皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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ねここねこ男爵さん |
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| 平均点: 6.44点 | 書評数: 138件 |
| No.98 | 7点 | 碑文谷事件 鬼貫警部全事件(1)- 鮎川哲也 | 2018/05/05 21:06 |
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| 粒ぞろいの短編集。作者得意のアリバイもの中心に水準以上の話が多く楽しい。個人的に「1時10分」「誰の屍体か」がよかった。
「青いエチュード」は、こんな話ないかなとずっと思っていたものの具現化で少々驚いた。やっぱりみんな考えるんだなぁ。 また、「人それを情死と呼ぶ」の中編バージョンが読める貴重な本。 |
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| No.97 | 6点 | フランス白粉の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/05/05 20:48 |
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| 必要条件を重ねに重ねて共通部分をとるタイプなので、ロジカルではあるがアクロバティックではない。
死体発見が劇的でワクワクするが、どうしても尻すぼみな感がある。この設定いるか?ってのも散見 国名シリーズでは平凡な方ではなかろうか |
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| No.96 | 8点 | 黄色い部屋はいかに改装されたか?- 評論・エッセイ | 2018/04/20 23:54 |
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| 語られている内容や提示されている問題が時代に追いつかれている感はあるが、必読。ただ、読者の嗜好や、そもそも問題意識を持っているかどうかで感想は大きく変わるかと。読書経験豊富でも全く意味が分からん人もいると思う。「この本は面白い」「この本はつまらん」などというレベルではなく、「何故このような本が書かれたのか?」「この本が持つ歴史的意義とは?」という。
あと、この時代に叙述トリックが全盛をむかえていたらどのように評されていただろうか、と妄想する。 「逆立ちして人を殺したとき、『①逆立ちのままどうやって殺したのか?』より『②なぜ逆立ちしたのか?』が本質」とはあまりにも核心。 (①のみで②が抜けているものを『昨日の本格』、②を正しく扱っているものを『今日の本格』と評されている) |
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| No.95 | 4点 | 館島- 東川篤哉 | 2018/04/03 13:24 |
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| この作者の他のシリーズものに比べるとユーモアはやや抑えめで、個人的にはこのくらいでいいと思う。が、ミステリとしての出来が今ひとつ。
以下ネタバレ含みます。 館の見取り図を見た瞬間、慣れた人なら「錯覚か回転」と思うだろう。そこに死体の状況や被害者が芸術家肌の建築家であったことなどを加えると構造はすぐに見当がついてしまう。部屋の間違いを伏線にするなど状況をフル活用して頑張ってはいるが… どちらかと言うと、殺人より館の作られた場所や理由の方が謎として魅力があったように思う。答えも鮮やか。なので本来3点の所プラス1点で。 |
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| No.94 | 7点 | 放課後はミステリーとともに- 東川篤哉 | 2018/03/25 12:42 |
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| 面白い。割り切ってぶっとんでるので個人的には「ディナー」よりこっちの方がずっといい。
高校生というのが作者のノリに合ってるし、シンプルな謎を提示してサクサク解決でテンポ良い。 |
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| No.93 | 7点 | ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 | 2018/03/25 12:33 |
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| おー、これは面白い!
手記=隠蔽工作が普通ですが、本作はそんな手垢のついた手法はとらずそれでいて衝撃成分はしっかり確保。犯行シーンを克明に描写したり、視点が頻繁に入れ替わったり…これらがちゃんと意味を持っている。 導入や人物の行動がややご都合な感もあるが良く出来ていて素晴らしい。 仮面山荘と比較されてる方が多いようで、たしかにその誘惑にかられるとは思います。 仮面山荘は(東野ファンではない自分から見ると)とても東野圭吾的で、あれこれツッコまず仕掛けの大枠やお話を楽しむもので、本作はストーリーや人物はやや弱いもののミステリ部分がしっかり作り込んであり(ツッコミたい所が皆無ではないが)、その完成度を楽しむものかと。自分はこっちが好みです。 |
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| No.92 | 9点 | ビブリア古書堂の事件手帖2- 三上延 | 2018/03/06 18:33 |
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| これは恐ろしく素晴らしい!
