皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.10点 | 書評数: 1679件 |
No.819 | 8点 | 悪女パズル- パトリック・クェンティン | 2015/10/20 13:35 |
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1945年作品。離婚を考える3組の夫婦、婚約者カップル2組、そして主人公ダルース夫婦の計6組の男女が織りなす愛憎劇か?!・・・。プロットはシリーズで一番と思えるほど非常に優れていますね。第2、第3の事件は、○○殺人(私にとっては初物)という本作品の”肝”であると思います。よって、どんでん返しへの伏線として、非常に重要な事件であると感じました。ダルース夫婦シリーズで8点評価が3作品となりましたが、順位は「悪女パズル」>「俳優パズル」>「女郎蜘蛛」です。 |
No.818 | 7点 | サイモンは誰か?- パトリシア・モイーズ | 2015/10/16 21:51 |
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サイモンは誰か?(どちらか?)という謎で引っ張っていきます。前半は、サスペンス色の強い展開です。そして、思いもよらないサプライズが用意されています。満足(笑)。後半は、殺人事件の犯人探しで本格的な展開となります。よって、2度楽しめたという気持ちです。 |
No.817 | 5点 | 夜歩く- ジョン・ディクスン・カー | 2015/10/14 19:38 |
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密室・○○○○○トリックは、それほど感心するものではなかった。しかし、サイコキラー系は割と好きなので、最後の一行(犯人の言葉)は結構気に入りました。 |
No.816 | 4点 | 大絵画展- 望月諒子 | 2015/10/11 15:29 |
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「BOOK」データベースより~『ロンドンのオークションでゴッホ作「医師ガシェの肖像」を日本人が競り落とした。落札価格は約百八十億円。時は流れ、日本のバブルが弾け、借金で追いつめられた男女にある依頼が持ちかけられる。それは倉庫に眠る「ガシェの肖像」を盗んで欲しいというものだった…。第14回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝く、痛快にしてスリリングなコンゲーム小説の傑作。』~
絵画ものは、どうしても贋作がらみとなり、既視感がぬぐえない。ストーリー展開(コンゲーム)も新鮮味は感じられなかった。 |
No.815 | 7点 | マーチ博士の四人の息子- ブリジット・オベール | 2015/10/09 09:49 |
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裏表紙より~『医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼い頃から快楽のための殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の4人の息子―クラーク、ジャック、マーク、スターク―の中の一人であり、殺人の衝動は強まるばかりであると。『悪童日記』のアゴタ・クリストフが絶賛したフランスの新星オベールのトリッキーなデビュー作。』~
1992年のサスペンス作品。この手のトリッキーな作品は好みなので高評価としました。殺人者とメイドの交換日記的な展開なのですが、やや長いのが玉に瑕。中編で良かったかも。 |
No.814 | 7点 | だれがコマドリを殺したのか?- イーデン・フィルポッツ | 2015/10/06 16:22 |
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1924年の作品。愛憎劇はじっくり描かれており退屈はしなかった。サプライズは用意されており、面白いと思いますが、やはり時代性を感じる。トリックはやや古いパターンの部類かな?。消去法でいくと、こういう結果にならざるを得ないのですが、三人称形式では、ややアンフェアか?と思われる部分も・・・。といいつつも7点を献上(笑)。 |
No.813 | 6点 | エンジェル家の殺人- ロジャー・スカーレット | 2015/10/03 18:49 |
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奇妙な遺言、動機などのアイデアは評価したいと思います。犯行方法、密室、盗難事件などがあっさり片づけられているので、何が中心なのか、ぼやけてしまった感じです。金への執着心などを中心に人物像をもう少し堀り下げていたら、傑作になっていたかも。 |
No.812 | 5点 | オシリスの眼- R・オースティン・フリーマン | 2015/10/01 17:57 |
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エジプト考古学者が不可解な失踪をし、その2年後に白骨が発見される。その白骨は考古学者のものなのか?・・・。ヴァン・ダイン氏が世界ベスト10に挙げたらしい1911年の作品。しかし、現在から見ると、トリックはかなり古い(苦笑)。本作でも、当時としては最先端?のX線写真が登場しているので、そういう意味から科学的推理のソーンダイク博士という謳い文句になったのでしょう。歴史的な意義を感じるかどうかといった作品ですね。 |
