皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ミステリーオタクさん |
|
---|---|
平均点: 6.96点 | 書評数: 167件 |
No.107 | 6点 | 無限がいっぱい- ロバート・シェクリイ | 2021/09/04 22:38 |
---|---|---|---|
フレドリック・ブラウンと並べられることが多いらしい、この作家の短編集を初めて入手してみた。
作品自体は押し並べて60年以上前のものだが、設定は全て今よりも大部未来のSF作品集。 原題は【Notions:Unlimited】だが表と裏の表紙には[tales of menace]とある。 《グレイのフラノを身につけて》 全編読み終わってみればブっとんだ設定のSFが多い中で、これは例外的に割と現実感がある、ロマンスを題材にしたアイロニー。 《ひる》 一転して非現実感がハンパないtale of menace。 《監視鳥》 今で言うところのAIのmenaceをちょっと、いや、かなり極端だが鮮明に描いている。 《風起る》 読んでて疲れる異星の物語。地球上の最強台風を遥かに凌駕するヴァイオレントウインド。 《一夜明けて》 ここは一体どこだ。 最後はパイオニアイズムと現実のギャップが皮肉っぽく書かれている。 《原住民の問題》 異星の開拓者達の話だが、(全編に共通したことではあるが)かなり強引な展開。特に解決編は。また最後の文明論っぽい話は難しいし、翻訳も相当苦労したものと思われる。 《給餌の時間》 6ページのショートショート。オチは大体読めるが、なぜそうなるのかが分からない。分かる方がいたら教えてください。 《パラダイス第2》 タイトルも含めて全編中、最もマニアックな作品だったように思う。 始めの方の「突然変異によって生じた細菌。これはもっぱら全住民に危害をくわえる目的で、実験室でつくりだされたものだ。この細菌の活動を制しきれなくなると、惑星ひとつ全滅するぐらい造作ないことなんだ」という一節も現在のmenaceを感じさせる。 《倍額保険》 タイムトラベル物。いろいろな時代でストーリーが繰り広げられるので映像化したら面白そう。 《乗船拒否》 人類の永遠の宿題の一つである、人種問題の話だが・・・捻りが面白い。 《暁の侵略者》 シンプルな宇宙進出ストーリーが、何か「鬼滅の刃」を思わせる展開になっていくが、最後は前作同様に「種の問題」がテーマに。 《愛の語学》 第1話以来のロマンス関連の話。これも概念性の強いシニカルな内容で、「どちらかと言えば」笑える。 恐らく原文はそこそこ古い英語である上に、翻訳も古い日本語が多いので少々読みづらいが、まぁ古き良きアメリカのSF短編集としてバラエティーに富んだシチュエーションを楽しむことができた。 |
No.106 | 5点 | さよなら神様- 麻耶雄嵩 | 2021/06/23 16:32 |
---|---|---|---|
麻耶の神様シリーズ2冊目は6つの作品からなる連作短編集。
《少年探偵団と神様》 前作の既読者にとっては「よっ、神様ひさしぶり」てな感じで始まるが、ミステリとしてさほどインパクトのある話ではない。で、結末直前のアレは・・・後で分かる。 《アリバイくずし》 まあ結末が麻耶らしいと言えなくもないが、ミステリとしては普通。 《ダムからの遠い道》 前作に続いてアリバイ崩し。 最後に明かされるネタは悪くはないが、途中のガキどもの延々と続く議論は読むのが面倒だった。 そもそもアリバイは苦手。 《バレンタイン昔語り》 序盤で第1話のアレが分かる。 辛く残酷な話だが【神様ミステリ】としては、よくできていると評価せざるを得ないだろう。 《比土との対決》 これも面倒なアリバイもの。動機の意外性? あまりピンと来ない。 《さよなら、神様》 当然マトメになる話だが、分かったような分からんような・・・ 基本的に残虐な殺人ミステリは嫌いではないが、幼気な子供が不幸になる話はキツい。本書では何人もの子供が死ぬが個人的にはその子たちより、ある気持ちの優しい子の悲運が不憫でならなかった。 作者としては本作品集はсчастливый κοнецのつもりなのだろうが、自分には最悪のイヤミスだった。 さよなら神様。 そして暫しの間、さよなら麻耶。 |
