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レッドキングさん
平均点: 5.25点 書評数: 818件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.198 5点 双頭の悪魔- 有栖川有栖 2019/04/28 16:24
ヒロインが山道を歩いて行く冒頭の場面が実に素晴らしい。ひょっとして「湖底のまつり」の冒頭場面や、「匣の中の失楽」の雨の夜道描写のオマージュなんかな。

No.197 6点 レーン最後の事件- エラリイ・クイーン 2019/04/25 21:47
こんな言葉が許されるのならば「蛇頭龍尾」。十代の頃の初読では「アクロイド」より衝撃的だった。これ読んで初めて「Y」のラストが理解できた。

No.196 4点 Zの悲劇- エラリイ・クイーン 2019/04/22 18:46
「竜頭蛇尾」その一言。それも「龍」でなく「竜」。

No.195 7点 ホワイト・ジャズ- ジェイムズ・エルロイ 2019/04/21 13:08
ジェフリー・ディーヴァーとジェイムズ・エルロイ。「明朗」「軽快」なディーヴァーと「暗鬱」「シニカル」なエルロイ、「民主党 能天気派」みたいなディーヴァーと「共和党 無頼派」の様なエルロイ、ミステリの伝統的な諸要素を材料に、アクロバティックに「ミステリ遊園地」を構築するディーヴァーと、物語の最重低音部に、吐き気を催すまでの暗く濁った「ミステリの真相」の汚水を澱ませるエルロイ・・・。
「ブラック・ダリア」の二視点叙述から「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」の三視点叙述を経て、この最終作は一人称視点で物語が語られ、その分、描写の「狂気」も一際荒れ狂っている。
「ホワイト・ジャズ」・・「白人」の「まがいもの」のジャズ。こんなカッケータイトル見たことないから、それだけで1~2点のオマケ。

No.194 5点 LAコンフィデンシャル- ジェイムズ・エルロイ 2019/04/12 15:08
「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」に続く「暗黒のLA四部作」第三弾。3人の警官による3視点叙述で進行するのは前作同様だが、内容は前二作よりグッと「派手に」「面白く」「軽く」なっている。主役の「悪徳」三警官に加えて、ウォルト・ディズニーやアル・カポネのパロディのようなキャラ、悪徳どころか「極悪」としか言えない警察ボスも登場し、さらにワケあり女や魅力的な娼婦等も揃っていて、登場人物と話を簡潔に整理すれば、実に面白いハリウッド映画プロットになる・・・実際になったし。
ただ、我が横溝正史のような「残酷な連続殺人にまつわる暗い出生の秘密」ってな本格ミステリ妙味もキチンと入ってるんだよな。

No.193 6点 ビッグ・ノーウェア- ジェイムズ・エルロイ 2019/04/05 16:18
一見ハードボイルド風に三人の刑事の三視点で話が進むが、主題は「同性愛」。「同性愛」に異常な「コンプレクス=こだわり」を持ってしまった二人の主役・・・刑事と殺人鬼・・・の物語。「若手イケメン刑事」の情念に憑りついてしまった「ホモ残虐殺人事件」。彼が追い求めた「殺人鬼」もまた、己の「血の狂気」から自分を追う刑事に執着していた・・・。
「同性愛」が「文化」として成立し、近代においてもせいぜい「笑いもの」になるレベルだった我が国とは異なり、米国のような所では、おそらく壮絶な暗黒歴史があったんだろな「同性愛」。「黒人」であることの残酷な運命と同じような歴史があったんだろう。にしても「眼球を抉り取られた眼窩にペニスをぶち込んで射精」って・・・。
「ビッグ・ノーウェア」=「大いなる・虚無」とでも訳すのかな、でも「眼球無き虚ろな眼窩」だ。

No.192 5点 時計館の殺人- 綾辻行人 2019/04/04 08:51
他人が「リアリティがない、人間が描かれてない」云々と本格ミステリを批判するの見ると、「お前には向いてないんだからミステリ読まなくていいよ」って毒づきたくなるのだが、綾辻行人を読むと、逆に「リアリズム」=「生活の臭い」ってのが懐かしくなる。
こんな仰々しい大邸宅ではなく、砂時計サラサラみたいなラストシーンで飾ってくれていたら、もっと好きになれてたかもしれない。

No.191 4点 迷路館の殺人- 綾辻行人 2019/04/04 08:35
作中作の入れ子構造って、ミステリでなくてもミステリアスな雰囲気を醸し出してしまうから、ミステリ小説で大上段に構えて使われると、どうしても期待値ハードルが上がってしまい評価値が下がってしまう。

No.190 7点 匣の中の失楽- 竹本健治 2019/04/03 22:21
照明器具やドアのぶを利用したトリック等、ネタ自体は小粒の集まりで、ミステリとしては6点が妥当だろうが、ヒロインが夜の雨の街を歩き去って行く描写が実に素晴らしく、そこだけで1点のおまけ。
もしもこの作品に第6章があれば、それこそ本当に「四奇書」の一つになれたのかも知れない。そしたら「三奇書」同様に「採点不能」の作品だった。
さらに6章のエンドを1章のヘッドに循環させて、「奇数章」対「偶数章」を無限の相互入れ子にすることに成功していたら、10点満点だった・・・でも無理だったんだろうな。

No.189 4点 盲獣- 江戸川乱歩 2019/03/31 09:06
戦後に乱歩自身が自己検閲してしまった程の「昭和初期エログロ」の代表作。でも本当の事言うと、逆に、まだまだ物足りないんだなあ「エロチシズム」と「グロテスク」。もっともっと徹底してくれてれば、日本のバタイユになれたかもしれないんだ、江戸川乱歩。
ところで、視覚の芸術が「美術」で、聴覚の芸術が「音楽」で、味覚・嗅覚のそれが「美食」「香道」だとすると、触覚の芸術って・・・「性感マッサージ」なんではないか?

