皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
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平均点: 5.44点 | 書評数: 2813件 |
No.57 | 5点 | 魔術の殺人- アガサ・クリスティー | 2024/09/19 09:05 |
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(ネタバレなしです) 1952年発表のミス・マープルシリーズ第5作の本格派推理小説です。英語原題は「They Do It With Mirrors」です。ミス・マープルが何度か魔術について言及してはいますけど劇的どころか非常に地味な展開の作品です。青い車さんのご講評通り、タイトルに期待するとがっかりすると思います。登場人物がやたら多く、それでいて十分に描き分けがされていないので誰が誰だかなかなか理解できませんでした。クリスティ再読さんや了然和尚さんがご講評で某国内作家の作品を連想されていますが、私はクリスティー自身の1930年代の某作品を思い起こしました。クリスティー最盛期に書かれたその作品と比べると本書は劣化コピーみたいに感じられてしまいます。 |
No.56 | 5点 | もの言えぬ証人- アガサ・クリスティー | 2024/07/02 11:52 |
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(ネタバレなしです) 1937年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第14作の本格派推理小説です。このシリーズは長編33作が書かれましたがクリスティ再読さんのご講評で紹介されているようにヘイスティングス大尉の登場は本書以降は最終作の「カーテン」(1975年)までありません。お馬鹿なワトソン役を使い続けるのが難しくなってきたのかもしれません。本書の次にはあの「ナイルに死す」(1937年)が発表されましたが、対照的と言っていいほど本書は地味です。物議を醸す遺言書に対して利害関係者の反応の直接描写がないし、死亡事件はなかなか他殺と確定しないし(医者は病死と判断)、ポアロが容疑者たちと会話するのはやっと中盤からととにかく盛り上がりません。推理も心理分析がほとんどで説得力が強いとは言えません。多くの方がご指摘されているように第18章で過去作品の犯人名をネタバレしていたのには驚きました(作品名は明かしていませんけど)。その衝撃だけが記憶に残りそうな作品です。 |
No.55 | 6点 | 邪悪の家- アガサ・クリスティー | 2022/12/21 12:54 |
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(ネタバレなしです) クリスティーはプライヴェートのトラブルで1920年代後半は(「アクロイド殺害事件」(1926年)は例外として)不調期で、1930年の再婚を機に復活したと言われています。本書はエルキュール・ポアロシリーズ作品としては「青列車の秘密」(1928年)以来となる1932年発表のシリーズ第6作の本格派推理小説です。もっともクリスティー作品としてはまだ平均点クラスといった感じです。容疑が転々とする、クリスティーならではのプロットではあるのですがミスリーディングの手法がこの作者としてはシンプルで真相を見破れる読者が多いと思います(深読みして引っ掛かる読者もいるでしょうけど)。個人的には完全復活はシリーズ次作の「エッジウエア卿の死」(1933年)からだと思います。 |
No.54 | 5点 | 動く指- アガサ・クリスティー | 2022/09/02 10:00 |
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(ネタバレなしです) 1943年発表のミス・マープルシリーズ第3作の本格派推理小説ですが舞台がいつものセント・メアリ・ミード村でないためか、他の方のご講評で紹介されているように彼女が登場するのは物語が2/3ほど進行してからですし登場以降もそれほど目立っていません。匿名者による悪意と中傷に満ちた手紙がばらまかれて自殺(かもしれない)事件まで起きてしまうというプロットがなかなかユニークで(カーター・ディクスンの「魔女が笑う夜」(1950年)やジョイス・ポーターの「誤算」(1965年)に影響を与えたかも)、匿名者を象徴するかのようなタイトルが秀逸です。現代では手段こそ電子化されていますが匿名という安全圏(のつもり)からの誹謗中傷行為というのは昔もあったのですね(なかなか表面化しないでしょうけど)。ただ本書での匿名の手紙の扱いは微妙で、文面や内容の描写や手紙を受け取った人々の反応描写が物足りないです。主人公(語り手)の探偵行動もどこか淡白で、第2の事件(こちらは明確に殺人事件)が起きても謎解きがあまり盛り上がりません。クリスティーが自薦ベストテン作品に入れた自信作ですが、個人的には可もなく不可もなくの作品です。 |
No.53 | 6点 | 複数の時計- アガサ・クリスティー | 2022/01/11 01:22 |