No.105 | 6点 | 作家刑事毒島- 中山七里 | 2021/04/15 20:15 |
---|---|---|---|
毒島(ぶすじま)という何ともやりきれない名字の作家刑事が、マインドポイズンで犯人を責め落とす様を出版業界を舞台に描いた異色ミステリ風短編集。
《ワナビの心理試験》 ワナビ・・・知らなかったなあ。それにしても痛快、痛快。 《編集者は偏執者》 前作と似たような設定だが、二作目ということもあってか業界論の展開がちょっとダラついた感じでウザかった。 《賞を獲ってはみたものの》 こんな殺害方法があったとはね。しかし終盤の「ツアー」には笑った、笑った。犯人なんか誰でもいい。 《愛涜者》 前三作とは少しニュアンスを変えて、それなりの意外性もあるが「本の出版関連事情」に精通している人以外は、ミステリとしてのカタルシスは得難いのではないだろうか。まあその分野の勉強にはなるが。 《原作とドラマの間には深くて暗い川がある》 出版業界とテレビ業界の交錯が描かれ読み物としては面白かったが、これもミステリとしてはねぇ~。 繰り返しになるが、個人的にはミステリとしてより業界内部事情と毒島のエキセントリックストラテジーを楽しめた短編集だった。 |
No.104 | 6点 | メルカトルかく語りき- 麻耶雄嵩 | 2021/03/17 00:52 |
---|---|---|---|
メルカトルと美袋のための第2短編集。
《死人を起こす》 なかなか魅力的な短編ミステリに訳の分からない殺人事件をくっつけて、ぶち壊しているところが作者らしい。 《九州旅行》 あまり面白くなかった。オチも古い。 《収束》 また、こういう中途半端なミステリを書きやがって・・・ この話では登場人物たちの身長がポイントの一つになっているが、メルの身長が180センチ以下らしいのは少し意外だった。190位あるかと思ってた。 《答えのない絵本》 またまた訳の分からない話を書きやがって。 でもこれは凄い。緻密に組み立てていったロジックタワーを完成と同時に叩き壊して前代未聞の虚数解にいざなうのだから。 といってもマヤの悪ふざけだな。 《密室荘》 もういいよ。犯人は下弦の壱だ。 長年、自分の脳内でのメルカトルのヴィジュアルイメージは不敵な笑みを浮かべた阿部寛だったが、一昨年「シャーロック」というTVドラマを見てからディーンフジオカに変わった。しかしシャーロックの続編が見たい・・・あんな奴がホントの守谷であるわけがない!家族で守谷役を当てっこしたのに・・ おっと本作とは無関係な話でした。 思うのだが、摩耶にはミステリ界のピカソという形容が相応しいかもしれない。 |
No.103 | 6点 | 鬼の跫音- 道尾秀介 | 2021/03/02 21:24 |
---|---|---|---|
作者が脂が乗り切った頃の「ミステリ+ホラー」短編集。
《鈴虫》 確かにミステリ+ホラーではあるが、特に斬新さは感じす。 《(けもの)》 ミステリ部分はとても良くできているし、ホラーパートも、あまり好みではないが強烈。 《よいぎつね》 古より時々見られる○-□型ネタだが、こういうのはどうも作者の自己マンに感じられてしまう。 《箱詰めの文字》 途中までは面白い展開だが、結局何がしたかったのかよくわからない。 《冬の鬼》 全く斬新とは言えないが、あるユニークな手法が取られている。「ラスト」もかなりエグい。 《悪意の顔》 合理的な出来事か、超常現象か。その境界をさまよう不思議な作品。でも最後の1行がその解答らしい。 以上6編、良くも悪くも道尾らしさが色濃く出ている作品集に仕上がっていると感じた。 で、Sっつうのはやっぱり秀介のSか? |
No.102 | 7点 | マスカレード・ホテル- 東野圭吾 | 2021/02/17 18:14 |
---|---|---|---|
見ようと思いながら、なぜか映画もテレビの見損ねてしまったが、本書を読んで逆に映像に触れる前に原作に当たれてよかったんじゃないかと思えた作品。
