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[ SF/ファンタジー ]
星を継ぐもの
巨人たちの星シリーズ
ジェイムズ・P・ホーガン 出版月: 1980年05月 平均: 8.18点 書評数: 38件

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東京創元社
1980年05月

東京創元社
2023年07月

No.18 7点 ミステリ初心者 2012/08/12 19:29
 自分が、初めて買った本です。当時は、あまり推理小説を知らなかったので、SFとして読んでいました。
二転三転する考察がとても面白く、ロジック重視の本格推理小説の気がある気がします。

 ミステリをよく読む今では、昔と印象が違うかもしれません。再読したら評価が変わるかも

 

No.17 6点 メルカトル 2012/06/17 21:44
あまりの高評価につい読んでみたが、私の弱い頭ではストーリーに付いていくのがやっとで、楽しむ余裕はなかった。
だが、私の苦手な翻訳物ではあるが、読みづらいとは思わなかった。
ただ、専門用語が多すぎて、理解不能な部分が結構あり、本来のめり込めるはずの作中が右から左へ流れるように去っていくのを、ただただ目で追っていくのが精一杯であった。
しかしながら、終盤は俄然面白くなったのは事実であり、最後の種明かしもなるほどと思えたのは、僅かな収穫ではなかったろうか。
それにしても感心するのは、みなさんの鋭い読解力であり、本サイトのレベルの高さだ。
本作を順当に評価しての平均点の高さは、私には納得できるものではないが、現実を受け入れようと努力はしたいと思う。

No.16 9点 文生 2012/04/03 10:40
月面で発見された死後5万年が経過した死体。
彼は一体何者なのか?
ハードSFの論理と本格ミステリーとしてのロジック。
本作はそのふたつの要件を極めて高いレベルで併せ持つ、稀有の傑作である。

No.15 10点 ボンボン 2012/02/19 17:58
面白過ぎて読むのに凄く時間がかかってしまった。謎の解明のために、仮説を立て、論証し、矛盾を見つけて、また別の仮説を立て、論証して・・・と、大勢の科学者が根気強く資料に当たり議論し続ける。ただただ、それだけで最後まで突き進む。その過程が、まさにサイエンスそのものだ。もう、結果なんて二の次かも。続編を読めばもっと色々分かるのだろうが、とりあえずここまで丁寧に説明してもらっただけで充分満足。
宇宙服の赤い色が印象に残る。

No.14 8点 大泉耕作 2012/02/08 14:44
 古臭さを感じさせない著者の構想に斬新さをも感じます。
しかし、SFの世界に肩まで浸かっている人なら容易に知れてしまう真相をもって、ここまで読ませてくれるとは思わず脱帽します。
 ひとつだけ不満をいうならば、クラークのような、膨大な知識に対する詳細を伝え、宇宙船の描写などが記されていれば評価は高かったろうと思います。

No.13 6点 蟷螂の斧 2011/10/17 21:35
SFはやはり映画に限ると思ってしまいました。映画「猿の惑星」「2001年宇宙の旅」の方がインパクトがありました。SFは読書より映像、スジを単純に楽しむ方が私には合っています。本作品はフィクションだからスジとしては面白いのかもしれませんが、何か物足りなさを感じました。人間ドラマがないからか?。

No.12 9点 2011/10/15 08:23
翻訳SFは、あまり読まないので最初は読み進めるのに時間がかかりましたが、後半は集中して一気に読めました。
人類の起源、月の謎を追った壮大なミステリーです。
皆さんの書評が高いのもうなずけました。

No.11 10点 okutetsu 2011/08/22 02:27
SFの傑作ですが、ミステリとしても秀逸ですね。
よくこんな設定思いついたもんだと感心しました。
2段オチになっていてそのどちらにも驚かされ、ラストシーンも読後感を良くしてると思います。
タイトルの意味も読み終わったあと納得できるものでした。
ミステリファンも必読の一冊です。

