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[ サスペンス ]
この闇と光
服部まゆみ 出版月: 1998年11月 平均: 6.69点 書評数: 16件

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角川書店
1998年11月

角川書店
2001年08月

KADOKAWA/角川書店
2014年11月

No.16 7点 みりん 2024/08/27 02:28
印象に残った一文があったので引用しようとしたら、お二方が既に挙げておられるのでやめた(笑)
独自の幻想世界の構築という点でここまでのめり込むように魅せられる作家はそういないのでは。盲目の少女の想像する世界が鮮やかな色彩を持って見えてきます。解説では中井英夫や赤江瀑(最近読んだ^ ^)が引き合いに出されていますが、その通りだと思います。

【察しのいい人は察するかもしれない感想注意】




前半は人の心を惑わすようなあやうい美しさを放つメルヘンファンタジー。前半の路線をずっと期待しつつ、心の中では種明かしを欲しがっている2人の自分がいました。物語がどこへ向かうかは読んだ方のお楽しみ。この主人公は三島由紀夫『金閣寺』の主人公と重なった。ミステリーというより文学よね後半。

※こちらもみんな教えてで知った作品です。ありがとうございました。

No.15 7点 人並由真 2021/07/26 05:18
(ネタバレなし)
 角川文庫の2014年版で読了。
 
 以前に一回、図書館で元版を手にしたことがあったが、その時は都合で未読のまま返却した。

 今回は、本サイトの「みんな教えて」コーナーで、設問「ぜっっったいにネタバレ厳禁!書評をぐぐる前にとにかく読むべし!という作品」に応えて、蟷螂の斧さんが本作を挙げていたのに気を惹かれて読んだ。

 はたしてどんでん返しは予想外のものではあったが、真相が明らかになると、意外にショッキングさは生じない種類のネタでもあった(それでも反転のシーンはさすがに……であったが。あとそれから……)。

 とはいえ最後まで読んで、某メインキャラクターの胸の内を覗き込み、ある種の感慨に囚われることこそ、この作品のキモだと思う。
 真相の意外性もさながら、そっちの(中略)な心の動きを探るからこそ……。

 さらっと読めるけど、たぶん一度読んだだけじゃ見切ってないところも少なくないでしょう。今は独特の余韻を静かに味わっておきます。
 そのうちまたいつか、前半を中心に再読してみることにしよう。

 最後に、改めまして、作者様のご冥福をお祈りします。

No.14 7点 ミステリーオタク 2020/09/13 10:36
何を言ってもネタバレになりそうな反転モノ。
自分も蟷螂の斧さんと同じく「闇の中にあって、世界はなんと美しく輝いていたことだろう」という一文が非常に印象的でした。

No.13 6点 あびびび 2019/12/04 22:26
見事な構成力と結末の爽やかさ。でも、ミステリを初めて読む方は賛否両論だろうなと思う。途中でギヤチェンジと言うか、いや、乗り物自体がすっかり変わってしまって、その違和感が興味をそそるけど、快く満足したわけではない。むしろ、なぜ、そちらの方向に行ったのか?

自分的には、「ハムレット狂詩曲」の方が好きだけど、またほかの作品を読みたいという意欲が湧いて来た。

No.12 8点 斎藤警部 2019/03/01 12:36



「初めて笑ったわ!」

最高の結末! これほどまでに裏切らない、覚悟の決まったエンディングに巡り逢えたセレンディピティを呪わないでください神よ。

構成と内容に気を配ったであろう、皆川博子氏による、解説ならぬようでなっている文庫巻末。 “主人公”なる際どいワードを光らせて紡ぎ出すのは若死にした作者が如何に”真の贅沢”を、その愛した美しきものたちと共に味わい得ていたかの披歴と追想。

