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ミステリの祭典

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北浦透さんの登録情報
平均点:8.07点 書評数:67件

プロフィール| 書評

No.27 6点 人形は遠足で推理する
我孫子武丸
(2005/02/18 00:40登録)
話しがこれだけ面白いので、余計にミステリーとしての軽さが目立ってしまう。よってこの評価だが、何度も言うように話はとても面白い。おむつのキャラクターが存分に出てくれたという点で、長編もバスジャックの事件も成功かと思う。あと、前から思っていたが、作者の警察官の書き方はユニークでいい。
しかし、じっくり考え直すと、やはり物足りないかも。もっとも、この「物足りなさ」も、作者の持ち味かもしれないが・・・。


No.26 9点 慟哭
貫井徳郎
(2005/02/05 21:13登録)
トリックでアッサリ騙されたクチである。心底驚いたが、この作品の本質はそこではない。
物語自体が一編の上質なサスペンスだということ。そして、トリックが暴かれることで、一人の人物のやりきれない悲しみが伝わってくるという点にある。
少なくとも、この作品は、本格ミステリを語るうえでやはり欠かせない重要な作品だろう。


No.25 9点 天使の囀り
貴志祐介
(2005/01/19 21:11登録)
貴志祐介の大傑作! 今のところ彼のベストはこの作品だと思っている。
骨格のしっかりした、それでいてスリリングな物語。登場人物、作品世界。どれをとっても申し分なく、読み出したら止まらない傑作である。
もう一度再読したら満点になるのかもしれない。


No.24 7点 十三番目の人格―ISOLA
貴志祐介
(2005/01/19 21:07登録)
展開にやや単調な点が見られるが、やはり筆力、構成力が並みの作家とは違いすぎる。ラストのホラータッチは、自分のようなひねくれた読者でも、充分怖かった。


No.23 8点 スクランブル
若竹七海
(2005/01/14 14:04登録)
個人的に若竹作品のベスト。
青春ミステリというジャンルはこの作品にこそふさわしい。あの構成は、本当にすばらしい。アイディアの勝利だ。


No.22 9点 涙流れるままに
島田荘司
(2005/01/14 14:00登録)
マイナス一点は、本格色がこれまでの島田氏と比べると薄いかなと思えるのと、所々で「客観的に見て」、安っぽいかなという場面があったので。
しかし、この小説を客観的に見えるわけもない。なんという物語だろう。小説の力強さが、規格外。ものすごい。冤罪事件と加納通子の半生を描くが、グングン引き込まれていった。
吉敷の戦い、通子の凛とした強さ。そして、救い。胸を揺さぶられるミステリー巨編。


No.21 4点 硝子のハンマー
貴志祐介
(2004/12/19 17:05登録)
文章力、人物造形は巧み。密室トリックの独創性もいい。――ただ、この作品の作者は貴志祐介である。
要はそこらの作家がこの作品を書いたのなら、こんなに低い評価はしないのだが、残念ながら『天使の囀り』や『青の炎』という傑作を書いた作家であるという点で、不本意だった。相当の期待をこめて読んだという意味もこめてこの点数。前半と後半の乖離がどうしても気になった。


No.20 8点 朝霧
北村薫
(2004/12/05 21:53登録)
このシリーズは、この作品で終わりなんだろうか?だとしたら、寂しい。
出会えたことが嬉しくなるシリーズ。


No.19 7点 人形はこたつで推理する
我孫子武丸
(2004/11/12 16:55登録)
期待を裏切らないキャラクター作りである。「おむつ」が特に魅力的だ。作品的には無難だが、あまり満足できるものではなかったが、これからの展開に期待を込めてこの評価である。


No.18 10点 秋の花
北村薫
(2004/11/12 16:53登録)
どこに行くのでも一緒だった二人。その一人が不慮の死を遂げたとき、もう一人もまた、精神の死に襲われる・・・。
なんて悲しい事件。しかし、同じ《悲しい》といっても、『盤上の敵』のような《辛さ》はない。「私」や円紫師匠ら、登場人物がみな優しいから。だから、この物語は救われる。この物語に本格ミステリの妙が取り入れられているのは、現代の奇跡だと思う。
『空飛ぶ馬』、そして『夜の蝉』を読んでから、この作品に取り組んでほしい。そして期間があいてもいいので、二度読んでみるといいかもしれない。素晴らしい物語として心に残るだろうから。