実に精巧な構成で読みごたえのあるケイゴ・ミステリーでしたね。 まぁ、目的達成のためにそこまでやる必要性があるか?という感想もあるでしょうが。 続編も映画化されるそうだから、その前にそちらも読んでから映画館に足を運びたいものだが、どうなることやら・・・ |
No.101 | 6点 | ミハスの落日- 貫井徳郎 | 2021/01/27 22:39 |
---|---|---|---|
海外の、名前は誰でも知っている5つの地(表題作もメインステージは下記のとおり)で繰り広げられる5つのヒューマンミステリー。
すべてのストーリーにとびきりの美女が絡んでくる。 《ミハスの落日》 真相は特段驚きが大きいものではないし、トリックに至っては残飯もの。 まあ、バルセロナが主舞台のセンチメンタルストーリー・ミステリー風ということで楽しく読めた。 《ストックホルムの埋み火》 前半はいかにもミステリチックな展開でそれなりの捻りもあるが、結局心情描写が強い作品になっている。 《サンフランシスコの深い闇》 これ、保険会社と警察のスタッフは間違いなく記憶にあるが、ストーリーは全く思い出せず。 登場人物たちのキャラクターがやたら濃い割にミステリーとしては薄味のため忘れてしまったのか、別の話だったのか判然とせず・・・と思っていたら、解説に「別の中編集のある作品の続編」であることが書かれていて、ようやく思い出した。 《ジャカルタの黎明》 ミステリーとしてはこれが一番面白かった。 しかし動機は苦しい。 ところでこの国って人の頭を撫でるのはNGじゃなかったっけ? 《カイロの残照》 これはキツい。 あまり貫井らしさが出ている作品集とは言い難いが、押し並べて読みやすいので異国情緒が気分転換にはなる。ただし、いい転換になるかは保証できない。 |
No.100 | 8点 | 片翼の折鶴- 浅ノ宮遼 | 2021/01/04 17:12 |
---|---|---|---|
現役医師の手による医学ミステリ短編集。
個人的な感想としては、最終話以外は「お見事」の一言。 特に《開眼》と《血の行方》には唸らされた。 |
No.99 | 7点 | きみのために青く光る- 似鳥鶏 | 2020/12/30 22:29 |
---|---|---|---|
異様な超常能力を有する中高生3人とオーエル1人がそれぞれ主人公の、4つのインディゴな物語。
《犬が光る》 △・・前半はやや退屈でこんなんがずっと続くならムリかなーと諦念の予兆がよぎったが、後半に「事件」が始まってからはまあまあ。 《この世界に二人だけ》 ◎・・これは面白かった。 恐怖、ほのかな甘酸っぱさ、再び恐怖、そして〇〇たち・・・ テーマは「なぜ人を殺してはいけないのか」 《年収の魔法使い》 ◎・・前2作で中高生の発展途上の心理を繊細に描いた作者が、いきなりこういう「現金な」発想を噛ましてくることにまず驚いた。 それでも一応ミステリになっているし、前作に劣らず面白い。 《嘘をつく、そして決して離さない》 〇・・これは感想なしで。 テーマは「人間の運命とは」 今年は本当に大変な一年でした。 来年はどんな運命が私たちを待ち受けているのでしょうか。 それでは皆さん、よいお年を。 |
No.98 | 6点 | 首折り男のための協奏曲- 伊坂幸太郎 | 2020/12/19 22:17 |
---|---|---|---|
タイトルは仰々しいが、まぁ伊坂の作品集だからさほどのインパクトは期待せずに・・・
《首折り男の周辺》 読みやすいし「先の見えない感」もよかったが、作者の作風の一つとは言え、もう少しまとめてくれてもよかったかな、とも思う。 《濡れ衣の話》 うーん、結構感情に差し込まれる話だが、これも最後は・・・ 《僕の舟》 これは面白い。最後の最後は分かってしまうだろうが、笑うしかない。 《人間らしく》 延々と続くクワガタの話は少々ウンザリだが、たまにはこういう話も(ある意味伊坂の本質が出ていて)イイね。 《月曜日から逃げろ》 作中で述べられているとおり斬新とは言えないが、面白い試み。 《相談役の話》 「アリーナの写真」だけは少しゾクッとしたが、全体的には(個人的には)あまり面白くない。 《合コンの話》 一番ミステリらしくないツカミで始まり、やがて巧妙なミステリを予感させる流れへ移り、その後ダラダラ感を抱かされた後、フィニッシュは「半落ち」といったところか。 伊坂らしい人間味豊かな無難な短編集と言えるのではないだろうか。 |
