皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
斎藤警部さん |
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平均点: 6.70点 | 書評数: 1358件 |
No.38 | 8点 | 水車館の殺人- 綾辻行人 | 2015/05/22 12:23 |
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二作目も面白かったですよ。館の雰囲気もよく描かれていてゾワッと来るし、色んな謎が積み重なってそうな雰囲気もたまりません。主人公を筆頭にいかにも曰くありげな登場人物の造形も豊か。文章が練れて来たためか奇妙なリアリティがありますよね、こんなお話なのに。 最後に明かされる真相には「十角館」ほどの革命力があるわけじゃないけれど充分に凄味があります。とにかく、読んでいて愉しかった。 |
No.37 | 10点 | 十角館の殺人- 綾辻行人 | 2015/05/21 15:57 |
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*いちばん最後にネタバレな事を書きますよ
騙されたんですよ、見事に。 こりゃ本当にびっくりだったなあ。 そのころ更新中だった「連続犯人当て記録」が本作で見事にぶった斬られましたよ。 嘘くさい設定、青くさい文章、余りに後付けくさい動機と好みじゃない要素ばかりなのに何故だか吸い込まれる様なハイスピードであれよあれよと読み進んでしまい、気が付きゃあこのザマですよ。 考えてみると、孤島だけではなく、本土というもう一つの舞台が順繰りに登場するという独特な形式が、もうそれだけで何とも言えないスリルとある種のフェロモンを放出していたのかなと思います。 アラはいくらでもあるけど、見えません。 嫌いな諸々も、四捨五入で9点まで落とせる程は差っ引けません。 ところでネタバレ風な冗談を言いますが、北アイルランド出身のヴァン・モリスンというソウルシンガーをご存知ですか? |
No.36 | 2点 | 弓弦城殺人事件- カーター・ディクスン | 2015/05/21 14:20 |
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昔好きだった作家の未読の初期作って事で割と期待したんだけど、見事に詰まんなかったなぁ~ 何も心動くものが無い。わざわざ作ったおどろおどろしい舞台装置が無駄になっちゃいましたねぇ~ |
No.35 | 3点 | ハイヒールの死- クリスチアナ・ブランド | 2015/05/21 13:33 |
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好きなブランドだがこりゃ酷いな。手掛かりやら人間関係やら物証やら心理描写やら、何もかもとっ散らかって最後までグズグズだった。風変わりなだけの純文学みたい。
若くて綺麗な女子ばかり出て来るから、一貫してカラフルなイメージが残るのは良かった。 兎肉のカレーにはちょっとそそられた。 |
No.34 | 9点 | はなれわざ- クリスチアナ・ブランド | 2015/05/21 12:21 |
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××××トリックもこれほどのスケール感でやってくれるとクラクラするほど感動的。
真相を知った瞬間、高~い空の上に解き放たれて漂い始めた様な感覚に襲われたものです。 きれいでユーモラスな物語の雰囲気、文章の肌触りがとても好き。 |
No.33 | 9点 | エジプト十字架の秘密- エラリイ・クイーン | 2015/05/21 11:25 |
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純粋に謎解きで興奮させられた小説ではこれが一番。
意外性よりサスペンスより文章力より、推理による真相解明にやられた。あのロジック畳み掛けには参ったな。。 結末に至るまでの筋運びも、微妙に怖いゾゾッとするムードが漂っており魅力的。 子供向け翻訳で読んだ「Y」を除けば本作がエラリーQ初体験だったはず。いい本読ませてもらいました。 |
No.32 | 3点 | ゴルフ場殺人事件- アガサ・クリスティー | 2015/05/21 10:59 |
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それなりに期待して読み始めたんだけど、最後までずっとピリッとせず、あまり面白くなかった記憶しか無いなあ。 |
No.31 | 7点 | 歪んだ複写- 松本清張 | 2015/05/21 09:50 |
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税務官吏の不正に纏わる(と思われる)連続殺人事件の真相を追う。
「また例の」と言う設定だが、清張ならでは保証付きのじわじわ来るサスペンスは流石に強烈で、ありきたりな感じはまるで無い。終盤に近づくにつれ、結構エグい事やってる様が赤裸々に暴かれ、ゾッとする。 事件の背景として武蔵野が重要な位置を占めており、読んでいると深大寺の蕎麦屋に行きたくなる。 昭和30年代好きには見逃せない、氏がバリバリにブッ飛ばしていた30年代ど真ん中の作品です。 |
No.30 | 8点 | スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー | 2015/05/20 16:34 |
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日本の某古典名作を先に読んでいましたが .. それのヒントもあって真犯人は途中でピンと来ました。 それでも充分にエキサイティングで面白かったなあ。。 女史はデビューから既に「企画の女王」だったんだなと納得しましたよ。
もし彼女に文才が無かったとしても、きっと周りの作家に「これこれこういうアイディアがあるから、あんたふくらまして書いてみなさいよ。」ってやってたんじゃないかしら。 或いはクイーンみたいに誰かと組んで二人一役。 |
No.29 | 3点 | フレンチ油田を掘りあてる- F・W・クロフツ | 2015/05/20 16:12 |
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うぅ~~ん、この本はちょっとね。 前半くらいはそれなりに読めたけど、目を引く謎解きも意外な犯人も何も無かった。アリバイも蚊帳の外。。 何より物語が琴線に触れませんでした。 |
No.28 | 9点 | 暗黒告知- 小林久三 | 2015/05/20 15:39 |
