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[ 本格 ]
赤い右手
ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ 出版月: 1997年04月 平均: 7.20点 書評数: 15件

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国書刊行会
1997年04月

東京創元社
2014年11月

No.15 8点 レッドキング 2018/05/19 13:01
これ大好きだ

No.14 5点 E-BANKER 2017/11/18 10:53
1945年発表。
国書刊行会から発表されたものを創元文庫にて先般復刊。今回は当然この復刻版にて読了。

~エリナ・ダリーは縁あって裕福な実業家イニス・セントエーメと婚約し、車を駆ってハネムーンに出発した。ところが希望にあふれた旅路は、死んだ猫を抱えたヒッチハイカーとの遭遇を境に変容を余儀なくされる。幸福の青写真は引き裂かれ、婚約者と車を失ったエリナは命からがら逃げ惑うハメに。彼女を救ったリドル医師は、悪夢の一夜に起こった連続殺人の真相に迫ろうとするが・・・~

よく分からん!
読了後すぐの感想はどうしてもこうなる。(多くの読者がそうじゃないだろうか?)
巻末の訳者あとがきを読んでると、某法月綸太郎氏が『どこまでが作者の計算で、どこからが筆の勢いなのか判然としない、八方破れの語り口が結果的に成功を収めた・・・』と本作を評しているとのこと。
成功を収めたかどうかは別にして、後の部分は「なるほど・・・」である。

他の方も書かれているけど、とにかくフワフワした感覚とでも表現したらいいのだろうか。
確かに終盤ではミステリー的な解決が提示されるし、「そういう意味だったのね」ということも多かったのは事実。
でもなぁーいきなりアイツが実は○○で、アイツも実は××で・・・
などと書かれたら、もはやファンタジーみたいなもので、リアリテイの欠片も感じなくなってしまう。
そういう小説なんだと言われればそれまでなんだけど、これを「本格ミステリー」と呼称するのは何とも違和感がある。
時間軸の行ったり来たりについては、読んでてもはや混乱の極みだったし・・・
(これって、わざとかな)

ということで、どうにもストレスの残る読書となった感のある今回。
こういう作品が好きっていう人もいるんだろうか? いるんだろうなぁー
いわゆる“玄人受け”っていうことなのか? だとすると、素人の私にとってはハードルの高い作品だったのかもしれない。
機会があれば読み返しても・・・いや、読み返さないな、きっと。

No.13 8点 斎藤警部 2015/11/06 17:27
犯人がそこまで悪どい奴とは、予想外! 癖のある叙述、混乱させる描写で話が勝手に進行。絶妙な文学的千鳥足を見せる時系列の乱れ。何もかも伏線に見えて来る手探りのストーリー(ところが、本当にどれもこれも伏線だったんだ! 意外な例外はあったけど。。)すでに殺されたという登場人物達が、どうしても一抹の読者疑惑が消せない「語り手」の手記の中でのみ発言と行動を行うもどかしさよ。どこかわだかまりを残す人物造形にはいったい何の企みが。。
途中ふんだんに挟まれる”静的情景描写”さえ何か叙述の罠が仕組まれていそうで、退屈を全く誘わない。
この語り手は、まさか。。。。
いやいや、こちらの予想を思い切り良く超える最終局面の畳み掛けはクリスチアナ・ブランドの良作さえ思い起こさせましたよ、ほんと。


【ここよりネタバレ】


最後に明かされる実に一人五役(!! .. で合ってます!?)を含むまさかの真相は拙者の好みで大いに納得。だが、語り手に纏わり付くどうにも不自然な点(無理して自分を奮い立たせようとしている気配だったり、年齢や体格体質が実感しづらい点など)から推測されるに、作家の頭の中で当初は彼こそ犯人候補(それも一人x役)だったのではないか、との疑いを持ってしまう。だいたい最後の最後で急に冷静且つタフな探偵役に化けちゃってません、この人? ところで、帽子の偶然が宙に浮いたままなのはただ回収し切れなかっただけか(帽子を、ではなくて伏線を)? そうそう、右手を切断した理由はね、○○を隠す為には更なる○○を、みたいなものでしたね。○○の中には「不正」でも「腐敗」でも好きな言葉をお入れください。 
【ここまでネタバレ】


