皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1660件 |
No.48 | 6点 | グッドナイト- 折原一 | 2023/06/25 18:31 |
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①永遠におやすみ 5点 不眠症の子供を持つ作家の母親。怖い童話を読んでやると眠るようになった。やがて飽きてしまい、母親は創作で強盗殺人の話を・・・創作と現実
②ドクロの枕 4点 有名作家・梅野優作の本が枕の中に入っている。それでよく眠ることができるという。未開封だとオークションで高く売れるというが・・・チャカポコ チャカポコ ③デストラップ 8点 暴力男から逃げて、格安の201号室に入居。201号室は殺人のあった事故物件。やがて夫がやって来た・・・犯人は現場に戻る ④泣きやまない夜 6点 女の子の夜泣きが治らない。夫から暴力を受けた後遺症である。夫は妻子を探し出して訪ねてきた・・・隣室の女 ⑤見ざるの部屋 7点 作家梅野優作が部屋から出たところ声をかけられ階段から落ちてしまう。気が付くと彼のファンという女の部屋に監禁されていた・・・ミザリーの部屋?(笑) ⑥自由研究には向かない小説 6点 梅野優作の新作「グッドナイト」を担当することになった母親。このアパートに梅野優作が住んでいるという都市伝説がある。子供は探偵気取りで各部屋を訪ねその様子を記録していった・・・束見本 ⑦ラストメッセージ 6点 梅野優作は寝たきりで声も出ないが、最後の小説のラストを書きたい・・・「グッドナイト」 |
No.47 | 6点 | ファンレター- 折原一 | 2021/12/07 16:40 |
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覆面作家の西村香を主人公としたユーモア系の連作短編
①覆面作家 7点 ファンの「みなみ」はついに西村に会うことに成功。西村は覆面をしたまま彼女をホテルに誘う。やがて結婚を申し込まれた彼女は・・・ ②講演会の秘密 6点 図書館の司書・井上茂から西村に設立二十周年記念の講演依頼があった。断ったが覆面の女性が現れ西村香と名乗り講演を始めた・・・ ③ファンレター 6点 西村香と同じマンションに住む西林薫。誤配されたファンレターを読んだ。送り主はミステリ作家を目指している女性で、その後も作品を送ってきた。西林は西村の名前で返事を出し酷評した。原稿は燃やしてしまったが彼女はそれを知り殺してやると・・・ ④傾いた密室 5点 崖の上の傾いた屋敷で密室殺人。部屋全体が湿気っていた・・・ ⑤二重誘拐 6点 西村を監禁し女は小説を書けという。女は誘拐犯のようだ・・・ ⑥その男、凶暴につき 6点 女性ライターと現地集合での温泉ルポ。覆面の男が彼女の部屋に現れた。逃亡中の銀行強盗が温泉地に入り込んで・・・ ⑦消失 7点 編集者が原稿を紛失。美女を付けるということでホテルで缶詰状態で書き直し。密室から西村が消えた・・・ ⑧授賞式の夜 6点 日本ミステリ大賞の受賞式で余興で覆面をかぶった審査員4人に暴行を受ける西村・・・ ⑨時の記憶 5点 記憶喪失の男は所持品から西村と思われるが・・・ ⑩エピローグ 5点 西村の部屋で発見された男は75歳の老人だった・・・ |
No.46 | 5点 | 行方不明者- 折原一 | 2021/11/30 16:07 |
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一家失踪事件、5年前の一家殺戮事件、連続通り魔事件と一見関連性のない事件が最後には一つに繋がっていく。筋は面白かったのですが、叙述の切れがイマイチでした。 |
No.45 | 5点 | 失踪者- 折原一 | 2021/11/02 18:28 |
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~連続失踪事件を調査するなかで、15年前の同様の事件との関連性が浮かび上がる。月曜日に女が消えること、現場に「ユダ」「ユダの息子」のメモが残されること。犯人はまた「少年A」なのか。~
前半の少年Aの父親の手紙が冗長ですね。後半はテンポが良かったので、もう少し前半がコンパクトであればと思いました。15年前の少年Aとその父親、現在の少年Aとその父親が入り乱れ混乱させられるという折原一氏の叙述マジックでした。 |
No.44 | 6点 | 傍聴者- 折原一 | 2021/03/20 17:26 |