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本格と社会派の精妙な融合はここにも有る。足尾銅山と田中正造が最重要背景/人物として鎮座します。田中正造、熱いです!作中でも話題の新小説として触れられる島崎藤村「破戒」に登場する熱血政治家を思わせます。その熱血漢がまさか、殺人事件の犯人なのか、それとも。。。。 日本近代暗黒史をしっかりと描いた中に、本格ミステリーの矜持が、着実な伏線とイメージ豊かなトリックそして意外にして残酷な結末として顕出しています。
暗くて重くてエキサイティングなブツでキメたいあなたに強く薦めます。 |
No.27 | 7点 | 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー | 2015/05/20 15:14 |
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幼き頃に読んだ作品。 いかにもジョン・ディクスンらしい舞台装置ギミックは控え目ですが、ドライなユーモアと適量のサスペンスに支えられて楽しく読めます。トリックも味のうちと言った所。ちょっと再読してみたい。 |
No.26 | 8点 | 準急ながら- 鮎川哲也 | 2015/05/20 12:34 |
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「ああ俺ってアユ好きだよなあ。。」と既に分かっている上で読んだ初めての作。鮎哲では既に五冊目でした。はじめて鮎川哲也を読んでから二十数年経っていた。好みも変わった事だろう。地味目に展開する話ですが一瞬たりとも退屈しなかった。徐々に徐々に、着実に解決に向かう捜査の描写が好きだ。古式ゆかしいアリバイトリックそのものより、アユさん独特のトリックを破る試行錯誤の雰囲気が好きなんだろうな、私は。 巧んでか巧まざるしてか、何ともトボケた味をチョィチョイ出して来るのもアユ師匠の大事な個性。本作のエンディングあたりは相当トボケてるなあ。 やはり、私には肌が合うんだと思います。
昭和40年前頃(’60年代中盤)の風俗がよく描かれているのも相当に素敵。 |
No.25 | 8点 | 告訴せず- 松本清張 | 2015/05/20 10:55 |
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持ち逃げされた黒い選挙資金は小豆相場で躍動。復讐の恐怖に震える男と、彼に近づく女の思惑は。。
横領、投機、ホテル経営、詐欺。 様々な経路を辿る金と男と女の行き着く先は何処? 時折旅情を織り交ぜながら、サスペンスが横溢。 強い悪女と小豆先物市場のヴィヴィッドな描写が怖い。 題名が秀逸。 |
No.24 | 5点 | 確率2/2の死- 島田荘司 | 2015/05/19 23:24 |
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スッパリ楽しいB級サスペンス。子を誘拐されたプロ野球選手が犯人の指示でいっぱい走らされます。 読んだそばからストーリー蒸発しちゃいそな軽さですが、本当に忘れちゃって途中まで初読のつもりで再読しちゃった事があったもんで、ある程度憶えてしまいました。 悪くない。 |
No.23 | 9点 | 宿命- 東野圭吾 | 2015/05/19 19:55 |
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現代の巨匠東野圭吾がキャリア初期に早くも打ち立てた金字塔ではないでしょうか。
彼ならではの軽くて深い文体で、深くて重い主題(さて、それは果たして何か?)に取り組んでいますが、最後にとても爽快な気分で〆る粋な計らいが眩しく、又そのラストシーンまで質感たっぷりに持って行ける文章の安定感に心から感服します。 |
No.22 | 9点 | 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー | 2015/05/19 19:08 |
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意味ありげな題名に惹かれて若かりし頃手にした一冊。
最初から最後までテンションキープで期待を裏切らなかったけど、特にやっぱり謎解き部分が面白くて面白くて、ハラハラドキドキしたなあ。謎解き自体にあれほどエモーショナルなスリルを感じられて幸せだった。毒殺といういやらしい手段の事件相手に「トリック再現」「フィルム撮影」なんていかにも大きな心理の落とし穴がありそうなギミックの存在感も最高。全体的にざわざわした雰囲気の文章も凄くいいです。 |
No.21 | 9点 | 銅婚式- 佐野洋 | 2015/05/19 18:28 |
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素晴らしく充実した本格ミステリー短編集。意外性の宝庫。
海外ミステリばかり読んでいる人(今時いないかも知れませんが)が「たまには(乃至はじめて)日本のミステリも読んでみたい」なんて言うならこの第一級短編集を薦めてあげたいかな。 後年のあっさりした短編群も嫌いじゃないですが、敢えて人に薦めたいのはやっぱり初期の、洒脱ながらも何気にこってり濃厚な作品達かな。 不運な旅館 /赤いすずらん /さらば厭わしきものよ /二度目の手術 /銅婚式 /離婚作戦 /不貞調査 /カメラに御用心 (講談社文庫) |
No.20 | 5点 | 陸橋殺人事件- ロナルド・A・ノックス | 2015/05/19 16:33 |
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なんだかよく分かりませんでした。企画意図は分かりますが。。
頭のいい人が面白い企画を実行に移しても、うまく行くとは限らないんですかねえ。 でもエンディング近くまでは「何か想像を絶する展開が待ち受けているに違いない」と結構わくわくしながら読めたし(ある意味待ち受けていたんですが)、旧き英国風景を感じさせる流石の文章力も手伝って、決して捨てたもんじゃない読書体験をさせてくれました。 年とってから再読するために長生きしようっと。 |
No.19 | 6点 | ガラスの絆- 夏樹静子 | 2015/05/19 12:10 |
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短編集。「天使が消えて行く」との連関を思わす題名(人工授精を象徴)につられ、同様の重厚路線を期待して読みましたが、かの作品ほどの深い感動は来なかった。。 とは言え面白く読めました。比較的重い過去に現在の強姦/脅迫/殺人事件を絡める表題作のほかは割りと軽めのサスペンス中心(出来は悪くない)で、佐野洋の短編集を思わせた、かも。 |