No.10 9点 りゅう 2011/05/22 14:38
 この作品の種明かしには驚かされました。よくこんなアイデアを思い付くものだと感心しました。
 ジャンル分けをするとハードSFですが、この作品が書かれたのは1977年、作品の設定は2028年なのですが、今読んでも全く古さを感じさせません。月面調査隊が発見した5万年前の死体が、いったいどこから来たのかという謎の解明が主題で、謎を解明する科学的・学術的な過程が丁寧に描かれています。色々な仮説が示されるのですが、それぞれ矛盾点があり、うまく状況を説明出来ません。主人公ハントが矛盾点を解決し、さらに、生物学者ダンチェッカーの補足説明があるのですが、個人的にはハントの説明の方により感心しました。ダンチェッカーの説明には、説明不十分と思われるところが1箇所ありました(〇〇が知識や技術をことごとく失ったにちがいないとしているところ)。読みやすい訳で、難しい技術的内容が出てくるわけでもないのですが、気楽に読める作品ではありません。私は理系人間なのですが、読み進めていくのには若干抵抗がありました。ただ、その読みにくさの先に、素晴らしい種明かしが待っています。個人的には、説明に付いていくのがやっとで、謎解きを考える余裕はありませんでした(この種明かしに気付く人はいないと思いますが)。
 「星を継ぐもの」というタイトルにはどういう意味があるのだろうと思っていましたが、読んでみて理解できました。

No.9 7点 E-BANKER 2011/03/30 23:18
ゾロ目444番目の書評はこの作品で。
伝説のSF大作。読み応えありです。
~月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後5万年を経過していることが分かった。果たして、現在の人類とのつながりはあるのか? やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された~

さすが、前評判にたがわぬ面白さ。ハードSFという取っ付きにくさを通り越して、グイグイ引き込まれました。
壮大な謎、ミステリーですよねぇ・・・
月面で発見された5万年前の「人間」は、何と現代の人類以上の科学力を有していますし、木星の衛星で発見された宇宙船はさらに太古のもの・・・
現代の常識ではまったく計り知れない事実ですし、真相も実に面白い。
類人猿とホモ・サピエンスとのミッシング・リンクという大いなる謎にも、1つの解答を示しています。(本当にそうならロマンチックですねぇ)
文章は何だか科学論文を読んでる感じがして、読みにくさは感じますが、たまには、宇宙や人類のルーツといった壮大なミステリーに触れてみるのもいいのではないでしょうか?
(この作品の舞台は21世紀半ば頃で、すでに宇宙旅行が当たり前になっているという設定になってます。しかし、現実は原子力の制御に四苦八苦しているのが現実なわけで・・・)

No.8 8点 makomako 2010/11/03 16:41
この作品の評がこのサイトにあるのはやはりミステリー好きが読んでも楽しめる内容だからと思います。SFとしてもよく出来ているのでしょうが謎解きとして読んでも実に面白い。翻訳小説はあまり好きではない小生でも途中からは時間を忘れて読みふけってしまいました。

No.7 9点 kanamori 2010/07/14 23:05
弔意を込めてコメントを。
ミステリ史上もっともスケールの大きい魅力的な謎の設定と、豪快なアリバイ崩し。
二人の科学者の推理合戦-新たな謎-推理合戦の繰り返しは非常にスリリングで、最後に論理のアクロバット的真相が開陳されたときには鳥肌が立ちました。
ハードSFながら本格ミステリの傑作という特異な作品でした。

No.6 7点 あびびび 2010/02/15 12:23
完璧にSFだが、主人公が自分の推理を述べるときにミステリの謎解きに似た雰囲気あり。

しかし、筆者の知識容量は作家というより、科学者、博士のレベル。実際そうではないのか?SFものだけに、壮大な物語だ。

No.5 7点 シーマスター 2009/01/11 20:44
>チェスタートンの宇宙版
・・・・・これ以上何をか言わんや。

度々出てくるテクニカルタームは軽く流しましょう。
一々引っ掛かっていたら今年中に読み終わらない。

関係ないけど、ある登場人物が呼びかけられる場面で、ふと脳裏に変な応答が浮かんでしまった。
 「ダンチェッカー!」  「なんでっかー?」

No.4 9点 2008/12/03 21:26
読んだのは20年以上前ですが、読後の印象は、このトリックはチェスタートンの宇宙版だ、というものでした。今だったら島田荘司でしょうか。
がちがちにきまじめなハードSFの展開の果てに、こんな壮大極まりないバカミス・トリックを持ってくるとは…
冒頭で発見される死体の正体については、時間を何らかの形で操作しているのではないかとも思ったのですが、そんな安易な手は全く使っていませんでした。読みづらさも、この程度ならむしろハードSFらしくて好ましいと思います。

No.3 10点 touko 2008/09/10 20:57
ハードSFとしてもミステリとしても楽しめました。
内容が内容なだけに、文章が平易かつ論理的で、とてもわかりやすいのが、文系の私にはありがたかったです(ハードSFは内容だけでもわかりにくいのに、文章が翻訳調で読みづらかったら、本当に何がなんだかわからなくなるので……)。

