皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1660件 |
No.33 | 5点 | なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?- アガサ・クリスティー | 2017/10/09 08:14 |
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ダイイングメッセージだけで一冊の物語を書き上げてしまったことに感服。著者に対しては、どうしても本格ものを期待してしまいます。本作は冒険小説風、青春ミステリー風でした。 |
No.32 | 6点 | ポアロのクリスマス- アガサ・クリスティー | 2017/02/04 18:06 |
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裏表紙より~『聖夜に惨劇は起きた!一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの血みどろの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉ざされているのに、犯人はどうやって侵入したのか?休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが…』~
著者にとっては珍しい密室物!。メインはやはり例のごとく意外な犯人像ですかね。結構楽しめたのですが、今一歩高評価にできなかった点は、ポアロの心理的何とか。これは駄目とは言いませんが、まったく面白くない(笑)。あと、怪しそうで怪しくないとか、怪しそうではないがなんとなく気になるとか、著者の作品では必ず感じることができるのですが、本作にはそれがなかった。読者はあるイメージを植え付けられるのですが、それがミスディレクションとして機能しなかった。悪く言えば嘘をつかれた感じ。伏線はたくさんあるのですが、前記と反作用を起こしてしまい驚きに繋がらなかったということです。残念。 |
No.31 | 9点 | 招かれざる客- アガサ・クリスティー | 2016/09/02 17:31 |
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裏表紙より~『深い霧がたちこめ、霧笛が響く夜。庭を見わたすフランス窓の前で、車椅子に座った館の当主が射殺されていた。そのかたわらには、拳銃を握ったままの若い妻が立ちつくしている。車の故障でたまたま立ち寄った男は、美しい妻のために一計を案ずるが…スリリングな展開と意外な結末が待ちかまえる傑作ミステリ戯曲。』~
久しぶりに「ガツン」と来ましたね。サスペンスものです。巧い!(笑)。著者らしさが凝縮された作品であると思います。著者の作品では戯曲ということもあり、あまり読まれていないようです。「アガサクリスティー完全攻略」(霜月蒼氏)での高評価と、あるサイトでの”べた誉め”評により手にしてみました。大正解でした。 |
No.30 | 6点 | ゴルフ場殺人事件- アガサ・クリスティー | 2016/07/31 07:09 |
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この時代(1923年)で、このような複雑なプロットを考えたついたことに敬服。しかし、前半に提示される謎が小さく細かいもので、かつ数が多いので、やや読みにくい?。これは、ポアロの着眼点を引き立たせるものではあるのですが、カットしても良かったかも。また、基本構想(メイントリックとなりうる)がうまく機能しなかった感じがしました。つまり、その部分がなくても物語は成立してしまっている。この部分が機能していれば、かなりの傑作になっていたかも?。なお、「アガサクリスティー完全攻略」(霜月蒼氏)の中で、作中のトリックが、発表より約10年後にアメリカの超有名古典作品へ・・・とあり、X、Yに応用されているのか?と期待したのですが、該当するトリックはありませんでした。本作におけるチョットしたトリックであり、「三つの棺」に応用されているのですが、騒ぐほどのものではありませんでした(苦笑)。 |
No.29 | 9点 | そして誰もいなくなった(戯曲版)- アガサ・クリスティー | 2016/07/19 17:05 |
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「アガサクリスティー完全攻略」(霜月蒼氏)で、結末が原作と違う「戯曲版」があることを知り、手に取りました。180ページと短いのですが十分楽しめました。ラストも納得です。原作を読んで、劇場に足を運んでくれる人のためにラストを変更したみたいですね。解説によると、原作の方の童謡のラストをクリスティー氏が変更したとのことです。 |
No.28 | 5点 | パディントン発4時50分- アガサ・クリスティー | 2016/01/29 18:59 |
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2015年、世界中が投票したアガサ・クリスティー作品・ベスト10の第7位です。世界的な評価~本作の良さが良くわかりませんでした。日本人はどうしても本格ものを求めるので、本サイトのように低評価となってしまうのでしょう。同じプロットならば、他にもっと良い作品はありますし・・・。主人公のルーシー(家政婦)の活躍は理解できますが、ベスト10に入るのかな?というのが率直な感想でした(苦笑)。 |
No.27 | 5点 | NかMか- アガサ・クリスティー | 2015/09/28 16:32 |
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裏表紙より~『情報部からナチの大物スパイ“NとM”の正体を秘密裡に探るという任務を帯びたトミーは、妻のタペンスには内緒で任地へと赴いた。だが、タペンスとて一筋縄でいく女ではない。騙されたふりをして先回り。かくして二人は、大規模なナチ・スパイ網のまっただなかへと飛びこむことに…スリル満点の冒険ミステリ。』~