No.97 | 6点 | 真実の10メートル手前- 米澤穂信 | 2020/11/06 17:24 |
---|---|---|---|
ベルーフシリーズとやらの最終巻?とのことだが、自分は本書以外は未読。
《真実の10メートル手前》 推理クイズの積み重ねのような展開は興があるが、閉め方は如何だろうか。平凡なのか叙情性を狙ったのか。 《正義漢》 20ページ弱の取り分け短い短編だが面白い構成になっている。 《恋累心中》 掘り下げが少し物足りない気もするが、よくできていると思う。何と言っても動機の意外性。 《名を刻む死》 例によって、推理クイズ的ないくつかの小ネタは悪くはないが、全体として何か理屈っぽい感じだし、また「そんな拘りを持つ奴」もいるかもしれないが、それをミステリー小説にしあげても、あまりしっくりこない。 《ナイフを失われた思い出の中に》 これも緻密な造りだが、やはり理屈っぽすぎる推理と抽象的なメディア論にいささか疲れる。 《綱渡りの成功例》 この真相が何か問題に? まあ、コレもメインテーマはメディアの意義だろうが、ちょっとピンボケな気がする。 全作力作だとは思うが、総じてミステリーとジャーナリズムの関連づけに少々コジツケっぽさを感じてしまった。 |
No.96 | 7点 | ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで- 真梨幸子 | 2020/10/15 23:59 |
---|---|---|---|
この春文庫化された、真梨先生の何冊目かの短編集。
大手百貨店の外商部が絡んだ奇妙な話が並ぶ連作作品集になっている。 《タニマチ》 全く前情報なしで入った本なので、どんなものかとチョットわくわくしながら読み進めたが・・・うん、途中少しダラついている感も否めなかったが、小気味いい「トリック」が効いている。 《トイチ》 これも凶悪犯罪が起こるわけではないが、それなりにミステリーしている。 おひい様はだーれ? 《インゴ》 何という展開。 《イッピン》 ちょっとグロい描写もあったりして、大部いつもの真梨ミステリーになってきた感じ。 《ゾンビ》 なるほど、そう来たか。でも、なぜかさほど斬新さを感じないんだよな。 《ニンビー》 没落、意外な人間関係、凝った構成・・・前作と少しテイストが似たストーリーで、コレもよくできているとは思うが、やはり個人的には大きなサプライズはもたらされなかった。 《マネキン》 面白くてバカバカしくて、かつ本書の真髄も垣間見られるが、まとめずに最終話へと続く。 《コドク》 いくら何でもソリャネ・・・いや、マリワールドならアリか。そして、ある意味マリらしくまとめたね。 大体「薄→濃」の順に並んでいると言っていいだろうか。でもって「グロさ」や「不快感」といった調味料をドバっとかけることなくストーリーの素材と捻りで勝負している。 今まで読んだ作者の短編集の中では最も高い完成度を感じた。 |
No.95 | 7点 | 噂の女- 奥田英朗 | 2020/10/03 22:12 |
---|---|---|---|
地方(恐らく岐阜県)の小さな町を舞台にした、とんでもない女の男喰い遍歴を描いた連作短編集。
《中古車販売店の女》 読みやすいが何も面白くない。バカみたい。 《麻雀荘の女》 本書の流れが少し見えてきて、少し面白くなってきた。 《料理教室の女》 前2話とは趣向が変わり、また少し面白くなる。 《マンションの女》 来たね~ 《パチンコの女》 これもなかなかだが奥田さん、ヤクの件はもう一息。 《柳ヶ瀬の女》 世の中、金、金、金ってか。 《和服の女》 ホントに今でも地方には、こんなカビの生えそうな、役所と土建屋の癒着が蔓延っているのだろうか。 《檀家の女》 (コレだけホンの少しネタバレ) この辺までくると「飽きてきた感」も拭えないが、本作のラストは「考え抜いた末にパーを出したら他の3人は揃ってチョキを出した」の方が面白くなくない? 《内偵の女》 何ともダルいし、やる気なくなるわな。 《スカイツリーの女》 まとめになっているようないないような。 どの話も結末をクリアにせずヴェイグにクローズするところは奥田さんらしいと言えば、らしい。 何はともあれ、ひたすら読みやすく入れ込めた。 |