序盤の展開でおっと思わせて物語にひきこみ、謎が謎を呼ぶ展開でワクワクドキドキのエンターティメント、飽きさせない手腕もお見事。あっという間に読めてしまいます。

発表当時は、これを読んで、理系志望者、科学者を志す学生が続出したそうですが、ミステリ的なパズル解明の楽しさと同時に科学を楽しむ心も育んでくれそうですので、高校生くらいで読むのがベストかと思います。

古きよき科学万能信仰時代の明るく希望に満ちたSFですが、その分、とても読みやすく読後感もいいので、ハードSFに慣れてない方にもお勧め。

その後、シリーズ全部読みました。それぞれ面白かったものの、ミステリと言えるのはこれだけでした。

No.2 8点 レイ・ブラッドベリへ 2008/09/07 02:24
 この本は、扱っている謎も舞台も道具立ても、すべてガチガチのSF。
 しかし構成をみると、「事件の発生と探偵の招請・手掛かりの提示・仮説の構築と検証・(だが深まりゆく謎…)・突然訪れた解決の着想・謎の解明」とオーソドックスな本格物。その内容も、ストーリー性には乏しいが、謎解きに徹した面白い「ミステリ」だと思った。
 特に“チャーリー”が持っていた日記兼用の手帳から、“ルナリアン語”を解明していく過程は極めてロジカルで、納得がいくものである。解読された「数字」を元に、手帳の一部を〇〇〇〇〇と仮定して推論していくところは、とても新鮮に思った。(でもそこはSFのこと、物理常数やe(自然対数の底)の値なんかが手掛かりとなるのだが…)

 ガニメデ星上で解明のヴィジョンを得た探偵は、しばらく放心してから我に返ると、木星に向かって、「ありがとうよ、兄弟。そのうちきっと、何かの形でこの礼をさせてもらうよ。」なんて呟く。…いやにクールなのだ。路上でインスピレーションを得た日本の探偵のように、突然、「おおお…」と吠えたり、「僕は実にバカだった!」「僕を笑いたまえ。そこを行く君、僕を笑ってくれたまえ。許す。」みたいな面白いことは言わないのだ。

 その後、探偵が関係者を集めて、「さて皆さん…」と謎の解明を始めるところは、凡百のミステリの中でも特にワクワクさせられるシーンだ。そして、そこで示される解答は極めてシンプルである。本当に「〇は〇だった」と一言で語られる位シンプルだが、それは“ルナリアン”の日記の謎を、全て明快に説明するものである。
 そしてこの解答を読むと、原題(Inherit The Stars)がこの壮大なトリック(?)の種明かしになっていることに気づく。(…でもなぜ「Stars」と複数形なのだろう…)

 最後の場面。これで大団円と思われた打ち上げの席上、突然、生物学者が、コーラの入ったグラスを片手に、唯一未解決であった“チャーリーの進化の謎”について自説を語り始める。そして、延々と4ページ半にも渡って進軍ラッパとも思える演説をぶちあげる。その思い入れたるや「こいつ、コーラでも酔っぱらえる異常体質なのか?」と疑うほど熱烈なのだ。 
 このアジテーションの締めくくりを読んで、改めて原題が「星々」と複数形であったことを理解する。それはこの小説のトリックを示唆したものではなく、まさに作者の「信念」であったのだ。(でもその主旨は、この人たちの祖先が唱えた「王権神授説」と同じく、身勝手なものではないかと訝るのだが…)。そしてこの作品が「極めてタフで、したたかな欧米人」によって書かれたSFであることを思い知る。

 (…日常の世界においては、喫茶店の卓上にある小さな砂糖壺の中にも、人の悪意は込めることができる。そして隣の席には、それを懲らす正義もまた存在する。しかしこの宇宙には、何の悪意も、何の善意も存在しない。ただ人の強烈な「意志」があるだけなのだ)。

No.1 9点 こう 2008/06/26 00:15
 創元のSF文庫に入っていますし確かにSF小説ですが本格小説として非常に面白い作品です。瀬戸川猛資氏の夜明けの睡魔で激賞されて読んだのですが書評通りの高水準作でした。
 月面で宇宙服をまとった死体が発見されるが、この死体は5万年前の死体と判明して、という所から始まりますが、謎がいくつも出てはそれがSF的解決ではなく論理的解決がなされており、しかも最後に全てまとまるのはとにかく凄いです。
 個人的にはSFは全く読まないのですがこの一冊だけは例外です。尚シリーズ物ですが2作目以降は未読ですので同様の出来かはわかりません。


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