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ミステリの祭典

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ぴぃちさんの登録情報
平均点:6.91点 書評数:22件

プロフィール| 書評

No.22 6点 密室殺人ゲーム王手飛車取り
歌野晶午
(2025/03/15 19:02登録)
ネット上で殺人推理ゲームを繰り広げる五人。
彼らが実際に行った犯行をそのまま出題するという特異な設定に惹き付けられた。倫理感のないこの設定で、評価を落としているようだが、個人的にはそこは評価している。逆にトリック自体に、これといった面白さが感じられなかったところが、少し評価を下げた。


No.21 7点 告白
湊かなえ
(2025/02/22 20:45登録)
復讐がテーマのミステリだが、各章ごとに違う人物が自分の言葉で話すスタイルが特徴的。
被害者の親、加害者やその友人ら、それぞれの告白が続き、最後に一つの形にはまる。読後は感動さえ覚えた。


No.20 5点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2025/02/01 17:48登録)
トリックの部分だけを抜き出してみれば、世評が高いというのも頷ける。
なぜ被害者の首が切られたのかというのがメインの謎になるが、その理由やある一つの状況さえ分かれば多くの謎の説明がつくという意味でもトリックの鮮やかさはお見事。
しかし、小説としては退屈で冗長に感じられて面白さに欠ける。やはり文章が巧くないと折角の素晴らしいトリックも台無しになってしまうという典型的な作品。


No.19 7点 録音された誘拐
阿津川辰海
(2025/01/12 18:31登録)
過去と現在の二つの誘拐が絡み、現在進行形の誘拐は、録音された音から謎が解かれていくという新しさを感じる。
この誘拐犯が極めて狡知に長けていて、探偵と犯人の頭脳戦が繰り広げられるからたまらない。家族の秘密に繋がる句会の挿話も秀逸。脇筋が本筋を支えて劇的な展開を生み、どんでん返しに繋がるのも見事。


No.18 10点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2024/12/21 19:24登録)
芸術家たちの作る共同集落と、そこと下界を結ぶ村の二ヶ所が舞台となり、人里離れた閉鎖された場所での謎解きという、シリーズを通して一貫したスタイルが継続している。
一般人とはまた違った人物たちの中で起こる殺人事件が、どこか非現実的な雰囲気を醸し出している。読者への挑戦状も三回盛り込まれているし、推理の楽しみ以外も学生サークルを中心とした人物関係により、瑞々しい青春小説の味わいがある。読後感も爽やかだ。


No.17 7点 死のある風景
鮎川哲也
(2024/11/10 19:43登録)
阿蘇で起こった女性の投身自殺と、金沢で発生した看護婦の射殺事件を中心に、熊本、石川、東京、千葉、宮城と、日本全土を股にかけたスケールの大きな犯罪計画が展開される。
各地の風情ある光景が物語に彩りを添える一方、鬼貫警部が繰り出す推理は実にスマートで、ロジカルな謎解きの面白さがある。


No.16 5点 火蛾
古泉迦十
(2024/10/21 19:57登録)
イスラム神秘主義という珍しい題材を、ミステリの謎解きに丁寧に組み込んでみせたユニークな作品。
生きて姿を見せる登場人物は、最小限に絞り込まれていて、これで犯人捜しの謎解きが成立するのかと心配になるが、しっかりと成立する離れ業を堪能させてくれる。


No.15 10点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2024/09/30 20:43登録)
高校の数学教師の石神は、アパートの隣に住む女性の靖子に恋心を抱いている。ある時、靖子と娘の美里が、訪ねてきた元夫を殺してしまう。それを知った石神は、隠蔽するべく奔走する。
石神が仕掛けたトリックを暴いていくのは、学生時代の友人だったガリレオこと湯川。靖子は石神の真意をまるで知らず、彼から与えられる意味不明の指示に従い続ける。一方で石神と湯川の静かな応酬が、繰り広げられる。
石神の意図が全て分かった時、ここに描かれる恋愛の形態にも、友情の在り方にも胸をつかれる。


No.14 6点 アイルランドの薔薇
石持浅海
(2024/09/09 21:31登録)
閉鎖された山荘という、いわゆる「密室」で演じられる本格ミステリながら、吹雪や嵐ではなく、北アイルランドにまつわる緊迫した政治状況を使い、閉鎖空間を作り上げている点が秀逸。
山荘内で変死体が見つかるが、和平交渉成立のために表沙汰にも警察沙汰にも出来ず、当事者のみで事件を解決しようという必然性が生まれるという設定が素晴らしい。


No.13 10点 白夜行
東野圭吾
(2024/08/20 20:56登録)
幼い頃にある事件の渦中にいた雪穂と亮司の、その後の20年が断章のように綴られる。しかし彼らを直接描くのではなく、他の人物の事件や物語の背後に彼らの存在を匂わせるだ。
彼らの周囲を綿密に描くことによって、彼らの輪郭が浮かび上がる。人物も事件の顛末も、直接書かないことで逆に大きなインパクトがある。


