由良小三郎さんの登録情報 | |
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平均点:6.62点 | 書評数:199件 |
No.179 | 7点 | 人それを情死と呼ぶ 鮎川哲也 |
(2003/01/06 17:37登録) 汚職事件に巻き込まれていた商社員の男性が失踪し、数ヶ月後箱根の山中で女性の遺体と一緒に白骨となって発見される。心中だとおもわれる状況に疑問をもった、男性の妹が真実を調査するというストーリです。本格の巨匠の作品らしく、ストーリは2転3転します。本筋でない方向へひっぱっていっておいて、「こんどはこっちかよう」という感じです。誰が犯人かの部分の後に真犯人のアリバイくずしがあって、すっきりしてないと感じるか、サービスだと思うかが評価の分かれ目かとおもいます。個人的には、「後ヅケ」というか、後からいろんな真実が出てきてツジツマあわせる話はいかんと思うわけで、この作品はあまり名作ではないと思いました。随分古い小説ですが、読みにくさはありませんでした。 |
No.178 | 3点 | 都市のトパーズ 島田荘司 |
(2002/12/28 14:43登録) 1990年の評論ともファンタジーともつかない作品です。主人公の言葉として、あるいは島田さんの文明批評みたいなものが、延々とかかれていますが、あまり共感できない。都会の街をトラが走るだけの話です。サローヤンとかにもそんな話ありませんでしたっけ。たぶんミステリのねた思い付かなかったので苦しいまぎれの作品じゃないかと思いました。 |
No.177 | 7点 | 歴史街道殺人事件 芦辺拓 |
(2002/12/09 21:10登録) 森江探偵に名探偵らしさがないのが、難点でしょうか。必要以上に、犯罪を「いらって」いる感じです。つまり、バラバラ死体をアリバイ造りのためにばらまかなければいけなかったかどうか、真面目に検証する気力がわきませんが、直感的にはやりすぎのような気がしました。 |
No.176 | 9点 | 死体を買う男 歌野晶午 |
(2002/12/09 20:58登録) 江戸川乱歩の文体を真似て、乱歩と萩原朔太郎が探偵役という「白骨鬼」という作中作の外側に、もう一つの物語があるという構成が好きです。歌野さんは物理トリックの人だという認識をあらためました。 |
No.175 | 7点 | トライアル 真保裕一 |
(2002/12/01 10:41登録) 短編集ですので、それぞれ、この長さで新保さんらしさがでるのは、難しいと思うわけですが、普通に楽しめる小説でした。期待は、新保さんには大ネタやってほしいわけで、まとまってはいますが、新保作品を呼んだという感じがありませんでした。 |
No.174 | 6点 | 少年たちの密室 古処誠二 |
(2002/11/28 18:06登録) タイトルに密室がついていますが、分類的には、「閉ざされた別荘」物になります。倒潰した、地下駐車場に閉じ込められた7人のなかで殺人がおこるわけですが、そのジャンルとして楽しめないのは、普通おしゃべりな探偵が推理を披瀝するというお約束の部分が少ないからで、みんな無口で暗いようです。こちらのほうが、よくあるミステリより、リアルな状況であることは確かですが、リアルをあんまり求めない僕には、全体に重くって、うまいけれどもサービス不足と感じてしまったわけです。 |
No.173 | 6点 | 切り裂きジャック・百年の孤独 島田荘司 |
(2002/11/24 15:36登録) この採点はルール違反のような気がしますが、服部まゆみさんの「一八八八切り裂きジャック」を読みまして、そっちがいいので、この作品はちょっと軽いといいますか、ものたりない感じがしますので低めの採点です。クリーン氏をだすへんもピンとこなかったです。 |
No.172 | 6点 | 殺人喜劇の13人 芦辺拓 |
(2002/11/16 15:45登録) 特に1部のほうは、こういう雰囲気好きなんで楽しめました。全体としては、いろいろ盛りだくさんですが、小技が多くてという感じがしました。全部で何人がどんなふうに死んだんだか覚えきれなくて、解決編読んじゃったことに成る訳で雑に読む僕むきではなかった小説です。 |
No.171 | 6点 | 追いし者 追われし者 氷川透 |
(2002/11/11 19:47登録) 氷川さんの作品は探偵役がまわりの人に長々と講義する印象があったのですが、この作品は、会話する相手のいない探偵という題材と構成で、変化を狙っているのでしょうか。 印象としては、あっけなく終わりすぎたと思いました。長いのがハヤリの時代だったら、最終章の前から、あと200ページぐらいは話がつづくのが普通だったとおもいます。物足りなさを感じました。 小説のなかに、その小説自体の批評を挿入するという試みがされているのですが、どんなもんでしょう。「言い訳あり」みたいで、僕は反対です。 |
No.170 | 7点 | 法月綸太郎の冒険 法月綸太郎 |