No.94 | 7点 | 物語のおわり- 湊かなえ | 2020/09/14 22:34 |
---|---|---|---|
ミステリとは言い難いが、六者六様の「人生の選択」の物語6話と、本書の準主役級の戸惑いと回想、そして最後に主役級の回想と葛藤・・・の計8話からなる連作短編集。
それぞれのライフストーリーが北海道の大自然を背景に叙情的に描かれ、そして非常に読みやすいのでミステリ以外の小説は滅多に読まない自分でも没頭することができた。 本編が終わった後で主役級にアレが届くはずだが、その時にこの物語はミステリになる。 |
No.93 | 7点 | この闇と光- 服部まゆみ | 2020/09/13 10:36 |
---|---|---|---|
何を言ってもネタバレになりそうな反転モノ。
自分も蟷螂の斧さんと同じく「闇の中にあって、世界はなんと美しく輝いていたことだろう」という一文が非常に印象的でした。 |
No.92 | 6点 | 日曜の夜は出たくない- 倉知淳 | 2020/08/30 17:36 |
---|---|---|---|
日曜の夕方・・・ペーソスに浸れるよなぁ
ましてやそれが8/31だったら・・・懐かしい子供の頃の胸の痛み・・ そんなことはともかく本書の第一作「空中散歩者の最期」は、指摘されている方もいるとおり明らかにトリックが理論的に間違っている。 「星降り」「過ぎ行く」といった素晴らしいエンターテインメントを書いている倉知さん、本作ももう少し物理を勉強しなおしてから書いてほしかった。 いや、でも全体的には読みごたえのある佳作集だと思う。 |
No.91 | 8点 | 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 | 2020/08/29 17:51 |
---|---|---|---|
5つの「旧家の屋敷や資産家の館」を舞台にした、お嬢様、家族、関わった者、そして何より《使用人》たちの5つの尋常ならざる物語。
『身内に不幸がありまして』 ・・・コレは途中で見えちゃうよね。つーか作者自らネタバレしてるようなもんだ。(勿論故意にだろうが) 『北の館の罪人』 『山荘秘聞』 ・・・ともに趣深い館モノだが、動機を受け入れられるかどうか。 『玉野五十鈴の誉れ』 ・・・個人的にはコレがベストかな。 タイトルは本文中でも少し触れられているようにチェスタトンの作品へのオマージュでもあるだろうが、何といってもグイグイ引っ張られるストーリーフローと、その果ての最後の一行だね。 『儚い羊たちの晩餐』 ・・・メインのネタの凄惨さにも関わらず一番薄味に感じた。まあアレは殆ど描写されてないわけだからしょうがないが、それならあのネタを日記の最後の一行で分かるような組み立てにしたら、かなりゾッとできたのではないだろうか。 全編作者らしい高いリーダビリティを纏い、ハイクオリティなテイストを醸し出す5粒のブラックダイヤモンドのような短編集。 連城作品を彷彿させる昭和初期の上流層の耽美的な情景描写、それに当たっての作者の教養ひけらかしまくりにも賛辞を送りたい。 |
No.90 | 5点 | 向日葵の咲かない夏- 道尾秀介 | 2020/08/09 16:17 |
---|---|---|---|
読み物としてはそこそこ面白いが、何人かの方が指摘されているとおり明らかな矛盾点があるのは頂けない。
※ 今年は「何もない夏」になりそうだ。 |
No.89 | 5点 | 夏のレプリカ- 森博嗣 | 2020/08/09 14:11 |
---|---|---|---|
内容の割りには長い気もするが悪くはない。 |
No.88 | 6点 | 姑獲鳥の夏- 京極夏彦 | 2020/08/09 13:59 |
---|---|---|---|
んなんで○○はゼッテーできねえって。
でも前半延々と続く認識観念論は流石に圧巻。 |