特に「時計じかけのオレンジ」の話は、謎の設定、その真相、その理由、その身近さ、その解決、そして本シリーズの個性である古書にまつわる話題などを巧みに絡めており完璧な出来。探偵役もワトソン役もそれぞれの個性や推理力など持ち味を発揮しとても楽しい。これほどエンタメ要素と完成度を高次元で持ち合わせた話は稀。 話の設定上厳密にはミステリではないが、これぞ日常の謎。 とにかくトリックのためのトリックや、複雑にすることだけを目的とした複雑さとは無縁で好感をおぼえる。 これ以降のシリーズもクオリティが全く落ちることなく楽しめるが、篠川母はじめいかにもフィクションというか漫画アニメ的な人物がこれ以降増えていくので、個人的にはこの二作目が最高。 |
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| No.91 | 8点 | ビブリア古書堂の事件手帖- 三上延 | 2018/03/06 18:24 |
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| これは素晴らしく面白い。
日常の謎、という括りになるかと思いますが、そのタイプの最高峰ではないでしょうか。 謎が軽いという意見もあるようですが、日常系としては十分な質で、なおかつ単に複雑にすることだけを目的としてあれこれこねくり回すことをせず、魅力的な謎、さり気ない手掛りの置き方、無理なくロジカルな解決と筆者の筆力の高さが伺えます。 登場人物も魅力的で、テンプレのいい所を頂きつつそれぞれが秘密を抱えていたり二面性を持っていたりなど素晴らしい。 ライトノベルというものをほとんど読まないのですが、やはり一大ジャンルを築くだけあって非常に素晴らしい作品も多いのですね。 |
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| No.90 | 4点 | 金雀枝荘の殺人- 今邑彩 | 2018/02/26 11:11 |
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| トリックや推理ロジックは2〜3点。そのかわり動機や事件の背景が素晴らしく、トータルでこの点数。
推理部分が酷く、「実は○○は△△だったんじゃなかろうか。そうすると▼▼も●●だったかもしれない。だとすると✕✕と考えられるので〜」的な、推測の上に推測を重ねていくうえに「なんでそうなる?」というのも多いため個人的には読んでいて非常に苦痛だった。この強引な話運びには一応理由があるのだが…。前書き(?)にも近いことが書いてあるが、要は「与えられた情報からどれだけひねくれた面白い解釈をひねりだすか?」という本です。 トリックについても、密室は「密室になってるからボクは犯人じゃないよ」という感じだし、そもそも第一の殺人は密室にする必然性が無いような…。やらなくてもいいけどやってみたら出来た、と言いたいのだろうか。見立て殺人についても、理由は「犯行順の錯誤か、殺害方法選択の誤魔化し」と相場が決まっているので、ふ〜んとしか。 それから、探偵役が登場の仕方から人物描写までそのままこの時代の流行りテンプレなうえ、屋敷に居座るまでの流れが不自然極まりない。一回追い出されたのに自宅の二階に再度不法侵入(!)する男がいたら即警察呼ぶに決まってるじゃん。その不審者に一通り自己紹介から屋敷の案内までする他の登場人物たちは輪をかけて頭がおかしいとしか思えない。ぶっちゃけ内通者がいるのだが、だったら霊感少女みたく理由をつければいいわけで、「内通者がいるから不法侵入しよう」とは一体…? 霊感少女も「どうしてもあと一人登場人物が必要だった」のと「館に連れてくる理由がいる」ので仕方ないとはいえ、オバケの描写はいらんでしょ。 ただ、動機や事件の背景がとても面白く、それで救われている感じ。 |
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| No.89 | 3点 | 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 | 2018/02/26 10:51 |
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| それなりに面白い話と、なんだこりゃという話が混在していて、トータルでこの点数くらい。
これは推測だが、この本で用いられているトリックはおそらく作者が通常の作品で使用しようとしたが欠点が多すぎたり状況が限定されるためお蔵入りになったものを、本作のようにバレても構わない、ただし警察にバレることは何故か無いという特殊な設定にして廃品利用したものと思われる。ゆえに個々のクオリティは低め。昔あった推理トリッククイズに小説がくっついているイメージ。 作中で矛盾のない推理がなされたときに「う〜ん、それも正解!」としてフェアさをアピールしてはいるのだが、そもそも複数解釈が可能故にボツにしたトリックのクセになんだそりゃという言い訳めいたものを感じてしまう。 |
