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ミステリの祭典

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Tetchyさんの登録情報
平均点:6.73点 書評数:1631件

プロフィール| 書評

No.51 9点 龍臥亭事件
島田荘司
(2005/08/10 22:26登録)
否定的なコメントが多いのであえて肯定的なコメントを。
『秋好事件』のノンフィクションタッチを経ての本作。その経験が活かされており、巨匠にして新たなる手法を生み出す、この貪欲さを買います。
連続殺人が続くのも、最後の最後まで御手洗を登場させず、石岡という凡人に解決させることにより、不自然さが無い―よく名探偵がさんざん人が死んでおきながら犯人は貴方だ!と誇らしげに指摘する厚顔無恥さがこの作品にはありません。昭和初期の殺人事件に基づいて連続殺人が成されたというのも島田がこだわる日本人論、昭和論をほのめかしており、しかも忘れ去られるであろう事件を再認識させてくれたのも作者の真面目さだと思います。あと最後の最後であっと云わされるミチの正体。こういう演出が心憎かったです。


No.50 8点 アトポス
島田荘司
(2005/08/09 21:06登録)
今までの御手洗シリーズの中でも相当に焦らしに焦らされ、本統に整然と解決するのだろうかと、シリーズ中最も胸を躍らさせれた。まあ、真相に隠し部屋や専門知識を要求させられたのは、やや失望したが、膨大なるエピソードの山が全て結末に活かされているのは流石!!相変わらず、冒頭から惹き込むエピソードの面白さは無類で、思わず童心に帰って物語に浸ってしまった。題名も実は謎解きの一部だなんて、やるなぁ!!


No.49 8点 眩暈
島田荘司
(2005/08/08 22:34登録)
作中の手記に書かれている悪夢のような出来事は全て真相が解っちゃいました。
2回目に読んだら、あそこで殺人することの意味が全くないことに気づいてしまいました。
でも読者を愉しませる作者のサーヴィス精神に拍手!!


No.48 8点 水晶のピラミッド
島田荘司
(2005/08/07 20:29登録)
重厚長大という四字熟語がぴったりの、まるで辞書のような小説でありましたが、少しも疲労を感じませんでした。リーダビリティに関してはもう云うことはないでしょう。冒頭のエピソードから、結局事件には直接関係はありませんでしたが、物語に幻想味を持たせるためのファクターとなる古代エジプトの挿話とタイタニックの挿話がそれ自体1つの短編として機能するほどの質を備えています。よく考えてみたら、なんと贅沢な一冊なんでしょう、これは!!やはり本格ミステリ作家としての島荘というより物語作家としての島荘の技量に敬服します。
私も最後の真相は不要だと思うので、点数はこれくらいかな。


No.47 9点 暗闇坂の人喰いの木
島田荘司
(2005/08/04 21:51登録)
みなさん触れてませんが、これって題名からして横溝正史へのオマージュ作品ですよね(当たり前すぎてあえて触れなかった!?)?
しかしペイン氏の地下室は乱歩のエログロ趣味の系譜だし、島田氏はこれを以って二大巨匠と肩を並べようとしたのかな。
この作品から重厚長大な御手洗シリーズが幕を開けるわけで、自分としては本格ミステリ作家島田荘司の幕開けというよりも物語作家島田荘司の始まりのような印象を持ちました。


No.46 7点 御手洗潔のダンス
島田荘司
(2005/08/03 21:59登録)
みなさんと同じく「ある騎士の物語」がセンチメンタリズム溢れてよかったです。
『異邦の騎士』以降、島田氏は「異邦」と「騎士」の二字熟語を頻繁に使っているような気がします。
今回読んだのは2回目なのですが、正直いささか荒唐無稽な内容だなぁと思ってしまいました。


No.45 9点 奇想、天を動かす
島田荘司
(2005/08/01 23:53登録)
今回はとても痛い話でした。あの老人の生涯が余りに痛々しいです。救われませんね。最後に故郷に妻がいるという衝撃は悠久の心痛を想起させます。テクニックと云えばそれまでだが、やはり最後は微笑みたい。
こういう哀しい話に弱いんですよね〜、私。
奇想の部分は相変わらずの剛腕ぶりで島田健在!!って感じでよかったです。
ただタイトルはこの物語を表しているのではなく、島田の持論をこの作品を持って証明しましたよと宣言しているように思えるのですが。


No.44 7点 切り裂きジャック・百年の孤独
島田荘司
(2005/07/30 22:44登録)
島田流切り裂きジャック事件解明については楽しめました。かなり斬新な理論だと思います。
本作はミステリというよりも物語として純粋に面白かった。
ただ「クリーン・ミステリ」なるネーミングの情けなさに脱力。


