019/04/03 22:21 |
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照明器具やドアのぶを利用したトリック等、ネタ自体は小粒の集まりで、ミステリとしては6点が妥当だろうが、ヒロインが夜の雨の街を歩き去って行く描写が実に素晴らしく、そこだけで1点のおまけ。
もしもこの作品に第6章があれば、それこそ本当に「四奇書」の一つになれたのかも知れない。そしたら「三奇書」同様に「採点不能」の作品だった。 さらに6章のエンドを1章のヘッドに循環させて、「奇数章」対「偶数章」を無限の相互入れ子にすることに成功していたら、10点満点だった・・・でも無理だったんだろうな。 |
No.189 | 4点 | 盲獣- 江戸川乱歩 | 2019/03/31 09:06 |
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戦後に乱歩自身が自己検閲してしまった程の「昭和初期エログロ」の代表作。でも本当の事言うと、逆に、まだまだ物足りないんだなあ「エロチシズム」と「グロテスク」。もっともっと徹底してくれてれば、日本のバタイユになれたかもしれないんだ、江戸川乱歩。
ところで、視覚の芸術が「美術」で、聴覚の芸術が「音楽」で、味覚・嗅覚のそれが「美食」「香道」だとすると、触覚の芸術って・・・「性感マッサージ」なんではないか? |