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ミステリの祭典

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北浦透さんの登録情報
平均点:8.07点 書評数:67件

プロフィール| 書評

No.67 8点 妖精鬼殺人事件
吉村達也
(2012/04/29 11:01登録)
「魔界百物語」という大プロジェクト第1弾。

実は一度この企画は始動したものの、途中で時代や社会環境の変化により頓挫してしまっている。

新たに発表された本作は、設定こそ踏襲しているものの、本格ミステリの色が強くなっており、内容もスッキリと読みやすくなっている。

気軽に読んでいるうちに、中身の充実度に気付き、そしてミステリの世界に迷い込む。

今の時代に必要な作品ではないだろうか。


No.66 10点 刑事のまなざし
薬丸岳
(2011/07/31 19:05登録)
夏目信人。自身が十年前に愛娘を襲われた過去をもち、前職を変え刑事になった。
そんな彼が関わる7つの事件。

夏目についてはすべて第三者の視点で語られるので、彼の心情の詳細を知ることはできない。それでも、夏目の人柄だったり、苦悩だったり、人間に対する優しさや厳しさは十分に伝わってくる。
「オムライス」が、あまりに救いのない話なので、以後もそうかと思ったら、どこか温かさを残すものもある。しかし、表題作「刑事のまなざし」はとことん夏目を中心に登場人物の心をえぐる。
この小説には「力」がある。決して古びない、小説本来のもつ力がある。


No.65 8点 赤い指
東野圭吾
(2011/01/01 20:13登録)
東野圭吾の描く「家族の物語」。
この分量で、テーマがしっかりしており、加賀刑事をはじめ人物の魅力が揺るがない。
家族の価値観を見直す意味でも、現代において必要とされる一冊だと思います。


No.64 7点 白銀ジャック
東野圭吾
(2011/01/01 20:11登録)
ベストセラー作家が、年に一冊書いたと思ったら、おそろしく分厚い本を上下巻で出し、財布の苦しい人たちは、ますます読書離れになってしまい・・・。
狭義の本格ミステリは、好事家への嗜好品であって良いでしょう。しかし、広義のミステリーならば、大衆の娯楽という視点を持ち続けなければなりません。
短く、読みやすく、かつ大人の読書に耐えうる教養や哀感、サスペンスのある一冊を書ける作家はもう東野圭吾だけでしょうか。いきなり文庫化で出版した姿勢にも驚嘆しました。


No.63 9点 Another
綾辻行人
(2010/08/28 09:18登録)
21世紀を10年過ぎても、綾辻行人の《作品》は輝きを増すばかりといおうか。
大人の鑑賞に堪えうるミステリ、ホラー。
深夜、ドキドキしながら読んだ。
伏線に支えられた緻密なミステリも、《面白く》なければ読まれない。綾辻行人だからこそ、《面白く》なければいけない。
そんな高いハードルを超えるには、1000枚もの長さが必要だったということだろう。
傑作!!


No.62 8点 プリズン・トリック
遠藤武文
(2009/12/06 07:58登録)
久しぶりにミステリーって楽しいなあとワクワクしながら読んだ。謎で引っ張る物語であった。
物語のつながりがやや強引であることなど、ラストのカタルシスの物足りなさは気になるけれど、刈り込んだ文章といい、今後どのような作品を書かれるのかが非常に楽しみだなと思った。


No.61 8点 告白
湊かなえ
(2009/12/05 17:34登録)
第一章の鮮烈さを思い出すと、
「ミステリー」の与えてくれる興奮に気づき、まだまだミステリーの読者をやめられないなあと思います。ただ、暗い話ではあります。


No.60 7点 すべての美人は名探偵である
鯨統一郎
(2008/05/06 19:00登録)
『邪馬台国はどこですか?』の世界観だけど、読み終わってみると、正統派のミステリーでもあると思う。早乙女静香と桜川東子という二大名探偵の競演。僕は、東子さんの方は知らなかったけれど、十分に楽しめた。謎と歴史のスケールも大きい。ただ、唐突な感じも受けた。
ちなみに、本書で登場する「○○殺人」は、吉村達也さんの『軽井沢R邸の殺人』でも扱われている。解決は全く違うので、興味をもたれたらぜひお試しをください。


No.59 7点 バベル島
若竹七海
(2008/05/06 18:55登録)
ミステリーとホラーの配分が絶妙だと思う。しかも『樹の海』のように、おどろおどろしいストーリーかと思えば、とある男の間の抜けた話だったりするところは、若竹さんらしさだろうか。
もちろん、怖い話もたくさん。個人的には『バベル島』の大きさを買いたい。短編という形で、スケールも大きく、しかも謎でサスペンスを引き起こしている。