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| No.88 | 6点 | 白昼の死角- 高木彬光 | 2018/02/20 12:48 |
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| 読みやすく、戦後の混乱期の雰囲気や社会情勢を上手く描いていて楽しめる。
それにしても、この時代は金と地位と名誉と色欲ばっかりww登場人物たちもいい感じに小物ぞろい。 詐欺の手口などについては実際の事件を下敷きにしたということでそれなりに説得力があるし、当時の法律の未整備っぷりなど勉強になる…のだが、マンガ「クロサギ」などを読んだあとだとどうしても手口の緻密さやカタルシスなどで物足りなさを感じてしまう。なので採点は低め。この時代にこれほどの、というのはあるのだが。 |
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| No.87 | 7点 | ヒポクラテスの誓い- 中山七里 | 2018/02/16 16:08 |
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| 連作短篇集。なかなか面白い。
いやいや法医学教室に所属することになった新人女性医師。そこには超凄腕の法医学者がおり、圧倒的な司法解剖の手腕で捜査陣が見落としていた真実を探り当てていく…という、海外ドラマっぽい設定。 実際、海外ドラマで使われるスーパーコンピューター超技術を、口が悪く近寄りがたいが腕は超一流の法医学者に置き換えただけで斬新さはない。さらに最終話以外は割と展開が似たりよったり。 なので本来であれば凡作まっしぐらなのだろうが、この作者のさすがの筆力で水準以上の作品になっている。飽きるギリギリ一歩手前できちんと締めくくるのはすごい。 登場人物も展開もテンプレ通りというか、マンガ的ドラマ的な分かりやすさで、斬新さは欠片もない分安定と信頼の面白さ。おすすめ。 |
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| No.86 | 6点 | 超高層ホテル殺人事件- 森村誠一 | 2018/02/16 15:46 |
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| 読んでいる間は結構楽しかった。
何人か殺されるが、高層ホテルが舞台になるのは最初の一人のみ。 冷静になると「この時代だから許されたいい加減さ」があちこちに見られる(トンデモっぷりや刑事鑑識の痕跡の見落としっぷり)が、ストレスのない文章とテンポの良さであまり気にならなかった。 第二の殺人のアリバイトリックは面白いアイデアで、実現のためかなり都合良い状況になっていることに目をつぶれば結構斬新かと。動機や人間関係はこの時代らしく「金と地位と名誉と愛人」でドロドロww またホテルの主導権を握る争いなどホテルうんちくが結構しっかり書かれていて、社会派ものと考えたほうが良いと思う。 以下ネタバレ含む気になるところ。 第一の殺人の刑事達の推理が大分おかしい。あの時点では「犯人が点灯前に被害者を突き落としたあと、点灯まで待って自分も飛び降りた」になるはずで、「秘書が犯人をかばうために犯人を逃したあと飛び降りた」にはならないだろう。その場に三人いたことは分かっていないのに。 また、チェーンはどう見ても痕跡が残るだろう…。捜査陣の注目はチェーンに集まっているわけだし。 あと、何故女は飛行機におとなしく乗ったのだろう?抵抗しまくると思うんだが(薬で眠らせたり拘束したり、は写真を手にしていたことから考えづらい)。 |
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| No.85 | 9点 | 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 | 2018/02/14 14:07 |
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| これは面白かった。