シリーズ第1作「秘密機関」(1922)から約20年後(1941)の本作。主人公も年をとり子供もいる設定です。題名のように内容は、スパイは誰か?であり、どちらかというとフーダニットに近い展開でした。本格ものであれば意外な犯人ということになると思います。しかし、スパイもの、冒険ものとしては、スリル満点とは言えず、この評価となってしまいました。 |
No.26 | 5点 | 秘密機関- アガサ・クリスティー | 2015/09/22 16:57 |
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初期(1922)の初々しさが感じられる作品。何しろ若い(笑)。著者の冒険・スパイものは概して評判はよろしくないみたいですね。単純なプロットに加え、スピード感、サスペンス感が不足しているのでしょうか。2009年、ガーディアン(イギリスの新聞)が必読小説1000冊を発表。その中に本作は選出されています。また「アガサ・クリスティ ベスト BY 折原一」にて氏は本作を第17位にランクしています。本作の解説をしている杉江松恋氏は本シリーズ「NかMか」をアガサクリスティの私的ベスト10に入れ、本作よりそちらの解説をしたかったとコメントしています(苦笑)。記念碑的作品ということで甘目の採点となりました。 |
No.25 | 9点 | 死との約束- アガサ・クリスティー | 2015/08/22 07:53 |
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「ネタバレ」あります。
本作(1938)と「皇帝のかぎ煙草入れ」(1942)との関係は、世間的には元ネタ本を後発本が凌駕してしまった?という点で「グリーン家」(1928)と「Yの悲劇」(1932)の関係に似ているような気がします。「皇帝」の優れている点は、同じ心理的トリックを前面に出しメイントリックとしたことですね。それによって印象的な作品となっています。本作の方では、別のトリックをメインとしているため、この心理的トリックはサブ扱い?となっています。よって受けるインパクトはそれほどでもないのです。その点からクリスティ氏が「皇帝」をして「このトリックには、さすがの私も脱帽する」と褒めたのでしょうか。または「してやられた!」と思ったのかも・・・(笑)。本作は地味な印象ですが、数々の優れたトリックが仕掛けられた佳作ですね。「皇帝」が8点だったので、敬意をこめ9点とします。 |
No.24 | 6点 | 蒼ざめた馬- アガサ・クリスティー | 2015/08/10 20:50 |
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裏表紙より~『霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。そのうち数人が死んでいる事実を知った学者マークは調査を始め、奇妙な情報を得る。古い館にすむ三人の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。神父の死との関係を探るべくマークは館へ赴くが…』~
本格色は薄いが、ミスリード・伏線はさすがですね。ポアロ・マープルが登場しないかわりに、主人公の恋物語が花を添えている感じです。 |
No.23 | 4点 | バグダッドの秘密- アガサ・クリスティー | 2015/04/16 07:37 |
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裏表紙より~『おしゃべり好きが災いして会社を馘になったヴィクトリアは、一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイピストとして潜り込んだものの、とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。さらに犯人の魔手は彼女にものびて…中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。』~
ロマンチックな冒険談といったところですね。とてもスパイ・スリラーとは言えないような、まとまりのない作品です。誰がどういう目的で動いているのかが良くわかりません。著者の私生活(若き頃)をだぶらせて読めば楽しめるかも?。イギリスの秘密諜報部員が登場します。007・ジェームス・ボンドより2年早い登場ということが分かった作品です(苦笑)。 |
No.22 | 8点 | メソポタミヤの殺人- アガサ・クリスティー | 2015/03/19 09:12 |
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(ネタバレあります。)本サイトでの評価はそれほどでもないのですが、他ではマイベスト○○に入れている方が何人かいらっしゃいました。著者のファンで、私生活(離婚、中近東旅行、考古学者との出会い結婚)とだぶらせての評価かもしれません。それは別としても、心理描写については、うまいというしかありません。殺害トリックについては、初物です。後発は今のところ1作品しか出会っていませんが、前例(短編?)があれば読んでみたいですね。完全密室ではなく、準密室扱いにしたところをかなり評価したいと思います。無理があるとの意見も多いようですが、50cmの距離でOKであると思います。さて、もう一つのトリックですが、著者の他の作品(高評価9)でも取り上げられていますが、本作の方が強烈な印象です。そこまでやるか?!(笑)。心理描写の強い作品なので、次のような会話を勝手に考えてみました。看護婦(士)「奥様、今のご主人のどこに魅かれたのです?」夫人「そうね~。亡くなった前の主人の面影があったからかしら?。あっ、このことは今の主人には内緒にしてね(笑)」・・・この看護婦(士)の視点でのポアロものは新鮮な感じを受けました。 |