No.188 3点 鬼火- 横溝正史 2019/03/31 08:50
ミステリとは言えないだろが、妙に印象に残っている。おそらく横溝は「陰惨」で「耽美」な物語書きたかったんだろうが、そこまででもないんだな。

No.187 5点 女王蜂- 横溝正史 2019/03/31 08:38
横溝の代表的な長編群の中では、どうしても一歩か二歩劣って見えてしまう。場面設定もロマンも揃ってて「密室」さえもちゃんとあんだけどね。

No.186 5点 十角館の殺人- 綾辻行人 2019/03/30 15:05
〇〇人物を✕✕人物に錯視させるトリックね。貫井徳郎はこれに習ったのかな。
江南(湖南のがよくない?)に守須ねえ。そりゃあ普通「コナン・ドイル」「モーリス・ルブラン」連想するよなあ。
にしても「オルツィ」なんて知らんぞ。「ドロシー」とか「クリスチアナ」のがとおりよくないか。

No.185 6点 深紅の帆- アレキサンドル・グリーン 2019/03/26 21:19
自分以外にこれ覚えてる人がいること自体に驚いた。これ好きだった。
「不思議」が提示され「合理的解決」で締めるのがミステリだろうに、これはただただ「不思議」で終わる、まあ「ファンタジー」かな、でもいいや。
「風の又三郎」「城」「さよならホセフィーナ」「ウルトラQ:鳥を見た」「ウルトラマン:まぼろしの雪山」「ウルトラセブン:ダークゾーン」・・・

No.184 5点 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 2019/03/26 14:14
やっぱり読みやすいなあ、東野圭吾。ほぼ「いっきヨみ」しちまった。
プロット以前にタイトルからして「設定どんでん返しネタ」だろなあって読んでて、殺人「トリック」の方は予想通りだったが、肝心のメインのフーダニットの方はずしちまった。考えたら、いかにも「あのネタ」だよなあ、これ。

No.183 6点 ブラック・ダリア- ジェイムズ・エルロイ 2019/03/25 12:26
「ハードボイルド=かたゆで」には遥かに程遠い、温泉玉子ぐらいにグチャグチャな脆い心を持った男女の、歪んだ「コンプレクス=こだわり」の物語。
女優を幻想した娼婦の様な女「ブラックダリア」の惨殺と、その凄惨な死に取り付かれてしまった男達と女達、フー・ホワイダニットのミステリの骨格は維持しながらも、ユーモラスなまでのグロテスクと過剰なまでのセンチメンタルが疾走して・・不思議なことに・・ある種の「爽やかさ」さえ吹かせたあげく、最後はハッピーエンドの予感さえ抱かせて物語が終わる。

No.182 7点 哲学者の密室- 笠井潔 2019/03/23 00:36
「存在と時間」の中で最も魅力的な場面である「死への実存」という「個人的な虚無主義」が、「民族の命運」と言う名の「全体主義」に繋げられてしまっている以上、ハイデガーのナチス加担を、ギュンター・グラスやカラヤンのそれのような単なるエピソードとして扱う訳にはいかない。

「個人的確信・共同幻想」と「客観」のおぞましい捻じれについては、京極の「姑獲鳥の夏」や「陰摩羅鬼の瑕」の方が見事に描いている。そういえば京極「陰摩羅鬼」に横溝正史を登場させて、ハイデガーのウンチク語らせてたな。まさか横溝が「存在と時間」読んでたはずもないだろが。

「虚無への供物」の中で、ミステリ愛好家に向けて投げられた批判・・・「退屈な日常」を紛らわすための「犯罪読物愛好」・・・この「アンチミステリ」的批判に対して、あえて批判を返す場合には、その作品自体を一つのミステリとして「採点」することが最も効果が大きい。

この密室殺人小説には本来6点が妥当だろうが、いろいろな思いをさせてくれたので1点のおまけ。

No.181 7点 ジェゼベルの死- クリスチアナ・ブランド 2019/03/16 11:42
いいなあ。やっぱり本格ミステリには「密室」と「生首」が出てこなきゃなあ。
これ絶対、麻耶雄嵩「翼ある闇」や三津田信三「山魔の如き嗤うもの」のアイデア元ネタだろう。
にしても、ダミー解決の怒涛の波状が、ちとサービス過剰よ、クリスチアナさん。

No.180 6点 緑は危険- クリスチアナ・ブランド 2019/03/13 22:27
ボンベの気体の中身入替えトリックよりも、偽悪的な四十がらみ看護師のラストシーンが素晴らしい。「醜い顔」なのにモテる医者やマザコンの看護師娘、マヌケに一本取られる名探偵なんか出てきて、凄いミステリではないが、良い小説だ。

No.179 5点 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー 2019/03/11 11:29
なるほど、毒殺の本質は虚栄心か。虚栄心から、ケレンミたっぷりの心理実験劇を演じる虚をつかれて、毒殺されちまう男ってのが、またエスプリ効いてて。
そういえばわが国でも「ヒ素カレー事件」って毒殺事件あったな。確かにアレもいろいろ「虚栄心」の臭いがした。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
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ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
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