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ミステリの祭典

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あなたがいない島
ミリア&ユリシリーズ

作家 石崎幸二
出版日2001年03月
平均点6.10点
書評数10人

No.10 6点 ミステリ初心者
(2023/05/18 19:35登録)
ネタバレをしております。

 前作に続き、石崎・ミリア・ユリの漫才っぽいものが魅力のユーモアミステリです。石崎が前作に比べ、ミステリマニア馬鹿感が強くなったのは気のせいですかねw 前作もそうでしたが、非常に読みやすいので買いました。
 今作は無人島。クローズドサークルの緊張感やサスペンス性には欠けますが、やはり孤島はわくわくしますね! もともと読みやすい作風に、クローズドサークルが入れば、一瞬で読み終えられます。

 推理小説部分については、前作よりも厚みを感じがありました。
 犯人以外に嘘をついている人物もあり、物語最終盤に明かされる心理実験の真の目的もあり、真相を全て解き明かすのは難しいかと思います。またアリバイ検証もあまりなく、犯人当ても難しいかと思います。消えた凶器…というか、どうやって用意したかもわからない凶器の問題は魅力的に思えましたが、石崎の作中のセリフ通り「そんなことできるんだ」的な豆知識程度でしたねw 私は一瞬、黒曜石的なものを考えたのですが、スルーしてしまいましたw
 犯人当てやどうやって殺したか問題よりも、禁止された持ち込み品や盗まれた物品から推理する心理実験の真の目的のほうが面白かったです。ストーリーに厚みがあった…ような気がしますw 推理小説的というよりも、普通の小説的な趣がありました(そうか?)。
 ミリアがインディアンポーカーで犯人をハメるシーンはクールでしたねw

 総じて、本格度よりも読みやすさを評価したいユーモアミステリでした! ミリアとユリのキャラクターが似ていて、もう少し書き分けできないかな~?とは思いましたがw

No.9 6点 メルカトル
(2019/12/26 22:30登録)
古離津島へようこそ。これから五日間、心理学研究のため無人島で精神的サバイバル生活が始まります。持ち込める物はひとつだけ。しかし考えた末に持参したパソコンは壊され、携帯電話は紛失。なぜかCDやK談社ノベルスも消えた。奇抜なミステリィ談義と意匠を凝らした周到な事件。ここは本格の“約束の地”だったのです。
『BOOK』データベースより。

章題に第一の殺人?第二の殺人?とある割りには、殺人どころかそれらしい気配もなく、なんだかなあと思っていましたが、それを相殺するのが石崎とミリア、ユリのボケとツッコミ。これに大笑いさせてもらいました。誰がボケで誰がツッコミという訳でもなく、それぞれがボケをかましそれにツッコミが入ります。まるでトリオ漫才の様相を呈しています。前作よりさらにパワーアップしている気がしますね。そんな中粛々と伏線が張られていきます。なかなか全体像が見えて来ず、それと気づかせないテクニックを駆使しています。

島に到着後、漸く紛失事件が起こります。その後失踪事件、殺人事件と立て続けに発生し、やっと本格ミステリらしさが姿を現します。
しかしねえ、それまで天然ボケを連発していた三人が突如名探偵よろしく事件を解明していく様は、若干違和感を覚えないでもありませんね。こんなに切れ味の鋭い推理を見せるのに、それまでの阿保ぶりは何だったんだってなりますよ。まあそれがこのシリーズの持ち味と言えばそれまでですけど。
見切り発車で他の作品も入手済みなので、これがコケたらどうしようと思っていましたが、取り敢えず合格点でしたのでほっと安堵しているような次第であります。些細な事ですが、コンビニ弁当の蓋は良いのかよ、と思いました。

No.8 5点 名探偵ジャパン
(2019/05/19 13:00登録)
極めて軽めのミステリです。初出の2001年当時は、こういった作風のミステリはあまり受け入れられていない時代だったはずで、世に出るのが早すぎた作品だったのかもしれません。
内容は、かなり考え抜かれたトリックだと思いますが、「あれ」が島に存在しないことは、女性なら(特に、本作の登場人物のほとんどを占める、年頃の若い女性であればなおさら)真っ先に問題視して気が付く事柄なのではないでしょうか。作中視点が男性のものだから、そこに誤魔化されてしまった感じです。意図して作者がやったことでしょうが、いまひとつしっくりきませんでした。
それと、凶器の謎が「特殊な知識がないと解けない系」で、普通に推理して辿り着ける答えでないことは、作者も作中で指摘しているので、これも分かってやったことですが、もう少し何とかしてフェアに勝負してほしかったです。
あらゆる面で「惜しい」ミステリと映りました。

No.7 3点 蟷螂の斧
(2012/09/04 14:14登録)
裏表紙「無人島で精神的サバイバル生活が始まる。ここは本格の”約束の地”だった。」に魅かれたのですが、内容はずいぶん、かけ離れたものでした。「日曜日の沈黙」と同様、オチャラケ系でした。作者の意図がよく解らないので、この評価となりました。

No.6 6点 江守森江
(2010/03/05 08:03登録)
半分過ぎまで事件らしい事件は起こらず、エピローグでの捻りを含めても本格ミステリとしてはお粗末なレベルなので、これまた内容が記憶に無かった事に納得した。
しかし、ギャグにまぶした会話をアンチ・ミステリとして捉えるなら秀逸で、笑いが止まらない。
クリスティーも、ここまで笑いのネタにされれば草葉の陰で苦笑するしかない。
とあるブログで「誤植トリック」を笑いのネタにした書評を読み、再度爆笑したのでそのブログを賞賛して1点加点した。

No.5 8点 北浦透
(2004/09/15 21:42登録)
「無人島に何か一つ持っていくならば?」という導入が素晴らしい。それでいて、石崎とミリア・ユリの掛け合いが面白くて、少しミリアたちの表現がきついときもあるが、総じて好感の持てるトリオだ。
これだけでも読む価値はあるが、注目すべきはミステリーとしてしっかりしていること。メフィスト賞作家のなかでも、相当うまい作家だと思う。あと毎回思うことだが、この人は解決の仕方がいい。
何にしても、日本で珍しいコミカルなミステリーを書ける人なので、今後も期待したい。

No.4 6点 玉椿
(2003/06/02 00:34登録)
僕は笑った。前作に比べて、もう見境無く石崎に突っ込む、ボケまくる二人。冒頭の期末試験の答えあわせが面白い。
しかし最後の最後、あの石は無いよなー。

No.3 8点 しゃん
(2002/09/12 17:24登録)
石崎と二人のヒロインのやり取りは相変わらず面白い。最後の落ちは現実には絶対無理、でもわかりやすい。

No.2 7点 ねずみとねこ
(2002/09/06 16:31登録)
・「日曜日の沈黙」に比べて、女子高生二人が馬鹿になっているような気がします。まあ、いいんですけど……。
・「無人島に一つだけ物を持っていくとしたら何を?」から入るミステリーというのが、すごく面白い入り方だな、と。

No.1 6点 由良小三郎
(2002/08/18 17:02登録)
前作「日曜日〜」と比べて、女子校生コンビのパワーが落ちたかどうかが見所ですが、若干ネタのレベルは下がったかなぐらいです。つじつま合わせの部分は例によって苦しいですが、楽しめました。今回は死人がでるのが欠点です。

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