“ほんとうに愚かなのはどちらだろう?” なんて、ありきたりの惰性とは逆のベクトルで、そのタイミングで言われると、しみるねえ。

以上の私の文章で何も察さずにいてくれたら幸いです。
とても読みやすい小説でした。




No.11 6点 sophia 2018/12/17 17:41
全て「レイア」視点の物語であり、「父」の方の素顔があまり明らかになりません。ああいうことを行うに至った明確な動機が存在してほしかった。そこに期待して読んだので残念な結果になりました。この作品は中盤で明かされる物語の舞台に驚けないとアウトかもしれません。でもそれは序盤に分かり易い伏線がひとつありましたからねえ。文字に関するところですが。

No.10 6点 響の字改 2017/06/04 20:34
先程読了。

嗚呼、なるほどねwww(;>Д<)

先達諸兄の書評が如何に的確かを実感し申した次第で御座る(時代劇?)
確かにコレは書いちゃうと色々マズいっすわw

ここの書評を見て「何だよ皆このモヤモヤした書き方はー」と思ったのが手に取る理由だった珍しい一冊でした。

このモヤモヤ書評の山を見てしまった未読の貴方には是非一読をw

No.9 6点 名探偵ジャパン 2016/10/18 18:10
何でしょうか、このもやもや感は。
いわゆる「反転もの」なのですが、作者はネタをかなり序盤から小出しにしていってしまいます。おおまかな概要が掴めたところで、さらなるサプライズが。そして一気に物語は収束に向かうのかと思われましたが……
寸止め、というか、あえて全てを語らない、こういうのがやはり文学の世界では「かっこいいスタイル」というものなのでしょうか。当サイトの分類も「本格」ではなく「サスペンス」となっていますし、実際その通りです。
「何度も読み込んで感じろ」「答えは自分でみつけろ」ということなのでしょうか。すぐに「正当」を求めたがるせっかちな現代人への警鐘。読者の数だけエンディングがある。これが分からないお前はアホなのか。作者が本作に込めたメッセージが重くのしかかります。
投げたんじゃないよね?

No.8 7点 E-BANKER 2016/05/23 23:04
2001年に発表された長編。
長短合わせた作品が二十篇のみという作者は2007年に夭折・・・

~森の奥に囚われた盲目の王女・レイア姫は、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた・・・はずだった。ある日、そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で・・・。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか? 随所に張り巡らされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは?~

なるほど・・・こういう作品だったのかと唸らされた次第。
最近、書店でかなり大げさなポップ(「○○店員がチョーお勧め!」みたいなヤツ)をつけて平積みされていたから、気になってはいたのだけど・・・
純粋なミステリーと呼ぶには抵抗があるけど、これはこれで十分な謎とサプライズを備えた作品だろう。

文庫版解説の皆川博子氏は、本作について『・・・作品が放つただならぬ香気』と表現されている。
確かに、行間からにじみ出ているのは「香気」と表現すべき「気」なのかもしれない。
少なくとも、第一章だけを読んでいると、単なるファンタジーとしか思えない。
それがジワジワと反転していく刹那。
(一瞬にして反転するのではなく、読者に少しずつネタばらししながら反転させていくのがニクイ)

途中からいったいどういうオチ?という目線だったんだけど・・・
まぁこれはこれでいいんだと思う。
手練のミステリー好きならば、更なる大技、サプライズを求める向きもあるかもしれないが、それはそれで下品になるのかも。
現実と虚構の混ぜ具合も“ちょうどいい”と思う。

ということで、ひとことで言えば「よくできた作品」という評価。
さすがに直木賞候補になっただけのことはある。
それだけの雰囲気を持った作品。

No.7 6点 パンやん 2016/05/13 05:46
中世を舞台にしたゴシック調ロマンと思いきや、所々の違和感のなか、盲目のレイア姫の日常が綴られていくが、このレイア(一)がネックであった。ここに魅了されるならば、あとは仰天のお楽しみが待っているという仕組み。たまにはこんなのも、いいのかなと思った次第。