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裏表紙より~『交際相手に金品を貢がせ、練炭自殺に見せかけて殺害した牧村花音。平凡な容姿の彼女に、なぜ男たちは騙されたのか。友人を殺されたジャーナリスト・池尻淳之介は、真相を探るべく花音に近づくが…彼女の裁判は“花音劇場”と化し、傍聴に通う女性たちは「毒っ子倶楽部」を結成。花音は果たして、毒婦か?聖女か?裁判が辿り着く驚きの結末とは。』~
被告の牧村花音は男達に貢がせたことや、彼らとの肉体関係を赤裸々に語るも、殺人だけは犯していないと無罪を主張する。彼女が逮捕に至るまでの過程が作家・池尻の手記で綴られる。「倒叙」ものなので、どのような形で「叙述」を取り入れるのか興味は尽きなかった。単純な物語を複雑な物語(叙述)にする手腕を評価したいと思います。 |
No.43 | 5点 | チェーンレター- 折原一 | 2021/03/20 16:31 |
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途中で仕掛けは分かってしまった。ラストは更にそのどんでん返しを狙ったものだが、あまりインパクトはなかった。よくあるパターン?。叙述よりホラーテイストを楽しむ作品と思う。 |
No.42 | 6点 | 疑惑- 折原一 | 2020/08/29 15:49 |
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著者の得意な叙述は一作品のみで、ブラックユーモア系が多かったですね。
①偶然 8点 振り込め詐欺の電話を受けっとった老女のお話。結末は思わず吹き出してしまった。バカウケ。 ②放火魔 6点 息子が放火魔らしい。母のとった行動は思いもよらないもの? ③危険な乗客 6点 殺人者が同席する確率は?二人の女性客のねちっこい会話が楽しめた。オチもいい。 ④交換殺人計画 5点 失敗?するも、結果的には成功なの??? ⑤津村泰造の優雅な生活 6点 優雅な生活とはとても言えない(笑)。善人と悪人、嘘と真実の反転が面白い。 ⑥黙の家 7点 誰も訪れることのないような美術館での出来事。著者らしくない?ホラー・テイストな作品で、シュールな感じが何とも言えない。 |
No.41 | 5点 | 遭難者- 折原一 | 2020/02/04 22:41 |
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本作(1997年)は松本清張氏の短篇「遭難」(黒い画集・1959年)の本歌取り、またはオマージュかと思って手にしたのですが違っていたようです。1982年に実際にあった山岳事故の追悼集にヒントを得たとのことでした。遭難事故からのミステリーなので、あらすじはどうしても似通ってしまいますね。比べながらの読書で楽しめました。あらためて清張氏の偉大さに感じ入っています。 |
No.40 | 5点 | ポストカプセル- 折原一 | 2018/08/12 15:59 |
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ラブレター、遺書、脅迫状などが15年後に届くという短編集(7篇)。それらがラストで一つに収斂するというもの。ブラックユーモアが主体で、著者の得意な「叙述」は少々で物足りない?(笑)。 |
No.39 | 4点 | 双生児- 折原一 | 2018/01/16 21:16 |
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裏表紙より~『安奈は、自分にそっくりな女性を町で見かけた。それが奇怪な出来事の始まりだった。後日、探し人のチラシが届き、そこには安奈と瓜二つの顔が描かれていた。掲載の電話番号にかけるとつながったのは…さつきは養護施設で育ち、謎の援助者“足長仮面”のおかげで今まで暮らしてきた。突如、施設に不穏なチラシが届く。そこにはさつきと瓜二つの女性の願が描かれていて…“双生児ダーク・サスペンス”。』~
短い章で、人物の視点が変わり、複数の話が進行し、過去と現在が行き来する。よって読者はいつも通りに混乱するのである(苦笑)。トリックは二つ。メイントリックは、著者としては初めて?と思うが、う~ん、どうなのかなといったレベル。登場人物の一人が二重人格らしい設定なのだが、効果的ではなかった。残念。 |
No.38 | 4点 | 倒錯のオブジェ 天井男の奇想 - 折原一 | 2017/08/11 10:54 |
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同じような題名が多く紛らわしい。また改題も多いし・・・。てっきり読んでいるものと勘違いしてました。天井裏の男、一階の大家の老女、二階の暴力男から逃げている人妻の各視点で語られるのですが、遅々として話が進みません。繰り返しの表現が著者の特徴でもあるのですが、本作はサスペンス感がないため、かなりイライラ(苦笑)。叙述もスッキリ感がなかったので辛目の評価です。 |
