皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 五番目のコード |
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D・M・ディヴァイン | 出版月: 1994年09月 | 平均: 6.86点 | 書評数: 14件 |
社会思想社 1994年09月 |
東京創元社 2011年01月 |
No.14 | 6点 | レッドキング | 2018/09/17 19:40 |
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「〇〇殺人」と見せかけた「△△殺人」(「ABC殺人事件」だな)・・と見せかけた「~~殺人」。今後さら複雑化したの出るのかな。
< 2021/9/15 再々読> ディヴァイン第六作(せっかく「五番目」タイトルなんだから第五作だと締り良かった)。犯人の「不可能性」トリック(まあ目眩ましやね)の妙を加点すべきだったと思い知り、5点から6点に変更。 |
No.13 | 7点 | 斎藤警部 | 2016/03/17 14:00 |
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表を見れば、何だか妙に古のソウルシンガーっぽい名前の登場人物がいっぱい、中でも ダンカン・エドワーズってのは唄えそうだなあ(ってか本作発表('67)十年近く前に多くの犠牲者を出したチャーター飛行機事故、ミュンヘンの悲劇、で亡くなった早熟のマンUキャプテンと同名だ!)と思ったら最後にまさかのレナード・コーエン警部!!(同名カナダ人歌手の方は本作発表翌年に音盤デビュー)と思うと第一の(名付きの)登場人物が登場人物表ではチョイ役みたいなとこに記載の人か、何だこれ!?さてその次に登場するは表にさえ登場しないカートライト夫人とな!おいおい俺たちキャンディキャンディ世代にとっちゃカートライトと言えば大地主カートライトさんだぜ!?ひげづらだぜ!?キャンディに庭師と間違われるんだぜ!?超チョィ役おやじ(たしか名前しか出ない)でエンジェルツリーさんだと!?!?俺の心の中の架空の人物エンジェル・フィツパトリック・ピュアハートさん(アイルランドの町役場で働く独身中年おやじ)を思い出すじゃないか!!
要するに、この小説めっちゃオモロそう! ツカミのプロだね、プロキャッチャー! しかし この登場人物混乱させっぷりこそ、初めてのバック宙的キラメキの叙述革命、に寄与する基礎固めの何らかではあり得ぬか!? 違うかなぁ。。おっと序盤からいきなり来たよ、ナニが。いや序盤と呼ぶには微妙に遅い、のがニクいんだよ、めちゃめっちゃ光ってる伏線、たーまんねーなー。 少し読み進んで、この登場人物表(決して少なくはないが)の中に本当に八人もの哀れな犠牲者が押し込まれているのかとふと疑問、ぁ違うか、題名通り五人で終わるのかな? 未遂で終わった最初の被害者がもっかいやられて今度は死んじゃう、とかって事は無いのか? 途中、急に、連続のはずの殺人が割と途絶えるんだよな。。 警察小説ならぬ記者小説(新聞社小説)らしい鮮やかな属性の縁取りもうっすらと快適に。登場人物表に出て来ない夥しい人数の魅力的な各新聞社、学校関係者も動くこと動くこと。 さて結末は。。 あああー そういうことね、ァんだょ正統派じゃねえか って(笑) つまり 軽~ぃ叙述トリックがあったってわけかぃ。。 微かにクリスティを思わす小さな企画のポイントがあるよね、ふふん、まちょっと尻すぼみなトコはあるけど、愉しく緊張途切れず読んだからな、いいんじゃないか? ロジッカーでないおいらでさえ「もうちょっとロジックで追い詰めたらどぅよ?」って思っちゃった節もあるけど、まあいいさ。 主人公が前の職場を去った理由、背景は最後まで仔細語られずかよ、シリーズものでもないのに。。 主人公の人物造形は。。まあ普通かしら。それこそ一皮剝いたら結構アクの強かった「ダンカン・エドワーズ」をもっとヒつこく描写して欲しかったね。そして 今季はマンUでもリヴァプールでもない、まかさのレスターが首位独走中だ。。。 未来はどうあれ、その時点ではハッピーな物語のエンディング。やはりレナード・コーエンの「ハレルヤ」(‘84)を心の中でしみじみ唄って〆だ。(歌詞最初の方で、いかにも隠喩ありげな言葉遊び風に’五番目の(the fifth)’とか’コード(cordじゃなくてchord)’とか出て来るんだけど、偶然だべえな) |
No.12 | 9点 | ロマン | 2015/10/20 17:47 |
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章の間に殺人者の告白を挟みながら連続殺人が進行する構成は適度なサスペンがあって物語りに引き込まれる。人物造形も巧みで面白い。ある程度ミステリに親しんだ読者なら真相に気付くのは用意だけど、それも本格ミステリの骨法を守ってるからこそ。上質なミステリを堪能させて頂きました。 |
No.11 | 7点 | nukkam | 2015/08/12 12:02 |