No.6 8点 ボンボン 2015/12/28 23:08
本当に何を書いてもネタバレになるので困る・・・。
謎解き前の「謎」部分の運びが実に面白い。徐々に違和感を示し、順々に気付きの幅を広げてくれる。話が進むにつれ、あそこにもここにも、答えを想像させるものが埋め込まれているのが発見できるので、たっぷり楽しませてもらった。
これは超豪華で壮大な「思春期」だ。と考えると、読後すぐは、終わり方について、「大人」への発展が中途半端で少し物足りなく感じたが、じっくり反芻してみると、あくまでも「この闇と光」の世界で終結するためには、これでいいのだと思えるようになった。

No.5 6点 メルカトル 2015/05/22 21:58
解説の皆川博子氏は、この作品についてはほぼ触れていない。何を書いてもネタバレにつながるから、という理由だが、それももっともであると感じる。それだけ特異な小説であるという証左であると同時に、なかなかお目にかかれない希少価値の高いものであると思われる。
作風としては綾辻行人のホラーに若干類似しているような気がする。作風というか、雰囲気か。確かにサスペンスではあるが、その純度は低い。とにかく、これは読まなければその真価は理解できない。誰がどう感想を書こうとも、真実はうまく伝わらないだろう。
ついでに言うと、帯の謳い文句も必要ない。ネタバレ禁止と書きながら、禁句が堂々と載せられているのはどうかと思う。
尚、本作が直木賞にノミネートされたのは、私にとって意外な事実であった。

No.4 9点 蟷螂の斧 2012/02/02 09:50
失脚した王と盲目のレイア姫の物語が、一気に反転するのは見事で、好きなタイプの作品です。後半は若干尻すぼみの感は否めませんが、不思議な世界へ引き入れられました。盲目の少女にボッティチェリの「春」(私のお気に入りの美しい絵で愛を表現しているらしい)を教えるシーンが印象に残りました。

(2016.8再評価。「闇の中に在って、世界はなんと美しく輝いていただろう!」という文章を目にし感動。再評価へ。当時はトリック最重視で、他の部分には目もくれずといった感じでした。今回、ネタバレサイトなどを読み新発見が多数ありました。前半に伏線がかなりの量でばらまいてある(ミステリー通)。後半の簡略化は「闇」を引き立たせるためのもの(文学少女?)。etc。再評価の決め手は、前述の文章とラスト二人の会話でした。当初、どんでん返しに驚き、二人の会話など気にもとめなかった(苦笑)。

No.3 6点 touko 2009/01/29 23:38
これミステリーのくくりなんですね。
実は○○……にはそんなに驚ろかなかったんですが、そうじゃなくても、高貴なる存在から庶民に堕ちちゃったらショックなのかしらん? なんて高貴とは縁遠い私は、的外れな感想を抱いた記憶があります。

No.2 6点 シーマスター 2009/01/11 20:47
これについて全くネタバレなしに語るのは針がラクダの穴を通るより難しい。

敵国に占領されたある王国で、水面下に反乱を目論む王である父とともに軟禁されている盲目の王妃レイアの物語・・・悲壮感と文芸色が漂うストーリーの中で彼女の成長が描かれていく。
読みながら「これはアレで、それはヤレかな?」と感じてしまったが、半ばであっさり「両方ともそうだよ」と明かされたときには少々拍子抜け、しかし「やっぱね」と思いながらも○から○○る、あるいは○○に○○する感じの収束感は悪くないし、その先に期待を抱かされもする。
が、後半、真相、結末はどちらかというと尻つぼみの感も否めない。タイトルの意味を十分表現したいという作者の思いはヒシヒシと伝わってはくるが。

もう少しネタバレしちゃうと、映画「〇。〇。〇」のノリだね、この話は。(シュレックではないよ)

No.1 6点 こう 2008/08/11 00:39
 主人公は盲目の姫、レイアでレイアの視点で王である父、侍女のダフネを中心に物語は進んでゆきます。
 そして二章目で物語が突然動き出します。
 「実は〇〇だった」というパターンの作品はいろいろありますが、初めてのパターンだったため驚いた覚えがあります。
 作品の後半~結末部分はさほど面白みがありませんでしたが
「実は〇〇だった」という部分だけでも堪能できました。
 ただ個人的には読後のカタルシスは得られませんでしたが、作品上仕方ないかな、と思います。


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