皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.261 | 4点 | 楽園- 樋口有介 | 2012/03/17 22:49 |
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作者のマイベストなのだそうだが、私にはどうもいただけない。樋口氏の作品は洒落た会話が魅力の一つなのだが、これにはほとんどそういった趣向はない。
多分楽園と銘打っているのだからとてもきれいな風景などがあるはずだが、小説にはそういったところはほとんど出てこない。暑苦しくて腐ったような臭いがただよい、住んでいる人たちは怠け者で愛想が悪い。 大体日本人がほとんど出てこない日本人が書いた小説というのも珍しいのだが、作者がズック人たちに愛着を感じているようにもみえないので、読んでいてもなんだかつまらない。話自体もはっきり言って支離滅裂に近い。 作者のファン投票なるものでも本書が最下位であるらしい。私も樋口氏の小説の中では最も面白くなかったくちです。 |
No.260 | 6点 | 卍の殺人- 今邑彩 | 2012/03/10 14:25 |
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この作品は前から読みたかったのだが、なかなか手に入らず今回ようやく手に入れた。本格物としてかなりいい線をいっているように思うのだが、登場人物がもうひとつ好きになれない。
さらに気になるのは卍屋敷についての違和感です。本格物らしくへんてこりんな建物なのはむしろプラスなのですが、本文ではとても広大な建物で真ん中の大ホールは運動会ができそうなほどと書いてあるのだ。そうすると各個室はやっぱりべらぼうに広くないと挿絵のようにはならないのです。ところが部屋の図や本文の説明によると各個人の個室は普通の個室並みの広さとなっているようです??。どうみてもおかしいよね。 殺人の方法もペーパーナイフでのどをひと切りで即死状態!。抜群のナイフの使い手?そんな人物は一人も出てこないのだが。 こういった違和感を感じながら読んだのでどうしても低めの評価となりました。 |
No.259 | 7点 | 誰もわたしを愛さない- 樋口有介 | 2012/03/05 21:10 |
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作者の小説では素敵な女性がたくさん登場する。いつも思うのだが作者とは同世代なのに何故かであったこともない女性が多いので、ある面でとても興味が湧く。
今回もとんでもない女子高生が出てくる。 めちゃくちゃな生活をしているのに、これほど覚めた人生観を持っている高校生はさぞかしつらいのであろう。もうちょっと自分を大切にしたらと言いたくなってしまう。逆にその子の友達はまじめで人生観もしっかりしていると思ったら、実はとんでもない金儲けをしていたりする。ショックだなあ。 どんでん返しもあり犯人も意外で(作者によると初出版時の帯には犯人が分かってしまうようなことが書いてあったそうですが)、私はきっちりだまされました。まあ大体はだまされて読んでいるおめでたい読者なのですけどね。 |
No.258 | 6点 | 初恋よ、さよならのキスをしよう- 樋口有介 | 2012/02/27 22:11 |
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作者の小説はいずれも主人公の女性との軽妙なセリフがある面での読みどころで、柚木シリーズにももちろんそういった嗜好はあるのだが、彼が中年のせいか物語が暗くて重い。
こんなにいい加減にやっていると、若いうちはよいが次第にいろんなしがらみが増えてだんだんつらくなってくるのだろうか。 ことに本作品はともに青春を過ごした高校の同級生があつかわれており主人公はさらに陰鬱になってしまったのだろう。 推理小説としてはちょっと弱い。意外な犯人といえるが、なんか突然に真相が暴かれてしまい、どこでこんな推理をしていたのかがはっきりしない。作者によると一人称で書いてあるのでトリックの仕掛けができににくいのだそうだが、それにしてもこんな唐突な展開はもう少し何とかならないのかなあ。 |
No.257 | 7点 | 女王蜂- 横溝正史 | 2012/02/26 09:08 |
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30年前に読んだときも古い感じがしたが、再読したらさらに「あー古臭い」。ピンポンバットやハンケチなどは死語でしょう。それも古きよき時代(良くはないのだが)の話、と思えばむしろこのおどろおどろしい話にふさわしくも思える。
サービス精神にあふれた物語で、トリックは色々出てくるし、怪しい人物が出てくるし、神秘的な美しい女性が出てくるし、で読んでいて楽しめることは間違いない。でも獄門島や本陣よりちょっと落ちるかな。 |
No.256 | 6点 | 彼女はたぶん魔法を使う- 樋口有介 | 2012/02/19 09:26 |
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作者が初めてシリーズものを書くということで作り上げた柚木草平のある意味で個性で読ませる小説のようだ。
柚木はもと刑事で中年の別居中の妻と子供があり、キャリアの警視と不倫しており等等、結構複雑なシチュエーションとなってはいるが、おしゃべりや行動様式は「ぼくと、ぼくらの夏」以来の主人公とほとんど同じなのだ。 ある意味で安心して気取ったせりふを楽しめるのだが、新しい作品の出発といった雰囲気が少ない。 こんなことならいっそのこと初期の作品の主人公をそのまま流用してもよかったと思えるぐらい。 初めて氏の作品を読んだとしたら主人公のしゃれた話しぶりに感心するかもしれないが。 |