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(ネタバレなしです) 1960年代のミステリーはスパイ・スリラーの台頭がありましたが、大御所クリスティーも時流に乗ったのか1963年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第29作の本書では秘密情報部員を登場させてポアロよりも登場場面を多くしています。それでも本格派推理小説の謎解きの方にウエイトを置いていますけど。第14章でポアロにミステリー評論めいたことをさせているのも本書の特徴ですが、紹介されている作家の約半分は架空の作家のようです。実在の作家名を出すと色々都合悪かったのでしょうか(笑)。ハードボイルドには非常に辛口ですけど、まあクリスティーの作風には合わないですよね。タイトルに使われている「時計」は死体を取り囲むかのように置かれていた時計を指すのですが、この謎解きがなーんだというレベルだったのは呆れたというより失笑ものでした。 |
No.52 | 6点 | スリーピング・マーダー- アガサ・クリスティー | 2021/09/11 17:06 |
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(ネタバレなしです) クリスティー(1890-1976)がエルキュール・ポアロシリーズの最終作「カーテン」(1975年)と共に死後発表用として書いたミス・マープルシリーズ第12作の本格派推理小説で、「カーテン」は結果的に生前発表になりましたが本書は予定通り作者の死後の1976年に遺作として出版されました。執筆されたのは1940年代らしく、作中でシリーズ第3作の「動く指」(1943年)が回想されているのでその後に着手されたのでしょう。新婚のグエンダが新居を購入し、その家で不思議な幻覚を何度も体験しながら失われた幼少時代の記憶をよみがえらせますが、その中にはホールで倒れている女性の絞殺死体の記憶もあったというプロットです。クリスティーが後期によく取り組んでいた回想の殺人で、死体なき殺人でもあります。色々な意味で異色で派手だった「カーテン」と違い、本書は手探り感の強い調査が延々と続いて実に地味だし、シリーズ最終作らしい演出もありませんがミスリードの巧妙さはクリスティーらしいです。これでもう新作が発表されないのは寂しい限りですが学生時代の私がミステリー好き読者になったきっかけをつくった作家の1人であり、いくら感謝しても足りません。 |
No.51 | 5点 | 第三の女- アガサ・クリスティー | 2021/05/03 08:29 |
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(ネタバレなしです) 1966年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第30作の本格派推理小説です。タイトルに使われている「サード・ガール」については当時の英国の生活スタイルと関わっていることが作中で紹介されていますが、大御所(悪く言えば過去の作家)のクリスティーなりに現代性を織り込んでいることをアピールしたかったのかもしれません。なかなか事件らしい事件が起きず、過去の(起こったかもしれない)殺人についてもはっきりしないという設定で引っ張る展開は了然和尚さんがご講評されているように退屈と感じる読者も多いのではと思います。大きな事件が起きるのがかなり後半で、起きたかと思うとあっという間に解決で長編作品としてはバランスが悪い印象を受けました。解くべき謎が定まらないままに謎解きを進めるプロットは斬新と言えば斬新なのですが、成功かというと微妙ですね。 |
No.50 | 5点 | 忘られぬ死- アガサ・クリスティー | 2020/08/26 20:48 |
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(ネタバレなしです) 1945年発表のシリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。本を手に取るまでずっと日本語タイトルを「忘れられぬ死」だと思い込んでいたのは私だけ(恥)?1930年代に書かれたシリーズ探偵が活躍する短編を長編化したものですが、事件の大枠は同じながら細かいところで変更があって単なる焼き直しではありません。序盤は第一の事件(警察は自殺として処理)が起きた後の関係者たちの内心描写で占められます。もちろんこの段階で誰が犯人なのかはわからないようにしています。第一の事件と同じような状況下で第二の事件が起きるのでさすがに第一の事件も殺人だろうという展開です。エルキュール・ポアロシリーズの「ひらいたトランプ」(1936年)や「ナイルに死す」(1937年)で脇役だったレイス大佐が登場しますが本書でも主役探偵ではなく、他の探偵役とのチームプレーです。といっても例えばヒロイン役と思われるアイリスも案外と地味な扱いで、物語を引っ張る主役が不在に感じます。地味なプロットながら大胆な仕掛けを織り込んでいるのが印象的です。ただこの仕掛けは好き嫌いが分かれるかもしれません。 |
No.49 | 6点 | ポケットにライ麦を- アガサ・クリスティー | 2018/06/18 01:04 |
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(ネタバレなしです) 1953年発表のミス・マープルシリーズ第6作です。犯人の計画にかなり杜撰な部分があり、ミス・マープルの捜査と推理がなくともいずれは事実が発覚するものであったことが最後にわかります。仮に本書のネタで(犯人側の視点で)犯罪小説や倒叙本格派推理小説を書いていたらこのいい加減な計画に読者は早々と興醒めしたかもしれません。しかし本書は犯人当て本格派推理小説ですので私は最後まで問題を意識することなく謎解きを楽しめましたし、作者にうまく騙されたので犯人のことも頭がいいと思ったぐらいです(自分の頭のことは脇に置いときます)。犯人を指摘して最後の証拠を入手した時のミス・マープルの表情の変化には驚いたというかちょっと怖いものがありました。クリスティ再読さんのご講評にもある通り、作者がミス・マープルを「復讐の女神」として意識するきっかけになった作品だと思います。 |
