皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 双月城の惨劇 シャルル・ベルトラン |
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加賀美雅之 | 出版月: 2002年04月 | 平均: 7.07点 | 書評数: 15件 |
光文社 2002年04月 |
No.15 | 8点 | みりん | 2023/04/01 05:00 |
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「双月城の惨劇」と言うタイトルだけで既に興奮が抑えられず購入。
奇怪な館で起こる不可能犯罪のオンパレードで新本格ルネサンスとは実に的を得たキャッチフレーズ。 以下ただの読んでる時の感想文【盛大にネタバレあり】 首無し死体ってことはもう騙されねぇ。どうせ双子の加害者被害者入れ替わりトリックでマリアの方が生きてるんだろう?歯形の一致なんてそんな些細なこと診断の時から入れ替わっといたりしたらどうにでもなるから、自分は騙されないよ。これは十中八九マリア・エールシュレーゲルが真犯人で間違いない。密室はお手上げだけど真犯人だけは分かった。 と思っていましたが いやー見事に騙されました。一つ目の密室殺人は位置エネルギーの問題は置いといて、トリックも動機も首無殺人を逆手に取った心理的ミスリードも全て好きだなあ。エールシュレーゲル一族の名誉を守り抜こうとするカレンのプライドがイイ。 逆に一つ目の事件の完成度が高すぎて二つ目以降の事件の真相がどれもいまひとつに感じました。一つ目の事件だけに留めておいても十分満足できたのではないかと思います。 |
No.14 | 8点 | ボナンザ | 2020/05/26 19:20 |
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これはすごくいい・・・。一発トリックに頼らない館ものの力作。全編に作者のこだわりが満ちている。
加賀美ってこれがデビュー作かと思ったら本格推理02に掲載されてた樽の木荘の作者なのか・・・。 |
No.13 | 7点 | 新世紀ミステリー | 2019/07/02 09:52 |
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2002年発表。いかにもな舞台設定にガッチリとトリックの効いた本格物ってやはりよいですなあ。 |
No.12 | 6点 | ミステリ初心者 | 2017/12/02 17:51 |
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ネタバレを含みます。
コテコテのド本格要素がたっぷり含まれており、私好みの作品でした。 古い城! 双子! 伝説! 密室四連発! フラグたてまくるトマソン! 案の定殺されるトマソン! 普段、まったく推理があたらない私が、そこそこあたりました。なので、難易度は低いと思われます。第一の殺人の状況から自殺・共犯ありありなことが推測できます。それを考えにいれると作品の難易度が下がります。(シュトロハイム主犯はわかりませんでした。滑車のトリックもわかりませんでした。ベルトランとの推理バトルを期待していたのもありました) これは私が読み飛ばしてしまったのかどうかわかりませんが、第二の殺人は新月の部屋のそとで殺人が行われたんですよね? 新月の部屋に血痕はあったんでしょうか? 犯人は新月の部屋内部で起こった犯行に見せたいんですよね? ある程度派手に血痕がないといけないのでは? どうだったかな…? 以下、難癖をつけたくなる部分 ①共犯者が多い。これだけ多いと、大抵の不可能犯罪が実現できるような気がする。できれば、犯人が一人ですべて犯行を行った作品のほうが好みです。 ②自殺がある。①もそうですが、自殺と共犯をまぜると推理がむずかしくなってしまいます。 ③投石機って、そんなに精度が高いの!? ④ベルトランの、"シュトロハイムは共犯なんてするわけない"が紛らわしすぎるッ! 主犯だからウソジャネーヨとかうざいッ! 私が期待していた展開。 シュトロハイムがまず推理を披露する。誰もがその推理を正しいと思う。ベルトランがその推理の論理的欠点を指摘→驚きの新推理による真犯人が明らかになる。やったぜ。 |
No.11 | 7点 | 龍樹 | 2016/01/28 09:13 |
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基本点:5点
不可能トリック2点盛りに:+2点 合計:7点 メインデッュが二皿付いた剛健なドイツ料理のような本格作品。 |
No.10 | 6点 | いいちこ | 2015/08/27 18:08 |
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第一の犯行は、城の建造経緯を巧みに活用した物理トリック、犯人の狙いを隠蔽する逆説的な構図が抜群。
反面、第二の犯行以降は、真相が複雑で、フィージビリティや合理性にも強く無理が感じられ、かつ手掛かりにも乏しいと褒めるべき点がない。 ハウダニットに重点を置いた作品とは言え、真犯人を特定する根拠が2点しかなく、その2点が非常に露骨であるなど、フーダニットとしてはかなり物足りなさを感じる。 全体としては力作の評価でよいものの、二階堂氏が絶賛するほどの水準とは言えない |
No.9 | 8点 | mozart | 2012/09/02 17:52 |
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【やや、本作以外の作品のネタバレになるかも知れないのでご注意】
本作より先に「監獄島」を読んでしまったため、「監獄島」での楽しみ(と言うかショック)の一部が得られなかったこと(「まさかこの人物が!」となるはずのところが「ふ~ん、だから?」みたいな感じで終わってしまったこと)については、ベルトラン(+パット)シリーズの読者としては痛恨の極みでした。 それはそれとしても、この作品にインプリメントされている本格ミステリ作品のあるべき姿と、作者-読者間のプロトコルについては、私のような、作品の発表順を無視するシリーズ読者としての瑕疵についても、いささかも問題としないほど見事であり、もはや、何も言うべきことはないでしょう。 |