No.811 | 5点 | NかMか- アガサ・クリスティー | 2015/09/28 16:32 |
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裏表紙より~『情報部からナチの大物スパイ“NとM”の正体を秘密裡に探るという任務を帯びたトミーは、妻のタペンスには内緒で任地へと赴いた。だが、タペンスとて一筋縄でいく女ではない。騙されたふりをして先回り。かくして二人は、大規模なナチ・スパイ網のまっただなかへと飛びこむことに…スリル満点の冒険ミステリ。』~
シリーズ第1作「秘密機関」(1922)から約20年後(1941)の本作。主人公も年をとり子供もいる設定です。題名のように内容は、スパイは誰か?であり、どちらかというとフーダニットに近い展開でした。本格ものであれば意外な犯人ということになると思います。しかし、スパイもの、冒険ものとしては、スリル満点とは言えず、この評価となってしまいました。 |
No.810 | 6点 | 追跡者- パトリック・クェンティン | 2015/09/23 18:02 |
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主人公が出張から帰ってくると、自宅には新婚の妻の姿はなく、代わりに男の死体が転がっていた。妻の行方を追うという題名通りの追跡劇で、冒険活劇要素の方が強い作品です。パズル・シリーズにはないコメディタッチの場面(脇役のホテルボーイがアクセントとなりいい味を出している)もあり楽しめました。 |
No.809 | 5点 | 秘密機関- アガサ・クリスティー | 2015/09/22 16:57 |
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初期(1922)の初々しさが感じられる作品。何しろ若い(笑)。著者の冒険・スパイものは概して評判はよろしくないみたいですね。単純なプロットに加え、スピード感、サスペンス感が不足しているのでしょうか。2009年、ガーディアン(イギリスの新聞)が必読小説1000冊を発表。その中に本作は選出されています。また「アガサ・クリスティ ベスト BY 折原一」にて氏は本作を第17位にランクしています。本作の解説をしている杉江松恋氏は本シリーズ「NかMか」をアガサクリスティの私的ベスト10に入れ、本作よりそちらの解説をしたかったとコメントしています(苦笑)。記念碑的作品ということで甘目の採点となりました。 |
No.808 | 5点 | スリープ- 乾くるみ | 2015/09/20 15:50 |
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高評価のSFミステリー「星を継ぐもの」もそうでしたが、”なんでもあり”のSFにおけるミステリーとしての評価は下げざるを得ない(苦笑)。本作の読みどころはミスリード?。 |
No.807 | 6点 | 柊の館- 陳舜臣 | 2015/09/20 15:47 |
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(再読)著者の作品を読み始めたころは、ミステリーという意識はなかったですね。本サイトで「炎に絵を」を知り、著者の他作品の多くがミステリーに分類・登録されていていることにびっくりしたことを思い出します。本作は、神戸の異人館(イギリス系船会社の宿舎)に長年勤めた日本女性の語る恋物語や殺人事件です。今でいうコージー系、日常の謎系に近いものと思います。奇妙な味系もありますが、全体の印象はロマンチックな味わいといったところですね。。第1話の事件の真相が、最終章で判明するという形をとっています。 |
No.806 | 6点 | 呪縛の家- 高木彬光 | 2015/09/20 15:45 |
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「読者よ欺かるるなかれ」(カーター・ディクスン1939)にインスパイアされた作品であることに間違いはないと思います。物語の展開は全く違いますが、重要部分での類似点はありますね。そのこととは別に、この作品の「オチ」は結構気に入っているので、オリジナリティの高い作品で適用されていればなあ、と思いました。非常に勿体ない気がします。 |
No.805 | 7点 | ベスト・ミステリ論18- 評論・エッセイ | 2015/09/12 23:14 |
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①若島正氏~「そして誰もいなくなった」における犯人の心理描写部分を特定・抽出するという作業・分析に敬意を表したい。この評論を読んで、改めてクリスティ氏の凄さを思い知らされた。