No.43 10点 異邦の騎士
島田荘司
(2005/07/30 22:37登録)
わが読書人生永遠のベストです。ミステリを読んで初めて本を読むことの素晴らしさを知った小説です。
通算3回ぐらい通読しており、読むたびに当初の感動は薄められてしまってますが胸に残るあの独特の想いは確かに在ります。
大学のときに初めて読んだときの感想を見ると「俺の良子はどこにいる?」でした(笑)


No.42 6点 御手洗潔の挨拶
島田荘司
(2005/07/30 22:24登録)
私にとって初の島田体験となった短編集。大学の講義中に読んだ記憶があります(^^ヾ
この中では「疾走する死者」が印象に残ってます。荒唐無稽なトリックは十分に納得できたわけではないのですが、やはり御手洗の演奏シーンの素晴らしさに血沸き肉躍りました。だからミステリでというよりもそれら他の部分で評価しています。


No.41 7点 斜め屋敷の犯罪
島田荘司
(2005/07/30 22:17登録)
このトリックで本当に上手くいくのか疑問に思ったのはやはり天狗面の部屋のところですね。あと皆さんおっしゃるように花壇の模様はあまりにも解り過ぎて何か他の意味があるのか勘繰り過ぎたくらいでした。
これも『占星術〜』と同じく犯人は解ったものの、トリックは解りませんでした(っていうか、解った人いたの?)。
あと『占星術〜』に比べ、文章が下手になってません?


No.40 10点 占星術殺人事件
島田荘司
(2005/07/30 15:36登録)
初めて読んだのは大学1年生のときで今から十数年前。
あのときの驚愕は今でも鮮明です。
この作品から私のミステリ読者人生が始まりました。
だからこの点数以外、あり得ません。
色々盛り込まれたガジェットも本格ミステリには必要な要素だと思います。
皆さんのコメントにある『金田一少年〜』はまだ連載されていないときにこの作品を読んでいましたから、逆にマンガでメイントリックが使用されていたのを見て激怒しました。あの事件を扱った金田一少年の単行本は絶版にすべきですよね?


No.39 9点 空飛ぶ馬
北村薫
(2005/07/26 21:58登録)
ミステリをあまり読んでいない人に「何か面白い本、ない?」って訊かれるとこの本をまず勧めます。そんな本ですね。
読んだ当初、一番びっくりしたのはやはり作者が男だったっていう事。これが一番のどんでん返しだった。


No.38 3点 丹波家の殺人
折原一
(2005/07/16 23:29登録)
内容は2時間サスペンスドラマの域を越えない陳腐なもの。
犯人、というか事件の黒幕的存在も途中で判ったし、それも戦慄を憶えさせるような余韻を残す内容ではない。
どんでん返しがどんでん返しになっておらず、ミステリに日頃触れない人たちならばある程度満足できたであろう内容だ。


No.37 3点 「白鳥」の殺人
折原一
(2005/07/16 23:26登録)
典型的なノベルス・ミステリで火曜サスペンス劇場もしくは土曜ワイド劇場、金曜エンタテインメントの2時間ドラマの題材に使われる類いの作品。
暇つぶしに読むには最適。


No.36 6点 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記
折原一
(2005/07/16 23:24登録)
管理人の苗字の仕掛や最初の登場人物の名前のアナグラムにも甘いところがあり、思い通りの結末に収まったというのが正直な感想。


No.35 6点 鬼面村の殺人
折原一
(2005/07/16 23:22登録)
黄金時代本格へのオマージュですな。『七つの棺』で登場した黒星警部が主人公の長編作。私個人としてはあまりこの警部に魅力を感じません。
最後の最後にあんな真相を用意していたのはなかなかよかった。
しかし黒星警部の見た「そのものずばり」って一体・・・。


No.34 5点 七つの棺
折原一
(2005/07/16 23:19登録)
作品としては使い古されたトリックの応用編みたいなもので新規さは感じられないが、水準を保った安心作ではある。


No.33 7点 倒錯のロンド
折原一
(2005/07/16 23:15登録)
この作品は是非乱歩賞受賞させたかったですなぁ。
恐らく受賞されたら末代まで語られるほどの作品になったでしょうから。
洒落っ気というのはやっぱ必要でしょう。
そのせいで最後のトリックが宙に浮いてしまい、いわば作品としては未完成なのだから。


No.32 5点 倒錯の死角−201号室の女−
折原一
(2005/07/16 23:10登録)
このシリーズの特色は結局登場人物皆が狂気の底にどっぷり浸かってしまう不気味さにある。
その狂気が故に引き起こる事の真相を受け入れるか否かで折原作品の是非が決まるのだ。私の評価としてはどちらかと云えば非に傾いた中立の位置である。
やっぱりどうにも母親がいくら若く見えるからといって娘に見えるかってところがどうしても引っかかる。
今までの人生でそんな女性に逢った事がない。
文体のねちっこさは作者らしくてよかったが。

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