No.37 | 5点 | 死仮面- 折原一 | 2016/07/27 10:29 |
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裏表紙より~『「君と一緒にいて幸せだったよ」と言い遺して急死した十津根麻里夫。彼が勤めてた高校に「妻」の雅代が連絡すると、「そのような名前の教師はおりません」と言われる。「夫」は名前も身元も偽っていたのだ。正体は何者なのか?それを解く手がかりは、大学ノートに残された小説のみ。失踪した中学生の少年を救うために、同級生四人組が、マリオネットの仮面の男に立ち向かう物語だった――。』~
構成面では「匣の中の失楽」(竹本健治氏)、夢か現実か?的な部分では「ドグラ・マグラ」(夢野久作氏)を意識したのかも?。内容は全く違いますが、「ぶーん、ぶーん、ちゃかぽこ、ちゃかぽこ」などの表現も出てきましたし・・・(苦笑)。読書Mでは、結末がスッキリしない、モヤモヤ感が残るとの評が多いですね。しかし、ある登場人物の後日談が語られない点を考えれば、この物語の全体像が浮かび上がってくると思います。 |
No.36 | 6点 | 幸福荘の秘密―新・天井裏の散歩者- 折原一 | 2016/02/08 13:02 |
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裏表紙より~『幸福荘―推理作家小宮山泰三を慕うあやしい住人たちが、南野はるか争奪戦を繰り広げたアパートは瀟洒な三階建てのマンションに建てかわった。その第二幸福荘の前で花束を捧げ泣いていた謎の女性。そして始まる九転十転の逆転劇…。前作『天井裏の散歩者』を凌ぐ衝撃の結末とは。』~
前作では、ヒロイン南野はるかを巡る男たちの争奪戦が楽しめました。本作では登場しないはずと思っていたら、後半に登場で大活躍!。言い寄る男たちを退治するシーンは大笑いでした。前作同様、叙述の大盤振る舞いです。叙述の解説付きなので入門編になるかも。このシリーズは打ち止めのようですが、もう一方のユーモアシリーズ・黒星警部の新作を待ち望んでいるところです。 変に感心したところ・・・前作「天井裏の散歩者」は1993年角川ミステリーコンペティション(懸賞)に参加した13冊の一冊です。そのことが作中で紹介されています。「ダリの繭」(有栖川有栖)→「誰の眉?」(東久邇國彦)、「暗鬼」(乃南アサ)→「暗記」(昼間ユキ)、「黒猫遁走曲」(服部まゆみ)→「捨て犬ブルース」(波多野舞)、「揺歌」(黒崎緑)→「揺籠の歌」(白峰赤彦)、「邪宗門の惨劇」(吉村達也)→「南大門の難題」(牛尾潮)etc・・・こんなことまで考えなければならないなんて作家って大変なんだな。 |
No.35 | 6点 | 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記- 折原一 | 2016/02/07 13:35 |
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裏表紙より~『日本推理文壇の重鎮、小宮山泰三が住む2階建てモルタル造りの幸福荘。そこには古くから小宮山を慕う数多の作家志望の若者たちが集っていた―。幸運にも私はそんな幸福荘に入居することになったが、部屋に残されていた1枚のフロッピーが私を戦慄させた。創作なのか、現実なのか。〈文書1〉から〈文書6〉まで、6つの不思議な連作短編小説を読み終えた私は思わず天井を見上げて…。叙述トリックの名手が、九転十転のドンデン返しであなたに挑む、究極の叙述ミステリー。』~
山田風太郎氏の「誰にも出来る殺人」のパロディー・パスティーシュです。初期の著者作品の黒星警部シリーズに近い、軽いノリの作品でした。前半は、アパート住人による、若くて美人の作家・南野はるかの争奪戦です。後半は、著者らしい叙述のオンパレード。前半の方が楽しめました。叙述は大好きですけれども、後半はちょっとクドイ感じがしました。 |
No.34 | 5点 | 模倣密室- 折原一 | 2015/07/05 14:20 |
