皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
了然和尚さん |
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平均点: 5.53点 | 書評数: 116件 |
No.30 | 7点 | 無実はさいなむ- アガサ・クリスティー | 2016/03/26 21:09 |
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再読ですが、前に読んだ時より+2点で評価アップしました。レギュラー探偵は出てきませんが、謎の進め方や、他視点で描写されるところなど、非常に今風かと思います。
意外な犯人は、いかにもクリスティー好みだなと思います。 よくあるトリックですが、今出てきた→今入ったトリックが、さらっと使われていますが、扱いが軽すぎて違和感ありました。うまく組み立てられたのに、結論のまとめ方はちょっと雑な気がしました。 |
No.29 | 6点 | 殺人は容易だ- アガサ・クリスティー | 2016/03/24 13:03 |
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ちょっと派手に殺されすぎていると思いますが、クリスティーのサービス精神でしょうか。真相から考えれば、一人死んで、特定人物に疑いがかかればいいのですが、うまくいかないので次々と。。。というのはシニカルです。倒叙でも面白い味になりそう。
他作品(特にマープルもので)でも出てきますが、犯罪者の異常な眼差しにふと気がつくシーンがありますが、結構怖いですよね、クリスティーの実体験から来てるのでしょうか? |
No.28 | 5点 | スリーピング・マーダー- アガサ・クリスティー | 2016/02/02 11:20 |
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マープルもの完読です。
皆さんご指摘の通り、比較する作品は「カーテン」ではなく「五匹の子豚」ということになりそうですね。「五匹の子豚」は容疑者があらかじめ示されており、聞き取りと手記から論理で追及していく、本格の良さはあるが、読み物として退屈。本作は、冒険譚的で、意外な犯人を見つけるまで読み物として楽しいが、本格の手がかりは甘く、論拠は怪しい。クリスティーが推理小説の両極を同時期に仕上げたのはさすがです。 本作では、特に手がかりも無く、容疑者に挙がっていないという理由で犯人の予想ができてしまうのですが、重要な証言である目撃された車について「しゃれたという形容詞は彼にとっては無意味だったのよ」とか、それはないでしょう。 |
No.27 | 5点 | 復讐の女神- アガサ・クリスティー | 2016/02/02 11:06 |
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構成としてバスツアーの内容が、本格ものとしての要素も、旅情ものの雰囲気としても物足りないのが残念で、イマイチでした。犯人については姉か妹かというところなのですが、当然郵便物を出した妹に疑いはかかるのですが、ただのお使いだったとは。明らかに燻製にしんとして誘導している分、真犯人の方の動機や内容が、ちょっと取ってつけた感がありました。
ラストではマープルが遠慮なく報酬の2万ポンド受け取ってますが、使い道が気になりますね。 本作は3部作の2作目ということで、完成しなかったマープルのラスト作では、この2万ポンドがどうなったか描かれているんでしょうね。マープル最後の事件とタイトルされていれば当然犯人も〇ー〇〇なんでしょうが。 読みたかった。。。 |
No.26 | 3点 | バートラム・ホテルにて- アガサ・クリスティー | 2015/12/22 08:21 |
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5、6年前に読んで再読。あまり面白くなかった印象があったが、再確認。その割に不思議と犯人とかそこに至る展開とかはよく覚えていたりします。(不満すぎて印象が強かったかな)
内容は「ビッグ4」なみの駄作ということでおわかりいただけるかと。ちなみに、「ビッグ4」は完走すらできなかったので、評価不能でしたので、本作は最後まで読めるだけ上かな。 |
No.25 | 6点 | カリブ海の秘密- アガサ・クリスティー | 2015/12/17 12:14 |
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前半はクリスティーものあるいは翻訳物の特色として、やたらカタカナ名前が乱発し、しかも本作は登場人物紹介が関係者11名がひとくくりで「帯在客」となってたりします。比較的早く事件が起こるのが救いですが、なんかアウェー感みたいな読みにくさです。(マープルの心情?)それが、中盤からスピードアップして、ぐんぐん面白くなり300ページとは思えない充実感で終わります。この立体感を感じる構成がどこまで作者の意図なのか偶然なのか興味のあるとこです。平凡な内容にもかかわらず、比較的皆さんの評価が高いので、作者の実力なんでしょうね。
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No.24 | 5点 | 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー | 2015/12/03 14:24 |
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<クリスティー作品ネタばれまくり>