No.48 | 4点 | 満潮に乗って- アガサ・クリスティー | 2018/01/02 06:42 |
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(ネタバレなしです) 第二次世界大戦中も安定した創作を続けていたクリスティー、戦時中の作品でも娯楽に徹した作品が多いのですが1948年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第23作の本書は珍しくも戦争の影響が作品背景に見え隠れしている本格派推理小説です。戦中戦後の混乱を巧妙に織り込んだプロットではありますが、りゅうさんや青い車さんのご講評でも指摘されているように複雑に過ぎて読者が完全正解するのは無理ではと思わせる真相なのが辛いです。また本国イギリスでは誰でも知っているのでしょうけどアルフレッド・テニスンの「イノック・アーデン」(1864年)を作品内容の紹介もなしに物語に絡ませているのも個人的には感心できませんでした。せっかく築き上げた重く暗い雰囲気とミスマッチのような幕切れもシリーズ前作の「ホロー荘の殺人」(1946年)と比べると少々見劣りするように思います。 |
No.47 | 6点 | 雲をつかむ死- アガサ・クリスティー | 2017/08/21 00:03 |
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(ネタバレなしです) 1935年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第10作の本格派推理小説で飛行機内で起こった殺人事件の謎解きが特色です。もっとも飛行機の場面はわずかに序盤のみで、捜査は他の作品と同様に地上で行われているのが少々物足りなくも感じます。本書と同年発表でほとんどの描写が機内だったC・デイリー・キングの「空のオベリスト」(1935年)はその点ではずっと意欲的でしたね(但しキングは語り口がぎごちなくて読みやすさではクリスティーの圧勝)。犯人当てと同時にいかにして被害者を殺したかの謎解きにも力を入れています(結構綱渡りトリックですけど)。ポアロの説明で犯人に気づかれないように馬脚を現すよう巧妙に誘導していたのがわかります。それにしても当時の飛行機って機内から乗客が物を外に捨てられたのですね(ネタバレではありません)。 |
No.46 | 5点 | バートラム・ホテルにて- アガサ・クリスティー | 2017/06/16 11:18 |
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(ネタバレなしです) 1965年発表のミス・マープルシリーズ第10作の本格派推理小説です。プロットがちょっと風変わりで、殺人事件の謎解きはかなり遅めに開始されます。それまではロンドンの名門ホテルに宿泊したミス・マープルがホテルの雰囲気にどこか違和感を覚える場面が多く、どこかもやっとした展開です。その違和感の正体についてはスコットランドヤードのデイビー主任警部によって説明され、なかなか大胆な真相が印象的ではありますが推理としてはかなり粗いと思います。後味の悪さを残す幕切れはかなりのインパクトがあります。 |
No.45 | 6点 | ヒッコリー・ロードの殺人- アガサ・クリスティー | 2016/10/03 01:36 |
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(ネタバレなしです) 1955年発表のポアロシリーズ第26作の本格派推理小説です。学生寮を舞台にした作品で、私はエリザベス・ジョージの「名門校殺人のルール」(1990年)を思い出しましたが描かれている世界が全然違いますね。暗く重いジョージに比べて本書はいかにもクリスティーらしく明るく読みやすい作品です。今回の犯罪の影にはぞっとするような悪意が隠されているんですが、それでも全体の雰囲気がさほど陰湿にならないのは(むしろユーモア溢れる場面さえあります)クリスティーならではです。そういうところが非現実的だと批判する人がいるのもまあわかりますけど、これがクリスティーの世界的な人気の秘密の一端ではないでしょうか。 |
No.44 | 6点 | ゼロ時間へ- アガサ・クリスティー | 2016/09/29 23:10 |
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(ネタバレなしです) 1944年発表の本書での探偵役はクリスティーのいくつかの作品に登場しているバトル警視です(エルキュール・ポアロは登場しませんが、バトル警視がポアロのことを回想する場面があります)。殺人事件は中盤まで発生しません。犯人が殺人を企画している場面が序盤で紹介され、殺人の瞬間(ゼロ時間)へ向かって物語が進むという特殊なプロットの作品で、クリスティー自身は会心の出来と思っていたようです。評価が分かれそうなのは被害者が誰になるかを土壇場までわからないようにしているところでしょう。殺されてもおかしくないような人物描写にしていないので事件に至るまでの緊迫感には乏しく退屈する読者もいるかもしれません。犯人の計画も特異といえば特異ですが、ジョン・ディクスン・カーの作品に前例がありましたね。 |
