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[ 本格 ]
蝙蝠は夕方に飛ぶ
バーサ・クール&ドナルド・ラム 別題『コウモリは夕方に飛ぶ』
A・A・フェア 出版月: 1960年07月 平均: 6.33点 書評数: 3件

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早川書房
1960年07月

早川書房
1984年07月

No.3 6点 nukkam 2022/03/17 01:18
(ネタバレなしです) 1942年発表のバーサ・クール&ドナルド・ラムシリーズ第7作の本格派推理小説です。従軍してドナルドが不在のためバーサが単独で事件解決に挑むという異色のプロットで、いつもの(ドナルドの)1人称形式ではありません。バーサの捜査はけちでがめつい性格が前面に出て非常に心もとないですが、まだサンフランシスコに留まっているドナルドが時々手紙でバーサに支援しています。真相の謎解きもさることながらいつもと違う状況の探偵コンビがどのように事件解決するのかも興味あるところですが、ああそういうエンディングなのねという感じです。タイトルに使われている蝙蝠の使い方もなかなか上手いと思います。本書が初登場となるフランク・セラーズ部長刑事は後年作に比べるとまだ個性が弱いですね。

No.2 7点 弾十六 2018/11/04 08:51
クール&ラム第7話。1942年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。
ラム君は海軍に行ってしまい、バーサひとりで探偵家業、結構身軽に動き回ります。文体は三人称です。今回の依頼人は盲人のおじいさん。事件に関係ある日付として1942年1月25日が明記されています。(灯火管制用の懐中電灯が戦時を思わせます) 刑事フランク セラーズは今回が初登場。効果的に手紙を使い、起伏の多い展開は相変わらず。人物描写も愉快です。

No.1 6点 人並由真 2017/08/03 08:25
(ネタバレなし)
第二次大戦中、せっかく共同経営者に据えたドナルド・ラムが出征したため、バーサ・クールは秘書のエルシー・ブランドとともに探偵事務所を切り回していた。そんななか、街頭で物売りをする盲目の老人ラドニイ・カズリングから調査の依頼がある。相手が意外に金を持ってると認めたバーサはこれに応じるが、その内容はカズリングに日頃、親しくしてくれる若い娘ジョセフィン・テルが交通事故にあい、その後なにかトラブルに巻き込まれているらしいので力になってほしいというものだった。ラムの不在のなか、みずから巨体を揺らして調査に赴くバーサだが、やがて事態は思わぬ殺人事件へと。

久々にフェアでも…と思いきや、これは大昔に読んだことのあるなと途中で気づくが、まあいいやと思ってそのまま最後まで付き合っちゃう。
シリーズもののなかでもほぼラム不在(とはいえ、バーサを手紙などで陰から支援するが)、完全にバーサを主役にして叙述も三人称という異色の設定。
本来はもうちょっと、シリーズ内でも普通の設定の初読の作品を読むつもりだったが、再読ながらこれはこれで面白かったので、良しとしよう。
錯綜する事件の謎、金持ちの遺産を狙う悪人たちのあるトリック、ミステリ的な興味もふんだんで、ギャグユーモアの方も随所で効いている(特に初読以来覚えていた、後半での留置場でのバーサの描写がケッサク)。
まあ最大の大ネタは察しがつくけど、それを補う多様な興味で充分に元がとれる一冊。ちなみに本書はシリーズのレギュラーとなるフランク・セラーズ部長刑事のデビュー編でもあった(らしい)。


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A・A・フェア
2016年12月
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