②坂口安吾氏~「黒死館」を”こけ”にしているところが楽しめる。 ③北上次郎氏~007ジェームズ・ボンドは国家のために闘うエージェント・ヒーローを否定するところから出発したという。ファンですけど、こういうことを考えたことはありません(笑) ④法月綸太郎氏~「わが子は殺人者」(パトリック・クエンティン)の解説。満点評価なので、この解説が読みたかった。 ⑤都築道夫氏~トリック無用は暴論か。まあ、暴論でしょう(笑) ⑥北村薫氏~解釈についての評論ですが、一か所?の点がありました。≪「傷だらけの挽歌」という映画の試写会。大金持ちの傲慢な令嬢が誘拐され、救出時はぼろくずのようになっていた。父親はそんなになっても生きているのかと冷たい言葉を浴びせる。ラストシーン、川に身を投げた娘を見て、探偵は何とも言えない表情で、その場を去ろうとした。助けないのか、という声に「アイ・キャント・スイム」。実に苦く、見事な台詞である。まさしく、<出来ない>のである。ところが、字幕が出た途端噴き出した観客がいた。その人には素直におかしかったのだ。本当に<泳げない>と思ったのだ。≫色々な解釈があっっていいという評論ですが、ここでは決めつけてますね。笑った人はブラックユーモアが大好きだったかもしれません。 |
No.804 | 7点 | 白雪姫には死んでもらう- ネレ・ノイハウス | 2015/09/11 20:58 |
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ワンカットが短く、話が飛ぶのが作風ですね。本作は「深い疵」より読みやすかった。相変わらず、登場人物は多い(苦笑)。事件が複雑なので、主席警部オリヴァ―の家庭事情の話はない方がすっきりしていたかも・・・。とは言っても、非常に面白かったですね。題名の「白雪姫には死んでもらう」ということが中盤で判明するのですが、ゾッとしました。シリアスな展開なのですが、ところどころに笑いが挟まれています。 |
No.803 | 8点 | 証拠は眠る- R・オースティン・フリーマン | 2015/09/08 19:44 |
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裏表紙より~『夫の急死で悲しみに暮れる未亡人とその関係者たち。だが、その中の誰かが夫を毒殺したことが明らかにされる。未亡人の幼馴染みであるルパートは、ソーンダイクに真相の解明を依頼するのだが、やがてそれが考えもしなかった結末へと連なっていった。誰が、いかにして夫を毒殺したのか。証拠はどこにあるのか。それも確かな証拠が。ソーンダイク博士シリーズの傑作長編と話題を呼んだ逸品。』~
科学探偵の元祖といわれるソーンダイク博士(シャーロック・ホームズのライヴァルたち)が活躍するシリーズの11作目とのこと。1928年の作品でありながら古さは感じないし、非常に読みやすい。検死審問などの緊迫感も心地よい。翻訳作品が少ないのが残念です。ソーンダイク博士は基本的にやさしい人なのですが、今回は犯人に厳しい態度で臨んでいますね。登場人物が少ないので、フーダニットよりハウダニットに重点を置いているように感じました。「ポッターマック氏の失策」(1930)は倒叙ものだったので、その前段のように感じました。そのあらすじの骨格になる事にも触れていましたね。作風が好きなので採点は甘目かも(笑)。 |
No.802 | 6点 | 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー | 2015/09/07 19:25 |
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裏表紙より~『妖気ただようスコットランドの古城に起きた謎の変死! 妖怪伝説か、保険金目当ての自殺か、それとも殺人か? 密室の謎に興味をそそられて乗りこんだフェル博士の目前で、またもや発生する密室の死。怪奇と笑いのどたばた騒ぎのうちにフェル博士の解いた謎は、意外なトリックと意外な動機、さらに事件そのものも意外なものだった。』~
①密室➁多少の怪奇色③ドタバタ劇④ラブコメ⑤プロット(自殺か他殺か)⑥予想外の解決法とてんこ盛りで、著者作品への入門編に相応しいのでは?という気がしました。著者の作品のうち、私的には怪奇系は苦手で、本作のようなドタバタ・ラブコメ系の作品の方が好みです。 |
No.801 | 5点 | お楽しみの埋葬- エドマンド・クリスピン | 2015/09/04 13:15 |
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裏表紙(あらすじ)の事件が起きるまでが長すぎる。スピード感でくじけ、ユーモア期待感でもくじけてしまいました(苦笑)。伏線回収に関しては楽しめました。題名は”読者にとって誰(犯人)が逮捕(埋葬)されるのか、お楽しみ”ということなのか???。 |
No.800 | 7点 | 「そして誰もいなくなった」殺人事件- ジャックマール&セネカル | 2015/09/01 17:24 |
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クリスティ氏をリスペクトした作品です。「11人目の小さなインディアン」で拝読。10人の俳優が登場するにも拘らず、登場人物表がなく、初めは戸惑いましたね(苦笑)。大胆なミスリードを駆使した作品との印象を受けました。動機がやや弱いかも・・・その点がマイナス要素です。
ちなみに「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品の既読一覧。 ①「そして誰もいなくなる」今邑彩氏 ➁「そして誰かいなくなった」夏樹静子氏 ③「そして二人だけになった」森博嗣氏 ④「そして五人がいなくなる」はやみねかおる氏 ⑤「十角館の殺人」綾辻行人氏 ⑥「殺しの双曲線」西村京太郎氏 ⑦「インシテミル」米澤穂信氏 まだあるかも?・・・ |