No.255 | 5点 | 輝く夜- 百田尚樹 | 2012/02/19 09:10 |
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短編で読みやすく、あっという間に読んでしまった。どの作品も悪くはないが、ことにすばらしいということもなかった。この程度のことなら自分でも思いつくのではといった感じ。まあ時間が余ったときの暇つぶしにはよさそう。
あとがきを読むと作者は「ボックス!」を途中で中断してまでも書きたかったとのことだが、私には「ボックス!」のほうがはるかによかった。 |
No.254 | 8点 | 白色の残像- 坂本光一 | 2012/02/11 20:32 |
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第34回江戸川乱歩賞受傷作品。推理小説としては密室殺人にかなり無理があり、登場人物のとった行動も納得できないところもあるが、それを差し引いても非常に心をうたれた。自分が作者とほぼ同世代で、レベルは違うにしても高校、大学と野球をやっていたためか、高校野球、甲子園を舞台としたこの作品は共感するところが多くとても感動した。登場人物も野球人らしい「いいやつ」で、するりと感情移入し、一気に読んでしまった。
作者は仕事が忙しいからか乱歩賞受賞後あまり作品がない。でもそろそろ定年でしょ。そうなったらまた魅力的なミステリーを書いてほしいものですね。 |
No.253 | 6点 | 風のターン・ロード- 石井敏弘 | 2012/02/05 16:20 |
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第33回江戸川乱歩賞受賞作なのだが、作者の登録も書評もないのは寂しい。初めて読んだときはオートバイとタバコのにおいがするどちらかといえば敬遠したいお話であったが、近年乱歩賞受傷全集が出たので再読してみた。
推理小説としては「きず」がある。この方法ではこういった殺人とはならないでしょう。作者はオートバイのツーリングの楽しさをを知ってもらいたいと述べているようだが、この小説のようなら道路の暴走です。でもあまり気分が悪くならずに最後まで読めたのは主人公と恵子が生き生きと描かれていたから。 作者のその後の作品は読んでいないが、最年少で乱歩賞を獲得したにしては以後の活躍があまり目立たないのが残念です。 |
No.252 | 7点 | 海泡- 樋口有介 | 2012/02/03 19:56 |
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小笠原を舞台にした青春小説であるとともに推理小説でもある。ただ本格推理としてはちょっと甘い。樋口氏の主人公はれいによってかっこいい受け答えをするし、何故かとてももてる。いいなあ。
こんなふうに暮らせたらいいな。でもある面つらいのかな。同世代の人間としてこの作者の作品はとても気になる。あまりに違う青春を送ってしまったからかもしれないけど、ぜんぜん違う人間にいやみなくこんな青春を読ませてしまうところに作者の力量を感じます。 |
No.251 | 6点 | 生霊の如き重るもの- 三津田信三 | 2012/01/29 21:27 |
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刀城言耶シリーズは長編が向いているように思います。あの特異な雰囲気が短編ではもうひとつ味わえない。阿武隈川のばかばかしいほどの傍若無人も短編だと余計に鼻につく。
全体としてなずまず粒ぞろいといえる内容でしたが、いずれも一応すっきりした解決が提示された後でわざと(と思いますが)割り切れないお話が追加されています。作者の好みなのでしょうが私はなくても良いような気もしました。 作品としては「生霊」が一番良かった。「天魔」はあまり好みでない上にどうもどこかで読んだ気がすると思ったら、「凶鳥」のおまけのようについていた作品でした。 |
No.250 | 7点 | 奇面館の殺人- 綾辻行人 | 2012/01/21 19:33 |
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待ちに待った綾辻氏の館シリーズの最新版。わけのわからない招待状や館では全員が仮面をかぶらないといけないなんてーーー。
よ!でました本格推理小説!!。といった始まりにこころが浮き立つ。 物語はミステリーマニアが気づきそうな事柄については丁寧に否定しながら展開する。実に創の少ない推理小説で、作者は時間をかけ細心の注意を払って書いたのでしょう。きちんとした本格物なので当然あちこちに伏線も張ってありそうと思って読むこととなる。 ただ仮面をかぶっているので人物が実に分かり難く説明はくどいのですらすらとはとても読めなかった。 私は鹿谷の推理がそんなに弱いとは思わなかった。 綾辻氏はもうこんな小説は書かないと思いつつあったのをきっちりと裏切ってくれた。 次作が楽しみ。なるべく早めに書いてほしいものです。 |
No.249 | 7点 | 花園の迷宮- 山崎洋子 | 2012/01/21 19:07 |
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奇抜なトリックがあるわけではないが、謎はそれなりに面白い。昭和初期の遊郭ってこんなんだったのかと納得しながら読んだ。そのままだと滅入ってしまいそうな暗い雰囲気だが、主人公の明るい性格が小説を照らして最後まですらすらと読めた。
乱歩賞のなかでも好きなほうの小説です。 |