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(ネタバレなしです) 1967年発表のミステリー第6作で後にはイタリアで映画化もされた本格派推理小説です。無差別連続殺人事件を扱ったアガサ・クリスティーの「ABC殺人事件」(1935年)を下敷きにしながらも色々な工夫を織り込み、単なる二番煎じには終わらせていません。騙しのテクニックに走り過ぎた感もありますがよくできた本格派推理小説だと思います。登場人物描写も相変わらず素晴らしく、特に主人公役のジェレミーの情けなさとその成長ぶりが絶妙です(変な誉め方だ)。 |
No.10 | 7点 | あびびび | 2015/03/04 13:41 |
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楽しく読めたが、自分としては「兄の殺人者」の方がかなり上のような印象を持った。アガサ・クリスティのような本格モノだが、スピード感、切れ味は少し見劣るかも知れない。終盤のミス・リードは思わず笑ってしまったが、最初の事件が発端だった、という流れはなるほど…と思った。 |
No.9 | 7点 | 初老人 | 2015/02/21 10:20 |
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兄の殺人者と比べると真犯人は明らかにやり過ぎてしまっている感があり、あまり好ましくない。
それでも頭の中のもう一人の犯人候補と今回の真犯人とを天秤にかけながら、終始楽しく読み進めた。事件をきっかけに主人公が自信を取り戻し、ヒロインと結ばれるという結末も、ありがちではありながらも悪くはない。 |
No.8 | 6点 | ボナンザ | 2015/02/08 21:20 |
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いかにもクリスティ好みの作風。
ディヴァインの作品は初めて読んだが、代表作が皆この水準なら近年まで紹介されなかったのは不思議。 |
No.7 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2014/04/15 22:40 |
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人間造詣が巧みで、ラブストーリーにもなっており楽しめました。主人公が犯人扱いされるのですが、これを最後まで引っ張っていれば、もっとサスペンスフルになったと思います。いつもは深く考えずサラッと読んでいるのですが、どういう風の吹き回しか今回はじっくり読もうと思いました。その結果、犯人の独白(2P)と第1部の1(10P)で、物語の全体の構図が思い浮かびました。さて、当たっていたのでしょうか?。途中であれ?間違っているのかと思わせる記述があったのですが、いやこれは絶対ミスリードと言いきかせながら・・・。しかし、こういう読み方は疲れます(笑)。やはり作者の意向に沿って騙されるのが向いているようです。 |
No.6 | 8点 | あい | 2013/04/03 10:27 |
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プロットが素晴らしく巧みな人物描写で、非常に読みやすかった。ミステリとしてはありがちな仕掛けだが、ミスリードを誘う作者の手腕はさすがだった。 |
No.5 | 7点 | E-BANKER | 2011/08/20 17:00 |
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人気の英国パズラー作家、ディヴァインの第6長編。
今回も実にリーダビリティーの高い作品に仕上がってます。 ~スコットランドの地方都市で、帰宅途中の女性教師が何者かに襲われ、殺されかけた。この事件を発端に、街では連続して殺人事件が起こる。現場に残された棺のカードの意味とは? 新聞記者ビールドは、警察から事件への関与を疑われながらも犯人を追う。街を震撼させる謎の殺人鬼の正体と恐るべき真相 とは?~ いつもながら、実にうまい作家です。 何より読みやすい。それゆえか、すぐに作品世界に引き込まれます。 本作は、いわゆる「ミッシング・リンク」を取り扱った作品という評価ですが、その範囲はかなり限定的で、むしろちょっと広めの「クローズド・サークル」ものという方が正確かもしれません。 真犯人指摘については、かなり終盤まで引っ張りますが、サプライズ感はそれ程ではない。 あと、探偵役の主人公が真犯人に気付くきっかけというのが、「○○○らしくない行動をとった」というところだけというのが、かなり弱い気はする・・・ まっ、でも伏線は丁寧に張られてますし、連続殺人事件の王道をいく作品とは言えるでしょう。 やっぱり「本格もの」はこうでないとね! (さすがに「このミス」1位だけのことはあるでしょう) |
No.4 | 7点 | kanamori | 2010/09/02 18:38 |
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ディヴァインの6作目は、連続殺人の「ミッシングリンク」をテーマとした作品で、容疑者にもなる新聞記者を探偵役にした巻き込まれ型の本格ミステリです。
