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[ 本格 ]
旅人の首
ナイジェル・ストレンジウェイズシリーズ
ニコラス・ブレイク 出版月: 1960年12月 平均: 6.33点 書評数: 3件

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早川書房
1960年12月

No.3 6点 人並由真 2017/08/27 11:39
(ネタバレなし)
 死体の首がないという残虐な事件なれど、おぞましい感じはかなり希薄。被害者が関係者の多くから敬遠・嫌悪されていたらしい人物という設定も機能して、ふだんは平穏でヒマな田舎の地方に起きた、ちょっと悪趣味なお祭り騒ぎのようなニュアンスも感じられる。
 謎解きミステリとして鬼面人を脅かすような大トリックなどは無いが、登場人物たちの心理の綾が終盤の決め手になっていくあたりは流石ブレイク。

 ほかの話題としては、ナイジェルの先妻ジョージアの戦時中の死亡の状況がようやくわかりました。
 あと、作中に被害者の持ち物としてチェイスの『ミス・ブランディッシュの蘭』が登場したのがちょと印象的(ポケミスの翻訳では「ブランディッシ夫人にささげるランの花はない」と表記。まあ創元から翻訳が出る前だしね)。
 作者がちゃんと周辺のミステリ事情を見ていることの、さりげないアピールかもしれない。

No.2 7点 nukkam 2016/05/14 22:35
(ネタバレなしです) 1949年に発表されたナイジェル・ストレンジウェイズシリーズ第9作の本格派推理小説で、首発見の場面を読んだ時にはこの作品は島田荘司の「暗闇坂の人喰いの木」(1990年)に影響を与えたんじゃないかと思いました(多分違うでしょうけど)。首なし死体の事件を扱っていますが島田作品のように不気味な雰囲気が全編を支配するわけではなく、時にはユーモアさえ混ぜています(死体発見の電報のやりとり等)。無論犯人当て本格派推理小説としてのツボはしっかり抑えてあって、どんでん返しもなかなかの切れ味です。そして最終章でのナイジェルの悩みも印象的です。読者も一緒に悩みましょう(笑)。

No.1 6点 kanamori 2012/10/12 18:20
私立探偵ナイジェル・ストレンジウェイズ登場のシリーズ9作目。今まで読んだ作品ではそんな感じを受けませんでしたが、ニコラス・ブレイクがセイヤーズから強い影響を受けたといわれるのが分かるような作品です。
”数ヶ月前に歓待を受けた平和な村を探偵役が再び訪れ、今度は身元不明の死体の事件に関わる”という、物語の幕開けは「ナイン・テイラーズ」を意識しているように思えます。ナイジェルの心情描写もいつも以上に深みがあり、最後はある理由で悩める探偵になっています。
事件の中心人物である著名な詩人シートンの存在感も作品の深みに寄与していて、これは作者の本職が影響しているのかもしれません。首なし死体が出てきますが猟奇的雰囲気はなく、むしろ叙情的な物語になっているのが不思議です。


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ニコラス・ブレイク
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