この作品を評するにどうしてもこう書きたい アクロイド殺し(1926 )+ ナイルに死す(1937) ー ポワロ 本作の前後においては 1965 バートラムホテルにて(マープル) 1966 第三の女(ポワロ) 1967 終わりなき夜に生まれつく 1968 親指のうずき(トミタペ) と、年一作の時期において、あえてのノンレギュラー探偵ものでした。探偵を出すとやっぱり一人称のトリックが再利用と批判されるからでしょうか。出版当時の評価に興味があります。 アクロイドよりは物語として面白いと思いますが、ナイルに死すの方が本作よりは面白いと思います。 テレビドラマではマープルものになってました。「犯人はお前だ」はやっぱり欲しいですね。 |
No.23 | 7点 | 鏡は横にひび割れて- アガサ・クリスティー | 2015/11/25 12:43 |
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探偵は間違ってはいけないというのが私の好みですが、マープルは早々に真相の線を否定します。前にもマープル物でこのパターンがあったので、今回も怪しいなと思い、まあ楽しく読めました。マープル婆さんは、史上最高の素人探偵の称号が似合いますね。(プロにあるまじき思い込み)
本作の犯人は、上記の罠をかいくぐればすぐにわかるわけで、動機の意外さが売りです。過去の無意識の加害者と復讐というのは、いいテーマですね。 「会話中の人物の話の内容で顔色が変わったが実は肩越しに何かを見つけて驚いた」という話はよくあるのですが、これをひっくり返して「うわの空で会話中の被害者の肩越しにないにかを見て驚いたと思ったら、驚いたのは会話の方だった」 過去の作品前提ですがいい発想ですね。 |
No.22 | 5点 | チムニーズ館の秘密- アガサ・クリスティー | 2015/11/10 11:12 |
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本格物ではないスパイ、冒険物の系統なのですが、既読感があり軽い感じで読みやすかったです。逆に言えば、人物や構成が薄く、平凡でした。「偽りの人物とその正体を知る者の排除」というのが既読感の正体だったようですが、クリスティーでは最もよく出てくるモチーフではないでしょうか。
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No.21 | 4点 | パディントン発4時50分- アガサ・クリスティー | 2015/09/06 19:42 |
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このサイトでも評判が悪いですね。私もイマイチだと思います。
しかし、骨格だけを見直してみると7点ものの本格作品なのですが、どこで失敗したんでしょうかね。 8ページ目に早々と殺人が目撃されますが(最早記録ってあるんでしょうか?)、並行して走る列車の窓からの偶然の目撃は、テレビドラマで演出されていたように、ちょっとコミカルな感じで、最高の入り方でした。 次は、探偵助手役に非常に魅力的なキャラが出てきます。こっちは本作のみらしいですが、1作のみでおしいサブキャラ1位は確実なのでは。 そして、いよいよ身元不明の死体と大家族、遺産相続、天一坊と黄金パターンです。 結末は、死体の身元とそれまで語られた容疑者がすべて燻製ニシンー>消極的消去法でこいつが犯人 みたいに読めるのが意外な犯人であっても、本作の流れにはマッチしなかったようです。 |
No.20 | 6点 | ポケットにライ麦を- アガサ・クリスティー | 2015/08/23 16:45 |
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すっきりよくまとまっていて、面白く読めた一冊でした。本格の観点としては少し物足りない気もしますが、特にマザーグースの関わりが、イマイチでした。改めて考えてみると見たて物って(獄門島とか)意外と派手な演出で見栄えは良くなりますが、本筋とは関係が薄いのが多いかなと思います。本作も童謡殺人と呼ぶには寂しいですね。マープルが犯人を指摘するときに、論理と証拠を挙げた後(これが重要)、犯人の妻は2度までも不幸な結婚をしているので今回も夫は何者かに違いないというのは結構好きですね。 |
No.19 | 4点 | 魔術の殺人- アガサ・クリスティー | 2015/08/10 21:11 |
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皆さんがコメントされている通り、イマイチですね。残り100ページのところで最初に戻って、添付の平面図に人物を記入しながら読み返したら、犯人はわかったのですが、マープルが明確に否定するのは、気に入りませんね、(私は、探偵は間違ってはいけないと思う)このトリックはクリスティ再読さんと同じ日本の作品をすぐ連想しました。日本の作品の方が先に書かれているんですね。 犯人はわかっても動機に本格物らしい工夫がしてあったので、まあまあの読後感なのですが、最後に無意味に4人も死体が並ぶのは減点でした。このへんが荒っぽい仕上げですね。 |
No.18 | 6点 | 予告殺人- アガサ・クリスティー | 2015/07/23 11:42 |
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改めてクリスティーを続けて読んでみると、天一坊物とでも呼べそうな、なりすましと口封じのための殺人というのが多いですね。今までその印象が薄かったのですが、本サイトのランクでも上位にはこの趣旨の作品は入ってないというのは面白いですね。本作では、「誰が犯人か」から「次に誰が殺されるか」、「誰が偽物か」と推理のポイントが移っていくのが面白かったですが、3人も偽物が出てきてしまっては、もうなんでもありですね。 |
No.17 | 7点 | 動く指- アガサ・クリスティー | 2015/07/16 11:07 |
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よくある構図かと思いますが楽しめました。犯人は娘のミーガンであるかのように書かれていて、ちゃんと証拠的なものも書かれています。最後にどんでんがえしで夫の妻殺しとなるのですが、それはないやろと感じます。(こっちの手がかりは書かれてた?)