♪ 僕の右手を 知りませんか~
ボナンザさんの言われる「ライブ感覚」に膝を打ちました! 著者はまさかきっと、ストーリーが自然に展開するに任せて、自分はエネルギー注入役に徹して書いていたのかな。。 

No.12 7点 あびびび 2015/11/04 18:18
大きな館や、孤島、あるいは吊橋をなくした陸の孤島と、安定した本格設定を好む人は最後まで錯乱すると思う。何がなんやら~である。実は自分がそうだった。怪しいと思う人物がダミーであることは薄々感じていたが、最後に、畳みかけるような解決編は辻褄はあっているものの、疑心暗鬼で、とても納得の行くものではない(特にひとり?役)。

ただ、自分の好みに合わないから評価を低くするーという作品ではなく、いろいろな方に読んでもらい、その評価を見てみたいと思う一冊だった。

No.11 9点 ロマン 2015/10/20 17:42
脚のねじれた男=コークスクリューはどこに消えたのか? 彼の姿を多くの人が目撃したのになぜ語り手だけが見なかったのか? この小説では大勢の見たものを一人だけが見ないという事態が起こる。ミステリとしてアンフェアだという評価もあるようだが、私はそうは思わなかった。手掛りと真相との間に齟齬はないし、事件の全貌もきちんと筋が通っている。いわゆる叙述トリックとは一線を画しながら、文体のレベルで謎に巻きこむ腕前は見事だ。

No.10 8点 yoshi 2015/07/27 02:34
これは面白かった。
読み始めてすぐに、とある人物が怪しいと思い、読むにつれてどんどん怪しくなり、
記述の矛盾をどう解決してくれるのかと思いながら読んでいたら、見事にやられました。
正直、私の大嫌いな多重人格モノだと思っていました。
ギザギザの帽子についてもいまく説明がついていたら10点つけていたのに、
あれは結局ただの(あり得ないほどの)偶然ということなんですかね。

No.9 7点 ボナンザ 2015/06/13 16:46
なんというライブ感覚・・・。
これ絶対途中まであっちを犯人にするつもりだっただろ、と思うがぎりぎりで強引に持って行った感がある。

No.8 7点 mini 2014/11/21 09:57
本日21日に創元文庫からJ・T・ロジャース「赤い右手」が刊行される、もちろん国書刊行会の例の全集からの文庫化である
こういうのは文庫で気軽に読めるよりもマニアックな全集にでも入ったままで知る人ぞ知るみたいな方が似合っている気もするが、まぁハードカバー版には絶対手を出さない読者も少なからず居る現状では多くの人に手に取ってもらえる方が良いのかも知れん

世の中には名作・傑作と呼ぶよりも”怪作”という呼び方が相応しい作はいくつかあるが、掟破りの荒法師J・T・ロジャースの「赤い右手」などはその代表的存在だろう、まさにどう書評していいのか迷うような怪作である
私が思うに、これは計算ずくで書いた代物ではない気がする
もしこれが周到な計算の元で書かれていたら案外とつまらない作品になっていたのではないだろうか
情熱にまかせて書き散らした結果の産物なのが逆に功を奏したとでも言うような

