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[ ハードボイルド ] 悪魔の系図 南郷弁護士シリーズ |
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| 島田一男 | 出版月: 1976年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 日本文華社 1976年01月 |
![]() 東京文芸社 1982年08月 |
![]() 光文社 1987年11月 |
| No.1 | 5点 | 人並由真 | 2026/04/24 22:03 |
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| (ネタバレなし)
弁護士・南郷次郎はその夜、バーで引っ掛けた若い女性と、相手のアパートで情事に及ぼうとする。南郷は酔いつぶれた女のバッグの手帖から当人の住所と氏名を知り、さあ始めようとするが、相手の腕に常習らしい麻薬注射の痕があるのに気づき、深入りを避けて退去した。その翌日、なじみの板津部長刑事が南郷の事務所を来訪。昨夜の女・若月二美が麻薬の過剰注射で死亡し、現場に南郷の名刺があったことから事情を尋ねにきたのだという。二美の死の状況に相応の違和感を抱く南郷は独自の調査を始めるが、まもなく彼は二美の三つ子の姉妹である一美と三美そしてその母親が大地主となる若月家と、その周辺での石油採掘権をめぐる騒動に巻き込まれていった。そしてそんな彼の前には、死体の山が築かれていく。 wiki(必ずしも当てにならんが)によると、南郷次郎ものの第5長編。3年前に読んだ『冥土の顔役』の次の事件で、1958年に「面白倶楽部」に連載し、同年に光文社から刊行らしい。 古書市のワゴンで220円で買った桃源社版(1979年)で読んだが、挿し絵が入っていてなんか得した気分になる。 内容は、南郷、何回オンナとヤルんだ、何人、人が死ぬんだ、という感じの通俗ハードボイルドミステリで、南郷を主役にカーター・ブラウン化するとこーなるのだ、という感じ。 悪役も「おれって男は、女を裸にするのが大好きなのさ……」「女は、裸にすりゃ、たいていの泥を吐くものさ」などの名セリフ・珍セリフの続出で、ケタケタ笑う。 肝心のミステリ要素は、とにかく作者が人死にのイベントを起こして物語の弛緩を防ぐような作劇で、ある意味では読者サービスを忘れていないともいえるが……まあ。 真犯人は意外ではあるが、一方でこのひと、本当に前半の方の事件に関わってるの? というか作者、前半の伏線や出来事を忘れてない? と思える話の結構で、うん。まあそういう作品。 ちなみにシリーズ内では影の薄かった南郷の奥さんだが、読者の知らないうちに本作の3年前に死別しているらしい。また本作ではヤリまくる南郷だが、おなじみ金丸京子女史には<本命はキミだ>風にジャブを打ち込んで(からかいのニュアンスもあるかも知れないが)、金丸京子の方もそれに冷静に応じながらも、まんざらではない対応なのが可愛い。 まあミステリとしての評点はこんなもんですが、昭和の時代臭をふくめて妙な楽しみどころはないでもない一冊。 |
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