しかし、マープルの説明には納得せざるをえません。例えば、殺されたお手伝いさんは「ミーガンが手紙を入れたのを見た」とミスリードされますが、「だれも手紙を入れるのを見なかった」と考えた方が、その後の行動がしっくりきます。家庭教師へ怪文書がこなかったことも同様です。燻製ニシンのミーガンが、ちょっと個性的すぎるキャラクターのために、人によってどう感じるかで本作の評価は変わりそうですね。 |
No.16 | 7点 | カーテン ポアロ最後の事件- アガサ・クリスティー | 2015/06/21 16:57 |
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ポワロものを順番に読んできましたが、晩年のスタイルは本格とは言えないものなので、本作も期待はなかったのですが、実際に書かれたのが本格全盛期とあって、予想以上の面白さでした。XXX最後の事件の犯人はXXXとか、偶然の審判とか既読感は強いのですが、それらのネタをよくまとめたと思います。読んでいる途中で、殺人を仄めかす犯人(Xですね)はW卿か双眼鏡の人かどっちかなと思って、最初に戻って読み直そうとしたところ、表紙になにやら不自然な双眼鏡のイラストが! このシリースの別の作品でもありましたが、これはダメでしょう。 それはともかくとして、銃撃事件の時にW卿が過去の事件をほのめかしていましたので、こっちが本星かと思ったら、ポワロの解説では、それも双眼鏡の人が吹き込んでおいたとのこと。こういう別解のつぶしが本格ミステリーらしくて好きですね。 |
No.15 | 5点 | 象は忘れない- アガサ・クリスティー | 2015/06/20 09:14 |
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またもや過去の事件についての真相解明でした。「五匹の子豚」の方が生々しい感じがあり、本作は少しもの足りない感じでした。推理のピースは細かく、模様も不鮮明で、いかようにも結果が推理できる展開で楽しめましたが、結果は平凡すぎました。特に、話を持ち込んだ義母が、小悪党(にもなってないか)で途中で消滅したのは残念でした。「息子が殺害され、血筋から問題の婚約者の娘が疑われる」などという展開の伏線は存在するのですが。 |
No.14 | 6点 | ハロウィーン・パーティ- アガサ・クリスティー | 2015/06/11 13:53 |
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読むに従ってパズルのピースが組み上がっていく見事な作品でした。まあ、各ピースが大きく絵柄もはっきりしているのでゴールが予測しやすいのですが。クリスティーの作品は比較的に別回答がありそう(カーは細かく別解を消していたりする)で、本作も、単独犯でも可能ではないか?(共犯者は殺されている事務員)とか殺人を見たのは殺された本人であっても成り立つやろ、とか思います。しかし、そのパーツを使って横溝的な隠された親子の因縁とかで締めくくられますが、ビジュアル的にもいい感じなので、本格評価としてマイナス1点のところ逆にプラス1点です。 |
No.13 | 4点 | 第三の女- アガサ・クリスティー | 2015/06/06 09:12 |
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人物が入れ替わっていて、その正体を知る者が殺される。動機の解明が即、犯人につながるため、身元を不明にしたり不可解な状況をつくる。クリスティーでは(あるいは本格では)よくこのパターンが使われますが、本作では、事件そのものを隠蔽し、もう一段深くしてみることを試みたようです。が、ちょっと無理だったのでは。前半が退屈すぎて、後半が急展開過ぎました。前半に死体が出てこない退屈さの埋め合わせでオリヴァ夫人は襲われたんでしょうか? |
No.12 | 4点 | 複数の時計- アガサ・クリスティー | 2015/06/02 15:38 |
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犯人が推理作家の未刊の作品ノートを参考に、自分の犯罪に利用したという一種の筋書き殺人のようですが、発想力が乏しかったのでなんとも意味のない(不可解ですらない)事件になってしまいました。そうか、この作品の評価が低いのはクリスティーが悪いのではなく、この犯人がだめだめだったんですね。犯人夫婦は過去に海外の遺産を手にいれたことや、姉の存在に関する矛盾など本格の手がかりを示されていますが、なぜか見逃してしまうんですね。この遺産の入手が計画的でなく成り行きの偶然だからかなと思います。成り行きに行えば問題のないものを、仕掛けを考えすぎて手がかりを与えてしまう、本格小説のキモですね。 |
No.11 | 4点 | 鳩のなかの猫- アガサ・クリスティー | 2015/05/30 09:35 |
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本格物として、いろいろと残念な点が多いです。一番気になったのは、一人称的に描写されている部分(本作は多視点になってますが)でその人が犯人であったことですかね。その直後に、別の犯人のアリバイ状況が語られているので、確信犯的なミスリードなのかもしれませんが、フェアプレー派から見れば大ブーイングでしょう。とってつけすぎの結末も余計です。 |