弁護は絶望的と思われる案件の弁護を買って出るダークヒーロー御子柴弁護士シリーズの第一作です。 社会派・法廷ミステリということになると思いますので、トリック等の解明ではなく謎の提示やその解決、取り巻く人間関係や人物描写が面白さの中心になりますが、本作はそのお手本のような出来。魅力的な人物描写や文章、構造の転換による衝撃成分などお約束事をきちんと網羅した上にオリジナリティもしっかり確保されており文句なし。 好みもあるかとは思いますが、この作者は異常に文章が上手く、岬洋介シリーズで特に顕著ですが演奏シーンの文章は感動的です。本作中にもピアノの演奏シーンがあり、(評者の表現力が貧弱で恐縮ですが)演奏されている曲が聞こえるどころか色彩が目に浮かぶほど文章が巧みでスピード感に溢れ読むたび震えます。調べてみるとこういったシーンでは文字数や読みのリズムを考慮し文章に緩急をつけて書かれているそうで、文章から曲や色彩を感じた作家はこの方が初めてです。 本サイトでは二作目の方が高評価なようですが、個人的にはエンターテイメントの各要素を高水準で取り揃えた本作をより高評価します。 |
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| No.84 | 4点 | 人形は遠足で推理する- 我孫子武丸 | 2018/02/11 16:59 |
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| うーんやっぱり短編向きのシリーズですね。
謎解きはほどほどで、登場人物のコミカルなやり取りを楽しむシリーズなんですが、頑張って長編にしてみたものの水増し感が否めません。あとがきにバスジャック設定から思いついたと書いてある通り、状況を描くことが目的になっているうえに、別にバスジャックじゃなくてもよく(行動を制限できればなんでもよい)、園児がいることによるハラハラ感も特になし。うーん残念。 さらにイベントごとにバスジャック犯の人格が入れ替わっているかのようで、冷静さを欠いているとはちょっと違う意味で行動の一貫性がまるでなく、ほかの方の書評にもある通り非常にストレスです。ファールの基準が毎回変わる審判を見ているようで…。イベントを起こしてページを稼がないといけないのでしょうがない。設定上不可能なのですが、2人用意して人格を分けたほうが自然でしたね。 気楽に読めますし、主役2人プラスワンも魅力的なので、ふわっとさらっと読むのが適しているかと。 |
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| No.83 | 8点 | 追憶の夜想曲- 中山七里 | 2018/02/11 15:38 |
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| 一応言っておくと、このサイトでは本格/新本格にカテゴライズされていますが、本作は本格ミステリではなく法廷ミステリです。
これは面白かった。 主人公である御子柴弁護士のぶっとんだ設定に戸惑う人もいるかと思うが、個人的には全く気にならず。 弁護は絶望的とも思われる案件を主人公はなぜ買ってでるのか?刑期を出来るだけ縮めるよう要求するにもかかわらず時に自分に不利になる証言をしてしまう被告人は単に天然なだけなのか?などなど魅力的な謎が次々提示され、衝撃とともに締めくくる筆力は素晴らしい。いろいろな証拠や伏線をさりげない描写に混ぜ込むのがやたら巧みで、ストレスなく読める文章はさすが。登場人物も整理されていて非常に良い。 法廷ミステリなので本格物のような推理の楽しみはないが、魅力的な謎とその真相、法廷でのやり取り含めた人物描写、駆け引きなどが楽しめる。高評価も納得の作品。 |
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| No.82 | 7点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2018/02/08 15:26 |
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| 映画を見てから小説を読みました。
採点には映画も含めています(映画は文句なしに面白かった。ましゃ兄かっこいい)。 小説を読んでみて、こりゃあ意見が割れるだろうなと思ったら、容疑者X論争なるものがあるのですね。ごく最近知ったので論争の細かい内容は分かりませんでした(リンク切れなど)ので、ひょっとしたらすでに論じられていて解決済みのことを言うかもしれません。何卒ご容赦を。 作者は突っ込まれそうな際どい部分には一応の理由を持たせているのでいいのですが、はっきりごまかしを感じたのは、 『現場の自転車の(人為的な)パンクの件が解決していない』こと。 コレに触れている書評が見当たらなかったので…。自転車を残す必要性は湯川先生が語っていて、誰かに乗り逃げされないようにパンクさせたのはいいとして、石神は意図を悟られないために「自転車の存在そのものを知らなかった」と嘘の供述をしています。そうすると警察は「パンクさせたのは誰か?」という問題を解決する必要が出てくることになりますが作中コレに触れた部分はありません。勿論やったのは石神ですが、彼は上記のことからパンクさせたことを主張できません。被害者がやるはずもありません。