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[ サスペンス ]
ゴールド・コースト
ジョン・サッタ―シリーズ
ネルソン・デミル 出版月: 1992年02月 平均: 8.00点 書評数: 4件

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文藝春秋
1992年02月

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1992年02月

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1994年07月

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1994年07月

No.4 7点 Akeru 2019/03/11 21:25
ネルソン・デミルを一言で表現するなら、「アメリカの浅田次郎」というのがそのものズバリである。
浅田次郎の作品もピンキリあるわけだが、初期のヤクザ系半グレキャラで売っていたころのそれに近い。
親父ギャグのような下ネタがひっきりなしに出てくる軽妙な文章、細緻な描写に裏書された登場人物それぞれのキャラクター、徐々に引き込まれるような話の筋。

上下揃って1000ページを超えているとは思えないほどすらすら読める。正直言って、トータルで見たときに何十年も語り継がれるほどエピックな作品ではないと思うが、浅田次郎がそうであるように、「大衆娯楽」のど真ん中を行った作品だと思える。

No.3 7点 あびびび 2013/01/08 11:42
文庫版上下、1000ページもある。上は、ゴールド・コーストがいかなる場所で、いかなる人種が住んでいるのか、という説明文にページを割いている。

しかし、主人公の隣に、ニューヨークナンバーワンのイタリアン・マフィアが引っ越してきたという設定は冒頭からあり、いつ、どんな事件が勃発するのか?という期待感はずっとあった。

そのボスにあろうことか、自分の妻が惚れてしまうのである。しかし、自分自身もその男を認めており、彼の弁護士として辣腕をふるうのだ。その複雑な心境、夫婦間の愛憎、そして人生の目的が巧みな構成により、読者により深くインプットされる。なかなかの大作だった。

No.2 8点 kanamori 2010/10/03 17:20
天性のストーリー・テラーぶりが存分に発揮されたデミルの傑作のひとつだと思います。
アメリカ上流階級の古い荘園屋敷が並ぶロングアイランド北岸、ゴールド・コーストに住む弁護士夫婦の隣に、マフィアのボスが引っ越してきたところから物語が始まります。
主人公の弁護士ジョン・サッターのジョーク混じりの語り口は作者の真骨頂。一風変わった夫婦のセックスライフから、乗馬、テニス、ヨットセーリングなど上流階級の生態が映像的に描かれていて、門番夫婦をはじめ周囲の人々の存在感ある造形の確かさにも脱帽です。
隣人ベラローサが、主人公夫婦それぞれを別のアプローチでアチラの世界に取り込む手際はいかにもと思わせますね。カピッシ?
サッターの一人称の語りが軽妙な分、終幕のカタストロフィがより衝撃的なものに思えました。栄枯盛衰、時代は常に移り変わるというテーマが浮かびあがってくるエンディングも素晴らしい。

No.1 10点 Tetchy 2010/02/20 01:31
いやはや、デミル、貴方は上手い、上手過ぎる!!これぞ小説なのだと醍醐味をとことん味わわさせてくれました。最後の一文なんか、もうシビレまくりです!!
哀しいラストに一縷の希望を託す、非常に美しい最後だ。だから最後の最後まで俺の心の隙間にピースがカチッと嵌ったのだ。

人物がイメージとして湧き上がるほどの性格付け、また夢の中の世界として描かれる金持ちの敷地やリトル・イタリーのレストランの描写が非常に素晴らしく、小説を読みながら映像を思い浮かべることが出来た。特にこの小説は映画好きが読めば読むほど映像を喚起できると思う。

またサッターの独白で明かされるベラローサの、サッターを自身の弁護士として取り込む手練手管の精緻さ。これが何とも懐が深く、本当にマフィアならそうするだろうと思わせるほどのリアリティがある。こういった構成が結末の悲劇への十分な裏付となっている。
しかもプロットは堅固なのに人物が前述の通り、個性豊かで単なる駒として機能しているわけではない。これらの人物ならばそれぞれこのように行動するだろうと納得させるだけの筆力があるのだ。いやあ、神業ですよ、これは。デミルを読むと私も含め、作家を目指す人はしばらく創作意欲が無くなるのではないのだろうか。
豊穣なるワインを飲んだ心地ですな、特に読後の今は。


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