No.17 8点 夜の蝉
北村薫
(2004/11/10 15:27登録)
初めて読んだときは、「六月の花嫁」で江美の心理が受け入れられなかったが、二年ぶりに再読すると、とてもスンナリとわかった。とても、まっすぐで、そしてさわやかな一品である。
しかし、表題作の「夜の蝉」はなんとも見事だった。こんなにも感動的な姉妹の物語だったとは。最初に読んだときは何を読んでいたのだろうと反省である。


No.16 9点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2004/10/20 16:15登録)
すごい。この雰囲気はすごい!
「霧越邸」というアール・ヌーヴォー調の豪華な洋館で、行われる連続殺人。怪しげな登場人物たち。嫌味でも執拗でもない衒学性。幻想すらも論理と課し、これぞ本格推理小説と快哉したい。登場人物たちも◎。
『時計館』と並ぶ歴史的傑作である。


No.15 8点 時計館の殺人
綾辻行人
(2004/10/19 22:31登録)
迷った末だが、やはり綾辻行人のベストはこの作品かなと。圧巻のトリックと整合性、中盤の怒涛のサスペンス。雰囲気も申し分ないうえ、作者の意気込みがビンビン伝わってくる。
ただ、読後感が弱いんだよな。呆気なく終わってしまうというか。不思議な作品だ。とはいっても、ミステリー史上残るべき作品であるという評価は変わらない。


No.14 7点 水に眠る
北村薫
(2004/10/06 23:08登録)
『植物採集』だけなら満点。
他にも『恋愛小説』や『ものがたり』は好みである。
ホラータッチの作品は、思わずブルッとしたことを思いだすが、この短編集は北村薫の持ち味が程よく出ている。


No.13 9点 アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎
(2004/10/03 19:45登録)
伊坂幸太郎は、この作品が初めてだが、新しい才能に出会った気がした。下の方がおっしゃっているように、この人の最大の武器は文体と会話だ。だからこそ、このようなスマートなミステリになるのだ。ほろ苦さを残す青春小説の面も持つ。傑作である。


No.12 7点 宿命
東野圭吾
(2004/09/28 21:16登録)
全体的に完成度も高く、面白く読めた。謎が解かれていく過程がすごくいい。突然話題が大きなところに行っても、この人の場合はいい意味で安心して読める。
肝心の「宿命」の部は、ここはそれほど感慨を受けなかった。しかし、問題はそこで、これまで様々な作品で「意外な結末」を見ているから、その辺りの神経が鈍磨になっているのかもしれない。素直に感動したいなと思う。


No.11 9点 悪意
東野圭吾
(2004/09/26 11:35登録)
紛れもない本格ミステリ(別に誰も疑っていないだろうが)。最初に犯人を絞り込むという作業が実にスピーディーで、その後の「動機探し」をたっぷりと書いており、味わい深い。構成がうまいのだ。加賀と野々口の存在感も抜群で、この長さでこれだけの作品を書かれては、長大な作品をウリにする作家はたまってものではないかもしれない。東野本格はやはりレベルが高い。


No.10 9点 空飛ぶ馬
北村薫
(2004/09/23 21:31登録)
「日常の謎」の代表作家だが、それを差し引いてもこの作品は名作だ。確かに「私」は現代の女性像とかけ離れているかもしれないが、あの感性の良さは何者にも変えがたい魅力である。
『砂糖合戦』『赤頭巾』『空飛ぶ馬』は特に素晴らしい。絶品だ。
僕は北村薫を、特に最近の作品を高く評価しないが、この作品は何度でも読み返したくなる、そんな本である。


No.9 6点 袋綴じ事件
石崎幸二
(2004/09/15 21:51登録)
もともと長大な作品を書く作家ではないが、今回のはさすがに短すぎる。それに加えてちょっと理系っぽい部分が強かったのが残念。あと、中盤の石崎が別人みたいに格好良かったので違和感を覚えたのと、袋綴じについて、もっと鋭く突っ込んでくるかなと思ったので、少し肩透かし。
でも相変わらず謎はスッキリ解決されるし、笑わせてくれる。もうちょっと長い作品を読みたいなと思う。


No.8 8点 あなたがいない島
石崎幸二
(2004/09/15 21:42登録)
「無人島に何か一つ持っていくならば?」という導入が素晴らしい。それでいて、石崎とミリア・ユリの掛け合いが面白くて、少しミリアたちの表現がきついときもあるが、総じて好感の持てるトリオだ。
これだけでも読む価値はあるが、注目すべきはミステリーとしてしっかりしていること。メフィスト賞作家のなかでも、相当うまい作家だと思う。あと毎回思うことだが、この人は解決の仕方がいい。
何にしても、日本で珍しいコミカルなミステリーを書ける人なので、今後も期待したい。

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