No.8 | 8点 | 測量ボ-イ | 2012/07/21 15:14 |
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いい作品ですね。久々にガチガチ本格作品に出逢えた
ような気分です。 この作品は、「怪しげな建物」「怪しげな住人」「血 みどろの惨劇」「名探偵による解決」と、ガチガチ本 格が持っている要素をほとんど持っています。 古臭いと言われようが、時代遅れと言われようが、こ ういう作品、好いですねえ。 (ここから ネタばれ注意!) 他の方からも指摘ありますが、共犯者がいるのがやや 不満点。この話しを単独犯でうまく書ければ完成度も 更にUPするんですけど。 あと人の死が5つあって、その内訳は殺人2+自殺2 +事故死1ですか・・・ これを完璧に推理できる人いるのかな?難易度高すぎ るきがします。 |
No.7 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2012/05/28 15:25 |
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<復旧再登録>重厚な雰囲気をもった本格ものですね。ライン川下りの観光をしたことがあるので、崖の上の古城の雰囲気を懐かしく思い出すことができました。さて、本編の首・手首切りの「動機」および「トリック」は驚嘆ものでした。第二の殺人の動機も好みです。ラストも良い。と非常に高評価なのですが、何人かの方が指摘してる点があり、私も-1となりました。 |
No.6 | 6点 | nukkam | 2012/03/02 20:48 |
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(ネタバレなしです) 急死が惜しまれる加賀美雅之(1959-2013)が2002年に発表したデビュー作で、細部までよく考えられた本格派推理小説です。探偵役の名前がシャルル・ベルトラン予審判事ということからも予測しやすいでしょうが、あのジョン・ディクスン・カーのアンリ・バンコランシリーズを強く意識した作品です。もっともヴァン・ダインの二十則をいくつか破っているので、読者に対してフェアプレーかというと微妙な気もします(二十則が絶対的なものではないとはいえ)。しかしながら大小さまざまなトリックと縦横無尽に張り巡らされた手掛かりに基づく推理は圧巻です。物語性とか登場人物描写とかはほとんど無視されていますので、本格派嫌いの読者には絶対受けない作品でしょうけど、ここまで謎解きに徹していると個人的には天晴れと褒めてあげたいです。 |
No.5 | 5点 | abc1 | 2009/12/03 13:32 |
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よく作り込まれている。
でもメインのトリックは○○○の加速度が足りないから無理じゃないかな。螺旋階段半周分しか高さがないからね。リアリティは忘れて楽しむべきか。 それからちょっと共犯者が多すぎる点が不満。この犯人と共犯者だったら、何でもできてしまう感が残る。 |
No.4 | 8点 | E-BANKER | 2009/09/30 22:28 |
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作者初の長編であり、ベルトラン判事シリーズの第1作。
まさに某二階堂氏の「悪霊の館」と「人狼城の恐怖」を足して2で割ったような作品。(二階堂氏も巻末の解説でそう言ってます) 「人狼城」とは一部登場人物の名前まで被ってますし・・・ トリックの大掛かりさは島田荘司の往年の名作を彷彿させます。伏線はそこかしこに張ってありますが、特に二番目の殺人は相当高レベルな謎だと思います。(現実性は置いといて) 9点でもいいのですが、「監獄島」(9点)よりはマイナス1点としました。 |
No.3 | 9点 | makomako | 2009/09/25 20:22 |
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これは好きです。初めて読んだときは雰囲気のみに気をとられていたが、再読してみると魅力的な謎がこれでもと提示されきちんと伏線も張ってあり、本格推理小説の本流をいく小説と思います。
もちろん良く考えれば第2の密室は成功する確立の少ない方法がうまくいくことを前提としたトリックでありよほど楽天的な人間でなければ計画しないであろうし、最初の密室事件もじつは専門家が見ればすぐにばれるのだが、それを補って余りある壮大なトリックとしたい。 |
No.2 | 4点 | teddhiri | 2009/09/06 21:26 |
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最初の事件のトリックは非常によかった。しかし第二の事件のトリックはすぐわかったし、しかも犯人も大体見当が付く。コード型本格でトリックを盛ったミステリといえば、二階堂黎人を連想するが彼の作品と同じく、フーダニットとしてはスカスカの感は否めない。また犯人に対する名探偵の態度もかなり腹が立った。同情の余地のない犯人に対する甘さ。メルカトルみたいに外道と割り切っていればそれなりに楽しく読めるのに、変に騎士道とか紳士ぶるから余計腹が立つ。
という風にボロクソ言いましたが最初に述べたトリックは本当に素晴らしかったのでこの点数にします。 |
No.1 | 9点 | 北浦透 | 2007/12/25 20:19 |
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最近本格から遠ざかっている身なので偉そうには言えませんけれど・・・。
これは本格推理小説としては一級の作品だと思います。こちらのサイトではあまり話題になっていませんが、一読して損のない傑作だと思います。 |