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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] ワイルドファイア ジョン・コーリーシリーズ |
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ネルソン・デミル | 出版月: 2008年05月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
講談社 2008年05月 |
No.1 | 8点 | Tetchy | 2010/03/18 21:39 |
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正に狂信者達の戦争とも云うべき皮膚泡立つ恐ろしい物語だ。
本作のタイトルとなっている「ワイルドファイア」とはレーガン政権時代に考案された対テロ報復作戦である。「全てを焼き尽くす燎原の火」という名のこの作戦はアメリカがテロを受けた際、自動的に核ミサイルが発動してイスラム諸国の主要都市―油田及び主要港湾都市を除いた―を襲撃するという物だ。そして本作で掲げられている<プロジェクト・グリーン>とは9・11同時多発テロを受け、アメリカが次のテロを受ける前に自身の手で核を自国のどこかで爆発させ、大義名分を得た上でイスラム諸国を襲撃するという、権力者達の狂った作戦なのだ。 さて作者は冒頭のはしがきでこの「ワイルドファイア」は作者の創造による作戦である事を述べているが、同時に類似の作戦は作られるべきだとも述べている。このコメントにはかなり幻滅した。結局デミルもアメリカ至上主義者の1人に過ぎないと解ったからだ。 今までのコーリーシリーズでは結末の付け方に消化不良感が残ったが、今回はカタルシスがきちんと得られた。それだけでもよしとするか。 |