No.248 | 7点 | ピース- 樋口有介 | 2012/01/07 20:43 |
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無口な店員とマスター、そして食事のレシピなどなんだか北森鴻の世界みたいだなと思っていたら、途中からしっかりミステリーとなる。
連続ばらばら殺人が起きるが、被害者にまったく関連性がなく登場するおじん刑事もぜんぜんさえないなあと思っていたら、警察とは無縁の人物から急遽犯人が指摘される。なるほどこういったこともありかな、でもまだ大分ページが残っているのに解決というもの変だなあと思っていると、話はさらにひねくれて意外な結論(だいたい私はこういった展開は推定できていません。だから面白く読んでもいるのですが)となる。ただ最後にいたってもマスターの八田やバーテンダーの梢路にはまだ謎の影が残る。 なかなか楽しめました。 |
No.247 | 7点 | 繭の密室- 今邑彩 | 2012/01/03 17:55 |
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今邑彩の本格物としてはちょっとさえないかな。メイントリックはちょっと本格物が好きなものにとってはどこかで読んだぞといったもの。もちろん作者はそれだけではダメなことを承知しているのでずいぶんひねってはある。
犯人は以外だった。女性は恐ろしいねえ。 |
No.246 | 3点 | 九月が永遠に続けば- 沼田まほかる | 2011/12/31 15:38 |
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第5回ホラーサスペンス賞受賞作で国内ミステリー部門第1位という帯がついて本屋に山済みされていたので、ミーハー心を刺激されてどんなものかと読んでみたが、残念ながらはずれ。
文章はまずまずだが話の内容が全く好みではない。登場人物はある面で普通の人だが一皮向くとどろどろのごてごて。妙に気の強くそして切れやすい女が主人公で、不自然と思えるほど親切で鈍感なおとこが助けてくれる。こんな話は女性にしか書けないだろう。それにしても女性から見た世界はこんな風になっているのかと思うとちょっと驚く。 全体として救いようのない話がねちねちと続きうんざりしたといった印象でした。 私の感性が古いのかもしれませんが、これが本当にベストセラーになっているのですかねえ。 |
No.245 | 7点 | 水車館の殺人- 綾辻行人 | 2011/12/28 21:46 |
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これは本格物の備えているロジックと幻想のぎりぎりの妥協点であることを良く示している小説だと思う。そういった意味では本格推理小説の見本のような小説。若き作者ががちがちの本格物を書こうとした意図がうかがえて読んでいてとても好ましい。
1年前と現在が交互に語られそれが複雑に絡み合って最後に意外な結果となっていくストーリーは、本格物として読む分には実に興味深い。 でもよく考えると、いくら衝撃的な出来事といっても1年前のことを些細な出来事まで正確な時間をみんなが記憶していることなんて本当は絶対無理なんだ。 好みとしては第1作の十字館のほうが好きなのだがこれも悪くはない。 |
No.244 | 9点 | 十角館の殺人- 綾辻行人 | 2011/12/24 14:30 |
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この作品は昔発表された直後に読み、私に本格物に興味を持たせてくれた作品でした。綾辻氏は当時の新本格作家といわれた作者の中で抜群に文章が良く、内容も実に凝っておりいっぺんにファンとなってしまいました。
でも当時の採点なら多分8点ぐらい。時を経てずいぶん本格物を呼んだ後で再読すると、その雰囲気はさらに好ましく、トリックもほとんど忘れていたので(この点私は再読に向いているのす。今後年のせいでさらに覚えが悪くなると思われるので今もっている本でひょっとしたら生涯楽しめるかも)本当に楽しめた。減点は最後のところが理解し難いところぐらい。 本格物の多くの名作が発売されておらず、本屋で手に入らないのはまことに残念だが、館シリーズは文庫本が再販され手に入れやすい。それだけ人気が有るということなのでしょう。 |
No.243 | 4点 | 人形館の殺人- 綾辻行人 | 2011/12/17 14:53 |
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綾辻の館シリーズの異色作ではあるが、好みではない。
こういった設定ならある意味どんなことでもありとなるのではないでしょうか。初めて読んだときには大分がっかりしたことのみ覚えていたが、作者が思い入れのある作品としてあげているのでもう一度読んでみた。 やっぱり私にはあいませんでした。 |
No.242 | 10点 | 時計館の殺人- 綾辻行人 | 2011/12/12 21:42 |
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綾辻の館シリーズ私にとって推理小説にのめり込見始めた頃に読んで十角館以来館シリーズはすべてリアルタイムで読んできた。20年ぶりに読み直してみたが、雰囲気といい堅固で独創的なトリックといい、ほんとうにすばらしい。
思えばこの頃の作者は人形館、霧越邸と年に1作ぐらいの割ではあったがきわめて質の高い本格推理小説を発表しており、まさに絶頂期であった。綾辻の新作が出ると聞いたら書店へ飛んでいったものだ。 このところの作品は当時の勢いが低下気味なのはまことに残念なのだが、思えばこんな作品を何作も書くこと自体が無理なのかもしれない。 |