(2002/11/06 22:46登録) 結局、僕は軽い小説がすきなので、法月綸太郎と沢田穂波さんが出てくる図書館シリーズは、謎が小ぶりでも好きです。図書館シリーズと初期短編とからなるこの本は、なんかとりあえず1冊分短編たまったのでという感じでコンセプトないのと初期短編3冊のできは不満ですが、法月ファンなので。 |
No.169 | 7点 | 僧正の積木唄 山田正紀 |
(2002/11/04 20:31登録) 何か感想を書くのが、難しいミステリのようで、横溝作品読んでいないし、名探偵ファイロ・バンスは記憶の彼方です。開き直って書くしかないですが、若き日の金田一耕介像悪くなかったです。歴史ミステリみたいな側面もあるので、いろいろな、サイド・ストーリやエピソード詰め込むというのも見せ所ですが、ややこなれてないエピソードも多かったような気がしました。 |
No.168 | 6点 | ナイフが町に降ってくる 西澤保彦 |
(2002/10/29 20:15登録) この設定に対して、普通の結論になっている訳で、西澤さんでも意表をつききれなかった。だから、皆さんの評価低いのはしかたないかと思います。 無理な比較ですが、ひょっとしたら、北村さんの「ターン」みたいな芸当でもしないと名作にならない設定です。時を止める男に哲学を感じさせてほしかったのですが、芸風が違うのだと思います。 |
No.167 | 7点 | 袋綴じ事件 石崎幸二 |
(2002/10/19 16:07登録) かなり「まとも」なんていうと、生意気ですが、石崎作品を「ただの漫才台本じゃねーか」というふうに思ってたタイプの読者の許容範囲に入ってきた感じの作品で、僕は、このシリーズでは1番いいんじゃないかと思いました。ギャグは減っていますが、個人的には、化学の蘊蓄の部分なんかが、僕のツボかもしれないんで、この後理系ミステリなんかに進んだりしたら、それもおもしろいかもしれないなと思いました。 |
No.166 | 5点 | 長く短い呪文 石崎幸二 |
(2002/10/14 16:05登録) 僕にとっては、気分転換用の石崎幸二さんという感じです。この作品では、ギャグが後半少ないのでやや期待外れです。漫才トリオ以外の人物の書き込みも少ないし、メインの理由の部分もやや平凡です。 |
No.165 | 4点 | クリスマスの4人 井上夢人 |
(2002/10/12 16:22登録) 構成といいますか、枠組みですよね10年ごとのクリスマスに4人が集まって、1章ごとに語り手がかわるというのも、もうありがちです。井上さんはこの手の動きの少ない小説というのは、得意の分野じゃないような気がしました。30年ごしでは緊張感続かない。 10年ごとの風景も、ノスタルジーにひたれるほどではありませんでした。 |
No.164 | 5点 | 演じられた白い夜 近藤史恵 |
(2002/10/10 22:44登録) 新しい推理劇の稽古のために集められた人々が、雪に閉じ込められた別荘でまきこまれる舞台のシナリオと同時に進行する殺人事件という、まあ様式的な設定です。 こういう本格、本格した設定は(僕にか)近藤さんにむいていないような気がしました。ちょいとイヤな男もでてきます。本の中で活字の種類が変わる小説は僕はキライなんです。 |
No.163 | 8点 | 光の帝国 常野物語 恩田陸 |
(2002/10/06 12:22登録) たぶん恩田さんの作品の中では、ライトタッチな方だと思います。ファンタジー系は比較的苦手な僕でも楽に読めました。いろいろな試みがあっておもしろかった。 |
No.162 | 7点 | 孔雀狂想曲 北森鴻 |
(2002/10/05 09:10登録) 骨董屋の主人を主人公にする短編集で、骨董にまつわる駆け引きのテーマが多い。骨董屋、質屋、古本屋というジャンルはこれまでもいろんな人の作品があるのですが、抜きでてるというほどの感じはありませんでした。ぼくの重視するキャラクタ面では、主人公、店番の女の子ともまだありきたりという感じをうけました。 |
No.161 | 4点 | QED 式の密室 高田崇史 |
(2002/10/05 08:57登録) こういったタイプの動きのない小説は、へたするとダラダラ感がでてしまいます。一応の密室の謎の解明のあとにもうちょっとページが残っていたので、もう一技あるのかと思ったんだですが・・・。 |
No.160 | 8点 | 空飛ぶ馬 北村薫 |
(2002/09/28 09:58登録) ミステリのガイド本をたくさん書かれるミステリ通の北村さんが、ご自分のデビューに選んだジャンルが円紫さんと私のシリーズだというあたりに思うところがあります。 この後「秋の花」だとか「六の宮・・・」だとかで、随分自由に書かれるようになったのですが、最初の作品には、微妙なミステリに対する屈託を感じました。こういうのを出版して、あといろいろ楽しませてくれる作家をデビューさせてくれた編集者がえらいと思いました。 |