ところで私はスリラー小説というジャンルが本格派に対して格の低いジャンルだとは全く思っていない読者である
スリラー小説にはそのジャンル内での観点で書評する、従って採点に於いて、スリラーでも本格でも他のジャンルでもそれぞれ10点もあれば1点も有り得るという主義である、本格派なら最高10点まで付けるが非本格には一律に最高5~6点までと制限するとかそんな差別的基本スタンスは絶対に取らない
さてそこでこの「赤い右手」のジャンル分類であるが、当サイトのnukkamさんの御意見に賛成です
スリラーか本格派か?とを分けるのは文章の雰囲気などでは無いと思う、基準は内容である
「赤い右手」の場合は内容的に本格派作品だと思う、スリラー小説には全く別の面白さが有るし、サスペンス小説と呼べるほど人間心理の問題をテーマにしていないし、単に語り手が疑心暗鬼に苛まれているだけに思えた
ロジャースは資質としてこういう文章になってしまう作家なのでしょう
この作品を”本格派に分類する”としたnukkamさんの御判断は正しいと私も思いますね

No.7 7点 蟷螂の斧 2014/09/26 09:07
裏表紙より~『結婚式を挙げに行く途中のカップルが拾ったヒッチハイカーは、赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をしていた…。やがてコネティカット州山中の脇道で繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。狂気の殺人鬼の魔手にかかり、次々に血祭りに上げられていく人々―悪夢のような夜に果して終りは来るのか?熱に憑かれたような文体で不可能を可能にした、探偵小説におけるコペルニクス的転回ともいうべきカルト的名作』~           ミスリードのオンパレードで強引に騙されてしまったという印象です(笑)。色々問題点はあるのですが、その点は解説で非常に詳しく説明されています(これも珍しい~怪作だからか?)。解説では指摘されていない部分ですが、同一人物を「細くて肌の白い腕」→「顔も手と同様に日に焼け・・・」「体は堅固そのもので筋肉も隆々」と表現しています。これは語り部の表現なので、果たしてこの語り部は信用できるのか?という疑問を持ってしまいます。これは著者の作戦の一部であったのか?・・・。あと、題名のことには触れていませんでしたが、右手切断の意味もうまく収まっていると思います。不思議な気持ちにさせられる作品でした。

No.6 6点 nukkam 2014/09/03 14:38
(ネタバレなしです) 米国のジョエル・タウンズリー・ロジャーズ(1896-1984)はいわゆるパルプ作家で、1923年のミステリーデビューから晩年に至るまでパルプ雑誌等におびただしい作品を発表しています。1945年発表の本書は非常に型破りであまりにも個性的、好き嫌いがはっきり分かれそうです。本格派推理小説でないという意見があるのももっともだと思います。時間軸が何度も前後にぶれるプロットと微妙に不自然さを残す説明表現は読者を混乱させるでしょう。しかしながら文章に不思議な勢いがあり、意外とすらすら読める作品でもあります。謎解きも問題点を多く含みながらも緻密に伏線を張っていて雰囲気だけのスリラー小説とは一線を画しており、個人的には本書を本格派推理小説に分類しています。

No.5 8点 ミステリーオタク 2012/10/24 00:07
類い稀なる怪作 恐るべし

No.4 8点 給食番長 2009/05/06 21:23
何だこりゃー

No.3 7点 あい 2009/02/26 14:46
場面がとんだり戻ったりでかなり読みづらいし、無理がある部分も多いが、独特の雰囲気にトリック、何よりも伏線の多さに驚いた

No.2 8点 2008/12/02 22:08
これだけ必然性を無視しまくれば、普通どうしようもない駄作か脱力バカミスにしかならないところですが、そうであればこそのおもしろさを獲得しているのは、筆の勢いによるものでしょうか。カルト的名作との評価を得ているだけのことはあります。
格調高く仕上げれば、この異様な雰囲気はボアロー&ナルスジャックに近い感じになるのではないかとも思えるのですが。
ただ、アクロイドを引き合いに出しての読者を驚愕させるコペルニクス的転回とは全く思いませんでした。

No.1 5点 こう 2008/05/07 00:15
 不思議な作品でした。論理の整合性は全くなく本格とはとても言えませんが不思議な味わいがあります。一部の新本格のファンの方には合うかと思います。


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平均:7.20 / 書評数:15