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ミステリの祭典

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シリウスの道

作家 藤原伊織
出版日2005年06月
平均点8.00点
書評数5人

No.5 8点 あびびび
(2018/07/06 23:03登録)
凄く緊迫感があり、ページをめくる手が止まらなかった。しかし、他の有名作品がハードボイルドのジャンルにあるのに、この作品はジャンル分けがなかった。確かに、これはミステリではない。

でも、この本をここで紹介してもらい、読んだことに感謝。本人の経験もあるだろうが、実に熱い作家である。

No.4 7点 itokin
(2014/11/04 19:18登録)
広告業界にこのような過酷な競争があるとは知らなかった。専門用語に途惑うこともあったがそれを上回る面白い展開でスリル十分で後半の盛り上げは素晴らしい。続編を考えていたのか、この方が読者の胸に残ると考えたのか今は知る由もないがこのラストは少し残念な気持ちです。

No.3 7点 E-BANKER
(2011/04/29 23:22登録)
大手広告会社に勤める男、辰村祐介を主人公にした傑作企業小説。
文春文庫版では上下分冊のボリュームです。
~大手広告代理店に勤める辰村祐介には、明子・勝哉という2人の幼馴染がいた。この3人の間には、決して他人には言えないある秘密があった。その過去が25年の月日を経た今、何者かによって察知された・・・緊迫した18億円の広告コンペの内幕を主軸に展開するビジネス・ハードボイルド!~

一言でいうなら、「藤原伊織」という作者のエキスがすべて詰まった作品という感じ。
ストーリーやプロットは代表作である「テロリストのパラソル」や「てのひらの闇」と相通じる部分が多いですし、特に主人公の造形は、それぞれの作品に登場する「島村」と「堀江」と相似形・・・
本作は、脇役を含めた1人1人のキャラが立ってます。
特に「戸塚」の存在はなかなか胸を打ちます。それだけにラストの扱いには不満が残る・・・もう少し彼にハッピーエンドを用意して欲しかった。
後は、「社長!」・・・かっこよすぎ!
私も、ビジネスの世界に生きる端くれとして、「いい仕事とは何か」、「男の矜持ってなに?」・・・思わず考えさせられしまいました。
ミステリーと言えるかどうかは置いといて、乾いた世界に生きる(?)企業戦士の方々には、自身の仕事や職場を振り返りながら読んでみるのも一興かも。
(「テロリスト・・・」の登場人物の1人、元警官・浅井が本作にも登場。ホットドックしか出さない新宿裏通りの例のバーも出てくるのが嬉しい・・・)

No.2 8点 北浦透
(2008/01/06 23:27登録)
 辰村・・・これまでの藤原作品の主人公と肩を並べる格好よさである。今回は戸塚の存在もあるので、より後ろから見守る雰囲気がよく出ている。
 英子との「よだれ」のシーンは絶品(これだけではわからないと思いますけれど)。関西弁のシーンもいいなあ。
 企業小説だけれど、魅力的な人物が次々に出て来て、物語に入り込める。浅井の登場も贅沢。傑作である。

No.1 10点 Dマン
(2005/07/13 12:51登録)
「シリウスの道」
読了の瞬間に訪れる、物語が終わる爽快感をこの本に求めるべきではありません。でも、これほど深く自分の心に刻み込まれた作品は、私の記憶にはありません。私自身、広告代理店に勤務している人間であるのですが、まさに作者がしたためている広告業のジレンマを日々感じている次第です。そのため、ビジネス小説、企業小説としても一流であると言わざるを得ません。また、氏の名作「テロリストのパラソル」とリンクしている部分も、私としては引き込まれるものがありました。最高でした。

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