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ミステリの祭典

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ぴぃちさんの登録情報
平均点:6.95点 書評数:42件

プロフィール| 書評

No.42 8点 死の接吻
アイラ・レヴィン
(2026/05/18 07:18登録)
主人公は資産家の娘に近づき、のしあがろうとする男。だが第一部はこの男の視点で、自身の生い立ちや動機、犯罪を行う過程をつぶさに語りながら、彼の名前は明らかにされない。
第二部は被害者の姉の視点で語られることで、誰が容疑者なのかわからない。さらに第三部はまた別の人物の視点で真犯人の男と対決する。悪人の内心を描きながら、正体を隠すという凝った手法でサスペンスとして出来がいい。


No.41 5点 廃屋の幽霊
福澤徹三
(2026/05/18 07:04登録)
夢と現実のあわい、四季のうつろいを背景に、ひたひたと静謐な恐怖が迫る。
オーソドックスに見えて一風変わった、一味違う恐怖が味わえる7辺が収録されている。


No.40 8点 月の扉
石持浅海
(2026/04/28 18:15登録)
ハイジャックという特殊な状況下での密室殺人を取り扱った本格ミステリ。
本格ミステリとしての論理の美しさとハイジャックもののサスペンスと幻想小説としての不思議さが堪能できる。


No.39 7点 分岐点
古処誠二
(2026/04/10 15:08登録)
1945年、敗色濃厚の日本。本土決戦に備えて動員された中学生が兵士を殺害した。
ラストで明かされる意外な動機の驚愕を通じ、大東亜戦争遂行の狂った観念を悲劇的に浮き彫りにした力作。


No.38 10点 方舟
夕木春央
(2026/03/21 19:47登録)
ペッパー警部さんへ

疑問に思われているようなミステリは、他にもたくさんあります。疑問が解消されないといって、採点を1点にするのは、どうかと思います。考え直すことを望みます。よろしくお願いいたします。


No.37 10点 方舟
夕木春央
(2026/03/21 19:31登録)
極限状況での犯人捜しと倫理的選択を描いた本格ミステリ。
通常の本格ミステリでは、犯人を捕まえることが目的だが、犠牲者にするために犯人を見つける存在という設定が斬新。
叙述トリック、構造の逆手利用、読者の認識そのものを裏切る仕掛けが組み合わされた完成度の高い作品。


No.36 8点 人形はなぜ殺される
高木彬光
(2026/02/28 09:44登録)
アマチュアマジシャンの世界を舞台として、絢爛にしておどろおどろしい内容でありながら、人形に絡んだ密室、鉄道アリバイトリックなどに彩られ、それらの謎が見事なまでに論理的に解明されていく傑作。


No.35 6点 血塗られた神話
新堂冬樹
(2025/11/28 13:26登録)
二転三転するプロットといい、時折り炸裂するエログロ描写といい、愛を貫く魂の昇華で閉じるエンディングといい、デビュー作とは思えない出来。


No.34 6点 海を見る人
小林泰三
(2025/11/25 20:15登録)
だんじり祭りの夜の哀しい恋を描いた表題作、歪んだ円筒世界から楕円世界を目指す部属を描いた少年の成長譚「時の中のレンズ」、仮想世界における不具合の原因を究明する探偵の物語「キャッシュ」。
奇妙な世界の謎が論理によって解き明かされていく過程を核に据えた物語構造は、本格ミステリと近しいものがある。


No.33 8点 六人の嘘つきな大学生
浅倉秋成
(2025/10/01 12:34登録)
IT企業スピラリンクスの新卒総合職の最終選考に残った6人は、グループディスカッションの出来次第で全員採用という担当者の言葉に団結するが、直前になり内定者は、1名と告げられる。
就職活動とは何か、現状の選考のあり方はどうなのか、という問いにミステリを絡ませているのが実に巧い。


No.32 5点 赤朽葉家の伝説
桜庭一樹
(2025/09/14 21:24登録)
山陰地方の旧家に生きた三代の女たちを描くこの作品は、重厚さを裏打ちする強靭なユーモア精神が印象的。