No.58 7点 心臓と左手 座間味くんの推理
石持浅海
(2008/01/15 21:57登録)
『月の扉』で登場した座間味くん。大迫警部から語られる「事件」と「料理」と「お酒」の話である。
 テロ、外為法、基地など、著者の言うように、本格ミステリでは敬遠されそうなテーマを扱っている。しかし、アクロバティックな推理を見せる座間味くんの活躍は、おそらく本格好きにはたまらないのではないだろうか。(僕個人は、『驚くべき真相』にあまりひきつけられないので)
小気味よく、テンポもいい。料理もお酒もおいしそうだ。高水準な作品だと思う。


No.57 6点 長い長い殺人
宮部みゆき
(2008/01/14 17:20登録)
『模倣犯』につながる傑作と書店で銘打たれていたので「またムリヤリだな」と思いきや、読んでいくと、そういうことかと納得。語り手の奇抜さで、隠れてしまっていたのかな。
前半の丁寧さ、後半のスピード感は見事。宮部さんの技巧をじっくり堪能したい作品である。


No.56 8点 シリウスの道
藤原伊織
(2008/01/06 23:27登録)
 辰村・・・これまでの藤原作品の主人公と肩を並べる格好よさである。今回は戸塚の存在もあるので、より後ろから見守る雰囲気がよく出ている。
 英子との「よだれ」のシーンは絶品(これだけではわからないと思いますけれど)。関西弁のシーンもいいなあ。
 企業小説だけれど、魅力的な人物が次々に出て来て、物語に入り込める。浅井の登場も贅沢。傑作である。


No.55 8点 誰か Somebody
宮部みゆき
(2007/12/25 20:42登録)
この題材をグイグイ読ませる描写力。
豊かな物語を、しかもミステリーとして届けてくれる。
『名もなき毒』も読んでみるつもりである。


No.54 9点 模倣犯
宮部みゆき
(2007/12/25 20:40登録)
現代ミステリーの古典です。
「犯罪者」と「事件に関わる人々」を丹念に書いたこと。犯罪者を追うとわかるけれど、これは現代社会のひずみから登場した作品なのかもしれない。
ボリュームはすごいけれど・・・こちらも再読はできないかもしれないけど、やはり傑作です。


No.53 8点 魔術はささやく
宮部みゆき
(2007/12/25 20:35登録)
再読してびっくり。これほどの傑作だったとは・・・。
今更、ますます宮部さんの作品にはまっています。


No.52 8点 イナイ×イナイ
森博嗣
(2007/12/25 20:33登録)
『すべてがFになる』を書いて以来、自身の作品を深める方向で執筆を続けた森博嗣さん。
「犀川・萌絵シリーズ」では、本格の完成度にこだわり。
「Vシリーズ」では、キャラクターの面白さと、スパイスの効いたミステリーにこだわり。
「四季四部作」では、真賀田四季という天才を書き・・・。
「Qシリーズ」では、思想を一段深めて、ミステリーの概念を完全に破壊するような手法だった。

その間、僕はついてきていたわけではありません。むしろもうついていけないと思いました。ファンの人にはたまらないと思いますけれど。
だけど、本シリーズは、原点に戻りました。
『すべてがFになる』ほどのインパクトはなくとも、私のファンである作風に戻ってきました。


No.51 10点 メイン・ディッシュ
北森鴻
(2007/12/25 20:21登録)
すばらしい作品です。
ラストのねこさんのセリフ・・・最高ですね。


No.50 9点 双月城の惨劇
加賀美雅之
(2007/12/25 20:19登録)
最近本格から遠ざかっている身なので偉そうには言えませんけれど・・・。
これは本格推理小説としては一級の作品だと思います。こちらのサイトではあまり話題になっていませんが、一読して損のない傑作だと思います。


No.49 9点 ベートスンの鐘楼
愛川晶
(2007/12/25 20:14登録)
根津愛は主人公ではないということになっていますが、やはり彼女の魅力は大きいです。
本格ミステリーと堂々と名乗れる作品ではないでしょうか。


No.48 10点 ガラスの麒麟
加納朋子
(2007/06/09 21:18登録)
女子高生――楽しく青春を謳歌する一方で、張り詰めたような緊張感、危うさを持つ。したたかさをまだ覚えていないぶん、その思いは真っ直ぐで、時に凶器にもなる。加納さんの高校時代を思わざるを得ない。例えば「三月の兎」の教師の記述は何だろう。すごいリアリティーである。人の内面を洞察する力に長けているのか、それだけ感受性の強さを持ち合わせているのか。
見事なまでの傑作である。

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