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ミステリの祭典

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スクランブル

作家 若竹七海
出版日1997年12月
平均点7.10点
書評数10人

No.10 7点 ぷちレコード
(2025/07/26 22:41登録)
一九八〇年の新国女子高を舞台に、六人の少女が関わる六話の短編集。
一話ごとに語り手と探偵役が交代するロンド形式で、さらには十五年後の現在と過去とが交互に描かれて、やがて物語冒頭に起きたまま解決されなかった殺人事件の真相に辿り着くという入り組んだ構造。
しかも一話ごとに殺人事件の推理も繰り広げては否定される。苦さと爽やかさが強い作者らしい青春ミステリ。

No.9 7点 パメル
(2025/06/26 19:19登録)
物語は高校時代の友人が再会した結婚披露宴(1995年)と、彼女たちの高校時代(1980年)とが交互に描かれながら展開していく。冒頭で「犯人は金屏風の前にいる」と示されるものの、最後まで誰が犯人か分からない仕掛けに惹きつけられる。消去法により次第に容疑者が絞られていくプロセスとなっており、緊迫感が盛り上がる。各章のタイトルは「スクランブル」、「ボイルド」、「サニーサイド・アップ」など卵料理にちなんでおり、「殻を破って成長する」というメタファーとして、少女たちの思春期の葛藤を象徴している。
シャワールームでの殺人事件を中心に、弁当の盗難や体育祭での毒物混入などの小さな謎が絡み合う。主人公たちの「アウター」(高校から入学した外部生)としての疎外感や、友人との嫉妬、恋愛、家族関係や派閥争いが細かく描かれ、多感な年頃の複雑な心理描写も秀逸。少女たちの推理を通じて事件の真相に近づいていくが、最終的に意外な真犯人とその動機が明らかになる。ただ事件の真相よりも、彼女たちがどのように過去と向き合うかが焦点となっている。
本作は、単なる謎解きではなく、青春の痛みや成長を描いた作品で、作者の繊細な筆致で、少女たちの揺れ動く心情や時間の経過による記憶の変容が丁寧に表現されている。

No.8 8点 ロビン
(2008/09/24 22:38登録)
これぞ青春ミステリという物語。僕も若竹作品で一番好きです。
登場人物があだ名や本名で呼ばれるから、確かに誰が誰だか把握するのが難しいとけど、それを差し引いても素晴らしい出来。思春期ならではの反発や、内輪の中だけの心地よい世界。それを思い出させます。
最後のどんでん返しのおかげで、この人の作品らしい怖さが少し薄れた印象。シリーズ化希望です。

No.7 8点 北浦透
(2005/01/14 14:04登録)
個人的に若竹作品のベスト。
青春ミステリというジャンルはこの作品にこそふさわしい。あの構成は、本当にすばらしい。アイディアの勝利だ。

No.6 7点 眠り猫
(2005/01/13 21:16登録)
登場人物の把握がなかなか出来なくて困ったけど、それも含めて面白かった。確かに高校生のことは転げる卵みたいに不安定だったな。各自の回想とエピソードの組み合わせも効果的でした。

No.5 6点 ギザじゅう
(2004/03/11 13:25登録)
ミステリに対して「人間が描けていない」という批判は多多あるが、人間描写とミステリを融合する作品もある。
が、この作品は人間を描くことがミステリ(トリック)になっているのは中々上手い。
「青春」「推理」「小説」の佳作

No.4 8点 うめ
(2003/12/04 14:15登録)
結構好き。自分の高校時代のこととか、思い出して、あぁ青春小説読んでるんだなぁってカンジで。

No.3 8点 クールガイ
(2003/07/25 01:28登録)
合格点。
俺も青春ものに弱いな。
でもおもしろかった。
もっとシリーズ化してほしいのは俺だけではないだろう。

No.2 5点 由良小三郎
(2001/12/08 12:03登録)
15年前の殺人事件をめぐって女子校の同窓生たちの記憶が各章で視点を変えて回送されるという趣向はいいのですが、主人公たちが、名字や、名前やニックネームで呼ばれるので、混乱して、結局誰がどんな性格で、犯人が誰だといっているのか、わかりませんでした。
各章雰囲気をはあるのですが

No.1 7点 RYO
(2001/04/25 00:45登録)
登場人物の見分けがつきにくいですが、青春小説としてはよくできてます。

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