テーマの割に派手でスリリングな展開ではありませんが、主人公ジェレミーの屈折した造形など、いつもながらの丁寧な人物造形がさえていて、犯人特定のきっかけも、その人物の性格と行動の食い違いが関係しているところなどはさすがです。 当然ながら「ABC殺人事件」を意識させますが、むしろ犯人隠匿のテクニックはクリステイの別の作品を連想させました。 |
No.3 | 7点 | 臣 | 2010/01/22 11:38 |
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典型的なミッシングリンクもの。この種のテーマとしてはかなりの良作だと思う。
主人公のジェレミーは、過去を引きずった歪んだ性格の不良中年記者(中年というほどでもないが)で、彼を取り巻く女性たちもなかなか個性的だ。とにかく中心的な人物が概ね魅力的に描かれている。 一方、ミステリとしては真相(フーダニット)の意外性は低いし、サスペンスもことのほか少ない。この2つがこんな調子だったら評価は低くなるはずなんだけど、ミスディレクションや仕掛けがしっかりしているし、なんといってもプロット、ストーリーテリング、キャラが抜群なので思いのほか楽しめてしまった。映画化すればヒットしそうだ。ジェレミー役は不良記者が似合いそうな、30年前のエリオット・グールドかな。 ディヴァインは本格派作家として著名だが、彼の作品は本格ミステリの枠を超えているように思う。というか、本格も好きなくせに、本格ファンのマニアックな雰囲気を嫌う私の性格が、無意識のうちに好みの作風であるディヴァインを本格という枠組みから外そうとしているのかもしれない(笑)。 |
No.2 | 3点 | mini | 2009/01/10 10:40 |
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創元から復刊される予定
ディヴァインに関しては私は最初に読んだのが「兄の殺人者」で、「五番目のコード」は作風をある程度知ってから読んだ したがって「五番目のコード」については多少厳しめの偏った見方なのかもしれないのは了解していただきたい 「兄の殺人者」が考え過ぎの慣れた読者よりも素直な初心者の方がかえって見破れるならば、「五番目のコード」は逆で仕掛けが大胆過ぎて読み慣れた読者ほど見破れる作品だ ミステリー初心者でもない限りあのネタは大体見当付くだろ、って感じだよなあ 私はかなり早い段階で、あのアイテムが発見された経緯の相違から考慮して、真相は絶対これっきゃないだろ、と確信しちゃったもんな ディヴァインだけあって人物造形などは流石なんだけど、他の作品に比べると悪い意味で仕掛けの要素が占める割合が大きく、ディヴァインの中ではあまり私の好みではない 「兄の殺人者」の方が断然上でしょう |
No.1 | 8点 | こう | 2008/06/05 23:52 |
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今はないミステリボックスから4冊出た埋もれたストレートな本格作家の高水準作です。(こわされた少年は少々落ちますが)
ディヴァインの作品は1960年代の作品なのでスローな展開、また作風が古いことは難点ですが、反対に登場人物は丁寧に書き分けられており地味ですが所謂懐かしい本格に浸れます。 大体小さな町で殺人事件が起こりたくさんの登場人物から探偵役が犯人を絞ってゆくスタイル。(登場人物の書き分けがむしろくどく感じられるかもしれませんが登場人物の区別が出来ないと言う事は絶対ありません。)訳されている作品はいずれも高水準でクリスティよりも本格のスタイルには忠実です。ただインパクトは地味の一言ですが。 この作品では連続殺人事件が起き現場に棺を書いたカード(コード)が残されている。殺人の前に犯人の独白が挿入され、5人目の事件の前に独白が書かれた手記が発見される。主人公の新聞記者が途中容疑者になりながらも犯人を追及してゆく、というお話です。 明らかにABC殺人事件をモチーフとしたミッシングリンク物で実際作中にABCの動機があからさまにネタバレされているので少なくともABCは読んでおいたほうが良いです。 何故現場にカードが残されたのか、何故手記が書かれたのか、殺人の動機は、ということが最後に明らかにされます。 (少しネタバレです) ミッシングリンク物は真相に納得できないものが多いですし この作品も結局は「狂人だから」という多くの作品と同じような理由になっていますがミスディレクションもうまく謎の解明もすっきりしており良作です。ミッシングリンクものでありストレートな本格だからこそ犯人はわかりやすいですがそれも評価を下げないと思います。ただし土屋隆夫の影の告発に有名なアリバイトリックがありますがそれと同様のトリックの瑕があり真相まで読まされるといくら40年以上前の作品とはいえ納得できないところがあります。(この作品を最後まで読めばわかるかと思います。) クリスティのような世界に浸りたい方にはお薦めできます。 ただクリスティほどの華やかさ、真相の驚きはなく地味で冗長かもしれませんがこれだけの水準作を連発している作家は稀だと思います。悪魔はすぐそこにも訳されましたし、もっと訳してほしい作家です。 |