No.12 7点 冷たい校舎の時は止まる
辻村深月
(2024/07/29 21:10登録)
降りしきる雪のある日、有数の進学校である高校の校舎に閉じ込められた8人。時間の止まった時計、一人足りない写真、思い出せない学園祭の日に自殺した同級生の顔と名前。
定番とも言えるクローズドサークルであり、先行作品への敬愛が随所に感じられる設定にもかかわらず、斬新で鮮烈。屈託を抱えた高校生たちの心情描写も見事で、張り巡らされた伏線を、細かいところまで回収しているのが好印象。


No.11 9点 推定無罪
スコット・トゥロー
(2024/07/03 18:56登録)
アメリカ中部の都市で、地方検事選挙の最中に女性検事補が殺される。主人公は首席検事補だが、実は被害者と愛人関係にあった。捜査の結果、容疑が次第に彼の方に向けられてくる。まずそのプロットが秀逸だが、裁判での弁護士同士の応酬なども緊迫感が高いし、心理的なサスペンスがある。ハリソンフォード主演で映画化もされている。


No.10 5点 逃亡山脈 南アルプス山岳救助隊K-9
樋口明雄
(2024/06/12 20:02登録)
阿佐ヶ谷署の大柴刑事は、若手刑事を相棒に南アルプス署から一人の窃盗犯を車で移送する命を請けた。だが、移送を始めてほどなく、大柴たちの車は大型トラックに襲われる。
連続する危機を乗り越える知恵と気力。そこに神埼静奈と愛犬バロンが絡んでくる。痛快なノンストップアクション小説として楽しみつつ、時々顔を出す薄汚い現実が生々しく苦い余韻を残す。


No.9 6点 女副署長 祭礼
松嶋智左
(2024/06/12 19:29登録)
複数の事件が同時に進行するモジュラー型の警察小説。
地道な捜査活動を手堅く描く、地に足のついた警察小説だが、その一方で、意外な真相と些細な手掛かりから読み解いてみせる、精緻な謎解きと鮮やかな演出も楽しめる。複数の事件をきれいに収束させて、味わい深いラストシーンへと着地する構築の手際も見事。


No.8 6点 家裁調査官 庵原かのん
乃南アサ
(2024/04/30 19:59登録)
自転車を盗んだ少年の心理の危険水域、売春やその斡旋に手を染めていた少女の家庭問題など、かのんが担当する案件の背後には、罪を犯した少年少女が抱えた様々な事情が隠れている。
匂いに敏感という彼女の体質が、事件の手掛かりに辿り着く手助けになる場合もあるし、北九州が舞台ならではのローカル色が盛り込まれていたり、コロナ禍の世相が背景となるなど、読みどころが多い連作集。


No.7 5点 ペッパーズゴースト
伊坂幸太郎
(2024/04/14 20:18登録)
飛沫感染することで他人の未来を観ることが出来る国語教師が、教え子から自作の小説を渡される。
メタ的な仕掛けも絡むトリッキーな作品だが、テンポの良い掛け合いと適度なユーモアで心地よく読める。


No.6 5点 特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来
南原詠
(2024/03/20 20:43登録)
第20回「このミステリーがすごい」大賞・大賞受賞作。
物語はヒロインの未来が液晶テレビの特許技術をめぐる抗争の仲裁に入るところから始まるが、これはプロローグで本編はその次の仕事。人気VTuber天ノ川トリィが使用している撮影システムが使用している専用実施権を侵害しているという警告書が、ある会社から届いたのだ。未来は直ちにその会社と特許権者について調べ始める。
特許権者と専用実施者の狙いは何か。そしてトリィにシステムを売った業者の正体とは。
弁護士の仕事内容から特許とは何か、VTuberとは何かという基本まで、かみ砕いて教えてくれるので安心して読み進めることが出来る。


No.5 8点 さむけ
ロス・マクドナルド
(2024/02/03 21:32登録)
探偵のリュウ・アーチャーが、新婚旅行の初日に失踪した女性を探して様々な人を訪問してまわる。
まず、人物造形がいい。探偵も魅力的だし、出てくる女性もいい。主役から脇役まで、それぞれ個性的な人格を持っていて幅が広い。トリックは予想外のところを突いてくる。ここに穴があると見せかけて、実はその横にもっと大きな穴があるという感じ。結末のどんでん返しも見事で実に衝撃的。


No.4 8点 ベーシックインカム
井上真偽
(2024/01/22 20:02登録)
現在進行形の先端技術が日常生活にまで浸透した近未来を描くSFミステリ短編集。
保育園で実習中のエレナ先生が、園児の気になる言動を得意の言語学に基づいて解き明かす「言の葉の子ら」、VR怪談を見た後に失踪した妻の行方を探るため繰り返しVRに没入する夫「もう一度、君と」など、全5編からなる。
各編に凝らされた趣向はもちろん、巻末に置かれた表題作による全体の締めくくりも見事。


No.3 6点 死者と言葉を交わすなかれ
森川智喜
(2024/01/18 19:39登録)
興信所を経営する彗山小竹と不狼煙さくらは、調査の対象者が急死するという事態に遭遇する。彼女たちが仕掛けていた盗聴器には、対象者が三十年前に死んだ妹らしい人物と会話を交わす模様が録音されていたのである。あり得ない事態に驚いた二人は、真相を探り始める。
怪談風の装いをまとった虚構の世界を描く小説ならではの技巧に驚かされる。結末を予測するのは難しいだろう。

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