No.43 | 10点 | ナイルに死す- アガサ・クリスティー | 2016/09/25 01:35 |
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(ネタバレなしです) 「華麗なるミステリー」と言われたら迷わず1937年発表のポアロシリーズ第15作の本書が頭に浮かびます。クリスティーとしては重量級の作品ですが退屈も混乱もせずに読むことができました。登場人物も多いですが描き分けがきちんと出来ていて多彩な人間ドラマが楽しめます。ロマンチック・サスペンス的な雰囲気もありますが本格派推理小説としてもしっかりと作られた作品でっす。真相についてはちょっとがっかりした部分もあるものの緻密に構成されたプロットとトリックであることは確かです。まさにミステリーの女王の名にふさわしい作品と言っても誇張ではないでしょう。 |
No.42 | 6点 | ゴルフ場殺人事件- アガサ・クリスティー | 2016/09/23 00:19 |
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(ネタバレなしです) フランスを舞台にした1923年発表のポアロシリーズ第2作の本格派推理小説です。最初は単純な事件のように思えますが人間関係は結構複雑だし、誰もかもが何かの秘密を抱えているらしいなど意外と難解なプロットの作品です。探偵対決要素を織り込んでいるのが珍しいですが推理合戦(多重解決)レベルにまで達していないのは物足りないです。珍しいといえば中盤で発生した事件をポアロがすぐに解決しているのも珍しい展開ですね。その真相が横溝正史の某有名作と類似していたのにはびっくりしました。ワトソン役のヘイスティングスの暴走ぶりも読ませどころです。 |
No.41 | 6点 | パディントン発4時50分- アガサ・クリスティー | 2016/09/21 09:44 |
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(ネタバレなしです) 1957年発表のミス・マープルシリーズ第7作の本書はトラベル・ミステリー風にスタートしますがそれはほんの最初だけ、実質的には田舎屋敷を舞台にした本格派推理小説です。ややゆったりした感じで展開しますが中盤からはサスペンスが盛り上がり、最後に列車の目撃談が解決に活きてくるという着地もはまっています。もっとも犯人指摘の場面で狙った効果が空振りしていたらどうするつもりだったんでしょうね?推理説明が論理的でなく、第一の殺人の動機が後づけ説明ではありますがなかなか楽しめました。 |
No.40 | 7点 | 三幕の殺人- アガサ・クリスティー | 2016/09/18 07:23 |
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(ネタバレなしです) 1935年発表のポアロシリーズ第9作の本格派推理小説で「謎のクイン氏」(1930年)のワトソン役サタスウエイトが登場するのが珍しいです。充実期の傑作の一つで横溝正史の某作品に影響を与えたようなトリックが使われています。ポアロの活動を控え目にしてアマチュア探偵団の活躍を描いたプロットも読み応えあります。動機もよく考え抜かれています。ところが驚いたことにクリスティ再読さんやHORNETさんのご講評で説明されているように創元推理文庫版とハヤカワ文庫版ではこの動機が微妙に異なっていました。個人的には創元推理文庫版の方が推理による解明がしっかりしているように思えます。あとタイトルですがそれほど芝居風でないとはいえ「三幕」なのですから米国版の「殺人」よりは英国版の「悲劇」の方がふさわしいように思います。 |
No.39 | 6点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2016/09/14 13:21 |
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(ネタバレなしです) 1935年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第11作の本書は無差別連続殺人という本格派推理小説では珍しいテーマを扱った意欲作です。ポアロ宛てに殺人予告状が送られたり物語の合間合間で怪人物を登場させるなどサスペンスの盛り上げ方に力を入れた作品です。といっても単なるスリラーに終わることなく謎解きの伏線を細かく配してフーダニットとホワイダニットを実現している手腕はさすがにクリスティーです。犯人の計画がかなり粗くてあそこまで捜査陣が振り回されることに不自然感を感じもしますが、とにかく派手な状況設定を楽しめる作品ではあります。 |
No.38 | 6点 | カリブ海の秘密- アガサ・クリスティー | 2016/09/06 19:06 |
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(ネタバレなしです) 1964年発表のミス・マープルシリーズ第9作にあたる本格派推理小説です。大勢のリゾート客が訪れる西インド諸島を舞台にしており、もう少し異国の雰囲気が描けていればなあとは思いますがミステリーとしてのツボはしっかり抑えてあって1960年代の作品の中ではいい出来映えだと思います。作中でミス・マープルが「こんな簡単なことなのに」と述懐していますが、私は過去の作品で使われている騙しのテクニックにまたまたやられてしまった自分を再発見する羽目になってしまいました。 |