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先日、TVドラマ「黒星警部の密室捜査」(陣内孝則氏主演)を観て手に取りました。本作中の「交換密室」のドラマ化でした。ファンとしては、葉山虹子との絡みを期待したのですが・・・。さて、TVドラマはシリーズ化されるのかどうか?・・・。密室自体に期待するものは、現在ではあまりない。というか機械的密室・心理的密室を含めて、新しく面白いものはもうできないのではと思います。真面目な応用作品ではつまらないし、本作のようなパロディで読ませるしかないのでは?という印象ですね。作中で紹介されている密室もの(著者のベスト10?「三つの棺」「プレーグ・コートの殺人」「見えないグリーン」「くたばれ健康法!」「ビッグ・ボウの殺人」「アンクル・サイラス」「五十一番目の密室」「<引立て役倶楽部>の不快な事件」「密室の行者」「本陣殺人事件」)で未読のものは読んでみたいと思います。著者らしいのは表題作の「模倣密室」でした。 |
No.33 | 5点 | 叔母殺人事件 偽りの館- 折原一 | 2015/04/24 21:40 |
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叔母の殺人計画は、本家のリチャード・ハルも同様でしたが見るべきものがなかったですね。その点では、やはりサスペンスとしての面白味に欠けると思います。叙述は、それほど複雑ではなく理解しやすい基本形?・・・といっても結局騙されたわけですが(笑)。もっとコンパクトでもよかったかなという印象です。 |
No.32 | 6点 | 侵入者 自称小説家- 折原一 | 2014/11/26 09:07 |
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裏表紙より~『北区十条で起きた一家四人殺害事件。発生後半年以上経っても解決のめどが立たず、迷宮入りが囁かれる中、“自称小説家”の塚田慎也は遺族から奇妙な依頼を受ける。「この事件を調査してくれないか」―。以前、同じく未解決の資産家夫婦殺人事件のルポを書いたことから白羽の矢が立ったのだ。百舌の早にえ、車椅子の老人、ピエロのマスクをかぶった男…二つの事件に奇妙な共通点を見出した塚田は、あるアイデアを思いつく。遺族をキャストに、事件現場で再現劇を行うことで犯人をあぶり出すのだ―。ミステリー界の特級幻術師が送る「○○者」シリーズ最新刊。』~
フーダニット物。もし、理詰めで推理する本格物であるならば、その結果暴かれる真相は、結構インパクトがあるような気がしました。しかし、サスペンスものなので、その点若干弱く感じるのは致し方ないか?・・・。前半は事件の概要なので、そのサスペンス感、盛り上がりにやや欠けています。後半は、遺族が事件の再現劇を演じるというリアリティのない展開(笑)なのですが、脚本が面白いので一気読みできました。やや甘めの採点となります。 |
No.31 | 6点 | 潜伏者- 折原一 | 2014/10/20 19:04 |
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「BOOKデータベース」より~『ノンフィクション作家の笹尾は、容疑者の視点で生々しく綴られた小説『堀田守男氏の手2』をきっかけに、北関東で起きた少女連続失踪事件を追いかけることに。被害者家族との接触を続ける中、冤罪の疑いが晴れぬまま服役を終えた容疑者が出所し、事件は大きく動き出す。小説家は誰なのか?容疑者は無実なのか?そして、真犯人は誰なのか。』~ 相変わらずの折原ワールド(叙述)ですが、やや趣が今回は変わっているとの印象。犯人は誰?がメインに打ち出されています。ただ、その点だけを見ると犯人は目星がつきやすいかも?。サスペンスものなので、ファンとしてはその点は許す?(笑)。もし、殺人事件が絡まなかったら、テーマ(冤罪・DV)がテーマだけに、かなり良い作品になったような気がしてなりません。長いけれど一気読みはできました。 |
No.30 | 6点 | 二重生活- 折原一 | 2014/05/19 19:02 |
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プロットは気に入りましたが、ラストの明快さにやや欠ける点があると思います。エピローグで第三者視点で叙述部分を解説してくれると、もっとインパクトがあったような気がします。頭の回転が悪い読者なので(笑)。二重生活の複数の意味合いは判り易かったです。共書の利点は女性心理がよく描かれていた点ですね。 |
No.29 | 5点 | 覆面作家- 折原一 | 2014/03/20 19:12 |
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作中作と現実が徐々に重なっていく様は不思議な気持ちになります。この試み(時間軸)は評価したいと思いますが、真相での「いつものやられた感」はあまりありませんでした。 |