自転車は死体のそばにあったと書かれているので(死体と関連付けるためそばに置かざるを得ない)、自転車をパンクさせ死体に気づかないということはないでしょう。「犯行後、無関係な誰かが現場に来て面白がってパンクさせたがそばの死体に気づかなかったか、気づいても通報せずスルーした」というのは苦しく、これだけで草薙の言う「一つでも矛盾があれば」に相当すると思うのですが。 作者はこのことを忘れていたのではなく、解決法が無いので触れないことにしてごまかしたものと思われます。 それから、これは個人的なイチャモンですが、雰囲気づくりのため物理だの数学だのに触れる割に、石神の思考法が数学者的ではないように感じます。 石神はブルートフォース的な証明を良しとせず、本質を押さえればすべてが明らかになる「美しい」証明を理想とする古いタイプの数学者として描かれているのに、彼のやったことは原理的にそうなる、というものではなく蓋然性を高めるだけのもの、現実の処理にはコレで十分という方法で、どちらかと言うとエンジニア的です(と思ったら、作者はエンジニア出身なんですね、納得)。そもそも数学以外興味がないとされる石神が、警察の捜査の深さ杜撰さ思考法を見切っていた、というのもらしくないし、蓋然性を高めるだけのことで論理的思考とは言えず、とにかく数学者らしくない。(念のため富樫の生家などから臍の緒を手に入れて鑑定しよう、となったらどうするつもりだったのだろう) おそらくこの作者は「本格原理主義者」を読者としては端から相手にしておらず、ライト層向けの商売に特化しているのでしょう。それはそれでうなづけるスタンスですし、本格原理主義者からの批判もどこ吹く風だとは思います。 |
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| No.81 | 6点 | 屋上の名探偵- 市川哲也 | 2018/02/04 20:47 |
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| この作者の作品としては最も平凡でありそれ故に最もオススメ。
設定も事件も解決も平凡そのものなので安心して読めます。似たような作品は山ほどあり、それらと比較して優れているかというとなんとも言えないところですが、破綻せずきちんとまとまっています。 あ、各事件の犯行動機は結構斬新でいいと思います。 |
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| No.80 | 7点 | 青の殺人- エラリイ・クイーン | 2018/02/02 17:37 |
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| エラリー・クイーン名義ではありますがゴーストライターを起用していた時代の作品。どちらかと言うと本格色の強いハードボイルドもの、という感じ。
謎の映画監督を探すプロデューサーが殺されて…ですが、慣れた人なら映画監督の正体はすぐに見当がついてしまいます。なので殺人犯は誰か?が謎の中心になりますが、重厚さや意外性には欠けるものの丁寧な伏線の張り方、手がかりの置き方、ロジカルな推理など破綻無くまとまっています。ちょっと分かりやすくすればテレビの推理物の元ネタとしては超優秀かと。 出来は「そこそこの一歩手前」程度なのですが、高得点にしたのは動機に結構びっくりしたのと、その伏線の張り方に感心したので。 |
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| No.79 | 6点 | 完全犯罪に猫は何匹必要か?- 東川篤哉 | 2018/02/02 11:27 |
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| 点数低めですが面白かったです。
低い理由はメイントリックが前例ありまくり&ミエミエだからで… ソレ以外の部分がとても良く出来ています。ユーモアだからこそ許されるものもありますが、作者のフェアプレイの精神が垣間見えると言うか、ネタバレを恐れずきちんと言及されてますし、このシリーズはそういうものだと思って読むものなのでしょう。 ただのミステリをギャグ色の強い文章で書いただけ、ではなく、ユーモアをもミステリに組み込んで書かれている良質のユーモアミステリです。 ネタバレ こういう錯覚を利用したトリックは、なんでもやってみようの黎明期では頻出でしたがすぐに廃れました。やはり都合が良すぎて説得力に乏しいのでしょう。本作もそれを乗り越えるものではなく、目撃者の設定含め当時の焼き直しにすぎず不満が残るので高得点には出来ませんでした。 ただ、ソレ以外の部分は本当によく出来ています。 |
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