皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 将軍の娘 ポール・ブレナー・シリーズ |
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ネルソン・デミル | 出版月: 1994年05月 | 平均: 7.67点 | 書評数: 3件 |
文藝春秋 1994年05月 |
文藝春秋 1996年12月 |
文藝春秋 1996年12月 |
No.3 | 7点 | 八二一 | 2023/08/04 20:34 |
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探偵役のペアが元恋人という設定で、これが話に彩りを添え、ユーモアの薬味が効果的に使われている。
しかも従来の作品にはなかった謎解き仕立て。フーダニットの謎だけでなく、ホワイダニット、ハウダニットの謎も用意されていて読み応えがある。 |
No.2 | 8点 | 陽炎 | 2019/04/11 22:02 |
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ミステリ作家というよりは、アメリカでも有数のベストセラー作家として名高いネルソン・デミルの長編ミステリ「将軍の娘」。
ジョン・トラヴォルタ主演の映画化作品を観て、興味を魅かれたので原作の小説を読んでみました。 この小説は、軍隊内で起こった奇妙な女性陸軍大尉レイプ殺人事件を扱ったもので、主人公はアメリカ陸軍の将校で犯罪捜査部、通称CIDに属する准尉ポール・ブレナー。 捜査上に必要が生じた部隊に出向し、証拠収集や秘密捜査、時にはおとり捜査も行なうのだ。 事件が発生したのはジョージア州、フォート・ハドリー陸軍基地。 この基地に設けられた施設で心理作戦を教える美人の教官アン・キャンベル大尉が、射撃演習場で全裸の死体で発見されたのだ。 彼女はその基地の司令官であるキャンベル将軍の娘だった--------。 アン・キャンベル大尉は軍人として、華麗な経歴を持ち、また凛々しく引き締まったスタイルは魅力的で、新兵募集ポスターのモデルにもなって、陸軍内に知れ渡っていた。 ポール・ブレナー捜査官は、その基地に居合わせたレイプ専門の女性CID員シンシア・サンヒル准尉と組み、この奇怪な事件の解決に乗り出した。 このポールとシンシアは、実はかつて恋愛関係にあったのだが、込み入った男女間のもつれで別れ、この地で再会し、コンビを組むことになったのだ。 将軍の娘の、しかも猟奇的な殺人事件ということで、捜査は極めて秘密裡に進められる。 だが、被害者アンの行動が次第に明らかになるにつれ、彼女の性的異常さが露呈されていくんですね。 想像を絶する意外な真実が表面化し、それは軍全体に及ぶ人間をも巻き込んで、事件は複雑に絡み合い、さらには遠い過去にまで遡る。 強烈なエロティシズムを取り込みながら、小説としての格調を崩さず、犯人探しの醍醐味を十分に満喫させるネルソン・デミルの手腕は、さすがベストセラー作家だけあって、この作家の力量を存分に伝えていると思います。 元々、ネルソン・デミルという作家の作品は、いわゆる本格推理というのは少ないとは思いますが、緻密な人物描写、骨格のがっしりした構成力、適度に散りばめられたロマンの香りなどが渾然一体となって、この「将軍の娘」では、ディテクティブストーリーとしても成功していると思います。 もう読み始めたら、ページをめくるのももどかしいほど、一気に最後まで読まされてしまったのは、ネルソン・デミルのストーリー・テラーとしての証明だろうと思うし、人気の高さも頷けますね。 |
No.1 | 8点 | Tetchy | 2010/03/07 14:31 |
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デミルの作品がアメリカで受ける。これはよく考えたらすごいことだと思う。
自身ヴェトナム戦争を経験し、その時の軍隊経験を基に軍隊を舞台にしたミステリを物しているが、軍隊に向ける眼差しの厳しさは半端じゃない。 最後の結末の処理はデミルが最後に米軍に対して行う慈悲なのか、それとも彼自身、軍を最後まで貶めることが出来ない制約を課しているのか、もしくは呪縛があるのかは判らないが、これが不服である。よってこの点数にしておこう。 |