No.21 | 5点 | エッジウェア卿の死- アガサ・クリスティー | 2015/03/14 21:10 |
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裏表紙の功罪(ヒントがあり過ぎ?)で、第1章を読んだ段階で犯人が判ってしまいました。ミスリードに引っかかっていればいいのだがと思いつつの読書でしたが・・・やはり当たっていましたね。真相への小技も冴えていると思いますし、真の動機は初物で面白かったです。 |
No.20 | 8点 | 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー | 2014/10/25 16:14 |
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(自薦ベスト10)裏表紙より~『誰が言いだしたのか、その土地は呪われた「ジプシーが丘」と呼ばれていた。だが、僕は魅了された。なんとしてでもここに住みたい。そしてその場所で、僕はひとりの女性と出会った。彼女と僕は恋に落ち、やがて…』~
著者の過去の作品のエッセンスを組み合わせ、恋愛小説風サスペンスに仕上げたという印象です。恋愛小説から後半事件に発展する瞬間は衝撃を受けましたね。映画化したら面白いと思ったら、既に映画化されていました(苦笑)。著者が自薦ベストにあげている理由は、「ファン(他の作品の読者)の裏の裏を斯いたのですよ」と言っているような気がします。このような大胆な発想がクリスティ氏らしいのかもしれません。 |
No.19 | 8点 | 満潮に乗って- アガサ・クリスティー | 2014/07/28 11:42 |
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大富豪ゴードン・クロードが空爆で死亡し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。前半は、当てにしていた遺産相続がなくなってしまったクロード一族の心理(あの未亡人さえいなくなれば・・・)がサスペンスフルに描かれています。やがて一族にとって有利な存在の人物が殺される・・・。動機、意外な真相、恋愛(複雑な心理)、アリバイトリックと盛りだくさんの作品でした。有名作品が多いので、その陰に隠れてしまったのか?・・・。佳作であると思います。 (ネタバレ注意)1948年、日・米・英において同じモチーフを扱った作品が同時発表されていることが興味深いです。英「本作品」、米「○○との○○」(W.I)、日「○○○殺人事件」(S.A) |
No.18 | 5点 | 三幕の殺人- アガサ・クリスティー | 2014/06/25 19:02 |
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最初の殺人の動機は特に問題なし。全体的にはプロットもよし、恋愛の駆け引きもあり面白い作品であると思います。大幅減点対象は、第2の殺人での執事の絡み方でした。 |
No.17 | 7点 | 鏡は横にひび割れて- アガサ・クリスティー | 2014/03/05 14:27 |
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マープルものの最高傑作との評が多いので拝読。女性心理がうまく描かれたホワイダニットものですね。伏線はかなりあるのですが、その先(真相)までたどり着きませんでした。著者72歳の時の作品とのことで感心しました(老齢の遊び心も描かれています)。 |
No.16 | 9点 | 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー | 2013/10/21 17:59 |
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解説は折原一氏。氏のクリスティ・ベスト1とのこと。読み終わった瞬間、「さすがクリスティ、うまい!」と思いました。一氏のベスト10の中にも未読の作品があり、今後の楽しみとします。
(以下ネタバレあり・注意)自宅の近隣の夫人とは顔見知りで、挨拶をする程度です。仕事上、ある会社を訪問した時、女性から「○○さん」と声をかけられました。見ず知らずの女性なので、きょとんとしていると「お隣ですよ」と言われましたが、その段階でもまだわからず「△△ですよ」と名前を言われ、初めて近隣の夫人とわかりました。普段着とは違い制服を着ており、化粧も違い、まさかその会社にいるとは思いもよらなかったことから大変失礼なことをしてしまいました。こんな経験があるものですから、本作のプロットは許容範囲ですね(笑)。なにしろ、フェルメールですから、今だったら値段は見当もつきませんね。 |
No.15 | 5点 | 書斎の死体- アガサ・クリスティー | 2013/10/15 20:49 |
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米ベスト100のジャンル別(本格)10位。アガサ作品では「そして・・」(1位)「アクロイド」(2位)「オリエント」(6位)「書斎の死体」(10位)とベスト4にランクされています。どこが評価されているのか、よくわかりませんでした。日米の気質の差やユーモア感の差?またはマープル好き?・・・。マープルものは、ほとんど読んでいないのですが、どうも相性が良くないようです。あまり苦労せず、あっさりと推理してしまうので、緊迫感がないような気がします。短編向きの探偵役かもしれませんね。 |
No.14 | 7点 | 無実はさいなむ- アガサ・クリスティー | 2013/07/18 15:34 |
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(クリスティ自薦10の一冊)犯人の設定がクリスティらしい。うまい、面白い。冤罪を晴らされた家族の疑心暗鬼の様子がうまく描かれている。ラストは、ほのぼのとする。「失敗作とは思いつつ、実は大のお気に入りでもある」というよく解らない解説つきです。 |