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[ 警察小説 ]
フロスト日和
フロスト警部
R・D・ウィングフィールド 出版月: 1997年10月 平均: 7.00点 書評数: 6件

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東京創元社
1997年10月

No.6 6点 レッドキング 2020/04/27 07:00
小便排水溝を塞ぐヤク中浮浪者の死体、汚水の溜まった半地下の公衆便所。スラックスと靴で汚水に踏み込む我らがヒーロー、ジャック・フロスト。手を汚す仕事に相応しく、下品でうす汚いフロスト警部シリーズ第二弾。「証拠と科学分析」のジェフリー・ディーヴァーのライムとは対極にいる、「勘と見込み」の前近代的な探偵警部の物語。多重エピソード展開が前作以上に広がり、相変わらず爆笑を誘うが、物語が膨らんだ分、緊張感は薄れたかな。

No.5 8点 斎藤警部 2020/01/09 12:00
「犯人の野郎をパクったら,五分だけでいい,ふたりきりにしてほしいもんだ」

愛される理由がよく分かった。こりゃ愉しいわ。一読うれしいたのしい大好きになっちゃう向きも多かろう。今さら言うのも照れますが所謂モジュラー型警察小説、のほとんどパロディの領域かも知れませんな、ここまでやられると。
ライヴァルらしき警部が実はそう嫌な奴でもない(フロストと違ってまともなだけ)ってのも素敵です。

エンディング、というより締めは確かに何だかじんわり来る。 子供たちが大好きなワード’ちんぽこ’が時折現れるのも素敵。翻訳も本当に上手ですね、この’ちんぽこ’含めて。

ピーナツ、まだあったのかよ(笑)。

No.4 8点 mini 2013/06/28 10:01
本日28日に創元文庫からフロスト警部シリーズ「冬のフロスト」が刊行される、「フロスト気質」以来5年ぶりの翻訳新刊である
夏本番も近いというのに冬ってのが笑えるが、第1作・2作目も寒い時期の季節設定なんだよね、作者の好み?
この「冬のフロスト」でもって未訳作は残り1作かぁ、なにしろ寡作な作家だからねえ
※ 当サイトに半月も先の刊行予定作品が登録されたりする割には、「冬のフロスト」は未だに登録されていないね、原著と翻訳本は別だし、本格じゃなくて警察小説だからかな?

シリーズ第1作「クリスマスのフロスト」に続く第2作目が「フロスト日和」である、若干ページ数も増えたが、それだけでなく第1作目とはちょっと違いがある
「クリスマスのフロスト」でも同様のモデュラー型の形式は採っていたのだが、何となく各事件に軽重が有るというか、明確ではないにしてもメインの事件とこれはサブの事件だなってのが感じられた
これがどうも中途半端感有ったんだよなぁ、いっその事はっきり1つの事件をメインに据えた方がスッキリするんじゃないか?的な
ところが「フロスト日和」では、浮浪者殺人、連続強姦魔、少女失踪、轢き逃げ、強盗、古金貨盗難事件など数多い事件が起こりながら、この事件がメインだというのが無い
前半だけ読むと一応は森の連続暴行強姦魔事件がメインなのかと思わせるが、中盤は少女失踪や轢き逃げ事件なども侮りがたく、終盤では浮浪者殺人事件が意外な重みを持ってくる
とにかくこれだけ多くの事件が発生しながら、それらは全て公平に取り扱われるのだ
どうやらシリーズ第2作にして方向性が完全に固まったようだ、これはまさにモデュラー型警察小説の極致である
しかもそれぞれは、マクベイン流の完全な独立した事件ではなく、各事件の絡ませ方の匙加減が実に見事なのだ
逆にもちろんミッシングリンク型のように1点収束タイプではない、それぞれの各事件は上手く関連しながらそれでいて独立している
読者によっては同一犯のミッシングリンクものの方を好むかもしれないが、もし「フロスト日和」を1点収束型として書いたとしたら全然面白く無いと思う、各事件が基本は独立しているからこそ良いのだ
各事件が独立していながら関連もしている絶妙なバランスの上で成り立つ見事なプロット、それこそがこの作品の価値だ
さらにもう一つ「クリスマスのフロスト」との違いは、視点となる降格された元警部の存在で、前作では第3者的視点でのフロスト警部への描写が多かったが、「フロスト日和」ではこのワトスン的な人物の配置によってさらにフロストの存在が際立ってる、どこまで上手いんだこの作者
これは間違いなく前作「クリスマスのフロスト」を上回る名作だろう

No.3 8点 itokin 2012/12/31 15:03
次から次に起こる事件に翻弄されながら不眠不休でハチャメチャで対応するフロストにハラハラドキドキ読まされた。それにしてもこの作家のキャラの立て方、ユーモアには驚かされる。
大きなトリックもないので好みが分かれるかもしれないが私は大好きだ、終わり方も感動的だ。

No.2 5点 あびびび 2012/05/27 13:15
まずは少女失踪、浮浪者、警察官が殺される事件。その根源とされる森の連続婦女暴行魔と、ノンストップで事件が続く。それを例によってのらり、くらりと片付けていくフロスト警部。

(ネタばれ注)、しかし、時折見せる「ひらめき」が事件解決の決め手になり、存在感を際立たせるのだが、最後に残った森の連続暴行が、物語の終わりに登場した男の犯罪だったなんて、ミステリの分野から余りに逸脱していないか?

No.1 7点 ロビン 2009/01/04 19:32
大小様々な事件を同時に手がけることになり、なんやかんやの挙句それぞれに解決をもたらす、迷警部フロスト。今回は本当に救いがないなぁ。作戦はことごとく失敗するし、仲間の婦人警官はケガさせちゃうし。本当にどんな決着をつけるのかハラハラでした。
しかし、面白さは文句なし。


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