No.31 7点 恐るべき太陽
ミシェル・ビュッシ
(2025/08/28 18:20登録)
創作アトリエのために仏領ポリネシア島へベストセラー作家と、彼を熱愛する五人の作家志望者が集められた。ところが作家は失踪し、さらには殺人まで発生してしまう。
謎解きミステリにおいては定番の孤島ものをなぞりつつ、型破りな仕掛けで圧倒させる作品。使われているギミック自体は単純なのに、それを巧妙に隠す手腕がお見事。


No.30 6点 マプチェの女
カリル・フェレ
(2025/08/09 10:24登録)
アルゼンチン現代史の闇を追う探偵と部族出身の女が、正体不明の敵と繰り広げる壮絶な闘い。それを無骨で大胆ながら熱く語っていく。力と勢いがあるクライムノベル。


No.29 5点 ストレイドッグス
樋口明雄
(2025/07/14 21:06登録)
米兵やヤクザが景色に溶け込む町で、孤独な三人の高校生が出会った。
一丁の拳銃の入手を契機に他人とは異なる道をそれぞれ進み始めた彼らの十年を描いた本書は、暴力を切り口としつつも、中心には彼らの友情が宿り続ける青春小説。殺気と哀感の緩急も見事。


No.28 5点 汚れた雪
アントニオ・マンジーニ
(2025/06/21 19:18登録)
主人公のロッコ・スキャヴォーネは、ローマでやらかした失態のため、アルプス山麓の署に左遷されてきた人物。都会育ちの彼が文句を言いながら、豪雪地帯で起きた事件を捜査する。
ロッコは型破りの警察官で、しばしば唖然とするような行為に出る。その脱線に笑っていると、最後は意外なほどに堅固な謎解きが待っている。


No.27 7点 アミュレット・ホテル
方丈貴恵
(2025/06/04 19:36登録)
職業的犯罪者に便宜と絶対の安全を保障する、会員制ホテルを舞台にした連作短編集。
このホテル内で事件を起こした人間は、ホテルに即座に処分される。逆に言えばホテルは事件を早期に解決しなければならない。
事件は毎回、不可能犯罪。第一話が密室、第二話が宴会場で人の視線が集中するなかでの毒殺、第三話は人間消失、第四話は再び密室。謎の魅力もさることながら、真相特定に至るロジック構成がシンプルながら堅牢で感心させられた。


No.26 7点 東の果て、夜へ
ビル・ビバリー
(2025/05/16 20:38登録)
ロードノベルと犯罪小説と教養小説の要素を併せ持ちながら痛切な小説に仕上げている。
ストーリー展開や語り口に趣向が凝らされており、読みやすくはあるのだが、一筋縄ではいかない展開や表現が随所で待ち受けている。 4人の少年たちを乗せたワゴン車は、不可避の未来に向けて進んでいく。定型を提示しておいて裏をかく、という技巧に作者らしさを感じる。


No.25 8点 異常【アノマリー】
エルベ・ル=テリエ
(2025/05/16 20:26登録)
老いらくの恋に悶える建築家に、末期ガンの宣告を受けた家庭人、果ては複数のIDを持つ殺し屋まで。登場する人物は素性も境遇もバラバラで、彼らの身に何が起きているか初めは分からない仕掛けになっている。
謎が解けるのは中盤以降で、くだんの問いを容赦なく突きつける。哲学的な問いを、ふんだんなユーモアと想像力で極上のエンターテイメント小説に昇華させている。


No.24 7点 密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック
鴨崎暖炉
(2025/04/25 19:25登録)
ある事件において、犯行現場が密室になっている場合、それがいかに構成されたか解かなければ犯人は必ず無罪になる、という判決が下される。これによって日本で密室殺人事件が大流行し、それ専門の探偵が出現した、というのが話の前提。
そういうような設定を思いついただけでなく、六つの密室トリックが詰め込まれている。このアイデア量には驚かされる。


No.23 7点 われら闇より天を見る
クリス・ウィタカー
(2025/04/04 19:48登録)
三十年前に幼子をひき殺して刑務所に収監された男キングの懺悔の人生の記録であり、その幼なじみで今は警察署長になっているウォークとの友情小説であり、さらにこの二人が付き合っていた二人の女性、スターとマーサとの回想の青春が、眩しく語られていく小説でもある。
飲んだくれの母親と、幼い弟を守る過酷な運命と戦う十三歳の少女ダッチェスを始め、群を抜く人物の造形と、秀逸な構成が素晴らしい。

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